JIS C 5600:2006 電子技術基本用語 | ページ 6

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C 5600 : 2006
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番号 用語 定義 関連IEC 60050
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2-5-21 伝搬係数, propagation
媒質又は線路の伝送特性で,ある周波数の波動が 101-15-15
伝搬定数 媒質又は線路に沿って伝わるときの性質を複素constant (705-02-24
数で表したもの。波動が長さlだけ伝搬するとき MOD)
exp
( j) の因子がかかる。この j propagation
を伝搬定数といい,実数部 減衰定数,虚数 coefficient,
部 戰 位相定数と呼ばれる。 伝搬係数,
702-02-13
propagation
coefficient;
propagation
constant
(USA),
伝搬係数,
726-05-09
propagation
coefficient;
propagation
constant
(USA),
731-03-41
(702-02-13)
propagation
coefficient,
伝搬定数
2-5-22 位相速度 伝ぱする正弦波の波面の等位相面が進行する速phase velocity101-15-10,
度。 705-02-16
備考 位相速度の大きさは,角周波数を波数 位相速度(ベク
で除した値に等しい。 トル),
705-02-17,
726-05-13,
801-23-20
2-5-23 群速度 group velocity
理想的には,振幅が等しく周波数又は位相速度が 101-15-12,
わずかに異なる二つの正弦波の重合せによって 702-02-22,
表される,信号の進行する速度。 705-02-21
備考 群速度の大きさは,角周波数の波数に 群速度(ベクト
関する微分に等しい。波動のエネルギ ル),
ーは位相速度ではなく群速度で伝えら 731-03-29,
れる。 801-23-21

――――― [JIS C 5600 pdf 26] ―――――

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2-5-24 分散 dispersion
電磁波,音波,電子線などの波動や粒子線などを, 705-04-29
周波数,エネルギー,速度などの成分に分けるこ dispersion (of an
と。又は,波動における位相速度が周波数に依存 electromagneti
すること。 c wave)
(電磁波の)分
散,
731-03-74,
801-23-22,
845-04-104
2-5-25 分散関係 dispersion
波動の運動に関する性質で,周波数と波動ベクト
ルとの関係。 relation
2-5-26 収差 (optical)
結像光学系(電子光学系なども含む。)が,ガウ
aberration
ス結像の条件を満たさないために生じる欠陥。単
色光に対する光線収差と波長分散に基づく色収
差とに大別する。
2-5-27 コヒーレンス 二つ若しくはそれ以上の波動の対応する成分のcoherence 101-15-23,
位相の間,又は一つの波動のある一成分の位相の 705-01-43
間に,時間的若しくは空間的な一定の関係が保た (721-01-09),
れていること。したがって,相互に干渉を起こす 731-01-09
(可干渉性)。 (705-01-43)
2-5-28 干渉 interference
二つ又はそれ以上の波が同じ場所にきたとき,合 702-08-32
成波の振幅が成分波の位相の差によって変化す 位相妨害,
る現象。 731-03-05,
801-23-13,
845-01-12
2-5-29 レーザビーム 細く方向性をもったコヒーレントな光。 laser beam
2-5-30 スペックル レーザのように干渉性のよい光が粗い面で散乱speckle
されたり不均一な物質を透過したときに生じる
はん点状の明暗模様。
2-5-31 モード, mode
マクスウェル方程式の解の一つで,振動系におけ 705-01-12
姿態 る特定の振動形式に相当する状態を示し,それぞ (electromagnet
れ固有の振動数をもつもの。 ic) ode,
(電磁界)モー
ド,
731-03-04
2-5-32 エバネッセント evanescent field
電磁界の各成分の大きさの距離依存性をみると 705-04-70,
フィールド, き,各成分が同時刻にすべての点で相互に同じ位 731-03-52
エバネッセント 相を示しながら,その振幅が数波長の間にほとん
界 どゼロに減衰する電磁界で,その減衰は吸収によ
らないもの。エバネッセントフィールドはエネル
ギーを運ばず,したがって波ではない。電磁波が
屈折率の高い媒質から低い媒質に全反射角以上
の角度で入射するときに,屈折率の低い媒質中に
境界から数波長の領域にエバネッセントフィー
ルドが存在する。

――――― [JIS C 5600 pdf 27] ―――――

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2-5-33 位相共役波 phase conjugate
高次の非線形誘導分極によって,入射電界の位相
wave
を反転させた波面の光の発生が可能となること。
時間反転波ともいわれる。
2-5-34 平面波 plane wave
等位相面が 一群の平行平面である波動。波の振 101-15-05,
幅が r
exp[{ j(k ωt)}] の形で表される。ここで, 705-03-32,
kは波数ベクトル,rは位置ベクトル, 周 731-03-03
波数,tは時刻である。 (705-01-32
MOD)
2-5-35 球面波 spherical wave
等位相面が同心球を形成するような波動。波の振 705-01-36,
r
幅が, exp[{ j(k ωt)}]/|r| の形で表される。こ 801-23-07
こで,kは波数ベクトル,rは位置ベクトル,
は角周波数,tは時刻である。
2-5-36 波束 wave packet
局在した波を記述する波動関数。いろいろな周波
数の正弦波が重畳されて構成されている。電子,
光子などを波動として扱うときに用いられる。
2-5-37 フォトン, プランク定数hと電磁波の周波数νとの積hに photon 111-14-06,
光子 等しいエネルギーの素粒子。 393-01-06,
731-01-02,
881-02-04
2-5-38 フォノン, phonon
弾性振動(格子振動,広義の音波)を量子化して 111-14-07
音[響]量子 考えた準粒子。格子振動に関係するフォノンで 音子:フォノン
は,隣接原子の変位が同相である音響フォノン
(acoustic phonon)と,逆相に変位する光学フォノン
(optical phonon)とがある。
2-5-39 超音波 人の可聴周波数を超える音波で,通常は20 kHzultrasonic (801-21-04
以上の音波をいう。 (wave) ultrasound)
2-5-40 ソリトン soliton
粒子のように振る舞う孤立波。 局在しない波で,
その性質(波形,速度など)を変えることなく伝
搬し,互いに衝突するときはその個性を失わずに
通り抜けていく波。
2-5-41 電子ビーム electron beam
細く方向のそろった,ほぼ同じ速度をもつ電子の 841-08-02
集団。
2-5-42 電子波 電子の量子力学的な波動状態。 electron wave
2-5-43 電子放出 固体又は液体内の電子が温度上昇や入射光若しelectron 111-14-46,
emission
くは電子との衝突又は高電圧の印加によって,そ 121-13-04,
のエネルギーを増加し,固体又は液体面にある電 531-12-01
位の障壁を超えて外部に放出すること。
2-5-44 熱電子放出 電子が熱エネルギーによって固体又は液体面かthermionic 111-14-47,
ら放出することをいい,その電子を熱電子とい emission 121-12-05,
う。 393-02-80,
531-12-04,
881-02-94
2-5-45 電界放出 放出面上の高電界にだけ基づく電子放出。 field emission111-14-49,
121-13-07,
531-12-06

――――― [JIS C 5600 pdf 28] ―――――

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2-5-46 光電子放出 photoelectric
光の入射によって,その入射面から電子が放出さ 111-14-48,
れること。その電子を光電子という。 emission, 121-13-06,
photoemission 531-12-05
2-5-47 一次電子 固体に電子を入射させ二次電子放出をさせるとprimary electron
きの入射電子。
2-5-48 二次電子 secondary
電子,イオン,紫外線,X線などの高エネルギー 393-02-44,
electron
ビームが物質表面を衝撃することによって,その 881-03-37
表面から放出する電子。一次電子が表面から反射
したものも含める。
2-5-49 一次電子放出 111-14-50,
primary electron
一次電子が放出されること。熱,光電子,及び電
界による放出がある。 emission 121-13-08,
531-12-07
2-5-50 二次電子放出 二次電子が放出されること。 secondary 111-14-51,
electron 121-13-09,
emission 531-12-08
2-5-51 反射電子 reflected
電子線がある媒質から他の媒質に入射した結果,
electron
何らかの不連続的変化のある境界,周期性をもっ
た結晶の格子面などによって進行方向を変え,も
との媒質中を新たな方向に沿って進行する電子。
2-5-52 冷陰極 加熱することなく電子放出の起こる陰極。 cold cathode 531-21-10,
841-08-05
2-5-53 熱陰極 熱電子放出を主要な機能とする陰極。 hot cathode 531-21-13,
841-08-06
2-5-54 イオンビーム ion beam
ほぼ運動速度のそろったイオンの集団が,小さな
径で決まった方向に流れているもの。 液体金属
イオン源を用いた輝度の高いイオンビームは集
光性に優れ,集束イオンビームと呼ばれる。
2-5-55 二次イオン secondary ion
一次イオンが物質表面を衝撃することによって,
その表面から物質の構成元素がイオン化して真
空中に放出したイオン。
6) 量子効果
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番号 用語 定義 関連IEC 60050
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番号及び用語
2-6-1 量子サイズ効果 quantum size
電子のド・ブロイ波長と同程度以下の寸法を
もつ構造において,そこに閉じ込められた電effect
子の性質に起因して起こる効果。
2-6-2 量子構造 quantum
量子サイズ効果を実現するため,電子のド・
ブロイ波長と同程度以下の寸法からなる固体structure
の構造。 電子の閉じ込め方向が 1,2及び 3
次元の場合について,それぞれ量子井戸,量
子細線及び量子箱と呼ばれている。

――――― [JIS C 5600 pdf 29] ―――――

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2-6-3 ひずみ量子井戸 strained
量子井戸において特に,井戸層及び障壁層の
格子定数が互いに異なる量子井戸。 quantum well
2-6-4 超格子 superlattice
結晶系において,結晶格子の周期と異なる人
工的な空間変調を加えた系の総称。結晶組成
や不純物添加の異なる数十nm以下の層を交
互に積層した構造が,この代表例である。
2-6-5 波動関数 wave function
物質中の電子の振舞いを定在波によって記述
するための関数。電子の存在確率は,波動関
数の自乗に比例する。
2-6-6 ド・ブロイ波 de Broglie
電子などの質量をもつ粒子の波動性。 別名,
物質波という。半導体の中の電子のド・ブロwave
イ波長は,数十nmである。
2-6-7 トンネル効果 tunnel effect
粒子がもつ運動エネルギーよりも大きなエネ 121-13-21,
ルギー障壁をその粒子が通り抜ける現象。 古 521-02-78
典理論では不可能で,量子力学で説明できる tunnel effect (in
現象。 粒子の波動としての性質に起因し, a PN junction)
トンネルの確率は粒子の質量及び 障壁の形
状に依存する。
備考 超電導体では,単一電子のトンネル
[ギーバー(Giaever)効果]とクーパ
ー対のトンネル(ジョセフソン効
果)とがある。
2-6-8 共鳴トンネル効果 resonant tunnel
トンネル現象の一種。トンネルする粒子のエ
ネルギーと同一レベルのエネルギー準位が障effect
壁層の対向側に存在すると,この特定のエネ
ルギー準位でトンネル確率が急激に増加する
現象。
2-6-9 フランツ・ケルデ Franz-Keldysh
高電界印加で電界こう配をもつ半導体におい
ィッシュ効果 て,光吸収及びトンネル効果によって,バンeffect
ドギャップより小さな光子エネルギーで価電
子帯の電子が伝導帯へ遷移することが可能と
なるために,基礎吸収端の低エネルギー側に
光吸収がすそを引く現象。
2-6-10 電子波干渉 電子の波動としての性質に起因する干渉現 electron wave
象。 interference
2-6-11 ブロッホ振動 Bloch
結晶内の電子が散乱を受けないとすれば,直
流電界によって加速される場合でも,電子はoscillation
一方向に連続して加速されるものではなく,
速度を周期的に反転して実空間のある限られ
た範囲を往復運動し続ける振動現象。
2-6-12 量子閉じ込めシュ quantum
量子井戸に垂直に電界を印加したとき,エキ
タルク効果 ントンによる吸収スペクトルの吸収端が低エconfined
ネルギー側にシフトする現象。 Stark effect

――――― [JIS C 5600 pdf 30] ―――――

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