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結果の解析は半導体レーザモジュールの各形式ごとに信頼性パラメータに反映し,公表するのがよい。
これらの必要最低限の信頼性パラメータを表3に示す。
データが複数の摩耗メカニズムを示している場合,各事例のメジアン寿命及び分散を記載する。
これらの信頼性パラメータを導き出すために使用する故障判定基準は,システム供給者と半導体レーザ
モジュール製造業者との合意による。この故障判定基準は,個別仕様書に記載する。故障判定基準に関す
る指針は,JA.4による。
6.2 半導体レーザモジュール製造業者への技術訪問
半導体レーザモジュールの設計は進展していくものであり,半導体レーザモジュール製造業者は信頼性
に影響するような大幅な設計変更を行うことがある。このため,システム供給者は製造業者に対して技術
及び生産性が十分安定していることが確認できるまで技術協議を行うことが望ましい。この技術協議では,
品質及び信頼性に関わる項目を議題として取り上げる。半導体レーザモジュール製造業者が性能認証を受
けている場合,製造業者が次の事項を実証できるとき,上記技術協議の頻度を少なくしてもよい。
a) 設計及びプロセスの変更及び信頼性の問題が性能適格構成部品に限られている。
b) 品質保証システムが十分に自社内で監査されている。
6.3 設計及びプロセスの変更
半導体レーザモジュール製造業者は,システム供給者に最終製品の形状,寸法又は機能に影響するどの
ような設計又はプロセスの変更も通知しなければならない。
6.4 納入
半導体レーザモジュールの設計は発展途上にあり,進展し続けているため,各納入ロットは示されてい
る技術及び生産工程に従って製造し,半導体レーザモジュール製造業者及びシステム供給者が納入前に検
証するのがよい。
6.5 供給者の文書化
システム供給者(SS),及び性能適格構成部品の製造業者又は半導体レーザモジュール製造業者(LMM)
は,この規格に規定する試験及び活動を,可能な範囲のどの部分でも,自社の構成部品の認証,又は必要
に応じて,性能認証手順及び購入仕様書に採り入れなければならない。さらに,この規格の規定内容は,
信頼性・技術紹介,入札提出物,及び顧客に対する販売促進説明書に利用してもよい。
――――― [JIS C 5948 pdf 11] ―――――
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表3−半導体レーザモジュール信頼性パラメータの形式
パラメータ 測定値
メジアン寿命 25 ℃又は55 ℃a) 年
分散(σ) −
摩耗故障率
5年 (λ5) FIT
10年 (λ10) FIT
20年 (λ20) FIT
摩耗故障の活性化エネルギー(Ea) eV
偶発故障率
(λa)25 ℃b) FIT
信頼性水準 : %
偶発故障の活性化エネルギー(Ea) eV
測定に関する指針は,附属書JAに示す。
注記 この表は,故障に至るまでの時間の対数正規分布を想定している。分散パラメータ(σ)
は,loge(t50/t16)に相当する。ここで,t50はメジアン寿命,t16は16 %故障の時間である。
注a) 使用する全推定モデルに特に注意を払い,信頼性の予測に採用する活性化エネルギーが
正当であることを記載する。
b) この表の全パラメータに使用する基準温度は,Ts=25 ℃である。活性化エネルギーが与
えられている場合,代替基準温度(Ts=50 ℃)を用いてもよい。
――――― [JIS C 5948 pdf 12] ―――――
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附属書A
(参考)
信頼性評価試験(表1)及び継続的試験(表2)の手引
A.1 電子冷却素子内蔵半導体レーザモジュールの寿命試験(表1の試験項目1.1)
半導体レーザモジュールが電子冷却素子を内蔵している場合,性能適格構成部品に同時に有意の過剰負
荷を加えることは困難である。“標準の動作”中には,サブマウント温度は標準Ts=25 ℃に制御されてい
る。ただし,モジュールケース温度がTc=Top maxである寿命試験の場合,Ts=Ts nomのサブマウント温度を
維持するために比較的大きな電流で冷却素子が動作しているときは,半導体レーザ,光ファイバの固定,
フォトダイオード及び熱センサに対して有意な過剰負荷を同時に与えることができる。表A.1の条件によ
るのがよい。
電子冷却素子にも幾つかの追加試験を実施することが望ましい。例えば,Tc=Top max,Ts=Ts nom−10 ℃
などの条件が考えられる。
温度での寿命試験を実施する場合,例えば継続的試験においては,表A.1の条件によるのがよい。
表A.1−電子冷却素子内蔵半導体レーザモジュールの寿命試験の推奨条件
モジュールケース温度 Top max
サブマウント温度 Ts=Ts nom
光出力 寿命試験開始時に光ファイバ出力をPmaxとする。
(出力モニタ回路を用いて)
レーザ動作電流 モニタ出力を一定に保持
出力モニタ電流 標準のバイアス
温度センサ電流 標準のバイアス
冷却素子電流 サーミスタ抵抗を一定に保持
試験時間 >5 000 h
A.2 非冷却半導体レーザモジュールの寿命試験(表1の試験項目1.2)
半導体レーザモジュールに電子冷却素子が内蔵されていない場合,推奨最大動作温度までの温度範囲に
わたり寿命試験を容易に実施できる。信頼性評価試験では,二つ以上の温度,例えば,Tc=Top max及びTc
=40 ℃50 ℃の範囲による寿命試験がよい。寿命推定の精度は試験項目の数に比例して高くなる。
エポキシ又は有機材料を内蔵する半導体レーザモジュールの場合,低温(Top minで>2 000 h)での追加
の寿命試験が必要となることもある。
温度での寿命試験を実施する場合,例えば継続的試験においては,表A.2の条件によるのがよい。
表A.2−非冷却半導体レーザモジュールの寿命試験の推奨条件
モジュールケース温度 Top max
光出力 寿命試験開始時に光ファイバ出力をPmaxとする。
(出力モニタ回路を用いて)
レーザ動作電流 モニタ出力を一定に保持
出力モニタ電流 標準のバイアス
試験時間 >5 000 h
――――― [JIS C 5948 pdf 13] ―――――
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A.3 サブマウント付き半導体レーザの寿命試験(表1の試験項目1.3)
標準の動作状態である場合,半導体レーザモジュールの購入使用者と特別に他の合意をしていない限り,
半導体レーザの寿命試験は一定の光出力で実施する。使用する温度範囲は,Ts=50 ℃80 ℃であること
が多い。したがって,標準動作状態に対する劣化率の加速は比較的小さい。半導体レーザ動作状態で寿命
試験を実施できる最大温度は,通常,Ts=70 ℃100 ℃の範囲内である。ただし,コンタクト電極の信頼
性を調べるには,最大Ts=150 ℃までの温度による定電流寿命試験が有用である。スクリーニングが十分
である半導体レーザでは,Ts<90 ℃の温度で試験した場合,実際の故障が発生する頻度は少ない。半導体
レーザの寿命を推定するには,しきい値又は動作電流があらかじめ決めた故障判定基準を超える時点を予
測する外挿的推定が必要である。動作電流がある程度増加するまでには,5 000時間を超える試験期間を要
する。
温度での寿命試験を実施する場合,例えば継続的試験においては,表A.3の条件によるのがよい。
表A.3−半導体レーザ寿命試験の推奨条件
温度 Ts=70 ℃
光出力 指定する最大値
バイアス モニタ出力を一定に保持
試験時間 >5 000 h
A.4 モニタ用フォトダイオード寿命試験(表1の試験項目1.4)
暗電流の増加を感度よく検出し評価するには,デバイスを逆バイアスの状態にしてフォトダイオード寿
命試験を実施することが最善である。適切な時間内に故障を得るには,通常,Ts=125 ℃200 ℃の範囲
の温度が必要となる。有機物による保護膜処理が施されているデバイスは,その処理の硬化温度を下回る
温度で試験する。
故障を加速させるためには,増加バイアス電圧も使用できるが,動作寿命を予測する前にバイアス電圧
に対する寿命依存性を特定する必要がある。
フォトダイオードの暗電流の測定には,標準動作温度も含める必要がある。寿命試験温度で行う測定で
は,表面の漏れ電流の増加を検出できないことがある。これは,バルクの暗電流が高温では主となるから
である。
暗電流が増加している劣化したフォトダイオード(可動な電荷が蓄積した結果)は,バイアスのない高
温で保存されると急速に回復することが多い。これを回避するため,最も重要なことは,試験期間の終わ
りに温度が30 ℃を下回るまで逆バイアス状態を保持することである。このとき,試験後の測定は3時間
以内に完了させなければならない。接合部を露出した状態(保護膜処理のないメサ形デバイスなど)のフ
ォトダイオードの暗電流の増加はパッケージ雰囲気に非常に敏感であり,酸素又は水蒸気の影響が少しで
もあると寿命を短くする。したがって,一般的な気密パッケージに密閉したフォトダイオードについて寿
命試験を実施し,開放されたサブマウントでは行わないのがよい。流れのある窒素中の試験でも(乾燥し
ていても),結果が変動し得る。
温度での寿命試験を実施する場合,例えば継続的試験においては,表A.4の条件によるのがよい。
――――― [JIS C 5948 pdf 14] ―――――
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表A.4−フォトダイオード寿命試験の推奨条件
温度 Ts=125 ℃200 ℃の範囲
バイアス 測定前の冷却中も保持
試験時間 1 000 h
雰囲気 一般的な気密パッケージ中
A.5 温度サイクル及び温度急変試験(熱衝撃試験)(表1及び表2の試験No.2)
温度サイクル試験から得られた(標準動作に対する)加速を定量化することは困難である。ただし,Tc
=−40 ℃+70 ℃の温度サイクルを行った場合,半導体レーザモジュール内に潜在的に存在する光ファ
イバの不安定性,単体部品(電子冷却素子,サブマウントなど)間の熱的不整合,及び光ファイバの破断
に関係する重大な欠陥を明らかにできることが実証されている。
信頼性評価試験の場合,Tstg minからTstg maxまで500サイクル行うことが必要である。継続的試験(3か月
6か月)の場合,サイクル数は100である。温度急変試験及び温度サイクル試験の手順は,次によるの
がよい。
− JIS C 60068-2-14 試験Na: 温度急変
− JIS C 60068-2-14 試験Nb: 定速温度変化,温度変化率=3 ℃/min又は5 ℃/min
良好に設計され製造されたモジュールの場合は,この試験を行ってもほとんど性能の変化がないはずで
ある。
A.6 気密性(表1及び表2の試験No.3)
試験No.3での試験後の評価は,精密漏れ試験,すなわち,ヘリウムガス及び質量分析器を使用した試験
Qk,及びその後に行う気泡の発生検出による総漏れ試験Qcからなる。測定誤差を避けるため,光ファイ
バ被膜によるヘリウムの吸収を排除する適切な予防措置を講じなければならない。
A.7 衝撃及び振動(表1及び表2の試験No.4)
これらの試験は,部品が使用中又は輸送中に受ける振動及び衝撃の状態をシミュレーションするように
設計されている。電子冷却素子内蔵半導体レーザモジュールの衝撃試験は,電子冷却素子が制限要因であ
る。この場合の衝撃試験は,5 000 m/s2以下とすることが望ましい。
A.8 高温保存(表1及び表2の試験No.5)
温度保存試験は,バイアス回路が不要であるため比較的費用がかからないという利点がある。モジュー
ルケース温度がTc≦Tstg maxの最大保存温度以下で試験を実施する場合は,非破壊的とみなせる。応力は比
較的小さいが,高温保存試験(例えば,Tc=70 ℃,持続時間=2 000 h)は光ファイバアラインメントの不
安定性に関する重大な問題に対して有用な対策となり,潜在的なメタライズ及びはんだの故障メカニズム,
例えば,電子冷却素子の故障,サーミスタの故障などを特定することができる。
A.9 静電破壊感度(表1及び表2の試験No.6)
オプトエレクトロニクス構成部品は製造,試験,装置への組立,及び運用の全段階において静電破壊に
よる損傷を受けやすい。静電破壊にさらされると,突発的な故障,特性のシフト,又は運用中において寿
――――― [JIS C 5948 pdf 15] ―――――
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JIS C 5948:2017の引用国際規格 ISO 一覧
- IEC 62572-3:2016(MOD)
JIS C 5948:2017の国際規格 ICS 分類一覧
- 31 : エレクトロニクス > 31.260 : オプトエレクトロニクス.レーザー設備
JIS C 5948:2017の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISC60068-2-1:2010
- 環境試験方法―電気・電子―第2-1部:低温(耐寒性)試験方法(試験記号:A)
- JISC60068-2-14:2011
- 環境試験方法―電気・電子―第2-14部:温度変化試験方法(試験記号:N)
- JISC60068-2-17:2001
- 環境試験方法―電気・電子―封止(気密性)試験方法
- JISC60068-2-2:2010
- 環境試験方法―電気・電子―第2-2部:高温(耐熱性)試験方法(試験記号:B)
- JISC60068-2-27:2011
- 環境試験方法―電気・電子―第2-27部:衝撃試験方法(試験記号:Ea)
- JISC60068-2-6:2010
- 環境試験方法―電気・電子―第2-6部:正弦波振動試験方法(試験記号:Fc)
- JISC61340-3-1:2010
- 静電気―第3-1部:静電気の影響をシミュレーションする方法―人体モデル(HBM)の静電気放電試験波形