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表JA.4−半導体レーザモジュール寿命試験の追加故障判定基準の例
特性 故障判定基準 測定条件
ピーク波長システムの変調条件で動作
スペクトル幅(RMS) USL Top min,25 ℃,Top max
システムの変調条件で動作
モード抑圧比 LSL Top min,25 ℃,Top max
システムの変調条件で動作
スナップオンa) 光−電流曲線の1次微分で Top min,25 ℃,Top max
≧15 %
(光−電流曲線の1次微分によって)
光−電流曲線のキンクa) 10 %変化b) Top min,25 ℃,Top max
IF逆バイアスの漏れ 製造業者の推奨最大値 25 ℃
注記 USL : 上限規格値,LSL : 下限規格値
注a) 図JA.4を参照。
b) 光−電流曲線のキンクを検出する能力は,レーザ出射端面からの光を集める開口数(NA)に影響される。
最終パッケージ内の光ファイバで実現される開口数で,パッケージング前の半導体レーザ(サブマウント
上)を測定することが望ましい。
a) 光出力対順方向電流(L−I)曲線におけるキンク
b) 光出力のスナップオン
図JA.4−光出力対順方向電流特性における非線形性
――――― [JIS C 5948 pdf 26] ―――――
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表JA.5−温度サイクル試験及び高温保存試験後の半導体レーザモジュール故障判定基準の例
特性 故障判定基準 測定条件
レーザしきい値 10 %増加a) Ts=25 ℃
光ファイバ出力パワー 1 dB変化a) Ts=25 ℃,Imo一定
フォトダイオード暗電流 10 nA増加a) Ts=25 ℃,Ts=Top min
サーミスタ抵抗 5 %変化a) Ts=25 ℃
電子冷却素子電流 10 %変化a) 試験開始からΔTを一定に保つ
電子冷却素子電圧 10 %変化a) 試験開始からΔTを一定に保つ
表JA.3参照
注記 半導体レーザモジュールは,温度サイクル試験後でも気密状態とする。
注a) レーザしきい値を除く試験前及び試験後の値の変化。レーザしきい値では,
Ith<30 mAの場合,基準は最大3 mA。
JA.5 信頼性予測に関する指針
JA.5.1 寿命予測
寿命試験中に半導体レーザモジュールに加わる応力程度では特性の劣化又は破局的な故障を試験中に引
き起こすには不十分であることが多い。しかし,特性の変動は寿命試験中に監視できるので,個々のデバ
イスの故障までの予測時間は,次のような方法で外挿できる。
a) 半導体レーザのしきい値又は動作電流の外挿 多くの半導体レーザは,寿命試験又は標準動作時にし
きい値電流が(したがって,一定の光出力に必要な駆動電流が)徐々に増加する。個々の半導体レー
ザの寿命は,あらかじめ決めた故障判定基準(例えば,Iop 50 %上昇)までの電流の増加を外挿するこ
とによって予測することができる。寿命データにうまく適合し広く使用されているモデルは,関係式
(JA.2)で表される。
(l l0/) 0Atn (JA.2)
ここに, l : 動作電流(又はしきい値電流)
l0 : 動作電流(又はしきい値電流)の初期値
t : 時間
A及びn : 定数
簡便さからn=1が使用されることが多いが,一般的に指数nの値は1よりも小さく,例えば0.5で
ある。長期の劣化傾向を正確にモデル化できるようにするには,初期にありがちな変化をある程度許
容することが必要となる。測定したデータとの適合性が極めて良好な場合,式(JA.2)の代替モデルで
あってもよい。
この関係を使用して,寿命試験温度での寿命分布が求められる。製造状態及びスクリーニングが良
好な半導体レーザの場合,寿命を正しく予測するのに十分な劣化を得るには,数千時間の寿命試験期
間が必要となる。
b) 半導体レーザモジュール光ファイバ出力パワーの変化 通常,半導体レーザモジュールは,一定のモ
ニタ用フォトダイオード電流出力となるように制御しているレーザ駆動電流によって動作する。この
ような条件の下では,光ファイバとレーザ出射端面との間のアラインメントが変化する場合に,光フ
ァイバ出力パワーが変化する。半導体レーザモジュールからの光ファイバ出力パワーの変化は通常非
常に緩やかであるが,非常に急激な故障も観測されている。したがって,寿命試験時に観測される変
化を推定することが必要となる。簡単な線形的外挿を適用することが多いが,光出力の直線的でない
変化は,光ファイバが動いたことによって,最もよく説明できる。
――――― [JIS C 5948 pdf 27] ―――――
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c) 寿命の温度依存性 半導体レーザ,フォトダイオードなどの個別構成部品の場合,アレニウス関係式
(JA.1)をそのまま用いて構成部品寿命の温度依存性を規定できるため,標準動作温度での寿命を推定
できる。また,各寿命試験温度でのメジアン寿命(50 %の摩耗故障の時間)を活性化エネルギーの推
定に使用できる。
アレニウスの関係によれば,短い寿命試験時間でうまく故障を発生させるには,高い試験温度を使
用することが望ましい。しかし,半導体レーザ及びモジュールが対象の場合,高温試験によって行う
寿命予測が有効となるように次のような注意を要する。
低い活性化エネルギーのメカニズムが主要であっても,高温ではこれと異なる高い活性化エネルギ
ーメカニズムによって故障が発生するリスクがある。例えば,メタライズ及びボンディングに関連す
る故障は,活性化エネルギーが高い(>0.7 eV)ことが多いが,それに比べて半導体レーザチップの
劣化は活性化エネルギーが低いことがある。したがって,高温寿命試験結果から標準動作温度での寿
命を推定するときは,注意を要する。半導体レーザモジュールの中には,有機材料,プラスチック材
料(例えば,フォトダイオードの被膜保護及び光ファイバのコーテイング),又は低融点はんだを含む
ものもあり,その場合には試験を実施できる上限温度が制限される。
高い動作温度での寿命試験で得た活性化エネルギーを標準動作温度に適用できると想定するときは,
注意を要する。寿命試験データの解析及び劣化構成部品の故障分析によって,同じ故障メカニズムが
寿命試験温度範囲全体で故障を発生させるか否かが分かる。また,存在する故障メカニズムが一つだ
けの場合,寿命の分布は全ての寿命試験温度で同じである。比較的低い温度(例えば,50 ℃)での長
時間(10 000時間)の寿命試験を行えば,高温寿命試験結果が標準動作時にも適用できる,という確
信が得られることになる。
d) 寿命の電流依存性 寿命の温度依存性に加えて,寿命は注入電流の影響を受ける。寿命は通常,注入
電流(密度)の増加に従い短くなり,また,lmに逆比例する(l : 電流,m : 定数,12)。寿命の温度
依存性は,ACC条件における同じ電流値から推定することが望ましい。APC条件においては,駆動電
流は雰囲気温度及び光出力値によって変化するので,駆動電流を一致させることはできない。この電
流に依存する特性によって,寿命に対する多種多様な試験データを得る。埋込みヘテロ界面及び電極
の劣化は,注入電流(密度)によって促進させられるが,光通信システムに使用される半導体レーザ
における発生確率は低い。
e) 半導体レーザモジュールに関する寿命試験結果の説明 これは,次の理由によって,より複雑である。
− 寿命試験中に各種構成部品が異なる応力を経験する。
− 標準動作条件の下で半導体レーザモジュールの寿命を推定するときに必要な活性化エネルギーが複
数あり,かつ,異なる。
寿命試験データから活性化エネルギーの値が得られない場合は,表JA.6に示す値を想定することが
よくある(これらのデフォルト値は顧客及びシステム供給者と合意することが望ましい。)。活性化エ
ネルギーの想定値を基に寿命予測を説明するときは,注意を要する。
――――― [JIS C 5948 pdf 28] ―――――
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表JA.6−寿命予測のための活性化エネルギー推奨値
(試験による値を利用できない場合,すなわち,デフォルト値)
部品別故障メカニズム 活性化エネルギーeV 動作温度70 ℃から25 ℃への加速係数
a) 半導体レーザの摩耗故障 :
1) 埋込み形ヘテロ構造 0.5 13
2) 埋込み形クレセント構造 0.3 4.6
3) リッジ導波形構造 0.3 4.6
半導体レーザモジュール光ファイバの安定性 0.7 36
フォトダイオード暗電流 0.7 36
b) 偶発故障
全部品 0.35 6
JA.5.2 故障率の予測
時間の経過に伴う故障率の変動は,図JA.5に示す“バスタブ曲線”によって簡単かつ一般的な形式で表
現できる。オプトエレクトロニクス構成部品,特に半導体レーザは早期に故障しやすく,バーンイン及び
スクリーニングが不適切な場合,早期故障率が高くなる。有効寿命中,ランダムに発生する故障が主要な
場合,故障率は一定とみなされる。その後,故障率は再度上昇し始める。これは一般的な摩耗故障メカニ
ズムによって故障が発生するためである。デバイスの有効寿命が期待されるシステム寿命よりも短い場合,
デバイスの摩耗故障はシステムの故障率に重大な影響を与える。総故障率は摩耗故障率と偶発故障率との
和である。
図JA.5−バスタブ曲線
a) 摩耗による構成部品の故障率 半導体レーザ及びフォトダイオードの寿命分布を表すために対数正規
分布及びワイブル分布の両方が使用されている。半導体レーザ寿命の対数正規プロット例を,図JA.6
に示す。寿命に大幅な広がりがあることが分かり,摩耗による故障率が一定でないことを示すことが
できる。したがって,一般に使用されている用語である“故障までの平均時間”(mean time to failure:
MTTF)によって単純に寿命を表すだけでは不十分であり,故障率を時間の関数として決定できるよ
うにするには,メジアン寿命(50 %の摩耗故障の時間)及び分散(寿命の広がり尺度となる)という
二つのパラメータが必要である。分散又はシグマ(σ)は,loge(t50/t16)に相当する。ここで,t50はメジ
アン寿命,t16は16 %故障の時間である。
――――― [JIS C 5948 pdf 29] ―――――
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図JA.6−対数正規分布曲線を示す積算故障率の例
時間の経過に伴う故障率の変化は,分散の値への依存度が高い。この点を図示するため,図JA.7
に,メジアン寿命が106時間であり分散値が0.52.0の範囲にある対数正規分布をもつ構成部品の故
障率を,時間関数として示してある。光通信サービス運用後のシステムの保守の観点からは,半導体
レーザの故障率(図JA.6)の対数正規分布の傾きから計算される分散は重要である。分散が大きい場
合(図JA.6の対数正規分布の緩やかな傾き)は,メジアン寿命がサービス期間を超えていても,サー
ビス期間内にたくさんの故障が発生するので,結果として大きな故障率となる。
対数正規寿命分布をもつ構成部品の摩耗故障率は,メジアン寿命及び分散が判明していれば
Goldthwaite curves[1] 1)を使って決定できる。
注1) 角括弧の数字は,参考文献の番号を示す。
――――― [JIS C 5948 pdf 30] ―――――
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JIS C 5948:2017の引用国際規格 ISO 一覧
- IEC 62572-3:2016(MOD)
JIS C 5948:2017の国際規格 ICS 分類一覧
- 31 : エレクトロニクス > 31.260 : オプトエレクトロニクス.レーザー設備
JIS C 5948:2017の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISC60068-2-1:2010
- 環境試験方法―電気・電子―第2-1部:低温(耐寒性)試験方法(試験記号:A)
- JISC60068-2-14:2011
- 環境試験方法―電気・電子―第2-14部:温度変化試験方法(試験記号:N)
- JISC60068-2-17:2001
- 環境試験方法―電気・電子―封止(気密性)試験方法
- JISC60068-2-2:2010
- 環境試験方法―電気・電子―第2-2部:高温(耐熱性)試験方法(試験記号:B)
- JISC60068-2-27:2011
- 環境試験方法―電気・電子―第2-27部:衝撃試験方法(試験記号:Ea)
- JISC60068-2-6:2010
- 環境試験方法―電気・電子―第2-6部:正弦波振動試験方法(試験記号:Fc)
- JISC61340-3-1:2010
- 静電気―第3-1部:静電気の影響をシミュレーションする方法―人体モデル(HBM)の静電気放電試験波形