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C 60664-1 : 2009 (IEC 60664-1 : 2007)
4.2.3 過渡過電圧に関する絶縁協調
過渡過電圧に関する絶縁協調は,過電圧制御状態に基づく。次の2種類の制御状態がある。
− 本質的制御状態 : ある系統内において,その特性が予想される過渡過電圧を一定のレベルに制限する
ことが期待し得る状態
− 保護制御状態 : 系統内に設けた特別な過電圧減衰手段によって,予想される過渡過電圧を一定のレベ
ルに制限すると期待し得る状態
注記1 多種多様な影響を受ける低圧系統電源のような大形で,かつ,複雑な系統における過電圧は,
統計的にだけ評価できる。これは,特に大気が原因の過電圧の場合に当てはまり,本質的制
御又は保護制御のいずれかによって達成される制御状態が適用される。
注記2 本質的制御が存在するかどうか,又は保護制御を必要とするかどうかを評価するために確率
的分析を推奨する。この分析は,電気系統特性,予想雷発生レベル,過渡過電圧レベルなど
の知識を必要とする。このアプローチは,低圧系統電源に接続する建物の電気設備に適用す
るJIS C 60364-4-44で用いられている。
注記3 特別な過電圧減衰手段としては,エネルギーの蓄積又は消散の手段をもつ装置であってもよ
く,一定の条件下でその場所に予想される過電圧エネルギーを,害を及ぼすことなく消散さ
せることができればよい。
絶縁協調の概念を適用するために,次の二つの異なるソースからの過渡過電圧を区別する。
− 機器の端子を通して系統側から生じる過渡過電圧
− 機器内に生じる過渡過電圧
絶縁協調においては,定格インパルス電圧として次に示す推奨値を用いる。
330 V,500 V,800 V,1 500 V,2 500 V,4 000 V,6 000 V,8 000 V,12 000 V
4.2.4 反復ピーク電圧に関する絶縁協調
固体絶縁物の中又は絶縁表面に沿って発生する部分放電(5.3.2.3.1参照)の量を考慮する(表F.7b参照)。
4.2.5 短時間過電圧に関する絶縁協調
短時間過電圧に関する絶縁協調は,JIS C 60364-4-44の箇条442(この規格の5.3.3.2.3参照)で規定する
短時間過電圧に基づく。
注記 現在利用可能なサージ防止装置(SPD)では,短時間過電圧に関連するエネルギーを適切に処理で
きない。
4.2.6 環境状態に関する絶縁協調
絶縁のミクロ環境状態は,汚損度による数量化を考慮しなければならない。
ミクロ環境状態は,主に機器が設置されるマクロ環境状態に依存し,多くの場合,その両環境と同一で
ある。ただし,ミクロ環境は,マクロ環境より良くも悪くもなり得る。例えば,外郭,加熱,換気又はじ
んあい(塵埃)はミクロ環境に影響を及ぼす。
注記 JIS C 0920 [2]に規定する分類に従った外郭による保護は,汚損に関しては必ずしもミクロ環境
を改善しない。
最も重要な環境要素には,次のものがある。
− 空間距離に対して
− 空気圧
− 広範囲に変動する場合の温度
− 沿面距離に対して
――――― [JIS C 60664-1 pdf 11] ―――――
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− 汚損
− 相対湿度
− 結露
− 固体絶縁物に対して
− 温度
− 相対湿度
4.3 電圧及び電圧定格
4.3.1 一般事項
絶縁協調に従って機器の規定値を決定するために,製品規格には,次のことを規定しなければならない。
− 電圧定格の根拠
− 機器が接続される系統の特性を考慮し,機器の予想される使用場所に応じた過電圧のカテゴリ
4.3.2 長時間のストレスに対する電圧の決定
4.3.2.1 一般事項
機器の定格電圧は,配電系統の公称電圧よりも小さくないものと想定する。
4.3.2.2 基礎絶縁の規定値を決定するための電圧
4.3.2.2.1 低圧系統電源から直接給電される機器
低圧系統電源の公称電圧は,表F.3a及び表F.3b(5.2.2.2参照)に示すように集約されている。また,こ
れらの電圧は,沿面距離を選択するために用いる最低の電圧である。これらは,定格絶縁電圧の選択にも
用いることができる。
低圧系統電源の異なる公称電圧で使用できるように幾つかの定格電圧をもつ機器の場合には,選択され
る電圧は,その機器の最も高い定格電圧に適したものでなければならない。
製品規格には,電圧を次のいずれに選択すべきであるかを考慮しなければならない。
− 充電線間電圧を基礎とする。
− 充電線と大地との間の電圧を基礎とする。
後者の場合,製品規格には,機器が中性点接地方式でだけ使用できることを使用者に知らせる方法を規
定しなければならない。
4.3.2.2.2 低圧系統電源から直接給電されない系統,機器及び内部回路
系統,機器又は内部回路に発生し得る最高実効値電圧は,基礎絶縁の場合に使用する。電圧は,定格電
圧及び機器の定格条件における最も不都合となる組合せ条件の下で決定する。
注記 故障状態は考慮しない。
4.3.2.3 機能絶縁の規定値を決定するための電圧
機能絶縁に要求される規定値を決定するためには動作電圧を用いる。
4.3.3 定格インパルス電圧の決定
4.3.3.1 一般事項
過渡過電圧は,定格インパルス電圧を決定する基準として用いる。
4.3.3.2 過電圧カテゴリ
4.3.3.2.1 一般事項
過電圧カテゴリの概念は,低圧系統電源から直接給電される機器のために用いる。
過電圧カテゴリの分類は,系統内で設備から負荷側への過渡過電圧が物理的に減衰するという意味より
は,確率的な意味をもつ。
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注記1 過電圧カテゴリの概念は,JIS C 60364-4-44の箇条443で用いられている。
注記2 この規格の用語“過電圧カテゴリ”は,JIS C 60364-4-44の箇条443で用いられている“耐
インパルスカテゴリ”と同義語である。
同様な概念は,その他の系統,例えば,通信及びデータ系統に接続される機器にも用いることができる。
4.3.3.2.2 低圧系統電源から直接給電される機器
製品規格には,過電圧カテゴリを次の一般的な説明に基づいて規定しなければならない(JIS C
60364-4-44の箇条443を参照)。
− 過電圧カテゴリIVの機器は,設備の引込口部で使用する。
注記1 このような機器の例として,電力量計及び一次過電流保護装置がある。
− 過電圧カテゴリIIIの機器は,固定設備中の機器であり,その信頼性及び有用性が特別な要求として求
められる場合がある。
注記2 このような機器の例として,固定設備中のスイッチ及び固定設備に恒久的に接続される産
業用機器がある。
− 過電圧カテゴリIIの機器は,固定設備から供給されるエネルギーを消費する機器である。
注記3 このような機器の例として,家電機器,可搬形工具並びにその他の家庭用及び類似の装置
がある。
このような機器が信頼性及び有用性に関して特別な要求が求められる場合には,過電圧カテゴリIII
を適用する。
− 過電圧カテゴリIの機器は,過渡過電圧を適切な低レベルに制限するための処置が講じられている回
路に接続される機器である。これらの方法によって,発生する可能性のある短時間過電圧のピーク値
を,表F.1の関連する定格インパルス電圧を超えないレベルに適切に制限する。
注記4 このような機器の例は,このレベルまで保護される電子回路をもつ機器である。ただし,
4.2.5の注記を参照する。
注記5 短時間過電圧を考慮して回路が設計されていない場合,過電圧カテゴリIの機器を低圧系
統電源に直接接続できない。
4.3.3.2.3 低圧系統電源から直接給電されない系統及び機器
製品規格は,過電圧カテゴリ又は定格インパルス電圧を規定することが望ましい。4.2.3の数値を適用す
ることが望ましい。
注記 通信系統,産業用制御系統,又は車両における独立した系統がこのような系統の例である。
4.3.3.3 機器に適用する定格インパルス電圧の選択
機器の定格インパルス電圧は,規定された過電圧カテゴリ及び機器の定格電圧に該当する表F.1から選
択しなければならない。
注記1 特殊な定格インパルス電圧をもつ機器及び二つ以上の定格電圧をもつ機器は,異なる過電圧
カテゴリで使用してもよい。
注記2 開閉過電圧についての考察には,4.3.3.5を参照。
4.3.3.4 機器内のインパルス電圧絶縁協調
4.3.3.4.1 外来の過渡過電圧によって著しく影響を受ける機器内の部分又は回路
外来の過渡過電圧によって著しく影響を受ける機器内の部分又は回路には,機器の定格インパルス電圧
を適用する。機器の動作によって発生し得る過渡過電圧は,4.3.3.5の規定値を超えて外部の回路状態に影
響を与えてはならない。
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4.3.3.4.2 過渡過電圧に対して特別に保護される機器内の部分又は回路
外部の過渡過電圧の影響を著しく受けない部分の場合は,基礎絶縁に要求するインパルス耐電圧は,そ
の機器の定格インパルス電圧に関係なく,その部分又は回路の実際の状態に合った値とする。ただし,4.2.3
のインパルス電圧の数値の適用を標準値として使うことを推奨する。その他の場合は表F.2の値の内挿値
を使うことができる。
4.3.3.5 機器から発生する開閉過電圧
例えば,スイッチ装置のような機器の端子で過電圧を発生する機器の場合には,定格インパルス電圧は,
機器をその規格及び製造業者の指示に従って使用するとき,この値を超える過電圧を発生することがない
ことを意味する。
注記1 回路の状態によっては,この定格インパルス電圧を超える電圧が発生し得る危険がある。
特定の定格インパルス電圧又は過電圧カテゴリのスイッチ装置が,それより低い過電圧カテゴリの過電
圧値より高い過電圧を発生しない場合は,その装置は,二つの定格インパルス電圧又は二つの過電圧カテ
ゴリをもつ。すなわち,その高い方の電圧はインパルス耐電圧を示し,低い方の電圧は発生する過電圧を
示す。
注記2 定格インパルス電圧値は,その値までの系統中の過電圧値に有効となることを意味し,また,
結果としてその機器が,より低い過電圧カテゴリには不適切である可能性があることを,又
はより低いカテゴリに対しては適切な抑制手段が必要となることがあることを意味する。
4.3.3.6 インタフェース要求事項
機器は,適切な過電圧の低減が行われる場合は,より高い過電圧カテゴリの条件下で使用することがで
きる。過電圧の減衰は,次の方法で達成することができる。
− 過電圧保護装置
− 絶縁変圧器
− 多くの分岐回路(サージエネルギーを分路することができる。)をもつ配電系統
− サージエネルギーを吸収することができるキャパシタンス
− サージエネルギーを消散させることができる抵抗又は同種の減衰装置
注記 設備内又は機器内の任意の過電圧保護装置が,より高い制限電圧をもつ設備の引込口に設置す
るいずれの過電圧保護装置より,多くのエネルギーを減衰することになってもよいという事実
に注意する。これは,特に最低の制限電圧をもつ過電圧保護装置に当てはまる。
4.3.4 反復ピーク電圧の決定
電圧の波形は,適切な帯域幅をもつオシロスコープによって測定する。その波形から,図1に従ってピ
ーク振幅を決定する。
――――― [JIS C 60664-1 pdf 14] ―――――
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図1−反復ピーク電圧
4.3.5 短時間過電圧の決定
4.3.5.1 一般事項
配電系統内の故障による最も過酷な短時間過電圧に関する状態は,JIS C 60364-4-44に示す。
注記 JIS C 60364-4-44は,高電圧系統と,低電圧系統に給電する変圧器の接地との間に故障が発生
したときの,人及び低電圧系統内機器の安全性について規定している。
4.3.5.2 故障電圧
高圧系統における地絡故障において生じる故障電圧又は接触電圧の大きさ及び持続時間に関しては,JIS
C 60364-4-44の図44Aに示す。
4.3.5.3 短時間過電圧ストレス
高圧系統における地絡故障によって起こる低圧機器での短時間過電圧の大きさ及び持続時間は,5.3.3.2.3
に示す。
4.4 周波数
この規格は30 kHz以下の周波数に対して適用する。
注記 30 kHzを超える周波数に対する規定値の決定は,JIS C 60664-4で規定している。
4.5 電圧ストレスの加わる時間
沿面距離に関しては,電圧ストレスの加わる時間は,トラッキングを伴うほど十分に高いエネルギーで
もって表面シンチレーションを発生させることができる乾燥状態の発生回数に影響を与える。このような
乾燥状態の発生回数は,次においてトラッキングを発生させるのに十分と考えられる。
− 連続使用を意図するが,絶縁表面を乾燥状態に保つような程度の熱を発生しない機器。
− 長期間にわたって結露を受けやすく,その期間中に“オン”と“オフ”とが頻繁に切り替えられる機
器。
− スイッチング装置の入力側,及び低圧系統電源に直接接続されるスイッチング装置のラインと負荷端
子との間。
表F.4で示す沿面距離は,長時間電圧ストレスが加わるように意図された絶縁に対して決められたもの
である。
注記 短時間しか電圧ストレスの加わらないような絶縁をもつ機器に対する製品規格は,例えば表F.4
に定めた段階の電圧よりも低い電圧に該当する沿面距離を機能絶縁に許容することを考慮して
もよい。
――――― [JIS C 60664-1 pdf 15] ―――――
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