この規格ページの目次
9
C 61000-4-7 : 2007 (IEC 61000-4-7 : 2002)
エミッション規格に従って,計器の一連の処理部で,加工されていないデータの平滑化及び重み付けの
ような実測値に対する追加作業を行う。
複数の出力値を,一つの対応する値(基本波値,宣言値又は公称値)に関連付けなければならない場合,
この処理は,必ず追加の平滑化工程の後に行う。
5 高調波の測定
5.1 電流入力回路
入力回路は,解析対象の電流に適したものとし,高調波電流を直接測定できなければならない。さらに,
この入力回路には,外部シャント抵抗(又はシャント抵抗付き変流器)を備える低電圧高インピーダンス
電圧特性をもつことが望ましい。適切な入力感度は,0.1 V10 Vの範囲であり,5.3の要件に従った0.1 V
単位の値とする。
注記 直接電流測定は,次の公称入力電流(実効値)の測定範囲を備えることが望ましい。
Inom : 0.1 A,0.2 A,0.5 A,1 A,2 A,5 A,10 A,20 A,50 A,100 A。
入力回路の損失電力は,クラスII計装の場合で3 VAを超えてはならない。クラスI計装の場合は,電
圧降下が0.15 Vを超えてはならない。
いずれの電流入力回路も,公称入力の1.2倍の過電流が連続して加わっても問題がなく,更に10倍の過
電流を1秒間加えても損傷してはならない。
測定器は,実効値5 A以下の測定範囲では波高率4以下,実効値10 A以下の測定範囲では波高率3.5以
下,それ以上の測定範囲では波高率2.5以下の入力信号を許容しなければならない。
測定器は,過負荷表示を備えなければならない。
精度要求全般は,表1による。
その他の要件は,箇条8を参照。
注記 直流成分は,測定する電流ひずみと関連することが多い。直流成分は,入力用変成器の大きな
誤差要因となり得る。製造業者は,直流成分による誤差が表示精度を超えないよう,計器仕様
に直流成分の最大許容量を記載することが望ましい。
5.2 電圧入力回路
入力回路は,解析対象の最大電源電圧及び周波数に適し,最大電圧の1.2倍までは,特性及び精度を維
持しなければならない。波高率は,通常,1.5以上で十分とする。ただし,電圧ひずみ率の大きい工業地帯
では,2以上が必要になることもある。いずれの場合も,過負荷表示を備えなければならない。
入力電圧の4倍又は実効値1 kVのいずれか小さい方の交流電圧を1秒間印加したとき,計器が損傷して
はならない。
地域によって60 Vから690 Vまで多くの公称電源電圧があるが,測定器の一般的な使用が可能なように,
入力電圧は,次のいずれかの公称電圧で設計することが望ましい。
Unom : 50 Hzシステムの場合,66 V,115 V,230 V,400 V,690 V
Unom : 60 Hzシステムの場合,69 V,120 V,240 V,277 V,347 V,480 V,600 V
注記1 外部電圧変成器を用いて,測定範囲を追加してもよい(100 V, 100 3V , 110 3V )。
注記2 高感度入力 (0.1 V,1 V,10 V) は,外付けセンサ使用時に有用である。このとき,入力回路
は,波高率2以上の入力に対応することが望ましい。
入力回路の電力消費は,230 V時で0.5 VAを超えてはならない。高感度入力(50 V以下)を備えている
場合,入力抵抗は,10 k 圀一噎 上とする。
――――― [JIS C 61000-4-7 pdf 11] ―――――
10
C 61000-4-7 : 2007 (IEC 61000-4-7 : 2002)
基本波の電圧が測定対象電圧と比較して高い場合にも,過負荷による損傷又は機器の入力段における信
号の干渉が生じないよう注意することが望ましい。これによって発生する誤差は,表示精度以下とし,過
負荷表示を備えなければならない。
5.3 要求精度
高調波成分測定装置には,二つのクラスがある。表1に示す最大許容誤差は,製造業者が指定する動作
環境(温度範囲,湿度範囲,測定器電源電圧など)での,動作周波数範囲内の単一周波数及び定常状態信号
の場合だけを示す。
注記 JIS C 61000-3-2の規定に従って機器を試験する場合,誤差は,許容限度の5 %,又はEUTの定
格電流 (Ir) の0.15 %の大きい方による。計装の適切な入力レンジを選択するときには,このこ
とに注意することが望ましい。
表1−電流,電圧及び電力測定に要求される精度
クラス 測定 条件 最大許容誤差
I 電圧 Um≧1 % Unom ±5 % Um
Um< 1 % Unom ±0.05 % Unom
電流 Im≧3 % Inom ±5 % Im
Im< 3 % Inom ±0.15 % Inom
電力 Pm≧150 W ±1 % Pnom
Pm< 150 W ±1.5 W
II 電圧 Um≧3 % Unom ±5 % Um
Um< 3 % Unom ±0.15 % Unom
電流 Im≧10 % Inom ±5 % Im
Im< 10 % Inom ±0.5 % Inom
Inom : 測定器の公称電流
Unom : 測定器の公称電圧
Um及びIm : 測定値
注記1 規格を遵守していることの検証,疑義が生じた場合の測定など,高精度な測定が必要な場合には,クラスI
の測定器が望ましい。クラスIに準拠する任意の二つの測定器で同一の信号を測定した場合には,規定誤差
の範囲内で結果が一致(又は過負荷表示出力)しなければならない。
注記2 エミッション測定には,クラスIの測定器が,一般的な検査には,クラスIIが望ましい。ただし,測定値が
許容限度値の90 %以下の場合など,許容限度値を超えないことが明らかで測定精度が問題にならない場合
は,クラスIIをエミッション測定に用いることができる。
注記3 さらに,クラスIの測定器では,個々のチャネル間の位相差は,n×1°以下であることが望ましい。
測定器の測定範囲外の周波数成分は,測定結果に影響を与えないように減衰させる。確実に減衰できる
ように,測定器の入力サンプリングは,測定範囲より極めて高い周波数としてもよい。例えば,解析対象
信号には25 kHzを超える成分が含まれていても,2 kHzまでの成分だけを考慮する。アンチエイリアシン
グフィルタは,測定範囲の上側で3 dBの減衰,阻止帯域で50 dBを超える減衰が得られるものが望ましい。
注記 例えば,第5次のバターワースフィルタでは,減衰量3 dBの周波数の約3倍の周波数で,50 dB
の減衰が得られる。
5 Aを超える第15次より高次の周波数をできるだけ誤差なく測定する必要がある場合は,外部シャント
又は測定装置の公称入力範囲に変換する電流センサを用いることが望ましい。
高調波の測定だけを目的とする計装の場合,精度要求は,高調波成分にだけ適用する。
――――― [JIS C 61000-4-7 pdf 12] ―――――
11
C 61000-4-7 : 2007 (IEC 61000-4-7 : 2002)
表1の精度を得るため,製造業者によって明示された方法で,内部又は外部の校正器を用いた簡単な計
器の校正を必要とすることもある。内部校正器の場合は,その校正器の誤差も指定する。
製造業者は,計装自体,及び内部校正器を備えている場合は,それについても,最も影響の大きい要因
(温度,主電源電圧など)による誤差を表示する。
5.4 エミッション評価のための測定システム
測定システムは,図2及び図3による。
US 電源電圧(電圧線−中性線)
L U EUT端子電圧
電 ZL ZL,N 配線及び電流検出部のインピーダンス
E
US U U EUT 供試機器
源 ZN T
ZLからZNにわたる電圧降下 ( 一
N
仰
L 電圧線
N 中性線
図2−単相エミッション測定のための測定システム
US 電源電圧(電圧線−中性線)
L3
ZL U EUT端子電圧
電
L2 E ZL,N 配線及び電流検出部のインピーダンス
ZL
U
T EUT 供試機器
L1
ZL ZLからZNにわたる電圧降下 ( 一 続
源
US U の場合は, 2
ZN L13 電圧線
N
一 N 中性線
図3−三相エミッション測定のための測定システム
測定が行われている間,EUTの端子での試験電圧Uは,次の要求事項を満足しなければならない。
a) 試験電圧は,長期的に選択値の±2 %以内に維持しなければならない。また,周波数は,選択値の±
0.5 %以内に維持しなければならない。EUTの電源電圧が範囲で指定されている場合,試験電圧は,
機器に供給されることが想定される電力系統の公称電圧(例えば,電圧線−中性線230 V,電圧線−
電圧線400 Vに対応)に一致させる。三相3線接続については,中性線が電源から配線できない場合,
1 %以内に整合した三つの抵抗器で実現させた擬似中性点を用いる。擬似中性点は,電圧線−電圧線
と同様に電圧線−中性線構成でも電圧及び相当たり電力の測定を可能にする。測定器の電圧計測部及
び擬似中性点ネットワークの影響によって,エミッション試験の間にEUT電流測定に発生する誤差は,
0.05 %を超えてはならない。
注記 多くの場合,擬似中性点は,必要ない。ただし,必要な場合には,幾つかの方法を用いる。
測定装置における各電圧計の三つの入力インピーダンスから得てもよい。又は,擬似中性点
は,測定装置における各電圧計の入力インピーダンス,及び用いるネットワークの結合で実
質的に構成することもできる。擬似中性点ネットワークが存在する場合には,電圧計の入力
インピーダンスが電流測定に誤差を発生させないように接続することもできる(電流トラン
スデューサの電源側の負荷になるため。)。さらに,このほかの場合では,擬似中性点ネット
――――― [JIS C 61000-4-7 pdf 13] ―――――
12
C 61000-4-7 : 2007 (IEC 61000-4-7 : 2002)
ワークの影響,及び測定装置中の各電圧計の入力インピーダンスによって生じる誤差は,電
源中のフィードバックループを調整することによって十分に補正される。その結果,可能性
のある誤差は,実際に生じることはない。要求される誤差を超えない場合,その他の多くの
構成でも満足できる。
b) 三相電源の場合は,三つの線間電圧は,0°,120°±1.5°及び240°±1.5°の位相関係とする。
c) UT試験電圧Uの電圧高調波ひずみは,EUTを規定する試験条件で接続し,動作する状態で次の値
を超えてはならない。
− 第3次高調波に対して0.9 %
− 第5次高調波に対して0.4 %
− 第7次高調波に対して0.3 %
− 第9次高調波に対して0.2 %
− 第2次から第10次までの偶数高調波に対して0.2 %
− 第11次から第40次までの高調波に対して0.1 %
d) 試験電圧のピーク値は,実効値の1.401.42倍の範囲内とし,ゼロクロスの後,87°93°に到達し
なければならない。
e) 電流検出部及び配線のインピーダンスによる電圧降下 0.5 Vのピーク電圧を超えてはならない。
機器の電力は,必要な場合,図2又は図3のEUT端子電圧U,及びEUTへの電流を用いて測定する。
電流検出部を含む電源については,機器の電力は,電源出力端子の電圧,及びEUTへの電流を用いて測定
する。この場合,電圧は,電源がその出力端子で調整されるという仮定で,電流検出部のEUT側で測定す
る。
5.5 高調波エミッションの評価
次は,図1の後処理部と関係する。
5.5.1 グループ化及び平滑化
高調波の評価については,DFTの出力(出力端子1,図1参照)が式 (8) によって隣接した二つの高調
波間のスペクトルの2乗の合計として最初にグループ化し,図4のように図示できる。結果的に,第n次
(塗りつぶしたエリアの中心に対応)の高調波グループは,振幅Gg,n(実効値)をもつ。
Ck2 5 4
Ck2 5
G,g2 n Ck2 i (50 Hzシステム)
2 i 4 2
(pdf 一覧ページ番号 )
2 Ck2 6 5
2 Ck2 6
G ,gn C k i (60 Hz システム)
2 i 5 2
式 (8) において,Ck+iは,DFTの出力であるスペクトル成分の実効値で,Gg,nは,高調波グループの実
効値となる。
高調波 次数間高調波
グループ グループ
n+2 n+4
C
DFT出力
高調波次数 n n+1 n+2 n+3 n+4 n+5 n+6
――――― [JIS C 61000-4-7 pdf 14] ―――――
13
C 61000-4-7 : 2007 (IEC 61000-4-7 : 2002)
図4−高調波及び次数間高調波グループ(50 Hzシステム用を示す)
注記 定義を明確にするためだけに,次数間高調波のグループ化を図4に示す(次数間高調波電流の
評価に関しては,附属書Aを参照。)。
信号の平滑化は,各高調波次数の実効値Gg,nに対して,式 (8)(図1の出力端子2a)に従って実行し,
図5に示すように1.5秒の時定数を備えた第1次ローパスフィルタのデジタル等価回路を用いる。z-1は,
タイムウィンドウ遅れを示す。
1
加算
入力 出力
z 1
図5−デジタルローパスフィルタの実現
基本波成分G1(例えば,JIS C 61000-3-2のクラスC及びひずみ率を求めるために必要)については,
出力端子1からの実効値G1に同じ平滑化を行う。
有効電力P及び力率(例えば,JIS C 61000-3-2のクラスC及びDに必要)については,出力端子1か
らの有効電力値の絶対値を同じように平滑化を行う。
注記 絶対値をとるのは,回生システムにも適用するためである。
高調波電圧の調査に対応するためには,異なったタイプの平滑化を用意することが望ましい。その出力
は,式 (8) を用いて15の隣接したタイムウィンドウ上の平均値成分から得られ,タイムウィンドウごと
(約200 ms)又は15のタイムウィンドウごと(約3 s)のいずれかで更新する。
5.5.2 エミッション限度値への適合性
エミッション限度値への適合性評価は,JIS C 61000-3-2のような,対応する規格の中で規定する条件に
沿って,出力端子2bからのデータを統計処理することによって行う。
エミッション限度値がTHD以外の3.3によるひずみ率を含んでいる場合,これらのひずみ率は,出力端
子2aの値を用いて計算する。
5.6 電圧高調波サブグループの評価
フーリエ解析は,信号が定常であると仮定している。ただし,電力システムの電圧の大きさは変動し,
高調波成分のエネルギーが隣接する次数間高調波周波数へ分散する可能性がある。電圧の評価精度を向上
させるために,DFTの5 Hzごとの出力成分Ckを式 (9) 及び図6に従ってグループ化しなければならない。
1
Gsg2 ,n Ck2 i (9)
i 1
――――― [JIS C 61000-4-7 pdf 15] ―――――
次のページ PDF 16
JIS C 61000-4-7:2007の引用国際規格 ISO 一覧
- IEC 61000-4-7:2002(IDT)
JIS C 61000-4-7:2007の国際規格 ICS 分類一覧
- 33 : 電気通信工学.オーディオ及びビデオ工学 > 33.100 : 電磁両立性(EMC) > 33.100.20 : イミュニティ
- 33 : 電気通信工学.オーディオ及びビデオ工学 > 33.100 : 電磁両立性(EMC) > 33.100.10 : エミッション
JIS C 61000-4-7:2007の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISC60050-161:1997
- EMCに関するIEV用語
- JISC61000-3-2:2019
- 電磁両立性―第3-2部:限度値―高調波電流発生限度値(1相当たりの入力電流が20A以下の機器)