この規格ページの目次
9
C 61215-2 : 2020
a) IS C 61215-1に規定されている著しい目視欠陥があってはならない。
b) 湿潤漏れ電流が,初期測定の場合と同じ要求事項を満足しなければならない。
4.9 ホットスポット耐久試験(MQT 09)
4.9.1 目的
ホットスポットの加熱効果,例えば,はんだの溶融,封止材の劣化などに対するPVモジュールの耐久
性を決定する。このような欠陥は,不良セル,ミスマッチセル,遮光又は汚染によって引き起こされる可
能性がある。絶対温度と相対出力損失はこの試験の合否判定基準ではないが,ホットスポットの最も過酷
な条件における設計の安全性が確保されていることの確認に使用する。
4.9.2 ホットスポット効果
ホットスポット加熱がPVモジュール内に発生するのは,その動作電流が,遮光セル(群)又は不良セ
ル(群)の減少した短絡電流(Isc)を上回る場合である。そのような状態になると,問題のあるセル(群)
は強制的に逆バイアスとなり,電力を消費し,それによって過熱を引き起こす可能性がある。
電力消費が十分に高いか,又は位置が十分限定されている場合は,逆バイアスセル(群)が過熱し,用
いている技術に応じて,次の事象につながる可能性がある。
− はんだの溶融
− 封止材,フロントシート及び/又はバックシートの劣化
− スーパストレート,サブストレート及び/又はカバーガラスの割れ
バイパスダイオードを正しく使用することによって,ホットスポットに伴う損傷を防ぐことができる。
太陽電池セルの逆方向特性は,大幅に変化する可能性があり,電圧制限する高シャント抵抗セル,又は
電流制限する低シャント抵抗セルのいずれかに分類される。これらの各タイプのセルは,いずれもホット
スポット問題の影響を受けるが,その内容は異なる。
シャント抵抗の低いセルの場合 :
− セル全体(又は大部分が)遮光するときに最悪の遮光状態が生じる。
− シャント抵抗の低いセルは,局所的なシャントによってしばしばこのような状態になる。この場合,
狭いエリアに大きな電流が流れることに起因してホットスポット加熱が起こる。これは局所的な現象
であるため,このタイプのセルの性能には大きなばらつきがある。最もシャント抵抗の低いセルは,
逆バイアス時に極高温で動作する可能性が高い。
− 加熱が局所的であるため,最もシャント抵抗の低いセルでは,ホットスポット不良が短時間で発生す
る。
重要な技術的課題となるのは,最もシャント抵抗の低いセルを特定する方法と,次にそれらのセルに関
する最悪の遮光状況を決定する方法である。このプロセスはセル技術に依存しているので,JIS C 61215-1-1
JIS C 61215-1-4(以下,技術別サブパートという。)に規定する。
シャント抵抗の高いセルの場合 :
− セルが部分的に遮光されているときに最悪の遮光状態が生じる。
− 接合破壊及び高温は,むしろゆっくり発生する。最悪のホットスポット加熱を作り出すため,遮光を
暫時所定位置に留める必要がある。
4.9.3 セル間接続の分類
ケースS : 全セルを単一ストリング内に直列接続。図1参照。
――――― [JIS C 61215-2 pdf 11] ―――――
10
C 61215-2 : 2020
図1−ケースS : オプショナルバイパスダイオードのある直列接続
ケースPS : 並直列接続,すなわち,(S)個のブロックの直列接続で,各ブロックが任意の数(P)個の
並列接続からなる。図2参照。
図2−ケースPS : オプショナルバイパスダイオードのある並直列接続
ケースSP : 直並列接続,すなわち,(P)個のブロックの並列接続で,各ブロックが任意の数(S)個の
直列接続からなる。図3参照。
――――― [JIS C 61215-2 pdf 12] ―――――
11
C 61215-2 : 2020
図3−ケースSP : オプショナルバイパスダイオードのある直並列接続
各構成について,個別のホットスポット試験手順が必要である。
4.9.4 試験装置
試験装置は,次による。
a) 光源 : 自然太陽光,又はJIS C 8904-9に適合し,放射照度800 W/m21 100 W/m2の,クラスB-B-B(又
はそれ以上)の定常光ソーラシミュレータ
b) VモジュールのI-V特性曲線トレーサ
c) 電流測定機器
d) 試験セルを遮光するための不透明カバー
e) Vモジュール温度を測定及び記録するための適切な温度検出器(赤外線カメラが望ましい。)
f) 放射照度レベル,放射量及び周辺温度の記録機器
ホットスポット加熱に対して最も敏感なセルを選択するための任意選択として,JIS C 8904-9に適合し
た放射照度800 W/m21 100 W/m2のクラスB-B-B以上のパルス光シミュレータをI-V特性を測定するため
に使用できる。
4.9.5 手順
4.9.5.1 一般
太陽電池セル技術及び製造工程に応じて,異なる二つの手順がある。MQT 09.1は,主として標準的な結
晶シリコンのようなウェーハベース技術に適用する。最も一般的なモノリシック集積薄膜技術(CdTe,CIS
系,a-Si,a-Si/uc-Si)には,MQT 09.2を適用する。
4.9.5.2 ウェーハベース技術(WBT)のための手順(MQT 09.1)
バイパスダイオードが取外し可能な場合,局所的なシャントのあるセルをセルストリングを逆バイアス
し,赤外線カメラを用いてホットスポットを観測することによって特定する。PVモジュール回路にアク
セス可能な場合は,遮光されているセルを通る電流を直接監視できる。試験するPVモジュールが取外し
可能なダイオード又はアクセス可能な電気回路を備えていない場合は,次の非接触法を利用できる。
選択する手法は,PVモジュール内の各セルを順次遮光して各セルのI-V曲線をとることに基づいている。
――――― [JIS C 61215-2 pdf 13] ―――――
12
C 61215-2 : 2020
図4に,供試体について取られた一連のI-V曲線を示す。シャント抵抗が最も低いセルが遮光される場合
は,ダイオードがオンになるポイントで漏れ電流が最高値になる曲線が取られる。シャント抵抗が最も高
いセルが遮光される場合は,ダイオードがオンになるポイントで漏れ電流が最低値になる曲線が取られる。
一つのセルを全面遮光した
非遮光PVモジュールのI-V特性
PVモジュールの特性
モジュール電流(A)
バイパスダイオードが
オンになる
漏れ電流が最も高い
セル
モジュール電圧(V)
図4−異なるセルを全面遮光したPVモジュールのI-V特性
次の手順を用いて,ホットスポットの影響を受けやすいセルを特定する。
a) 非遮光PVモジュールを放射源800 W/m21 000 W/m2に暴露する。これは,次のように実行できる。
− パルス光ソーラシミュレータ。この場合,PVモジュール温度は室温(25±5) ℃に近くなる。
− 定常光ソーラシミュレータ。この場合,測定前のPVモジュール温度を±5 ℃の範囲内で安定させ
なければならない。
− 自然太陽光。この場合,測定前のPVモジュール温度を±5 ℃の範囲内で安定させなければならな
い。
温度が安定化した後,PVモジュールのI-V特性を測定し,最大出力動作電流IMP1(初期特性PMP1)
を決定する。
b) 各セルを順次完全に遮光してI-V特性を測定し,図4のような一連の曲線を作成する。
注記 ケースSPでは,全面照射されているパラレルサブセクションのI-V曲線に変形したPVモジ
ュールI-V曲線が加わるため変形は,Vocから開始しない。
c) シャント抵抗が最も低いセル,すなわち,漏れ電流が最も高いエッジに隣接するセルを選択する。
d) [c)のセルに加えて]シャント抵抗が最も低いセル,すなわち,漏れ電流が最も高いセルを二つ選択
する。
e) 最も高いシャント抵抗をもつセルを選択する。
f) セル試験手順 選択された各セルについて,次のいずれかの方法によって,最悪の遮光状態を決定す
る。
1) セル回路がアクセス可能な場合は,PVモジュールを短絡させて電流測定機器を取り付ける。試験対
象のセルストリングを通る電流だけ表示するようにする。PVモジュールを定常状態の放射照度800
W/m21 000 W/m2に暴露する。各試験セルを遮光し,遮光セルを通る電流をa)で決定する非遮光時
――――― [JIS C 61215-2 pdf 14] ―――――
13
C 61215-2 : 2020
のIMP1と等しくする遮光レベルを決定する。これがそのセルの最悪の遮光状態である。
2) セル回路へのアクセスができない場合は,図5に示すような異なるレベルで遮光された各試験セル
について一連のI-V曲線をとる。遮光されたセル(バイパスダイオードがオンになるポイント)に
電流が流れるとき発生し,図5の曲線c)と同様に,a)で決定したIMP1と一致する,最悪の遮光状態
を決定する。
3) 選択された各試験セルを順次に100 %遮光し,セル温度を測定する。遮光を10 %減らす。温度が下
がる場合は,100 %遮光が最悪の状態を引き起こすことになる。温度が上昇するか又は同じ温度を
維持する場合は,温度が下がるまで10 %ずつ遮光を減らす。温度が下がった場合は,一つ前の遮光
レベルを最悪ケースの遮光として採用する。
4) ケースSPでは,選択したセルを全面遮光するときにバイパスダイオードがオンにならない場合,
セルの全面遮光が最悪のホットスポット状態である。選択したセルを全面遮光するときにバイパス
ダイオードがオンする場合は,2)又は3)に示す手順を用いて最悪のホットスポット状態を決定する。
5) )で選択したセルを選択する。100 %遮光されたら,赤外線カメラを用いてセル上の最も高温のスポ
ットを決定する。1)から4)までで決定された最悪の状態にセルを遮光する。PVモジュールを短絡さ
せる。可能ならば,この最も高温のスポットが照射エリア内にあることを確認する。
g) )で決定された最悪の状態に各セルを遮光する。
h) Vモジュールを短絡させる。PVモジュールを(1 000±100) /m2に暴露する。この試験は,PVモジ
ュール温度を(50±10) ℃の範囲にして行わなければならない。
i) f)で決定された最悪の遮光状態を,選択した各セルについて1時間維持する。遮光されたセルの温度
が1時間後も依然として上昇している場合は,合計5時間まで暴露を継続する。
試験セルを
非遮光PVモジュールのI-V特性 a) 100 %遮光又は
b) 75 %遮光
c) 最大出力消費まで遮光したPVモジュールのI-V特性
モジュール電流(A)
モジュール電圧(V)
図5−試験セルを異なるレベルで遮光したPVモジュールのI-V特性
――――― [JIS C 61215-2 pdf 15] ―――――
次のページ PDF 16
JIS C 61215-2:2020の引用国際規格 ISO 一覧
- IEC 61215-2:2016(MOD)
JIS C 61215-2:2020の国際規格 ICS 分類一覧
- 29 : 電気工学 > 29.220 : 電池及び蓄電池 > 29.220.99 : その他の電池及び蓄電池
- 27 : エネルギー及び熱伝達工学 > 27.160 : 太陽エネルギー工学
JIS C 61215-2:2020の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISC60068-1:2016
- 環境試験方法―電気・電子―第1部:通則及び指針
- JISC60068-2-21:2009
- 環境試験方法―電気・電子―第2-21部:試験―試験U:端子強度試験方法
- JISC60068-2-78:2015
- 環境試験方法―電気・電子―第2-78部:高温高湿(定常)試験方法(試験記号:Cab)
- JISC60721-2-1:2018
- 環境条件の分類―第2-1部:自然環境の条件―温度及び湿度
- JISC60891:2019
- 太陽電池デバイス―I-V特性測定における温度及び照度補正法
- JISC61215-1:2020
- 地上設置の太陽電池(PV)モジュール―設計適格性確認及び型式認証―第1部:試験要求事項
- JISC61215-1-1:2020
- 地上設置の太陽電池(PV)モジュール―設計適格性確認及び型式認証―第1-1部:結晶シリコン太陽電池(PV)モジュールの試験に関する特別要求事項
- JISC61215-1-2:2020
- 地上設置の太陽電池(PV)モジュール―設計適格性確認及び型式認証―第1-2部:薄膜テルル化カドミウム(CdTe)太陽電池(PV)モジュールの試験に関する特別要求事項
- JISC61215-1-3:2020
- 地上設置の太陽電池(PV)モジュール―設計適格性確認及び型式認証―第1-3部:薄膜非晶質系シリコン太陽電池(PV)モジュールの試験に関する特別要求事項
- JISC61215-1-4:2020
- 地上設置の太陽電池(PV)モジュール―設計適格性確認及び型式認証―第1-4部:薄膜CIS系太陽電池(PV)モジュールの試験に関する特別要求事項
- JISC62790:2020
- 太陽電池(PV)モジュール用端子箱―安全性要求事項及び試験
- JISC8904-1:2019
- 太陽電池デバイス―第1部:I-V特性の測定
- JISC8904-10:2017
- 太陽電池デバイス―第10部:線形性の測定方法
- JISC8904-2:2011
- 太陽電池デバイス―第2部:基準太陽電池デバイスに対する要求事項
- JISC8904-3:2011
- 太陽電池デバイス―第3部:基準太陽光の分光放射照度分布による太陽電池測定原則
- JISC8904-7:2011
- 太陽電池デバイス―第7部:太陽電池測定でのスペクトルミスマッチ補正の計算方法
- JISC8904-8:2019
- 太陽電池デバイス―第8部:太陽電池デバイスの分光感度特性測定方法
- JISC8904-9:2017
- 太陽電池デバイス―第9部:ソーラシミュレータの性能要求事項
- JISC8960:2012
- 太陽光発電用語