JIS C 61280-2-3:2013 光ファイバ通信サブシステム試験方法―第2-3部:ジッタ及びワンダ測定 | ページ 2

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C 61280-2-3 : 2013 (IEC 61280-2-3 : 2009)
続時間が長い場合,立ち上がりエッジは,立ち下がりエッジと比べ,理想的な時間位置より早くなる。
3.12
データ依存性ジッタ(data dependent jitter)
周期性データパターンの特定のビットに関連するジッタ。このジッタは,データパターンが繰り返され
るとき,データエッジに繰り返し現れ,デューティサイクルひずみ及び/又は符号間干渉によって生じる。
3.13
待機時間ジッタ(waiting time jitter)
非同期の多重化方式で発生し,スタッフ同期の要求とその実行との間の遅延が変動することによって生
じるジッタ。
3.14
ジッタ耐力(jitter tolerance)
ジッタ付加によって特定のペナルティ又は特定の誤りを起こさずに受信できる最大ジッタ振幅値。最大
ジッタ耐力振幅は,ジッタ周波数に依存する。
3.15
ジッタ発生(jitter generation)
データ信号にジッタ障害が付加される過程。
3.16
入力ジッタ(input jitter)
ハイアラーキインタフェース又は装置若しくはデバイスの入力端子に発生するジッタ。
3.17
出力ジッタ(output jitter)
ハイアラーキインタフェース又は装置若しくはデバイスの出力端子に発生するジッタ。
3.18
ジッタ伝達(jitter transfer)
装置又はデバイスの入力から出力に伝達されるジッタ量。ジッタ伝達は,通常,入力ジッタに対する出
力ジッタの比率をデシベル(dB)で表す。
3.19
トータルジッタ(total jitter)
確定ジッタとランダムジッタとの合計。トータルジッタは,ピーク値で表す。
注記 確定ジッタは,データ又はクロックに依存して受信信号の波形タイミングが変化するジッタ。
このジッタは,アライメントジッタ,タイミングジッタ,システマティックジッタ,周期性無
相関ジッタ,符号間干渉ジッタ,デューティサイクルひずみ,データ依存性ジッタ,待機時間
ジッタなどの総称である。
ランダムジッタは,不規則なジッタ。このジッタは,デバイスが本来もっている特性,熱雑
音などが影響して,自然誘発的に起こるジッタである。
3.20
ジッタバスタブ曲線(jitter bathtub curve)
ビット誤り率を,ビット誤り検出のサンプリングポイントの時間位置の関数として表示する曲線。この
曲線は,データエッジが単位間隔内での特定位置に誤って存在する確率を表す。

――――― [JIS C 61280-2-3 pdf 6] ―――――

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C 61280-2-3 : 2013 (IEC 61280-2-3 : 2009)
3.21
ワンダ(wander)
デジタル信号の理想的な位置からの長期的な非累積の時間変動。長期的な時間変動とは,繰返し周波数
が,10 Hz未満のジッタ成分をいう。ワンダ振幅は時間単位(s)で表すが,単位間隔(UI)で表す場合も
ある。
3.22
タイムインターバルエラー,TIE(time interval error)
被測定クロックと基準クロックとの間のそれぞれの時間間隔の測定の差。TIE(t;τ)は,式(1)によって表す。
t
TIE;( ) Tt T(t) Tref (t ) ref (t) (t ) (t) (1)
ここに, τ : 観測間隔
T(t) : 絶対時間のサンプル
Tref(t) : 絶対時間のサンプルの初期値
x(t) : 時間誤差のサンプル
3.23
最大タイムインターバルエラー,MTIE(maximum time interval error)
測定期間(T)における観測時間間隔(τ=nτ0)での理想的なタイミング信号と被測定タイミング信号と
の間の最大のピーク変動。MTIE(nτ0)は,式(2)によって表す。
0
MTIE(n ) max max xi min xi n=1,2,···,N−1 (2)
1≦k≦N n k≦i≦k n
k≦i≦k n
ここに, xi : 時間誤差のサンプル
N : サンプルの総数
τ0 : 時間誤差のサンプル間隔
n : 測定期間(T)中のサンプル間隔数
3.24
タイムデビエーション,TDEV,σx(time deviation)
積分時間(τ=nτ0)の関数として表され,信号に見込まれる時間変動の尺度。TDEVは,被測定信号の位
相(又は時間)ノイズのスペクトル成分の情報を含んでいる。TDEVは,時間単位(s)で表す。時間誤差
のサンプルのシーケンスに基づいて,TDEV(nτ0)は式(3)によって表す。
2
n j1
N 3n 1
1
TDEVn 0 xi 2n2xi n xi
2
6n (N 3n )1 j 1 i j
N
n ,2,1, M(ただし,Mは を超えない最大の整数とする。) (3)
3
ここに, xi : 時間誤差のサンプル
N : サンプルの総数
τ0 : 時間誤差のサンプル間隔
τ : TDEVの独立変数である積分時間
n : 積分時間τ中のサンプル間隔数
3.25
ビット誤り率,BER(bit error ratio)
総受信ビット数に対するエラービット数の比率。

――――― [JIS C 61280-2-3 pdf 7] ―――――

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C 61280-2-3 : 2013 (IEC 61280-2-3 : 2009)
3.26
エラー秒(errored second)
データストリームに1個以上のデジタルエラーを含む1 s当たりの総エラー時間。

4 一般事項

4.1 ジッタ発生

4.1.0A   一般
デジタル信号のジッタは,次に示す三つの基本プロセスによって発生する。ジッタ発生プロセスの数理
解析は複雑であるため,この規格の対象外とする。ジッタ発生プロセスの包括的解析及び初期の数理解析
は,参考文献[1]を参照する。
4.1.1 タイミングジッタ
タイミングジッタは,データタイミングクロックに起因するジッタ障害である。最も安定したタイミン
グ源でさえ,ある程度のジッタ又は意図していない位相変調若しくは位相ノイズを含んでいる。主要なタ
イミング発生器では,この障害は極めて小さいが,タイミング信号がシステムに分配されるときに増加す
る。デジタルシステムのタイミング信号へのノイズの影響を,図1に誇張して示す。
図1−ジッタ発生
4.1.2 アライメントジッタ
デジタルパターンがタイミング再生回路に伝えられると,デジタルパターンの連続的変化によって,再
生クロック信号に,入力データに関連したアライメントジッタが生じる。この影響は,初めて参考文献[2]
によって詳細に分析された,ジッタ発生の主原因である。これは,再生クロック信号のジッタ成分が,リ
タイミングされるときにデータに付加されるということを意味する。このプロセスで引き起こされたジッ
タの帯域幅は,使用しているクロック再生回路のアナログ帯域幅と同じである。
信号の再生のプロセスが同様の装置で繰り返されると,タイミングジッタ及びアライメントジッタによ
って,結果的にクロック信号のジッタ量が増加する。したがって,ジッタがデータ信号に付加されて,次
のタイミング再生時に増幅される。多くの中継器又はアドドロップ多重化装置をもつ伝送リンク内では,
このプロセスを繰り返すことによって,ジッタが増加する。タイミング再生の帯域幅が,信号のジッタ帯
域幅以上の場合は,ジッタは常に蓄積される。タイミング再生時のジッタの蓄積に関する解析は,参考文
献[3]によって初めて発表された。ジッタ増加を,式(4)によって示す。

――――― [JIS C 61280-2-3 pdf 8] ―――――

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C 61280-2-3 : 2013 (IEC 61280-2-3 : 2009)
k
n
1
n 0 j (4)
k 1 1 j
B
式(4)から,ジッタ電力密度スペクトルは,式(5)によって求める。
2
n
sin
n
2 2
nB ω<<Bのとき (5)
n 0
2B
ここに, θn : n段のタイミング再生プロセス後のジッタ振幅
θ0 : 各タイミング再生プロセスのジッタ振幅
n : タイミング再生プロセスの段数
ω : ジッタ成分の角周波数
B : タイミング再生回路の半分の角帯域幅
滿 n段のタイミング再生プロセス後のジッタ電力密度
各タイミング再生プロセスのジッタ電力密度
ジッタ振幅は,タイミング再生プロセスの接続数によって線形に増えるため,低い周波数の電力密度に
は注意するのが望ましい。
2地点間通信装置においては,入力データから送信タイミングを抽出しないので,アライメントジッタ
及びジッタ増加は,重要な問題ではない。
4.1.3 他の影響
デジタル信号の伝送過程では,雑音付加,分散効果などの劣化要因によって,信号からタイミングを再
生するときに,ジッタ成分が増える。デジタルリンク長を延ばすために,デジタル再生よりむしろ,アナ
ログ増幅器を使うときの方が,その影響は大きい。

4.2 信号品質へのジッタの影響

  規定のジッタ振幅及びジッタ周波数を許容できる装置の場合,ジッタはデータ伝送に影響を与えない
(4.3参照)。受信器の識別点がデータエッジに近い又は越えるようなジッタが大きい又は速い場合,誤り
が生じ,BERが劣化する。そのようなジッタは,デジタルリンク上の音楽,又はアナログサービスに,深
刻な影響をもたらす。ジッタの影響は,不要な周波数及び位相変調成分をもたらし,それが音楽で聞こえ
たり,テレビ映像に見えたりする。

4.3 ジッタ耐力

  情報通信システムにおいては,ジッタ耐力の要求事項は,特定の正弦波変調の振幅・周波数におけるジ
ッタテンプレートで規定する。ジッタテンプレートは,装置が誤り性能の劣化を起こさずに受け入れるこ
とができる最小ジッタ値を表す。実際のジッタ耐力とジッタテンプレートとの一般的な関係を,図2に示
す。
与えられた周波数において装置が実際に耐えられるジッタ振幅は,誤り性能の劣化を引き起こさない最
大振幅と定義する。誤り性能の劣化は,ビット誤り率ペナルティ法又はエラー発生法のいずれかの評価基
準に用いて示してもよい。二つの評価基準が用いられるのは,デジタル装置の入力のジッタ耐力が,主に
次の三つの要素によって決まるためである。
a) パルスひずみ,クロストーク,ノイズ及びその他の障害と一緒にジッタを含んだデータ信号から正確
にタイミングを再生する入力クロック再生能力。

――――― [JIS C 61280-2-3 pdf 9] ―――――

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C 61280-2-3 : 2013 (IEC 61280-2-3 : 2009)
b) ジッタ振幅を許容するための,例えば弾性メモリなどの入力バッファ回路の能力。
c) パルス調整能力及び非同期デジタル多重化装置の同期・非同期バッファサイズのような動的に変化す
る入力データ速度を許容する部品の能力。
図2−ジッタ耐力の例
データ通信システムにおいて,ジッタ耐力は,単純な正弦波より複雑な信号障害によって決まる。ジッ
タ耐力の評価とは,実際のシステムで発生する信号を加えたとき,受信器が要求されるBER性能を満たせ
るかどうかを確認することである。したがって,ジッタ耐力のテスト信号は,送信器と通信路との両方で
許容される障害を含むことになる。例えば,実際の送信器には,周期性ジッタ,ランダムジッタ及びデュ
ーティサイクルひずみがある場合がある。信号が通信路を通過するときに,通信路の帯域幅制限によって
更に劣化し,符号間干渉ジッタが加わる場合がある。受信器は,実際のシステムにおいて,そのような信
号を許容できなければならない。すなわち,受信器のジッタ耐力を確かめるために使用する信号は,これ
ら障害の全てを含まなければならない。この検査方法を,“ストレスアイ”試験と呼び,受信器に入力する
信号のアイパターンを意図的に劣化させる,又はストレスを与える。

4.4 待機時間ジッタ

  非同期信号を多重送信するとき,多重化装置のトリビュタリタイミングと入力デジタル信号との位相比
較に関係付けたスタッフ同期技術(パルススタッフィングとして知られている。)が用いられる。この技術
は,初期設定との差を検出したとき,多重フレーム構造のオーバヘッドを通して,制御信号を逆多重化装
置に対して送信する。制御信号に誤りがあっても確実に実行するために,この処理を3回又は5回繰り返
す。逆多重化装置では,制御信号を認識するために大きい値を取る。この処理によって,デマルチプレク
サで,スタッフ同期の要求とその実行との間で,不確定な状態及び変動する遅延が生じ,待機時間ジッタ
として現れる。

4.5 ワンダ

  伝送路の遅延の周期変化及びデータクロックのゆっくりとした周波数変化は,ワンダを引き起こす。最
も重要なワンダは,時間,日,月,季節などの遅い頻度で繰り返されるため,10 Hzというジッタとワン
ダとの間の境界は,少し不自然となる。一般的には,温度変化が,伝送媒体又は装置の遅延に影響して,

――――― [JIS C 61280-2-3 pdf 10] ―――――

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JIS C 61280-2-3:2013の引用国際規格 ISO 一覧

  • IEC 61280-2-3:2009(IDT)

JIS C 61280-2-3:2013の国際規格 ICS 分類一覧

JIS C 61280-2-3:2013の関連規格と引用規格一覧

規格番号
規格名称
JISC6802:2014
レーザ製品の安全基準