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C 61280-2-3 : 2013 (IEC 61280-2-3 : 2009)
タが小さく,装置の受信器で容易に許容できる場合にあてはまる。
被試験 誤り率
機器 検出器
クロック 可変
抽出 遅延器
図15−BERTスキャン法のための測定構成
10.3.3 測定手順
誤り率検出器のサンプリングポイントを,理想的な振幅及び時間位置に置き,データパターンに対して
整列した状態で,サンプリングポイントを単位間隔の半分だけ早い時間に調整する。有意の数の誤りを検
出し,ビット誤り率を決定して相対時間に対して記録する。アイの中心に向かって単位間隔の小さな割合
だけサンプリングポイントを増加し,次のビット誤り率及び時間位置のデータ組を記録する。各々の連続
する測定で,ビット誤り率は一般的には減少していく。ビット誤り率が小さすぎて測定できなくなるまで,
又は必要なビット誤り率のしきい値を得るまで(例えば,1E-12以下),手順を繰り返す。次にサンプリン
グポイントを理想的なサンプリング時間よりも単位間隔の半分だけ遅く設定する。ビット誤り率を決定し,
サンプリングポイントをアイの中心方向へ減少させていくことを除いて,上の手順を繰り返す。
試験時間を短縮するために,低いビット誤り率は,高いビット誤り率の測定値から外挿してもよい。
11 ジッタ分離手法の測定
11.1 一般事項
極端に低い確率の事象を捕捉するために信号性能を直接評価するには,非常に大きな測定母集団を伴い,
大変長い測定時間を伴う(箇条10参照)。ジッタは,様々な確率分布をもつ原因によって生じるため,時
間効率を上げるために少ないデータ数で推定を行うと,大きな測定誤差を生じる。ジッタ分離手法は,直
接測定するような長い時間をかけることなく,非常に低い確率の事象を含め,全ジッタの正確な評価を行
うことができる手法である。この手法の基本原理は,まず,高い確率のジッタ成分を直接測定し,そこか
ら低い確率のジッタ成分の分布を正確に見積もる。それらによって,集合体の分布を見積もり,ジッタの
広がりを必要とする確率まで予測して,様々な要素を使ったモデルを構成する。
ジッタ分離の現実的な手法としては,繰返しパターンをもつ試験信号を使う。パターンの各エッジの平
均位置を決定し,その期待される位置と比較する。これは,データ依存又は相関ジッタに相当する。パタ
ーンの何らかの特定のエッジを観察し,エッジ位置の分布を決定することで,無相関ジッタを得る。これ
は,データパターンの位置に無関係なランダムジッタ及び周期ジッタを含む。言い換えれば,このジッタ
は,パターンが繰り返されてエッジが何度も観察されるとき,いずれのエッジにも同様に現れる。周期的
な無相関ジッタは,有限の分布をもつ。すなわち,振幅には限度がある。真にランダムのジッタは,有限
ではない。それは,一般的に,システムの物理的な限界の範囲内で,無限に広がるガウス分布をもつ。し
たがって,その分布は,標準偏差によって正確に記載できる。
ランダムジッタの標準偏差を決定するために,周期的な無相関ジッタを分離しなければならない。周波
数領域で無相関ジッタの母集団を調査し,後処理又は無相関ジッタの母集団の曲線フィッティングによっ
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て周期的なスペクトルを除去するなど,様々な手法が用いられる。
仮に装置のジッタの集合が完全にランダムである場合,ジッタ母集団の特性を評価して標準偏差を決定
すれば,低い確率の事象を含む全ジッタを見積もることができる。特定の確率水準までジッタを決定する
ために,標準偏差を適切に乗算する。例えば,10−12の確率までジッタ振幅を決定するためには,標準偏差
をおよそ14倍する。このため,ランダムジッタの標準偏差を正確に求めることが必要である。一般的に,
大きな乗数を伴うため,誤差があると全ジッタの見積りが著しく変わる。
ジッタがランダム成分だけから成ることはないので,全ジッタの推定には,全てのジッタ成分を含んだ
解析を必要とする。一般的なアプローチには,デュアルディラックジッタモデルがある(図16参照)。こ
のアプローチでは,ランダムジッタの標準偏差を決めてから,ランダムジッタ分布を構成する。この分布
を分離し,確定ジッタ成分群の有効な大きさに従って位置を定める。有効な確定ジッタは,確定ジッタ群
の実際の大きさとは一致しないが,それを起点値としてモデル内でランダムジッタと組み合わせることに
よって,全ジッタの最適な推定ができる。
図16−デュアルディラックジッタモデル
モデルを使うことによって,信号の中で発生確率の低い領域まで測定することなしに,ジッタを極端に
低い確率まで推定することができる。正確な測定のためには,ランダムジッタに低確率の周期性ジッタを
含めないようにし,残留ジッタ及びノイズの少ない試験に用いる機器を使用して,正確なモデルを作るた
めに十分な母集団を得る効果的な方法を用いる。
11.2 使用する機器
測定に必要な機器を,次に示す。
− ジッタ受信器(デジタルビットストリームのエッジの時間位置を特定できるオシロスコープ,タイム
インターバルアナライザ,ビット誤り率試験器など)
オプション機器を,次に示す。
− クロック再生器(データエッジの理想的な位置を表すクロック)
基本的な測定構成を,図17に示す。
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ジッタ
被試験機器
受信器
クロック
再生器
(オプション)
図17−ジッタ分離測定のための測定構成
11.3 機器の接続
被試験信号を,エッジ測定機器に出力する。クロック信号も,タイミング基準信号として出力する。ク
ロックは,被試験信号から抽出する場合もある。オプション機器のクロック再生器は,クロックタイミン
グ基準信号を被試験信号から抽出する場合に使用する。
11.4 機器設定
被試験機器は,繰返しデータパターンを発生するように設定する。測定する振幅のしきい値を,信号振
幅の中間レベルに設定する。クロックタイミング基準信号を被試験信号から抽出する場合,クロック抽出
システムのジッタ帯域幅は,測定されるジッタが正しく透過するように設定する(9.2.2参照)。
11.5 測定手順
11.5.1 サンプリングオシロスコープ
データパターンの全てのエッジを,理想的な位置に対する平均位置として記録する。全体の最も早いエ
ッジ位置(理想的な位置に対して)と最も遅いエッジ位置(理想的な位置に対して)との間の時間間隔が,
データ依存性ジッタを表す。パターンのエッジを調査し,理想的な位置に対するエッジ位置の集団を得る
ことによって,無相関ジッタを求める。周波数領域への変換ができるように,周期的にサンプリングする。
周波数領域においては,スペクトルのノイズフロアはランダムジッタを表す。不連続の線スペクトルは,
周期的成分を表す。線スペクトルを除いて,ノイズフロアを積分するとランダムジッタが求まり,更に処
理することで標準偏差が求まる。線スペクトルのエネルギーは,周期ジッタとなる。様々な成分を畳み込
みすることによって,全体の母集団が求まる。再構築されたジッタ母集団に最適となるように,デュアル
ディラックジッタモデルを調整する。このモデルによって,必要とする発生確率に相当する全ジッタを求
めることができる(信号処理の詳細は,この規格では扱わない。)。
11.5.2 リアルタイムオシロスコープ
リアルタイムオシロスコープは,一回の波形取得で全部のデータパターンを取り込むことができる。ジ
ッタ解析は,特定の基準時間に基づいて,シリアルデータ波形の電圧遷移を時間置換した変化量によって
行う。実質的に,測定処理は,タイムインターバルエラー(TIE)を解析する(図18参照)。TIEは,時間
に対する時間誤差の離散関数である。TIE測定に用いる基準時間(基準クロック)は,幾つもの異なる方
法で定義できる。一般的に,TIE測定に用いられる基準時間の一つとして,入手した波形記録に最も適合
した周波数及び位相をもつ一定周波方形波がある。基準クロック信号のような,第二の信号源の電圧遷移
を基準時間として用いる場合もある。
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C 61280-2-3 : 2013 (IEC 61280-2-3 : 2009)
図18−タイムインターバルエラーの測定
データパターンに相関のあるジッタを分離するために,ジッタのTIE関数を最初に計算し,各TIE値と,
信号源波形の論理的なビットシーケンスの特定のビットとを結びつけて,解析する。この解析は,信号源
波形から論理的なビットシーケンスを抽出し,その周期パターンのビット長を決めて行う。次に,元のTIE
関数を,サブサンプルのTIE関数群に分割する。ここで,各サブサンプルのTIE関数の値は,全てパター
ンの特定のビットに対応する。
これらの各サブサンプルのTIE関数を,高速フーリエ変換(FFT)を使って周波数領域に変換する。各
ジッタスペクトルの最初の値(DC成分)は,繰返しビットパターンの特定ビットに対するデータ依存性
ジッタ(DDJ)に等しいので,DDJはジッタから分離できる。
一旦全てのジッタ(TJ)スペクトルからDDJを取り除くと,残りのジッタスペクトルは,主にランダム
ジッタ(RJ)及び周期性ジッタ(PJ)から成る。RJからPJを分離するためには,まず,残ったRJ及び
PJスペクトルの全てのパワースペクトル密度(PSD)を計算する。次に,個々のRJ及びPJスペクトルの
全ての平均を計算し(以前に取得したスペクトル平均と同様に),APSD(平均PSD)を求める。この時点
で,PJを含んでいる可能性があるので,著しく大きな振幅をもつAPSDの周波数成分は全て除去される。
次に,APSDの残りの周波数成分を結合して,RJのRMS値を得る。
デュアルディラックジッタモデルに基づく確定ジッタ[DJ(d-d)]及び周期性ジッタ[PJ(d-d)]は,デュ
アルディラックジッタモデルを測定ヒストグラムにフィッティングすることによって決定する。デュアル
ディラックジッタモデルは,ガウシアン成分及び二峰性の成分に対して同時に解くなど,多くの方法を用
いて,確率密度関数(PDF)にフィッティングできる。一旦モデルが構成されれば,事象の必要とする確
率まで全ジッタの値を得ることができる。
12 ワンダの測定
12.1 使用する機器
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C 61280-2-3 : 2013 (IEC 61280-2-3 : 2009)
測定に必要な機器を,次に示す。
− 基準クロック発生器
− デジタル信号発生器
− ワンダ受信器
12.2 基礎技術
12.2.1 機器の接続
12.2.1.0A 一般事項
評価する位相変動の周波数が低いために(3.21参照),ワンダ測定には特殊な測定構成を必要とする。ジ
ッタを測定するとき,必要な基準タイミング信号は,試験に用いる機器の中の位相同期ループ(PLL)に
よって,測定される信号の平均位相から得られる。このようなPLLでは,ワンダ測定の要求事項に適合し
ない。
したがって,ワンダ測定には,十分に安定な外部の基準クロック信号が常に必要である。
12.2.1.1 同期信号のワンダ測定
同期信号のワンダ測定のための測定構成を,図19に示す。
テスト テスト
シーケンス シーケンス
被試験
基準
デジタル ネットワーク ワンダ
クロック
信号発生器 又は 受信器
発生器
被試験機器
基準タイミング
図19−同期信号のワンダ測定構成
測定に必要なタイミング信号を共通の基準クロックから得ることができる場合,この構成が適用でき,
被試験機器の入力端子及び出力端子を同じ場所で利用できる。そのため,この方法だけがループ測定でき
る。この設定では,基準クロックの位相変動は測定結果に影響しない。したがって,基準クロックの安定
性の要求事項はそれほど高くなく,携帯用の試験装置でも可能である。
12.2.1.2 非同期信号のワンダ測定
非同期信号のワンダ測定のための測定構成を,図20に示す。この構成は,被試験ネットワーク又は被試
験機器の入力端子及び出力端子の両方が同じ場所で利用できない場合(例えば,遠端測定)のワンダ測定
に適用できる。この設定では,測定に関係する二つのクロックの周波数及び位相ドリフトが,測定結果に
影響する。そのため,二つのクロックの安定性が,測定する量より一桁以上よくなければならない。外部
基準との同期が要求される携帯用の試験に用いる機器は,そのような基準クロックを備えていない場合が
ある。
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JIS C 61280-2-3:2013の引用国際規格 ISO 一覧
- IEC 61280-2-3:2009(IDT)
JIS C 61280-2-3:2013の国際規格 ICS 分類一覧
- 33 : 電気通信工学.オーディオ及びビデオ工学 > 33.180 : 光ファイバ通信 > 33.180.01 : 光ファイバシステム一般
JIS C 61280-2-3:2013の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISC6802:2014
- レーザ製品の安全基準