JIS C 6760:2014 弾性表面波デバイス用単結晶ウェハ―仕様及び測定法 | ページ 6

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a) 128°Y-X LiNbO3 b) -Z LiNbO3
(0°,37.86°,0°) (180°,90°,90°)
c) 64°Y-X LiNbO3 d) −112°Y LiTaO3
(0°,154°,0°) (90°,90°,112.2°)
e) 36°Y-X LiTaO3 f) 42°Y-X LiTaO3
(0°,126°,0°) (0°,132°,0°)
g) 45°X-Z Li2B4O7 h) T-X α- Quartz
(45°,90°,90°) (0°,132.75°,0°)
i) xlt/48.5°/26.6° La3Ga5SiO14
(0°,138.5°,26.6°)
図A.3−オイラ角で表示した代表的ウェハの方位関係

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附属書B
(参考)
SAWウェハの製造方法
B.1 結晶育成方法
B.1.1 チョクラルスキー法
単結晶は,るつぼ中の溶融原料から種結晶を静かに引き上げることで成長する。種結晶だけ,又は種結
晶及びるつぼの両方を回転させながら,種をゆっくり引き上げることで,溶融原料は冷やされ結晶化して
円筒状に引き上げられる。この方法は開発した人の名前にちなんでチョクラルスキー(Czochralski : ポー
ランドの科学者 : 18851953年)法と呼ばれ,1916年に単結晶が育成された。工業的には,ゲルマニウム
及びシリコン単結晶から始まった。
ニオブ酸リチウム(LN)及びタンタル酸リチウム(LT)に関しては,1965年にBell研究所及び旧ソ連
の研究所によって製造された。加熱方式は高周波誘導加熱方式及び抵抗加熱方式があり,LN,LT及びラ
ンガサイト(LGS)は一般的に高周波誘導加熱方式を用いる。図B.1に高周波誘導加熱方式の概略図を示
す。
図B.1−チョクラルスキー法模式図
出発原料は,Li2CO3及びNb2O5(又はTa2O5)をLi/Nb(Li/Ta)モル比で0.930.95程度で混合し,混合
物をプレス成形した後に仮焼し,LiNbO3(LiTaO3)多結晶体となったものを用いるのが,一般的である。
その原料をるつぼの中に入れ,原料を溶融させる。
LGSの最初の出発原料であるLa2O3,Ga2O3及びSiO2を化学量論組成の比率でひょう(秤)量して得る
混合物をペレット状に固めて23時間,1 200 ℃以上の温度でアニールをする。得られたLGS多結晶体
はLN,LTと同様にして用いる。次に,引き上げようとする結晶方位に切り出した種結晶の先端を,原料
が溶融した液面に接触させる。種結晶は原料に一定の対流を起こすように回転させ,ゆっくりした速度で
原料から種を引き上げて結晶を成長させる。
結晶成長の初期段階では,原料温度は原料の融点近くで慎重に制御し,先端部が僅かに溶ける状態にす

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る。所定の首部を形成したら,徐々に温度を下げて肩部を形成し所定の直径にする。
成長する結晶の質量で生じた力を,図B.1に示すロードセル内のひずみゲージで検知し,変換した電気
信号を自動直径制御装置に入力することで高周波誘導加熱出力を自動制御する。所定の長さに結晶が成長
したら,結晶を原料から抜き出し,室温徐冷する。
B.1.1.1 分域構造
LN及びLTは,自発誘電分極が発生する強誘電体結晶である。
強誘電体結晶はキュリー温度以下の移行温度で冷やすことで,Z軸に沿って自発分極が起こり常誘電相
から強誘電相に変化する。
この現象は育成後の温度降下時に発生し,結晶はドメインと呼ばれる隣接した小分域が反対の分極をも
つ多分域状態を形成している。
この多分域状態は好ましくないため,結晶の移相が起きる際に直流電場を与えることで単分域結晶を得
るポーリングと呼ばれる操作を行う。
具体的には,分極方向であるZ軸に垂直な面,又はZ軸成分を含む方向に垂直な面に電極を形成し,キ
ュリー温度以上に結晶を昇温して,外部直流電場を印加したまま結晶を徐冷することで,LN及びLTの単
分域化がなされている。
単分域化の前工程として,チョクラルスキー法によって育成したLN及びLTは,熱ひずみが多いため,
それを除去する目的で融点以下の温度でアニール処理を行う。
LTの場合,1 300 ℃程度でアニール処理後,室温まで冷却し,貴金属導体ペーストで電極を形成して,
650 ℃程に温度を上げ,数V/cmの直流電場を加える。そのまま冷却すると,600 ℃程で単分域化する。
LNの場合は,キュリー温度が1 140 ℃程度なので,アニール処理及び単分域化処理を同時に行うのが一
般的であり,1 200 ℃程度でアニール処理後,単分域化を行う。
B.1.1.2 組成均一化
結晶は,一般に,化学量論組成で結晶化するものと,固溶体を形成するためにある組成範囲で結晶化す
るものとがある。後者の場合,融液から結晶化したときに,融液の組成によって,固化した単結晶の組成
が決まる。
固溶体は,熱力学的に平衡なコングルエント組成と呼ばれる組成比をもっている。コングルエント組成
の融液は,原料の揮発がない場合,融液と同じ組成の単結晶を作り出す。
LN又はLTの場合のコングルエント組成は,Li/Nbモル比又はLi/Taモル比で0.930.95程度である。コ
ングルエント組成からずれた組成で,LN又はLTを育成すると結晶内で組成が変動する。この組成の変動
によって,キュリー温度,格子定数,屈折率なども変動し,SAWデバイスで重要な特性である音速も変動
する。
図B.2はLNの例である。例えば,図B.2の上のグラフのNo.4はLi過剰の組成の場合であるが,融液
のLi/Nb比が大きいため育成の中で過剰なLiを排除できずに取り込んでしまったことを示している。理想
的な組成で育成した場合,成長方向のどこでも音速は同じであるが,Li/Nb比が大きくなるにつれて音速
が早くなる。
コングルエント組成の僅かなずれは,結晶の成長速度及び融液の揮発などによるものである。No.2が理
想的な組成の結晶である。
LGS単結晶のGa2O3は高揮発性のため,コングルエント組成でない組成を形成しやすく,今後の課題で
ある。

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図B.2−LNの組成及び温度による組成図
B.1.2 垂直ブリッジマン法
四ほう酸リチウム(Li2B4O7 : LBO)は一致溶融する化学量論組成物であり,融点までに相転移がないた
め,融液成長法での育成が可能である。また,強誘電性をもたないので単一分極化処理は不要である。
LBO単結晶育成は,初めチョクラルスキー法による育成が行われたが,実用的な大形結晶を育成するこ
とが難しかった。最近,垂直ブリッジマン法によって良質な結晶を育成する技術が開発され,SAW応用な
ど工業的に有用な大形結晶も育成されるようになった。
垂直ブリッジマン法は,垂直方向に温度分布のある炉内で,原料を満たしたるつぼを移動させることに
よって,結晶を育成する方法である。上方の高温域中にるつぼがあるときに原料を溶融し,温度勾配中を
るつぼが降下するとき,順次(一方向に)冷却されて結晶を育成する。この方法は,装置が簡素かつ安価
で,操作が簡易で直径制御が不要なため,無人化での育成が可能である。

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一方,双晶,クラック及び多結晶化の問題があり,大部分は融液の粘性が高いことによる気泡,又はる
つぼと結晶の温度差による熱ストレスによって引き起こされている。
図B.3にLBO育成用ブリッジマン炉の模式図,ブリッジマン炉の温度分布を示す。
図B.3−LBO育成垂直ブリッジマン炉の模式図及びブリッジマン炉の温度分布
LBOは,LN及びLTに比べ融点(917 ℃)が低いので抵抗加熱炉を用いることができる。熱膨張係数の
異方性によるひずみを少なくするために,るつぼは,一般に板厚の薄い白金を用いる。原材料には,高純
度のLBO粉末に圧力をかけて固めたブロック状の化学量論組成の多結晶体を用いる。
溶解域温度9501 100 ℃,固液界面での温度勾配1020 ℃/cm,育成速度0.20.3 mm/hの育成条件下
で直径50.4100.8 mm(24インチ),育成方位(001),(100),(110),(011) の双晶,クラック,及び光散
乱物のない良質な四ほう酸リチウム単結晶の育成が報告されている。
B.2 ウェハ機械加工標準
B.2.1 ウェハ機械加工工程
図B.4に,アズグロウンをもとにした,一般的なウェハ加工の順序を示す。

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JIS C 6760:2014の引用国際規格 ISO 一覧

  • IEC 62276:2012(MOD)

JIS C 6760:2014の国際規格 ICS 分類一覧

JIS C 6760:2014の関連規格と引用規格一覧