この規格ページの目次
13
C 6870-3 : 2006
また,
M μ3
(zu) (u2 μ1 ) t 32
μ2 6μ2
式(6)をuで微分することによって,リンクPMD係数の確率密度関数を近似的に求めることができ
る。
5.2.2 PMD設計値の決定 5.2.1に示した三つの方法のいずれかを用いて求めたリンクPMD係数の密度
関数は,PMD設計値の算出にも用いることができる。M本のケーブルが接続されたリンクに対して,PMD
設計値PMDQは,リンクPMD係数XMが確率Qでそれを超える値として定義される。
P XM PMDQ 紀 (7a)
Mより大きいNに対して,XNがPMDQを超える確率は,Qより小さい。
P XN PMDQ 紀 (7b)
5.2.2.15.2.2.3の方法では,N >20(リンクは少なくとも20本のケーブルからなる。)及びQ=10-4(リ
ンクPMDがPMD設計値を超える確率は,0.000 1より小さい。)と仮定する。しかし,実際のM及びQ
の値は,受渡当事者間の合意による。方法c)によって得られたケーブルPMDの密度関数を用いて,PMDQ
がいかにして求められるかを示す。
5.2.2.1 方法a)のモンテカルロ密度からPMD設計値を求める方法 数値解析的な手法によってQ=10-4
の確率水準を求めるには,104を超えるサンプルについてモンテカルロ式シミュレーションを行う必要があ
る。この計算が困難な場合には,リンクPMD係数のヒストグラムを,ケーブルPMD測定値によって決ま
る水準より小さい確率水準に外挿できる媒介変数方程式で近似することができる。ヒストグラムの形状に
基づいて,確率分布を選択できる。典型的な分布は,対数正規(リンクPMD係数の対数が正規分布とな
る。)か又はガンマ分布から導かれるものとなる。関数が近似されると,Q番目の変位値でのPMDQの値
が計算できる。
5.2.2.2 方法b)のガンマ密度からPMD設計値を求める方法 M本のケーブルに対する変位値10-4でのリ
ンクPMD係数XQの正確な近似値は,次のようになる。
.2004 .0975 M
XQ (8)
M
ここで,α及びβは,方法b)で求められたパラメータである。M=20本のケーブルより大きなNに対し
て,PMD設計値は次のようになる。
.0448 .0975
PMDQ (9)
文献[4]によれば,ランダムに抽出された288本のケーブル化された光ファイバについて,α=0.979,β
=48.6,PMDQ=0.20 km という値が報告されている。
ps /
5.2.2.3 5.2.1のc)の方法を用いてPMD設計値を求める方法 5.2.1のc)の方法で求めたモーメントを用い
て,リンクPMD係数XQを算出することができる。M本のケーブルで構成されるリンクに対して,Q番目
の変位値におけるXQは次の式で近似できる。
12
12
μ2 μ3 2
XQ μ1 zQ zQ 1 (10)
M 6μ2M
ここで,zQは,標準正規分布のQ番目の変位値である。M=20本のケーブルより大きなN及びQ=10-4,
zQ=3.72に対して,PMD設計値は,次のようになる。
――――― [JIS C 6870-3 pdf 16] ―――――
14
C 6870-3 : 2006
12
μ3
PMDQ μ1 0.832 μ2 0.107 (11)
μ2
文献[4]によれば,ランダムに抽出された288本のケーブル化された光ファイバについて,1=2.02×10-2,
2=7.43×10-4,3=8.26×10-5となり,式(11)からPMDQ=0.23 ps /km となることが報告されている。
5.3 方法2:DGD最大値
5.3.1 光ファイバルートとMaxwellの変動性の組合せ DGDの値I ( ps) / km は,次に示すMaxwell
の確率密度関数に従って,時間及び波長に関してランダムに変動する。
32 2
4 I2 4 I
fM I; XM 2 2
exp (12)
XM 3 XM
2
ここで,XMは,式(1)又は式(2)で与えられるM本のケーブルからなるリンクのリンクPMD係数である。
接続されたリンクPMD係数の変動とMaxwellの変動を組み合わせてシステム設計に使える値にするた
めに,基準リンクを定義する。この基準リンクの特性は,ほかのリンクに対して一般的に適用される。基
準リンクは,リンク全体の長さLR及びケーブル区間の長さlCの二つのパラメータによって定義され,これ
らはすべてのケーブル区間について一定と仮定される。
リンクPMD係数の変動は,平均化作用によって,個々のケーブル区間における変動より小さくなる。
サンプリングした個々のケーブル区間について測定したPMD係数の統計的な変動から,リンクPMD係数
の変動を推定することができる。測定した個々のケーブル区間の長さが基準リンクを表す長さより短い場
合でも,ケーブル区間の数nRが一定であれば,実際のリンクPMD係数の変動は,式(2)の解析によって算
出されるものより小さいと考えられる。すなわち,与えられた値を超える確率は,測定するケーブル区間
の長さがlCより短い場合に計算される値より小さいということである。
flink (Xi)を,測定したPMD係数及び式(2)の解析によって定義されるリンクPMD係数値に関する離散型の
確率密度関数(ヒストグラム)とし,また,Iをシステム設計値として用い得るPMD値( ps / km )のある瞬
間的な値とすると,Iを超える確率PFは,次の式で与えられる。
I
PF 1
flink Xi fM y; Xi dy (13)
i 0
リンク両端間(end-to-end)のリンク設計値の瞬時的なばらつきItot (ps)は,基準リンク長の平方根とIの積
となる。
ItotI LR (14)
危険時間Tr(min/year/km/回線)の計算では,回線を構成する二つの光ファイバ又は波長のいずれかにお
けるPMD瞬時値がItotを超える限りは,危険が存在すると仮定する。式(13)から得られる確率の値を用い
て,危険時間は,次のように与えられる。
25
Tr 2 PF 60 24 365 (15)
LR
リンク長が基準長より短い場合には,Itotの値は21 psとすることができる。逆にリンク長が基準長より
長い場合には,設計値は,次のように増加する。
――――― [JIS C 6870-3 pdf 17] ―――――
15
C 6870-3 : 2006
Llink
IlinkItot (16)
LR
ここで,Llinkは,LRより大きいリンク長,Ilinkは,Itotより大きくなるリンク両端間のPMD瞬時値である。
5.3.2 ガンマ関数を用いた事例 式(3)及び式(4)は,ケーブル及び接続されたリンクそれぞれのPMD係数
を記述するのに用いることのできるガンマ確率密度関数を表す。
M本の長さの等しいケーブルのPMD係数の2乗平均XMは,式(2)で与えられる。ガンマ密度関数を用い
た場合には,リンクPMD係数の平均値は,文献[4]で次のように与えられている。
1
E XM 1 (17)
8M
Mαが無限大となるに従って,式(17)は に漸近し,一方,XMの標準偏差はゼロに近づく。Mα>5
の場合には,文献[4]によれば,99.99パーセント点XQは次のように近似できる。
.2004
XQ .0975 (18)
M
2乗平均E [{XM}]及び 2 B の組合せを用いて,10 kmのケーブル区間40個からなる400 kmのリンクのItot
21 psに対してPFが7.6×10-7未満であるような包絡線を定義することができる。附属書A図1に,この
PFの値及びXQ=0.5 km に対する包絡線を示す。これらのパラメータが包絡線の下に入るようなケー
ps /
ブルの分布は,上記の要求事項を満足する。この図は,方法1と方法2とがほぼ同等であることを示して
いる。
0.8
0.7
m
/√k
0.6
0.5
√βps
0.4
/2
0.3
1
0.2
0.1
0
0 0.1 0.2 0.3 0.4
2乗平均値 (ps/√km)
―◆― M2 : Itot=21 ps,PF=7.6×10-7, リンク長400 km,ケーブル区間10 km
M1 : PMDQ=0.5 ps /km ,PF=1×10-4,ケーブル区間数20
M1 : PMDQ=0.5 ps /km ,PF=1×10-6,ケーブル区間数40
附属書A図1 ガンマ関数を用いた等価な包絡線
5.4 方法1のリンクPMDとデジタルシステムの特性との関係 PMD設計値は,従来のPMDの定義を
表すものであり,IEC 60793-1-48のいずれの方法を用いても測定できる。したがって,接続されたリンク
のPMDを測定し,その値と,ケーブル製造業者の提供するPMD設計値を用いて得られた値とを比較する
ことによって,方法1の要求事項を容易に満足することができる。
PMDは,確率論的な変数であって,その瞬時値はMaxwellの確率密度関数によって記述され,また,そ
の平均値は承認された試験方法を用いて得られるものである。PMDをデジタルシステムの特性に関連付け
る場合には,PMDの瞬時的な最大値がビット周期の何分の一かを超える確率を最小にすることに,しばし
ば焦点が絞られる。例えば,PMDの瞬時値がその平均値の3倍を超える確率は,Maxwell分布の場合4×
10-5である。しかし,更にこのリスク要因に加えて,ある与えられたルートのPMDがPMD設計値を超え
――――― [JIS C 6870-3 pdf 18] ―――――
16
C 6870-3 : 2006
る確率は,変位値Qによって与えられ,Qの値は受渡当事者間の合意による。Q=10-4の場合には,リン
クPMDがPMD設計値を超える確率は,10-4より小さい。したがって,長さLlinkのあるリンクのPMD瞬
時値IがリンクPMD設計値の3倍を超える確率 PF I 3 PMDQ Lは,リンクの分布関数Flinkとそ
link
のリンクに対するDGDのMaxwell密度によって次のように表される。
PF 1 Flink fMaxwelldXM
(pdf 一覧ページ番号 )
0
10-4の変位値に対して式(19)によって与えられる厳密な確率の上限値は,次のようになる。
PF I 3 PMDQ L 4.1 10 4
(pdf 一覧ページ番号 )
式(19)から得られる厳密値又は式(20)から得られる近似値を用いて,ある光回線のPMD瞬時値がPMD
設計値の3倍を超える年間当たりの時間を計算することができる。
6. 結果
6.1 各試験に関して提供する情報
6.1.1 方法1
a) : ケーブルの数
b) : 確率水準
c) MDQ : リンク設計値
6.1.2 方法2
a) GDmax : DGD最大値
b) Ref : 基準長
c) Cab : 仮定されたケーブル長
d) F : DGDmaxを超える確率
6.2 要求によって提供する情報 使用した計算手法及び関連詳細事項
7. 参考文献
[1] GALLAGHER,D. et al.,Simulation of system length limitations induced by PMD,International Wire and
Cable Symposium Proceedings,1996,p.27-36.
[2] JACOBS,S. A. et al.,Statistical estimation of the PMD coefficients of fiber paths,National Fiber Optic
Engineers Conference,September 1997.
[3] PATEL,J. and READ,C.,Handbook of the normal distribution,Marcel Dekker,Inc.,New York,1982.
[4] JACOBS,S. A. et al.,Statistical estimation of PMD coefficients for system design,Electronics Letters,1997,
33,p.619-621.
――――― [JIS C 6870-3 pdf 19] ―――――
17
C 6870-3 : 2006
附属書1(参考)JISと対応する国際規格との対比表
JIS C 0000:2006 屋外用光ファイバケーブル IEC 60794-3:2001,光ファイバケーブル−第3部 : 品種別通則−屋外ケーブル
(I) ISの規定 (II) (III) 国際規格の規定 (V) ISと国際規格との技術的差異の
(IV) ISと国際規格との技術的差異の項目ご
国際 との評価及びその内容 理由及び今後の対策
規格 表示箇所 : 本体
番号 表示方法 : 点線の下線
項目 内容 項目 内容 項目ごとの 技術的差異の内容
番号 番号 評価
1. 適用範囲 主に公衆通信網で使用するこIEC 1 JISに同じ IDT ― ―
とを意図したシングルモード60794-3
光ファイバケーブル及び構成
部材に対する要求事項につい
て規定。
2. 引用規格 JIS C 3660-5-1, 2 IEC 60793-1-21, MOD/変更 JISからの引用事項は,対応実質的な差異はない。
JIS C 6820,JIS C 6821, IEC 60793-1-32, IEC規格の該当事項と同等
JIS C 6822,JIS C 6823, IEC 60793-1-40, である。
JIS C 6825,JIS C 6835, IEC 60793-1-44,
JIS C 6838,JIS C 6850, IEC 60793-2,
JIS C 6851,IEC 60189, IEC 607 94-1-1,
IEC 60304,IEC 60708-1, IEC 60794-1-2,
IEC 60793-1-48,IEC 61282-3, IEC 60189,
ITU-T Rec. K.25 IEC 60304,
IEC 60708-1,
IEC 60811-5-1,
IEC/TR 61282-3,
ITU-T Rec. K.25
C6 870-
3 : 20
1
0
7
6
――――― [JIS C 6870-3 pdf 20] ―――――
次のページ PDF 21
JIS C 6870-3:2006の引用国際規格 ISO 一覧
- IEC 60794-3:2001(MOD)
JIS C 6870-3:2006の国際規格 ICS 分類一覧
- 33 : 電気通信工学.オーディオ及びビデオ工学 > 33.180 : 光ファイバ通信 > 33.180.10 : 光ファイバ及び光ケーブル
JIS C 6870-3:2006の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISC3660-5-1:2011
- 電気・光ケーブルの絶縁体及びシース材料の共通試験方法―第5-1部:充填コンパウンドの試験方法―滴下点,油分離,低温ぜい化,全酸価,腐食性,23℃誘電率並びに23℃及び100℃の直流抵抗率
- JISC6820:2018
- 光ファイバ通則
- JISC6821:1999
- 光ファイバ機械特性試験方法
- JISC6822:2009
- 光ファイバ構造パラメータ試験方法―寸法特性
- JISC6823:2010
- 光ファイバ損失試験方法
- JISC6825:2009
- 光ファイバ構造パラメータ試験方法―光学的特性
- JISC6825:2020
- 光ファイバ構造パラメータ試験方法―光学的特性
- JISC6835:2017
- 石英系シングルモード光ファイバ素線
- JISC6838:2001
- テープ形光ファイバ心線
- JISC6838:2020
- テープ形光ファイバ心線
- JISC6850:2006
- 光ファイバケーブル通則
- JISC6851:2006
- 光ファイバケーブル特性試験方法