JIS E 2101:2021 銅及び銅合金みぞ付きトロリ線 | ページ 2

                                                                                             3
E 2101 : 2021
呼び方の例を,次に示す。
例1 すず入り銅合金で把持溝形状がM,トロリ線公称断面積が170 mm2の場合
GT-SN-M-170
公称断面積
把持溝形状
材料の呼び方
形状の呼び方
例2 すず入り銅合金で把持溝形状がL,トロリ線公称断面積が170 mm2の場合
GT-SN-170
公称断面積
材料の呼び方
形状の呼び方
例3 カテゴリ分類が2−Cで把持溝形状がL,トロリ線公称断面積が130 mm2の場合
GT-2C-L-130
公称断面積
把持溝形状
材料の呼び方
形状の呼び方

4.2 材料

4.2.1 材料の呼び方
トロリ線の材料の呼び方は,a)又はb)による。
a) 添加元素
1) 硬銅の場合は,記載しない。
2) 銀入りの場合は,AGと記載する。
3) すず入りの場合は,SNと記載する。
b) 表1に示す引張強さ及び導電率によって分類するカテゴリ分類
4.2.2 材料の組成
材料の組成は,次による。
a) 硬銅は99.9 %以上の銅成分をもつ材料とするが,導電率の管理だけで,銅成分の分析は省略する。
b) 銀入り銅合金は,銀0.12 %以上,すず入り銅合金は,すず(0.3±0.05)%とする。
c) カテゴリ分類では,特に添加元素の規定はしない。
d) 環境上の理由で,推奨しないカドミウムは使用しない。
e) 受渡当事者間で協定がある場合,添加元素及び成分量を明確に規定しなければならない。

――――― [JIS E 2101 pdf 6] ―――――

           4
E 2101 : 2021

4.3 外観及び状態

  トロリ線は,この規格で規定する機械的·電気的特性に影響を与える架設又は使用に支障を来たすおそ
れのあるいかなる欠陥(荒れ,割れ,裂けきず,異物の含有,ひび,ねじれ,鋭利な角部など)があって
はならない。
溝は,均等であってねじれがあってはならない。
トロリ線表面は,清浄であって異物などの付着があってはならない。
製造直後,大気の影響によって生じる表面の金属光沢の変化は差し支えない。

4.4 識別表示

4.4.1 一般要求事項
受渡当事者間の協定がある場合を除き,合金から製造する全てのトロリ線は明確に識別しなければなら
ない。
硬銅,銀入り及びすず入り銅合金における識別方法は,次による。
高強度材料など他の合金については,受渡当事者間で協定した識別方法(識別溝又は他の方法)とする。
識別溝の形状は,図1による。
単位 mm
図1−識別溝の形状
4.4.2 硬銅トロリ線(GT)
硬銅トロリ線には,識別溝は設けない。
4.4.3 銀入り銅合金トロリ線(GT-AG)
銀入り銅合金トロリ線には,識別溝は設けない。
4.4.4 すず入り銅合金トロリ線(GT-SN)
すず入り銅合金トロリ線には,図2に示すように2本の識別溝を設ける。

――――― [JIS E 2101 pdf 7] ―――――

                                                                                             5
E 2101 : 2021
単位 °
呼び方 J
GT-SN-110 60
GT-SN-150 60
GT-SN-M-170 50
GT-SN-170 50
図2−識別溝の形状(GT-SNの場合)

4.5 外形,形状・寸法及び断面積

4.5.1 把持溝
把持溝の形状及び寸法は,図3による。
単位 mm
把持溝 C D E P
形状
SS 5.00 5.42±2 % 8.10±2 % 4.00
S 5.70 6.12±2 % 8.50±2 % 4.20
M 6.85 7.27±2 % 9.75±2 % 最大
4.47
L 7.32 7.74±2 % 11.43±2 % 5.99
5.35
寸法Pは参考である。
把持溝形状LにおけるP寸法において,5.99 mmはGT-L-130の場合,
5.35 mmはGT-170の場合である。
図3−把持溝の形状及び寸法

――――― [JIS E 2101 pdf 8] ―――――

           6
E 2101 : 2021
4.5.2 公称断面積
公称断面積については,次の6種類とする。
70 mm2,85 mm2,110 mm2,130 mm2,150 mm2,170 mm2
4.5.3 外形
外形は通常円形とする。他の形状の場合には,受渡当事者間の協定による。
4.5.4 形状·寸法
トロリ線の形状は,公称断面積と把持溝形状とによって区分する。
トロリ線の形状及び寸法は図4とする。呼び方は,表2による。
呼び方 計算断面積 A B C D E F G H
(mm2) (mm) (mm) (mm) (mm) (mm) (mm) (°) (°)
GT-70 70.29 10.00±1 % 9.90±2 % 5.00 5.42±2 % 8.10±2 % 0.8 27±2 51±2
GT-85 87.09 11.00±1 % 11.00±2 % 5.70 6.12±2 % 8.50±2 % 1.5
GT-110 111.1 12.34±1 % 12.34±2 % 6.85 7.27±2 % 9.75±2 % 1.7
GT-130 127.6 13.24±1 % 13.24±2 % 2.4
GT-L-130 127.6 13.38±1 % 13.21±2 % 7.32 7.74±2 % 11.43±2 % 0.7
GT-150 150.7 14.40±1 % 14.40±2 % 6.85 7.27±2 % 9.75±2 % 3.2
GT-M-170 172.2 15.30±1 % 15.30±2 % 3.9
GT-170 170.0 15.49±1 % 15.49±2 % 7.32 7.74±2 % 11.43±2 % 2.4
図4−トロリ線の形状及び寸法

――――― [JIS E 2101 pdf 9] ―――――

                                                                                             7
E 2101 : 2021
表2−トロリ線の呼び方
公称断面積 把持溝形状
(mm2) SS S M L
70 GT-70 − − −
85 − GT-85 − −
110 − − GT-110 −
130 − − GT-130 GT-L-130
150 − − GT-150 −
170 − − GT-M-170 GT-170
公称断面積70 mm2に対しては把持溝形状SSを,85 mm2に対しては把
持溝形状Sを,110 mm2,130 mm2及び150 mm2に対してはMを,170
mm2に対してはLを標準とし,呼び方における記載を省略する。

4.6 電気的特性

4.6.1 抵抗率及び導電率
20 ℃におけるトロリ線の最大抵抗率及び最小導電率は,表3による。
表3−最大抵抗率及び最小導電率
材料 呼び方 最大抵抗率 最小導電率
×10−8(Ωm)(% IACS)a)
硬銅 GT 1.768 97.5
銀入り銅合金 GT-AG 1.777 97.0
すず入り銅合金 GT-SN 2.463 70.0
高強度銅合金 GT-2B 2.463 70.0
高強度·高導電性銅合金 GT-2C 2.155 80.0
超高強度銅合金 GT-3B 2.463 70.0
超高強度·高導電性銅合金 GT-3C 2.155 80.0
注a) IACSとは,国際的に採択された焼鈍標準軟銅をいい,その導電率が
100 %IACSと規定されている。
4.6.2 電気抵抗
20 ℃における単位長さ当たりの電気抵抗は,表4に規定する値を超えてはならない。

――――― [JIS E 2101 pdf 10] ―――――

次のページ PDF 11

JIS E 2101:2021の引用国際規格 ISO 一覧

  • IEC 62917:2016(MOD)

JIS E 2101:2021の国際規格 ICS 分類一覧

JIS E 2101:2021の関連規格と引用規格一覧

規格番号
規格名称
JISC3002:1992
電気用銅線及びアルミニウム線試験方法