JIS E 3801-4:2021 無線式列車制御システム―第4部:無線システムの性能要求事項決定手順 | ページ 4

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附属書A
(参考)
その他の前提条件
A.1 運転条件
A.1.1 既存の設備への重畳
この附属書では,既存の設備とは,地上の信号機器にとどまらず,無線式列車制御システムと異なる列
車制御システム全体を示す。既存の設備への重畳とは,同一の線区において,無線式列車制御システムと
それ以外の列車制御システムとを並存させることをいう。例えば,無線式列車制御システムの車上設備搭
載列車と,その設備をもたない列車との混在運転を行う場合,無線式列車制御システムを段階的に導入す
る場合などは,既存の設備への重畳についての検討が必要となる。
運転条件は鉄道事業者が既存の設備への重畳を行うかどうかが関係する。既存の設備への重畳を行う場
合は,どのようにシステムを実現し運用するかが運転条件に関係する。
A.1.2 信号現示1)
信号現示方式は,車内信号の方式と地上信号の方式とに分けることができる。車内信号の方式とは,車
上に設備された信号機に信号を現示する方式をいう。また,地上信号の方式とは,地上に設備された信号
機に信号を現示する方式をいう。
鉄道事業者が車内信号の方式又は地上信号の方式のどちらを採用するのかが運転条件に関係する。
注1) この規格では,列車間の間隔を確保する装置による運転を行う場合は,車内信号の方式に分類
する。
A.1.3 閉そく
閉そくとは,一定の区間に同時に2以上の列車を運転させないために,その区間を1列車の運転に占有
させることをいう。ここでは,列車間の安全間隔を固定の区間によって制御する方式を固定閉そくといい,
列車が在線する位置を基に制御する方式を移動閉そくという。また,閉そく情報とは,列車が占有する区
間に関する情報のことをいう。
鉄道事業者が固定閉そく,移動閉そく又は固定閉そくと移動閉そくとの混在(駅中間は移動閉そく,駅
構内は固定閉そくとする。)のいずれの方式を採用するかは,閉そくに関する運転条件となる。
A.2 システム条件
A.2.1 一般
この細分箇条では,列車速度又は地上設備を無線によって制御するシステムにおいて,考慮すべき機能
を記載する。
A.2.2 列車位置検知
システムは線路上の列車の位置を検知し,その位置情報を用いて列車の速度制御及び地上設備の制御を
行う。位置は,車上又は地上で検知することができる。車上で位置の検知を行う場合は,速度発電機又は
GPS受信機を利用してもよく,検知した位置情報は無線通信によって地上に送信する。地上で位置の検知
を行う例としては,区間の入口及び出口の列車の通過を無線で検知する方式(チェックイン·チェックア
ウト),又は車上無線機との距離を電波伝搬の遅延時間を利用して計測する方式がある。

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A.2.3 連続制御·地点制御
線区の状況及び設置·管理コストを考慮し,システム通信を全区間で連続的に維持する方法(連続制御)
又は特定の地点若しくは短い区間で行う方法(地点制御)がある。連続制御では速度制限情報及び緊急停
止情報は常時地上から送信可能であるが,地点制御ではこれらの情報は限定されたエリアでだけ送信でき
る。
A.2.4 ブレーキパターン
システムは,停止·減速する箇所までの距離情報,及び列車のブレーキ性能,勾配などの線路の情報を
加味し,走行距離と制限速度とを関連付けたブレーキパターンを作成する。列車の走行に伴い停止·減速
する箇所までの距離が変化する場合は,その情報は無線通信によって地上から車上へ送信する。
A.2.5 システム進入·進出
無線式列車制御システムと他システムとの境界部分では,列車の進入·進出の際にシステムを切り換え
る処理を行う。そのため,境界部分には無線制御エリアと他システムによる制御エリアとが一部重複して
存在し,進入する列車のシステムへの登録,及び進出する列車のシステムからの削除は無線通信によって
行う。
A.2.6 臨時速度制限
線路保守のような臨時の速度制限では,計画どおりの速度制限を適用する。
A.2.7 緊急停止指令
気象状況の変化,線路の異常など,列車を緊急に停止させる必要が生じた場合,無線通信によって地上
から車上へ停止情報を送信する。
A.2.8 連動制御·進路制御
駅構内における走行ルートの設定のため,システムは設定要求に応じて関係する転てつ器の転換·鎖錠,
及び停止限界の決定を行う。車内信号によって運転を行う場合は,ルート設定の情報は無線通信によって
地上から車上に送信する。また,車上で列車の位置を検知し,その位置に応じて自動でルート設定を行う
場合は,進路制御に関わる地上の装置は無線通信によって位置情報を受信する。
A.2.9 踏切制御
システムは,列車の位置及び確保すべき警報時間に応じて踏切の警報制御を行う。車上で位置を検知す
る方式では,踏切は車上から無線通信によって警報要求を受け取る。踏切から警報·遮断状態を無線通信
によって車上のシステムに送信し,車上システムは正常に警報·遮断されていないか又は踏切道に支障物
があるときにはブレーキ制御を行う。
A.2.10 分割·併合
車両運用などに応じてシステムは列車の分割·併合を行う。分割の場合は,システムは分割後の列車を
別々の列車と認識して位置検知,速度制御を行う。併合の場合は,併合された列車を一つの列車と認識し
て位置検知を行い,衝突を防ぐためのブレーキパターン及び運転方法に基づき速度制御を行う。
A.2.11 自動列車運転
速度制御,自動停止,ドア制御,加減速度などの車両の性能調整及び鉄道事業者が定める他の機能のう
ち,一部又は全ての機能を実現する自動列車制御システムの範囲内のサブシステムのことをいう。
A.3 前提条件と無線パラメータとの関係
A.3.1 一般
表A.1では,前提条件と無線パラメータとの関係を示す。

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表A.1−前提条件と無線パラメータとの相関マトリックス
無線パラメータ−出力
セキュリ
伝送
ティ
周 容 接 ハ 周 帯 伝 変 伝 暗 な
期 量 続 ン 波 域 送 調 送 号 り
前提条件−入力 数 ド 数 幅 方 方 路 化 す
オ 式 式 の ま
ー 種 し
バ 類 対

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11
既存の設備への重畳 1 R R R − − − − − − − −
運転条件 信号現示 2 R R R R − − − − − R R
閉そく 3 R R R R − − − − − R R
列車位置検知 4 R R R R − − − − − R R
連続制御,地点制御 5 R R R R − − − − − − −
ブレーキパターン 6 − − − R − − − − − − −
システム進入·進出 7 R R R − − − − − − − R
臨時速度制限 8 R R R − − − − − − R R
システム条件
緊急停止指令 9 R R R − − − − − − R R
連動制御,進路制御 10 R R R − − − − − − R R
踏切制御 11 R R R − − − − − − R R
分割·併合 12 R R R − − − − − − − R
自動列車運転 13 R R R − − − − − − R R
SR : 前提条件と性能要求事項とが直接的な関係
R : 前提条件と性能要求事項とが間接的な関係
− : 前提条件と性能要求事項とで無関係
A.3.2 運転条件
A.3.2.1 既存の設備への重畳と無線パラメータとの関係
A.3.2.1.1 周期
無線式列車制御システムを既存の設備へ重畳する場合は,複数種類の運転システムが同時に機能するこ
とで,関連する装置間の相互の干渉を引き起こす可能性がある。これが伝送品質に影響する可能性がある
ため,伝送周期に与える影響を考慮する。
非搭載車が地上信号機によって制御される場合,無線制御による制御と地上信号機の制御による制御タ
イミングのずれに影響する伝送周期を考慮する。
A.3.2.1.2 容量
無線式列車制御システムを既存の設備へ重畳する場合は,複数のシステムが同時に動作することで,関
連する装置間の相互の干渉を引き起こす可能性がある。これが伝送品質に影響する可能性があるため,容
量に与える影響を考慮する。
A.3.2.1.3 接続数
無線式列車制御システムを既存の設備へ重畳する場合は,複数のシステムが同時に動作することで,関
連する装置間の相互の干渉を引き起こす可能性がある。これが伝送品質に影響する可能性があるため,接
続数に与える影響を考慮する。

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A.3.2.2 信号現示と無線パラメータとの関係
A.3.2.2.1 周期
現示情報の授受において,送受信の周期が適切か考慮する。
A.3.2.2.2 容量
現示情報の授受において,送受信の容量が適切か考慮する。
A.3.2.2.3 接続数
現示情報の授受において,送受信の接続数が適切か考慮する。
A.3.2.2.4 ハンドオーバ
ハンドオーバ実行時に,現示情報の通信が適切か考慮する。
A.3.2.2.5 暗号化
現示情報の授受に当たっては,容易に改変などが行われないよう,暗号化する。
A.3.2.2.6 なりすまし対策
現示情報の授受に当たっては,なりすまし対策を行う。
A.3.2.3 閉そくと無線パラメータとの関係
A.3.2.3.1 周期
必要な情報(閉そく情報など)を運転頻度に応じて適切に送受信できるよう,周期を考慮する。
A.3.2.3.2 容量
必要な情報(閉そく情報など)を運転頻度に応じて適切に送受信できるよう,容量を考慮する。
A.3.2.3.3 接続数
必要な情報(閉そく情報など)を運転頻度に応じて適切に送受信できるよう,接続数を考慮する。
A.3.2.3.4 ハンドオーバ
必要な情報(閉そく情報など)を適切に送受信できるよう,ハンドオーバ条件を考慮する。
固定閉そくの路線の場合,ハンドオーバ条件は閉そく境界を考慮して設定する。
A.3.2.3.5 暗号化
閉そく情報の授受に当たっては,容易に改変などが行われないよう,暗号化する。
A.3.2.3.6 なりすまし対策
閉そく情報の授受に当たっては,なりすまし対策を行う。
A.3.3 システム条件
A.3.3.1 列車検知と無線パラメータとの関係
A.3.3.1.1 周期
列車位置検知を確実に行うために,列車位置情報又は列車位置検知に必要な情報を必要なタイミングで
授受できるよう,十分短い伝送周期を確保する。
A.3.3.1.2 容量
列車位置検知を確実に行うために,列車位置情報又は列車位置検知に必要な情報を必要なタイミングで
授受できるよう,十分な伝送容量を確保する。
A.3.3.1.3 接続数
列車位置検知を確実に行うために,列車位置情報又は列車位置検知に必要な情報を授受できるよう,十
分な接続数を確保する。
A.3.3.1.4 ハンドオーバ
列車位置検知を確実に行うために,列車位置情報又は列車位置検知に必要な情報を必要なタイミングで

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授受できるよう,無線局間の境界において,迅速かつ信頼性のあるハンドオーバを行う。
A.3.3.1.5 暗号化
列車位置情報又は列車位置検知に必要な情報の授受に当たっては,暗号化を施す。
A.3.3.1.6 なりすまし対策
列車位置情報又は列車位置検知に必要な情報の授受に当たっては,なりすまし対策を行う。
A.3.3.2 連続制御と地点制御との相違の考慮
列車制御システムは地点制御又は連続制御を使用することを考慮して,無線パラメータは導くことがで
きる。特に,地点制御を採用するシステムについては,無線パラメータを決定するために,伝送エリアに
入る際の過渡現象,及びデータ伝送にかかる時間を考慮する。
A.3.3.3 ブレーキパターンと無線パラメータとの関係(ハンドオーバ)
無線局境界の手前においてハンドオーバ完了以前はその境界点を仮の停止限界とするブレーキパターン
を使用し,ハンドオーバ完了後に本来の停止限界に対するブレーキバターンに切り替える制御方式を採用
する場合は,無線局境界でのブレーキパターンの切替えが列車制御に支障を与えないように,速やかで確
実なハンドオーバを実施する。
A.3.3.4 システム進入·進出と無線パラメータとの関係
A.3.3.4.1 周期
システム進入時に制御方式を速やかに切替えできるように,十分に短い伝送周期を確保する。
A.3.3.4.2 容量
システム進入時に制御方式を速やかに切替えできるように,十分な伝送容量を確保する。
A.3.3.4.3 接続数
システム進入時に制御方式を速やかに切替えできるように,十分な接続数を確保する。
A.3.3.4.4 なりすまし対策
システム進入時は,なりすまし対策を行う。
A.3.3.5 臨時速度制限と無線パラメータとの関係
A.3.3.5.1 周期
臨時速度制限に必要な情報を適切なタイミングで送信できるように,十分に短い伝送周期を確保する。
A.3.3.5.2 容量
複数の臨時速度制限を車上で一度に処理する場合は,十分な伝送容量を確保する。
A.3.3.5.3 接続数
複数の臨時速度制限を車上で一度に処理する場合は,十分な接続数を確保する。
A.3.3.5.4 暗号化
臨時速度制限に必要な情報の授受に当たっては,暗号化を施す。
A.3.3.5.5 なりすまし対策
臨時速度制限に必要な情報の授受に当たっては,なりすまし対策を行う。
A.3.3.6 緊急停止指令と無線パラメータとの関係
A.3.3.6.1 周期
緊急停止信号をシステムが必要とするタイミングで授受できるように,十分に短い伝送周期を確保する。
A.3.3.6.2 容量
緊急停止信号をシステムが必要とするタイミングで授受できるように,十分な伝送容量を確保する。

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