JIS E 5012-2:2015 鉄道車両―電力用コンデンサ―第2部:アルミニウム非固体電解コンデンサ | ページ 4

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7 安全要求事項

7.1 放電デバイス

  モジュール中又はバンク中に組み込む放電デバイスに抵抗を使うことは,必ずしもパワーエレクトロニ
クス用コンデンサに適するとはいえないが,発注者から放電抵抗の使用を要求された場合,各コンデンサ
のモジュール又はバンクには,初期のURDCから60 V以下まで,所定の放電時間で放電する抵抗値を選ば
なければならない。
放電時間は,受渡当事者間の協定による。
放電デバイスは,取扱い前に端子と大地との間を短絡するための代替品ではない。
放電経路を備えた他の電気装置に接続されたコンデンサの場合,上記の規定する時間内にコンデンサを
放電できる回路特性でなければならない。
放電回路は,最高過電圧のピークから放電するための適切な通電能力をもっていなければならない。

7.2 ケース接続(接地)

  コンデンサの金属ケースの電位を固定するため,及び破壊時の事故電流をケースに流すために,ケース
は,事故電流を流すのに十分な接続を施し,接続具に適した無塗装の耐腐食性の金属部へ接続する。

7.3 環境保護

  コンデンサが環境に拡散してはならない材料を含有している場合,予防措置がとられなければならない。
この点に関して,国によっては法規制がある。
発注者は,コンデンサを取り付ける国に適用される製品のラベル(取扱説明書,危険警告など)に関す
る個別の要求事項を規定しなければならない(8.2参照)。要求がある場合,製造業者は可燃物の量又は主
要成分の質量を提出しなければならない。
注記 主要成分とは,コンデンサの1 %を超える質量の成分をいう。

7.4 その他

  発注者は,問合せがあれば,コンデンサを取り付ける国に適用される安全に関する個別の規制を規定し
なければならない。

8 表示

8.1 コンデンサの表示

8.1.1  セル
セルごとの定格銘板に次の情報を掲載する。
− 製造業者名(会社名の略称)又は商標
− 製品確認番号,製造日(製造の年,月又は週)又は製造番号
− 静電容量 : F又はF
− 静電容量許容差 : %又はJIS C 5062の箇条5で規定された許容範囲コード(任意)
− UR(定格電圧) : V
注記1 コンデンサセルの表示の位置は,受渡当事者間の協定によって決めることが望ましい。
注記2 定格銘板に全ての上記項目を表示することが困難な小さいコンデンサセルに対しては,一部
の項目を取扱説明書に記載してもよい。
注記3 受渡当事者間の協定によって,定格銘板に追加情報を加えることができる。
8.1.2 モジュール又はバンク
モジュール又はバンクの定格銘板に次の情報を掲載する。

――――― [JIS E 5012-2 pdf 16] ―――――

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E 5012-2 : 2015
− 製造業者名(会社名の略称)又は商標
− 製品確認番号,製造日(製造の年,月又は週)又は製造番号
− 静電容量 : F又はF
− 静電容量許容差 : %又はJIS C 5062の箇条5で規定された許容範囲コード(任意)
− UR(定格電圧) : V
− Is(最大サージ電流) : A(任意)
− Tmax(最高動作温度) : ℃(任意)
− 最大締付けトルク : N・m(任意)
− 冷却空気温度(強制風冷のときだけに適用,4.1.3参照)(任意)
− この規格の番号(任意)
注記1 モジュール又はバンクの表示の位置は,受渡当事者間の協定によって決めることが望ましい。
注記2 定格銘板に全ての上記項目を表示することが困難な小さいモジュール又はバンクに対して
は,一部の項目を取扱説明書に記載してもよい。
注記3 受渡当事者間の協定によって,定格銘板に追加情報を加えることができる。

8.2 データシート

  コンデンサを正しく運転するための情報は,製造業者によって提示されなければならない。セルが環境
を汚染する又は何らかの形で危険を及ぼす材料を含有する場合,これらの材料及びその量を使用者の国の
安全に関連する法令に従って,データシートで明確にしなければならない。発注者は,それらの法令につ
いて,製造業者に連絡しなければならない。
注記1 発注者が,法令を製造業者に連絡しない場合,製造業者が,その法令及び規制を調査しても
よいし,そのほうが望ましい。
注記2 受渡当事者間の協定によって,質量パーセントを記載したSDS(JIS Z 7253参照)を提出し
てもよい。

9 取付け及び使用の指針

9.1 一般

  過負荷はコンデンサの寿命を短くするため,使用条件(例えば,温度,電圧,電流及び冷却)は,厳密
に管理することが望ましい。
コンデンサの種類の相違及び多くの要素があるため,全ての場合において取付け又は運転を単純な規則
で規定することはできない。
箇条9の情報は,検討すべきより重要な事項を示している。また,製造業者及び関連機関の使用指導書
に従う必要がある。
主な用途に,直流高調波フィルタがある。このコンデンサは,外部から供給される直流電圧には,一般
に非正弦波交流電圧の高調波が含まれるので,この高調波を除去する目的で使用される。

9.2 定格電圧の選択

  コンデンサの定格電圧は,繰返し発生するピーク電圧と同じ値又はそれより高い値である。
パワーエレクトロニクスの用途の多くは変動する負荷である。そのため,受渡当事者は,定格電圧と実
際に発生する電圧ストレスを広範囲にわたって議論することが必要である。
注記 最高許容電圧及び最高動作温度で使用することは,寿命時間を減少させることになる。

――――― [JIS E 5012-2 pdf 17] ―――――

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9.3 動作温度

9.3.1  コンデンサの寿命
コンデンサの寿命は,動作温度,リプル電流,印加電圧及びその他の要因の影響を受ける。製造業者は,
実運転条件で評価する寿命を算出する式を提供してもよい。しかし,算出する式は一定の制限をもつ。コ
ンデンサの動作温度は,コンデンサの寿命に大きな影響をもつので,次のことを注意することが望ましい。
− 過度な温度は,コンデンサの誘電体の電気化学的な劣化を加速する。
− 極端に低い温度又は高温から低温への急激な温度変化は,誘電体又は機械的な構造に部分的な劣化を
起こすことがある。
9.3.2 取付け
コンデンサは,内部損失によって熱を発生するが,対流と放射とによって熱が十分放出できる取付けで
なければならない。
日照又は高温になる機器の表面からの放射によっても,コンデンサの温度は上昇する。取付け後,最も
厳しい使用条件(電圧,電流及び冷却温度)において,コンデンサ動作温度がTmaxを下回っていることを
検証する必要がある。
冷却空気温度,冷却効果及び放射の強さと時間とによって,次の予防処置をとってもよい。
− 熱放射からコンデンサを保護する。
− 動作温度の高いコンデンサの選択又は箇条4,箇条6及び9.4に規定した定格よりも高い定格電圧のコ
ンデンサを使用する。
− 標高の高い(1 400 mを超える)ところに取り付けるコンデンサは熱の放出能力が少なくなる。この
点は装置の出力を決める際に考慮するのがよい。
製造業者は,周囲温度,負荷及び冷却条件を関数としたコンデンサのホットスポットの熱挙動を示す温
度データを提示するとよい。冷却条件は,製造業者が推奨する。
注記 円筒のコンデンサは,圧力安全機構として圧力弁を終端封止部にもっているものもある。ねじ
端子コンデンサセルの場合には,プラスチックコンパウンドが内部素子を固定するために使わ
れる。コンパウンドは,コンデンサが異常発熱した際,溶融することもある。溶融したコンパ
ウンドが圧力弁を妨害する場合,圧力弁の作動性に支障をきたす。終端封止部に圧力弁をもつ
ねじ端子コンデンサの場合,圧力弁が下向きになる配置は,しないほうがよい。セルを横向き
に配置する場合,圧力弁及び電極の+端子の両方を図1のようにするのがよい。
図1−圧力弁位置の例

――――― [JIS E 5012-2 pdf 18] ―――――

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9.3.3 特殊冷却条件
例外的に周囲温度が,40 ℃を超えることがある場合,製造業者は,寿命時間及び運転の安全性に関して
考慮しなければならない。

9.4 過電圧

  特別な使用条件で発生する過渡過電圧に対しては,より高い定格電圧のコンデンサを選択することが強
く望まれる。

9.5 過電流

  コンデンサは,3.13,3.14及び3.15に定義する最大値を超える電流で使用しないことが望ましい。
コンデンサを回路に投入した場合又は装置のスイッチを投入した場合,高周波で大きな過渡過電流が,
発生する可能性がある。これらの過渡過電流は,コンデンサ及び装置の許容値内とする。
コンデンサがヒューズ(外部ヒューズ)で保護されている場合,スイッチ動作に伴う過渡過電流のピー
ク値は最大サージ電流(Is)を限度にしなければならない。

9.6 スイッチングデバイス及び保護デバイス

  スイッチングデバイス,保護デバイス及び接続部は,スイッチ投入などで発生する高周波数で大きな過
渡過電流によって,引き起こされる可能性がある電気力学的及び熱的ストレスに,耐えられなければなら
ない。
電気力学的及び熱的ストレスに対処すると過大な寸法となる場合,過電流保護を目的とした特別な予防
措置を取るのがよい。

9.7 沿面距離及び空間距離の選択

  IEC 62497-1を参照。

9.8 接続部

  コンデンサに電流を流すリード線は,コンデンサからの熱を放出することができる。同様に,このリー
ド線は外部接続部で発生した熱をコンデンサに伝えることにもなる。
そのため,コンデンサと接続する接続端子部及び配線は,コンデンサ自体より常に低い温度に保つ。
コンデンサ回路の接続不良は,接続部で部分発熱及びアークを発生させ,コンデンサに過熱又は過剰な
ストレスをもたらす。
そのため,コンデンサ装置の接触部,コンデンサの端子部及び配線の全てを定期点検することを推奨し
ている。

9.9 コンデンサの並列接続

  コンデンサの並列接続では,電流流路間の抵抗及びインダクタンスの僅かな違いによって電流が偏り,1
個のコンデンサ流路が過負荷になるという危険が発生するため,並列回路の設計では,この点を特に注意
する必要がある。
また,1個のコンデンサが,短絡故障すると,このコンデンサと並列接続されたコンデンサからの放電
が起こり,その全エネルギーは,破壊した箇所で急激に消費される。この事象には,特別な予防手段が必
要である。

9.10 コンデンサの直列接続

  コンデンサの直列接続だけでは,個々のコンデンサの特性の違いによって,セル間の電圧に不均衡が生
じる。このため,直列回路の設計では,この分担電圧の均等化に注意する必要がある。
また,モジュール又はバンクの直列接続では,その配列によって,絶縁電圧を選ばなければならないが,
この場合,特別な予防手段が必要である。

――――― [JIS E 5012-2 pdf 19] ―――――

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9.11 磁気損失及び渦電流

  パワーエレクトロニクスの中の導電体が作る強い磁場は,磁気ケースの交流磁化及び金属部に渦電流を
誘導し,熱が発生するおそれがある。そのため,コンデンサを大電流の流れる導電体から安全距離をとっ
て取り付ける措置及び磁性材料の使用をできる限り避ける措置が必要である。

9.12 保護デバイスをもたないコンデンサの指針

  保護デバイスをもたないコンデンサの場合には,発注者は,コンデンサが故障しても危険が発生しない
限定された取付けになっているかを確認する。

――――― [JIS E 5012-2 pdf 20] ―――――

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JIS E 5012-2:2015の引用国際規格 ISO 一覧

  • IEC 61881-2:2012(MOD)

JIS E 5012-2:2015の国際規格 ICS 分類一覧

JIS E 5012-2:2015の関連規格と引用規格一覧