JIS E 5302:2017 鉄道車両―推進軸 | ページ 3

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E 5302 : 2016
表4−性能
該当の試験
項目 性能
の細分箇条
静的ねじり強度 非常最大トルクまでの負荷で,推進軸各部に破損,変形などの異7.3.2
常が,あってはならない。
ねじり剛性 負荷トルクと推進軸のねじれ角度との関係が,設計上の許容範囲7.3.3
でなければならない。
静的応力測定 最大応力が当該部の材料の許容応力以下でなければならない。 7.3.4
ねじり疲労強度 トルク伝達に支障するような破損,変形などが,推進軸各部にあ7.3.5
ってはならない。
回転特性 回転中に異音又は異常振動を生じてはならない。 7.3.6
釣合い良さ JIS B 0905のG16に適合しなければならない。 7.3.7
スプラインしゅう動抵抗 負荷トルクを負荷した状態でのしゅう動抵抗力が,定められた許7.3.8
容範囲a) になければならない。
スプライン部の探傷 性能に支障するようなきず及び焼割れがスプラインの表面にあっ7.3.9
てはならない。
溶接部の探傷 トルク伝達に支障するような表面の亀裂及び内部の融合不良が,7.3.10
全溶接線にあってはならない。
傾斜角度の確認 最大傾斜角度までの傾斜角で回転できなければならない。 7.3.11
注a) 振り子車両などの場合は車体の傾斜に支障しない範囲の抵抗力を指定する。

7 試験

7.1 試験の種類

  試験の種類は,次による。
a) 形式試験 形式試験は,同一の設計ごとに一つの製品について行う。ただし,量産品については,生
産者がそれ以前に製造した同一の製品についての形式試験成績書を提出する場合には,これらの試験
を省いて形式試験に合格したものとみなすことができる。
b) 受渡試験 受渡試験は,同一発注の全ての製品について行う。
c) 調査試験 調査試験は,受渡当事者間において必要と認めた場合に適用する。ただし,仕様書に特別
の合意が明示されていない限り,この試験結果を製品の受渡条件とはしない。

7.2 試験項目

  推進軸の試験項目は,試験の種類ごとに表5に○印を付した項目を適用する。
表5−適用する試験項目
試験項目 形式試験 受渡試験 調査試験
静的ねじり強度 ○ − −
ねじり剛性 − − ○
静的応力測定 − − ○
ねじり疲労強度 ○ − −
回転特性 ○ − −
釣合い良さ ○ ○ −
スプラインのしゅう動抵抗 − − ○
スプライン部の探傷 ○ ○ −
溶接部の探傷 ○ ○ −
傾斜角度の確認 ○ − −

――――― [JIS E 5302 pdf 11] ―――――

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7.3 試験方法

7.3.1  共通
推進軸は端部I及び端部IIの継手の位相を合わせた上で,車両搭載状態に準じた取付寸法及び傾斜角度
0°で試験機に取り付ける。この取付け姿は,7.3.27.3.6において共通とする。
7.3.2 静的ねじり強度
破壊するまでトルクを負荷したとき,非常最大トルクまでの負荷の範囲で,推進軸各部[十字継手,ヨ
ーク,伸縮部(スプライン部),溶接部]に破損,変形などの異状がないことを確認する。
7.3.3 ねじり剛性
負荷トルクと推進軸のねじれ角度との関係が,設計上の許容範囲であることを確認する。この測定は,
7.3.2と同時に行うことができる。
7.3.4 静的応力測定
トルク0から非常最大トルクまで負荷したときの十字軸,ヨークなど断面形状急変部の応力集中部位(図
7参照)にひずみゲージを貼付して応力を測定し,最大応力が当該部の材料の許容応力以下であることを
確認する。この測定は,7.3.2と同時に行うことができる。
注記 測定部位の特定のため,事前にFEM解析を実施することが望ましい。
A部
B部
C部
↓ ↓ ↓
A部詳細
B部詳細
C部詳細
a) 十字軸 b) ヨーク(ブロック方式) c) ヨーク(スナップリング方式)
注記 太線の矢印で示すひずみゲージの位置は,代表例を示す。
図7−応力測定部位の例
7.3.5 ねじり疲労強度
常用最大トルク(負荷形態は両振りの正弦波)を1 000万回まで繰り返し負荷した後,推進軸各部[十
字継手,ヨーク,伸縮部(スプライン部),溶接部]にトルク伝達に支障するような破損,変形などがない
ことを確認する。

――――― [JIS E 5302 pdf 12] ―――――

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7.3.6 回転特性
最大回転速度で回転させたとき,異音又は異常振動がないことを確認する。
7.3.7 釣合い良さ
最大回転速度で回転させ,釣合い良さの等級を確認する。
注記 釣合い良さ修正のための付加質量の調整(増減)は,本体の強度低下を招かないように注意す
る。
7.3.8 スプラインしゅう動抵抗
受渡当事者間で決めた負荷トルクを負荷した状態でのしゅう動抵抗力が,スプラインの種類によって定
められた許容範囲にあることを確認する。
7.3.9 スプライン部の探傷
高周波焼入れ処理を施工したスプラインは,JIS Z 2320-1の磁粉探傷試験(以下,MTという。)又はJIS
Z 2343-1の浸透探傷試験(以下,PTという。)を行い,性能に支障するようなきず及び焼割れがスプライ
ンの表面にないことを確認する。
7.3.10 溶接部の探傷
全溶接線に対して,JIS Z 2320-1のMT又はJIS Z 2343-1のPTを行い,トルク伝達に支障するようなき
ずが表面にないことを確認する。また,JIS Z 2344又はJIS Z 3060の超音波探傷試験を行い,トルク伝達
に支障するような内部の融合不良がないことを確認する。
7.3.11 傾斜角度の確認
最大傾斜角度までの傾斜角で回転できることを,実機又は図面上(3Dデータを含む。)で確認する。

8 製品の呼び方

  推進軸の呼称は,規格番号に続けて各部を構成する種類記号を並べて表示する。
種類記号は,各部ごとに次による。
a) 端部の取付方法 A : フランジ固定方式
B : 固定ヨーク方式
b) 自在継手部の種類 1 : スナップリング方式
2 : ベアリングキャップ方式
3 : ブロック方式
4 : ゴム軸継手方式
c) 最短寸法 図6の(La−L2)
d) 伸縮量 図6の(L1+L2)
e) 最大回転径 図6の(φE)
表示例 JIS E 5302;A-1-(L500+30)-1-A : 180
最大回転径 mm
端部IIの取付方法
自在継手部の種類
最短寸法+伸縮量(L○○○+○○)mm
自在継手部の種類
端部Iの取付方法

――――― [JIS E 5302 pdf 13] ―――――

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9 表示

9.1 合いマークの表示

9.1.1  十字継手部の位相合わせ
推進軸には,十字継手部の位相合わせ用の合いマークを表示する(図8参照)。
a) 刻印表示
入力側と出力側で色を変える
b) ペイント表示
図8−位相合わせ用の合いマークの例
9.1.2 ベアリングキャップの合わせ記号
十字軸の固定方法が,ベアリングキャップ方式の場合は,二つ割りのベアリングキャップ部分に,合い
マークを示す記号を表示する。合いマークを示す記号は,同じヨークの左右で区別する(図9参照)。
図9−合いマーク表示箇所の例

9.2 製品情報の表示

  推進軸には,見やすい箇所に次の事項を表示する。表示に当たっては,推進軸の強度低下を防ぐための
注意を払い,シール貼り,刻印などの方法によって表示する。
a) 製造業者名又はその略号
b) 形式及び製造番号
c) 製造年月

――――― [JIS E 5302 pdf 14] ―――――

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附属書A
(規定)
伝達トルクの算出方法
A.1 目的
この附属書は,推進軸の伝達トルクのうち,常用最大トルク及び非常最大トルクを算出する方法を示す。
A.2 記号及び単位
この附属書で用いる記号及び単位は,表A.1に示す。
表A.1−記号及び単位
記号 単位 適用 記事
D0 m 新製時の動輪直径 −
D m 中間摩耗時の動輪直径 −
T0 kN・m 第一推進軸の常用最大トルク −
T2 kN・m 第二推進軸の常用最大トルク 連続駆動の場合
Tm kN・m 第一推進軸の非常最大トルク −
Tm1 kN・m 第一推進軸の非常最大トルク 連続駆動の場合
Tm2 kN・m 第二推進軸の非常最大トルク 連続駆動の場合
V km/h 車両速度 −
W kN 動軸上最大質量による荷重 一動軸分
Z0 kN 動輪周引張力 一軸駆動一動軸分
Z1 kN 第一減速機軸の動輪周引張力 連続駆動の場合
Z2 kN 第二減速機軸の動輪周引張力 連続駆動の場合
Zmax kN 粘着最大接線力(W×μ) 一動軸分
μ − 粘着係数 鉄軌道では1/3
γ − 二段減速機の減速比(γA×γB) −
γA − はすば歯車の減速比 −
γB − かさ歯車の減速比 −
η − 二段減速機の機械効率(ηA×ηB) 0.931
ηA − はすば歯車の機械効率a) 0.98
ηB − かさ歯車の機械効率a) 0.95
注a) 歯車の機械効率は,一般的な数値を用いる。
A.3 第一及び第二推進軸(主に鉄軌道車両の場合)
A.3.1 駆動方式別の伝達トルク
図A.1に示す性能線図から,速度0 km/h(内燃動車ではストール時という。)の動輪周引張力Z0を用い
て駆動方式別に常用最大トルクT0を,次によって求める。表示単位は,kN・mとする。

――――― [JIS E 5302 pdf 15] ―――――

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