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F 0600-1 : 2015 (ISO 13073-1 : 2012)
附属書C
(規定)
船舶の防汚方法に使用する無機殺生物性活性物質の
リスクキャラクタリゼーションにおいて考慮すべき問題
C.1 はじめに
この附属書では,船舶の防汚方法に使用する無機殺生物性活性物質の環境リスク評価の意思決定プロセ
スを規定するため箇条7の記載内容を詳しく説明する。海洋環境保護のための適切な環境リスク評価を規
定することがこの附属書の目的である。無機物は通常非分解性なので,次の点を特別に考慮しなければな
らない。影響を抑制する他の機序の存在する可能性があるため,附属書Bで定義した段階1の生物濃縮及
び分解の評価基準に照らして非分解性物質を評価することは適切でない。
C.2 データの豊富な無機物のデータ収集及びリスク評価手法
合成有機物のために開発された方法論を用いて天然の無機物のリスク評価を行うことは適切でない場合
がある。それらの方法は,天然の無機物の性質及び生物相との相互作用を適切に扱えない可能性がある。
例えば,次の項目などがある。
− 天然由来及び人為的汚染
− 必須性
− 恒常性維持調節メカニズム
− 様々な自然環境への順化
− 生物学的利用能
多くの無機物については,多くの試験が繰り返されたため非常にデータが豊富であり,したがって,広
範に収集されたデータを評価するため,6.1.1.3で説明しているように試験の複合的な選別及び評価が必要
である。
天然の無機物のリスク評価プロセスは,環境保護に対して妥協することなく現実的な評価を導き出すた
め,天然由来,必須性,生物学的利用能などの要因に関する情報を含むように構築されることが望ましい。
C.3 データ収集
プロセスの第一段階は,入手可能な全てのデータの収集である。収集されたデータは,品質及び信頼性
に関して選別することが望まれる。
要求データ及び情報を次に示す。試験プロトコル例の詳細を附属書Eに記載している。
C.3.1 物理化学的性質
附属書Gに示す物理化学的性質に関するデータが必要である。
C.3.2 水/底質間の分配
OECDテストガイドライン106の段階2で明記はされていないが,その手順を底質にも適用可能である。
もう一つの方法はHPLC法による吸着度の推定である(OECD TG121)。物質によってはHPLC法がまだ十
分に検証されていないため注意することが望ましい。
C.3.3 魚及び/又は水生無脊椎動物の生物濃縮係数(BCF)
物理化学的特性に基づいて,水生生物固有の殺生物性活性物質の生物濃縮の可能性について,評価結果
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F 0600-1 : 2015 (ISO 13073-1 : 2012)
を提出することが望ましい。特に金属などの無機物の場合,トキシコキネティクス試験(必要に応じて代
謝に関するものを含む。),水生生物の残留調査又はモニタリングデータ(例として,水生生物の組織中の
残留及び環境における残留濃度に関するデータ)若しくは利用可能な関連する試験に基づいた評価結果を
提出することが望ましい。
水系の生物濃縮の評価には,海洋生物及び魚食性の鳥類又は捕食動物を含む淡水及び/又は海水環境の
食物連鎖と関連する生物濃縮係数の推定値を含めることが望ましい。
多くの無機物,特に金属に対しては,ほとんどの生物が恒常性維持調節メカニズムを保持しており,生
物濃縮試験が適切でない場合があることに注意することが望ましい。
魚類及び/又は無脊椎動物の適切な種で生物濃縮試験を実施しなければならない。試験方法例を附属書
Eに示す。
C.3.4 その他のデータ
必要な情報を,次に記す。
a) 異なる環境区画及び状況における物質の生物学的利用能に影響する因子に関する情報
− 区画内の有機物の影響
− 区画内の粒子状物質の影響
− 水生区画内pHの影響
− 淡水の硬度
注記 生物学的利用能への主な影響は,水質に関する因子であり,上記を含むがそれに限定されな
い。
b) 対象とする環境区画及び状況における物質の天然由来に関する情報
C.4 アセスメント係数
アセスメント係数の設定方法の幾つかの例を,附属書Fに記載する。
無機物については,様々な分類群についての非常に多くの広範囲な慢性毒性試験が存在する場合が多い
ため,PNECを導き出すために統計的外挿法を使用することができる。その際,データセットの規模及び
品質の信頼性に基づいて低いアセスメント係数(通常15)を適用できる。
C.5 リスクキャラクタリゼーション及び不確実性分析
C.5.1 初期リスクの検討事項
初期のリスクキャラクタリゼーションは,予測環境濃度(PEC)を導き出し,それを各環境区画の予測
無影響濃度(PNEC)と比較することによって行う必要がある。導き出したPECとPNECとの比較におい
ては,合理的な結果が得られるよう,不確実性及びデータギャップを理解した上で評価することが望まし
い。
予測リスク(PEC/PNEC)をレビューする場合(図C.1参照),さらに精緻化を行う必要があるかもしれ
ない。その場合,C.5.1.1からC.5.1.4に示すように,天然の無機物の性質の特定の側面に注意を払いなが
ら評価を行うことが望ましい。使用するリスク比を決定する場合には,生物学的利用能を考慮に入れた暴
露モデルを利用する必要があるかもしれない。
注記 生物学的利用能を考慮に入れた暴露モデルがBiotic Ligand Model(BLM)である(C.5.2参照)。
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F 0600-1 : 2015 (ISO 13073-1 : 2012)
暴露評価 影響評価
1. 計算されたバックグラウンド濃度を用いた − データ収集
一般的なモデル − データ(の質)の調査
2. 測定されたバックグラウンド濃度を用いた − PNEC導出(アセスメント係数又は統計的
一般的なモデル 手法)
3. 暴露シナリオの直接的な現場測定
“典型的”かつ“合理的な最悪のケース”のシ YES
ナリオ
論理的検証 :
求めたPNECは
バックグラウンド濃度レベル
又は必須濃度を
下回っているか?
NO
リスクキャラクタリ
ゼーション
リスク比 :
NO 比較的低リスク
PEC/PNEC>1?
YES
暴露評価の精緻化 影響評価の精緻化
− バックグラウンド 更なる − 生物学的利用能
YES YES
− 監視データ 精緻化は可能か? − 必須性
など など
NO
リスク懸念
図C.1−無機殺生物性活性物質のリスクキャラクタリゼーションのプロセス
C.5.1.1 必須性
ある決まった濃度範囲内であれば,生物は,必須元素の体内濃度を制御するために過度のストレスを感
じることなくその恒常性維持調節メカニズムを使用する。
導き出したPNECは理論上このしきい(閾)値以下であってはならない。必須金属の濃度がこのしきい
値を下回る場合,必須金属の欠乏による影響が生じる可能性があるため,PNECを見直すことが望ましい。
C.5.1.2 バックグラウンド濃度
バックグラウンド濃度の情報を入手できる場合,導き出したPNECは論理的にその濃度を下回ることが
できない。
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F 0600-1 : 2015 (ISO 13073-1 : 2012)
C.5.1.3 順応性
生物はその環境における金属濃度に自然に順応できる。試験において当該生物への投与量を設定する場
合,この影響を考慮に入れなければならない。その受容性を決定する場合,当該試験の結果を慎重に検討
することが望ましい。
C.5.1.4 生物学的利用能
一般暴露モデルは,総濃度及び/又は溶存濃度の計算結果を応答する。
特に,必須金属の生物活性は,溶存有機炭素などとの相互作用によって低減することが研究によって分
かっている。
生成する有機金属錯体は生物学的利用能のない可能性があるため,モデル化から得られる総濃度は,生
物活性を真に反映した数値として使用するには最適ではない可能性がある。
C.5.2 水生環境における無機物の化学形態の生物学的利用能のモデル化
金属の生物学的利用能及び毒性は,水化学の働きであると認識されている。例を挙げると,無機及び有
機金属錯体の形成並びにその粒子表面への収着によって金属毒性は低減し得る。結果として,金属毒性は
周囲の水化学に依存し,大きく変動する場合がある。
Biotic Ligand Model(BLM)は,金属化学種及び生物学的利用能への影響を推定するために開発された。
BLMは特定条件下の任意の場所に蓄積する生物学的利用能をもつ金属の量の予測に使用できる。
C.5.3 評価の精緻化
リスク評価は繰り返し実施されるプロセスであるため,段階1における更なるデータの導出又は段階2
におけるより優れた方法の適用によって精緻化を行ってもよい。BLMなどのモデルは常に開発が進んでお
り,新たな結果がもたらされる可能性がある。また,アセスメント係数の低減を可能にする追加の影響デ
ータ又は,典型的な最悪シナリオに相当する環境で実際に計測される測定値を用いた検証を通じた暴露評
価の精緻化によって,評価はさらに精緻化される可能性がある。
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F 0600-1 : 2015 (ISO 13073-1 : 2012)
附属書D
(参考)
データの品質を判断するためのガイダンス例
D.1 はじめに
この附属書は,有害物質の毒性データの品質を判断するための既存のガイダンスの例を記載する。
D.2 データの品質評価に関するOECDガイダンス
− Manual for Investigation of HPV Chemicals, Chapter 3, Data Evaluation:
http://www.oecd.org/document/7/0,3343,en2649343791947463111
D.3 データの品質評価に関するEUガイダンス
− European Chemicals Agency, 2008. Guidance on information requirements and chemical safety assessment
Chapter R.4: Evaluation of available information. Guidance for the implementation of REACH. May 2008
http://guidance.echa.europa.eu/docs/guidancedocument/informationrequirementsr4en.pdf・vers=200808
− 殺生物性製品指令の参考文献−European Chemicals Bureau (2008). Technical Notes for Guidance in
Support of Directive 98/8/EC of the European Parliament and the Council Concerning the Placing of Biocidal
Products on the Market, Common Principles and Practical Procedures for the Authorisation of Registration of
Product, Dossier Preparation and Study Evaluation
D.4 クリミッシュ(Klimisch)スコア法
クリミッシュ(Klimisch)スコア法では,次の四つの信頼性のカテゴリが与えられる。
a) 制限なく信頼性あり(スコア1)
b) 制限付きで信頼性あり(スコア2)
c) 信頼性なし(スコア3)
d) 評価できない(スコア4)
このシステムを用いて,整理された全ての試験に信頼性スコアを付与することが望ましい。スコア1又
はスコア2のカテゴリだけをリスク評価に使用するのが望ましく,スコア3又はスコア4の試験はスコア
1又はスコア2の試験結果を補完するために用いてもよいが,スコア1又はスコア2の試験結果に代替す
ることはできない。
− European Chemicals Agency, 2008. Guidance on information requirements and chemical safety assessment
Chapter R.4: Evaluation of available information. Guidance for the implementation of REACH. May 2008
http://guidance.echa.europa.eu/docs/guidancedocument/informationrequirementsr4en.pdf・vers=200808
注記 OECDの高生産量化学物質の調査マニュアル第3章では,クリミッシュ(Klimisch)スコア
法が全面的に適用されている。
――――― [JIS F 0600-1 pdf 30] ―――――
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JIS F 0600-1:2015の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 13073-1:2012(IDT)
JIS F 0600-1:2015の国際規格 ICS 分類一覧
- 47 : 造船及び海洋構造物 > 47.020 : 造船及び海洋構造物一般 > 47.020.99 : 造船及び海洋構造物に関するその他の規格
- 13 : 環境.健康予防.安全 > 13.020 : 環境保護 > 13.020.99 : 環境保護に関するその他の規格