この規格ページの目次
- 4.7 電線,母線,トランキングシステム
- 5 電磁両立性(EMC)及び高調波ひずみ
- 5.1 一般
- 5.2 全高調波ひずみ(THD)
- 5.3 伝導性及び放射性高周波エミッション
- 6 原動機
- 6.1 一般要求事項
- 6.2 速度変動
- 6.3 並列運転
- 6.4 プロペラからの回生エネルギー
- 7 発電機
- 7.1 一般要求事項
- 7.2 軸受及び潤滑
- 7.3 冷却
- 7.4 保護
- 7.5 試験
- 8 推進用配電盤
- 8.1 一般
- 8.2 試験
- 9 推進用変圧器
- 9.1 一般要求事項
- 9.2 冷却
- 9.3 計装
- 9.4 保護
- 9.5 試験
- 10 コンバータ
- 10.1 一般
- 10.2 半導体コンバータの設計
- JIS F 8073:2017の引用国際規格 ISO 一覧
- JIS F 8073:2017の国際規格 ICS 分類一覧
- JIS F 8073:2017の関連規格と引用規格一覧
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F 8073 : 2017 (IEC 60092-501 : 2013)
必要とされる出力に対して適切でなければならない。
励磁電源回路の保護対象は,短絡に限定してもよい。引き外し処理においては警報を発しなければなら
ない。
励磁装置の内蔵短絡監視装置が引き外しを行った場合には,発電機又は電動機のそれぞれの遮断器も引
き外しを実行しなければならない。
独立した安全装置(例えば,不足周波数及び過電圧防止,又は電圧及び周波数を調整する機能を備えた
もの)が励磁装置に備わっている場合,それらは装置の保護機能が最初に作動するよう調節しなければな
らない。
励磁スイッチが開いたときに,電圧上昇を抑制する手段を励磁回路に備えなければならない。
全高調波ひずみ及び力率について,特別な検討を実施しなければならない。
4.6.2 発電機
自動電圧調整器を含む励磁システムの定常及び過渡的調整条件は,JIS F 8064に従わなければならない。
励磁装置への給電は発電機側から行い,かつ,発電機は自己励磁式としなければならない。電圧確立は,
一般に外部電源の助けを借りずに行わなければならない。
励磁制御回路に冗長性をもった外部給電を用いる場合,電圧確立用であっても励磁器制御回路に対して
外部電源を用いてもよい。外部電源への給電は,対応する主配電盤区画及び蓄電池バックアップ機能を備
えた非常用電源から行わなければならない。全ての発電機に対して少なくとも2系統の外部電源が必要で
ある。個々の発電機励磁システムは,独立した電源によって給電しなければならない。
4.6.3 推進用電動機
励磁器回路は,固定子巻線に給電する電源と同じ電源から給電しなければならない。
これは,励磁回路の電源が固定子巻線に給電する配電盤区画と同一の区画から給電されることである。
4.7 電線,母線,トランキングシステム
ケーブルの選択及び敷設は,JIS F 8071及びJIS F 8072に従わなければならない。
異なる推進システムのケーブルは分離して敷設しなければならない。
コンバータと電動機との間のケーブル敷設に特別な対応を必要とする“コンバータ方式”の場合,コン
バータ製造元の仕様書に従わなければならない。
注記 例 PWMコンバータを使用する場合は,ケーブルの静電容量を低くする対策が必要となる。
ケーブル敷設,母線,トランキングシステム及びスリップリングの設計には,故障電流の大きさ及び持
続時間を含む特別な故障条件を考慮しなければならない。
5 電磁両立性(EMC)及び高調波ひずみ
5.1 一般
推進装置は,JIS C 61000-6-2の性能判定基準Aに準拠しなければならない。これは,通常運用時におい
て性能劣化又は機能停止が,一切許容されないことを意味する。
5.2 全高調波ひずみ(THD)
電圧,周波数及び電流の過渡的変動をもたらす装置は,伝導,誘導又は放射のいずれによっても船上の
他の装置の誤動作を引き起こしてはならない。
設計に当たっては,推進用コンバータが推進ネットワーク内に障害を及ぼす点を考慮しなければならな
い。
推進ネットワークにおいて,電圧の全高調波ひずみ(THD)の値は,10 %を超えてはならない。ただし,
――――― [JIS F 8073 pdf 11] ―――――
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THD値が10 %を超える場合,推進システムの責任者(4.2参照)は,接続される全ての装置が異常なく動
作することを確実にしなければならない。
推進ネットワークと船舶のネットワークとが直接接続されている場合,船舶のネットワーク電圧のTHD
値はJIS F 8061に規定する値を超えてはならない。
配線及びケーブル,変圧器,保護装置などの設計に当たっては,コンバータ装置によって生じる高レベ
ルの高調波電流を考慮に入れなければならない。
高調波ひずみによって生じる熱寄与分は,全ての関係者によって決定する。
5.3 伝導性及び放射性高周波エミッション
JIS F 8081の6.2(エミッションの制限)に示されている伝導エミッション及び放射エミッション制限を
超えるコンバータは,JIS F 8081に規定する特別分電ゾーンの要件に従って設置しなければならない。推
進用コンバータのイミュニティ要件は,少なくとも船上に存在する他の全ての装置に対する要求事項に適
合しなければならない。
コンバータのキャビネット又は区画からの伝導エミッション及び放射エミッションは,許容レベルまで
低減しなければならない。
6 原動機
6.1 一般要求事項
推進用発電機を駆動する内燃機関は補助機関であるが,主機関に関する当該公的官庁の仕様及びJIS F
8076の仕様に適合しなければならない。
6.2 速度変動
推進用発電機を他の船内ネットワークへの給電にも使用する場合,定常時及び瞬時周波数変動は,船内
ネットワークの要求事項に適合しなければならない。
プロペラの速度制御に原動機の速度変化が必要な場合,調速機は,リモート制御に加えてローカル制御
の手段を備えなければならない。
原動機の定格出力は,その過負荷時及び負荷上昇時の能力も含めて,電気装置の動作条件が操縦及び海
洋・気象条件によって,過渡的に変化するときに必要となる電力を十分に供給できなければならない。
6.3 並列運転
複数の発電機を並列運転する場合,使用する調速装置は原動機の動作負荷全域にわたって安定動作を維
持できなければならない。
原動機の調速特性は,並列運転時に各発電機の負荷が,各発電機の出力にできるだけ比例した分担とな
るようにしなければならない。
速度の変更又はスロットル動作によって船の停電を起こしてはならない。
6.4 プロペラからの回生エネルギー
例えば,船が航行中に,船の全速前進から全速後進に切り替えたときに,回生電力が生じる場合がある。
過速度又は逆電力による引き外しを避けるために,回生電力の量は制御装置によって制限されなければ
ならない。
過剰な回生エネルギーを吸収して,推進用電動機を減速する制動抵抗器を,機械式及び電気式回転機械
の外部に設けることができる。
――――― [JIS F 8073 pdf 12] ―――――
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7 発電機
7.1 一般要求事項
発電機は,IEC 60034シリーズ及びJIS F 8064に従って設計しなければならない。
発電機は,少なくともIP 23の保護等級をもたなければならない。高圧発電機は,少なくともIP 44の保
護等級をもたなければならない。
半導体コンバータとともに動作する発電機は,装置において予測される高調波に合わせて設計しなけれ
ばならない。正弦波負荷に比べ,温度上昇に対して十分な余裕を考慮しなければならない。
定格値が500 kVAを超える発電機の固定子巻線には,温度センサを備えなければならない。
1 500 kVAを超える発電機は,差動電流保護継電器を設けなければならない。
7.2 軸受及び潤滑
7.2.1 一般
全ての軸受には温度計測装置を備えるか,又は温度計を設置しなければならない。測定点はIEC 60034-1
の規定によらなければならない。
傾斜した位置であっても十分な潤滑を確保しなければならない。軸受の潤滑を点検するための措置を講
じなければならない。
通常の潤滑油が供給できなくなったときに,機械が静止するまでに十分な潤滑を提供する装置を発電機
に設けなければならない。
潤滑液は,軸受から流出したり機械に浸入したりしてはならない。
軸受において強制潤滑を行う場合,油の供給に不具合がある(オイルポンプの停止,軸受供給管の圧力
低下など)及び過剰な軸受温度に達したときには,警報を発しなければならない。さらに,温度が上昇し
た場合には,発電機は停止しなければならない。
軸受の損傷防止のために,軸受と軸の間には,有害な電流が流れないように対策を講じなければならな
い。少なくとも一つの軸受は機械から電気的に絶縁された状態で取り付けなければならない。
7.2.2 スリーブ軸受
スリーブ軸受は,容易に交換可能なものでなければならない。
二つの部分からなる軸受は,そのいずれかに下側の軸受胴の温度を示す温度計を設けなければならない。
7.2.3 ころ軸受
必要な場合には,ころ軸受には,十分な予圧を与えなければならない。
7.3 冷却
強制換気装置,空気ダクト,エアフィルタ又は水冷式冷却器を備えた機械の冷却空気温度は,機械の外
から読み取ることができる温度計によって連続監視しなければならない。警報を発する温度センサを設け
なければならない。
熱交換器による閉回路冷却法を行う機械の場合,一次冷却剤及び二次冷却剤の流量を監視しなければな
らない。
水冷式熱交換器を備えた機械は,漏えい監視が必要である。
7.4 保護
保護はJIS F 8063によらなければならない。
7.5 試験
推進用発電機は,製造元の工場で個々に試験を行う。試験範囲はIEC 60034シリーズに規定されている。
温度上昇試験においては,全高調波ひずみ(5.2参照)によって発生する熱を考慮しなければならない。
――――― [JIS F 8073 pdf 13] ―――――
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8 推進用配電盤
8.1 一般
推進用配電盤は,造船技術として必要な要求事項に適合させたIEC 62271-200(高圧配電盤)又はJIS F
8065(低圧配電盤)に従わなければならず,主配電盤と同様の設計としなければならない。主母線系統の
分離は,負荷スイッチ断路器又はそれらと同等の装置によって行わなければならない。
推進用電動機に用いる発電機の電力は,船内給電に用いることができる。
全高調波ひずみ(5.2参照)及び力率は,特に考慮しなければならない。
8.2 試験
保護装置,インターロックなどの総合試験は,主配電盤の試験要件において行わなければならない。
9 推進用変圧器
9.1 一般要求事項
9.1.1 一般
変圧器及びリアクトルはJIS F 8066の規定,電力変圧器はIEC 61378-1及びIEC 60076シリーズの規定
にそれぞれ従わなければならない。
全高調波ひずみ(5.2参照)並びに力率及びPWMタイプのコンバータ採用の場合,コア損失の増加に特
別な考慮をしなければならない。
推進用変圧器を取り付ける場合,1軸船においては,独立した推進用変圧器を少なくとも2台装備しな
ければならない。
個別の巻線をもつ変圧器だけを使用しなければならない。電動機の始動には自動タップ切換え変圧器を
用いてもよい。
高圧から低圧を生成する変圧器には,低圧コイルと高圧コイルとの間に接地済みのシールド巻線を設け
なければならない。
推進用変圧器の巻線温度は,監視しなければならない。
9.1.2 保護等級
機関室に置く変圧器は,少なくともIP 23の保護等級としなければならない。機関室に置く高圧変圧器
は少なくともIP 44の保護等級としなければならない。その他の保護等級はJIS F 8075に従って選ぶこと
ができる。
9.2 冷却
9.2.1 液冷変圧器
22.5°までの傾斜においても,巻線が液体に完全に覆われるよう対策を講じなければならない。
上記対策には,液体の正しい処分を可能にする回収装置を設けなければならない。
可燃性の液体の場合,変圧器の近辺には火災検知器及び適切な消火装置を設置しなければならない。消
火装置は手動式としてもよい。
液冷変圧器には,ガス作動式保護装置を備えなければならない。
液体の温度は,監視しなければならない。最高許容温度に達する前に,予備警報を発しなければならな
い。最高許容温度に到達した場合,変圧器への給電を遮断しなければならない。
2個の個別センサによって,液体の液面レベルを監視しなければならない。監視システムは,第1段階
において警報を発し,許容値を超えた第2段階においてシャットダウンを行わなければならない。
9.2.2 空冷変圧器
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強制換気変圧器の冷却空気の気流及び温度を,監視しなければならない。
9.2.3 強制空冷及び水冷変圧器
熱交換器による閉回路冷却法を行う変圧器の場合,一次冷却剤及び二次冷却剤の流量を監視しなければ
ならない。漏水及び凝結した水分が,巻線に触れないようにしなければならない。漏えい監視が必要であ
る。
9.3 計装
推進用変圧器の一次側系統には,三相電流計を設けなければならない。
9.4 保護
各推進用変圧器は,一次側及び二次側の短絡に対して保護しなければならない。
変圧器の一次側が短絡に対してだけ保護されている場合,二次側で過電流に対する保護を行わなければ
ならない。
二次側の保護はコンバータを用いることができる。
高圧変圧器では,主たる保護が適切でない場合,差動保護装置を備えなければならない。
9.5 試験
推進用変圧器は,製造元の工場で個々に試験を行わなければならない。試験範囲は,ベクトル群試験を
含めIEC 60076に規定されている。
温度上昇試験においては,全高調波ひずみによって発生する熱(5.2参照)を考慮しなければならない。
10 コンバータ
10.1 一般
コンバータは,IEC 60146シリーズ及びIEC 61800シリーズによって設計しなければならない。
コンバータの設置は,JIS F 8081の5.3(試験前調整)の要求事項に従わなければならない。
完全に分離された2個のコンバータを,装備しなければならない。
複数のコンバータの制御を共通にすることは認められない。これは,例えば,単体のセンサを2台又は
二重のセンサを1台装備する必要があることを意味する。
電気的に分離された二つの実速度センサを,それぞれの制御装置に対して設けなければならない。両方
のセンサを共通のハウジングに収容することは許される。
コンバータが永久励磁式の同期電動機に給電する場合,インバータの故障時に自動的に開く遮断容量を
もつスイッチを,電動機とコンバータの間に取り付けなければならない。
また,故障診断が行える装置を実装しなければならない。
10.2 半導体コンバータの設計
推進用コンバータは,駆動装置の公称トルクに合わせて設計しなければならない。短期的な過負荷及び
過負荷による速度変動によってシステムのシャットダウンが生じてはならない。
半導体コンバータ用の機械的ハウジングは,適用できる範囲について主配電盤の規格を満たさなければ
ならない。
高圧コンバータは,高圧開閉装置及び制御装置と同様に造船の要求事項に適合させたIEC
62271-200:2011に従って取り扱わなければならない。そのきょう(筐)体は,IEC 62271-200:2011の附属
書Aに従って,事故時アークに耐えられるように製造するか,又は人員の安全が確保される位置に設置し
なければならない。
半導体コンバータの電力用部品は,容易に交換可能としなければならない。
――――― [JIS F 8073 pdf 15] ―――――
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JIS F 8073:2017の引用国際規格 ISO 一覧
- IEC 60092-501:2013(IDT)
JIS F 8073:2017の国際規格 ICS 分類一覧
- 47 : 造船及び海洋構造物 > 47.020 : 造船及び海洋構造物一般 > 47.020.60 : 船及び海洋構造物の電気設備
JIS F 8073:2017の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISC0920:2003
- 電気機械器具の外郭による保護等級(IPコード)
- JISC61000-6-2:2019
- 電磁両立性―第6-2部:共通規格―工業環境におけるイミュニティ規格
- JISF8061:2005
- 船用電気設備―第101部:定義及び一般要求事項
- JISF8063:2006
- 船用電気設備―第202部:システム設計―保護
- JISF8064:2000
- 船用電気設備 第301部 機器―発電機及び電動機
- JISF8065:2003
- 船用電気設備―第302部:低圧配電盤及び制御盤
- JISF8066:2005
- 船用電気設備―第303部:機器―動力及び照明用変圧器
- JISF8071:2008
- 船用電気設備―第352部:電力系統用ケーブルの選択及び敷設
- JISF8072:2006
- 船用電気設備―第401部:装備基準及び完成試験
- JISF8076:2005
- 船用電気設備―第504部:個別規定―制御及び計装
- JISF8076:2021
- 船用電気設備―第504部:自動化,制御及び計装
- JISF8081:2005
- 船用電気設備及び電子機器―電磁両立性