この規格ページの目次
- 10.3 半導体コンバータの冷却
- 10.4 保護
- 10.5 試験
- 11 高調波フィルタリング
- 12 推進用電動機
- 12.1 一般要求事項
- 12.2 軸受及び潤滑
- 12.3 推進用電動機の冷却
- 12.4 水分及び結露への対策
- 12.5 保護
- 12.6 試験
- 12.7 短絡耐量
- 12.8 船内修理のためのスペース及び設備
- 13 ポッド推進器に対する個別要求事項
- 13.1 一般要求事項
- 13.2 センサ
- 13.3 内部故障に対する推進用電動機の保護
- 13.4 湿度
- 13.5 電動機給電系統
- 13.6 スリップリング
- JIS F 8073:2017の引用国際規格 ISO 一覧
- JIS F 8073:2017の国際規格 ICS 分類一覧
- JIS F 8073:2017の関連規格と引用規格一覧
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F 8073 : 2017 (IEC 60092-501 : 2013)
10.3 半導体コンバータの冷却
半導体コンバータに強制冷却装置が備わっている場合,冷却系統を監視する手段を設けなければならな
い。
冷却系統の故障時にコンバータが損傷を受けないための対策を実施しなければならない。警報信号は,
冷却剤の流量又は半導体の温度によって発する。
半導体を液体で冷却する場合,この液体回路はコンバータシステムごとに設けなければならない。また,
この液体の品質を監視しなければならない。
コンバータの冷却系の単一故障によって,船の推進に関する全てのコンバータが停止する事態に至って
はならない。
船の操縦性は,維持されなければならない。
10.4 保護
コンバータには,次に示す保護を施さなければならない。
− コンバータが接続される電源系統における動作過電圧を,適切な損傷防止装置によって制限しなけれ
ばならない。その装置に対する保護用ヒューズを,監視しなければならない。
− 適切な制御によって,正常運転時に半導体素子の許容電流値を超えないことを確実にしなければなら
ない。
− 端子における直接的な短絡によって,半導体に損傷が生じてはならない。ヒューズによる保護は,許
容される。コンバータによる電流制御によって,停止状態にかん合された電動機に対して,コンバー
タのスイッチを入れたときに,いかなる部品にも損傷が生じることがないようにしなければならない。
10.5 試験
コンバータは,製造元の工場で個々に試験を行わなければならない。試験範囲(例えば,機能試験,調
整,制限,故障処理など)は,IEC 60146-2に規定されている。
関連する設定を含め,全ての保護機能及び制限機能は,それらの設備を設置する前に試験しなければな
らない。警報,低減及び停止のカテゴリの全ての警報は,その設定によって試験を行い,文書化しなけれ
ばならない。コンバータ及び電動機保護機能において,適切な協調がとれていることを実証しなければな
らない。
11 高調波フィルタリング
推進の任意の段階において,高調波ひずみを適正なレベルに抑えるため,線路フィルタを使用すること
ができる。
それぞれのフィルタ回路に対して,過電流保護及び短絡電流保護を行わなければならない。高調波フィ
ルタの故障は,監視しなければならない。高調波フィルタ保護回路はフェイルセーフとしなければならな
い。
フィルタ回路が故障した場合,緊急操作を行うことができなければならない。海上承認試験(SAT)時
に当該ケースの操作及び制限について,実証を行わなければならない。
使用する高調波フィルタの推定寿命を考慮しなければならない。
線路フィルタの使用に当たっては,考えられる全ての回路構成を念頭に置いてフィルタ回路を設計しな
ければならない。特に,全ての負荷条件及び発電機の全ての組合せにおいて,共振が生じてはならない。
複数の並列フィルタ回路を使用する場合,電流の対称性を監視しなければならない。個々のフィルタ回
路内での非対称な電流分布の発生及び一つのフィルタの故障時には,警報を発しなければならない。
――――― [JIS F 8073 pdf 16] ―――――
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F 8073 : 2017 (IEC 60092-501 : 2013)
温度上昇試験においては,全高調波ひずみによって発生する追加熱を考慮しなければならない。
高調波フィルタのキャビネットは,適用できる範囲において主配電盤の規格を満たさなければならない。
12 推進用電動機
12.1 一般要求事項
電動機は,IEC 60034シリーズ及びJIS F 8064の要求事項を適用しなければならない。
電動機は,少なくともJIS C 0920に基づいたIP 23の保護等級をもたなければならない。高圧電動機は,
少なくともIP 44の保護等級をもたなければならない。
交流電動機の固定子巻線,直流電動機の補極,主磁極及び補償巻線(定格値が500 kVAを超えるもの全
て)に温度センサを設けなければならない。
半導体コンバータとともに動作する電動機は,システムにおいて予測される高調波に合わせて設計しな
ければならない。正弦波負荷に比べ,温度上昇に対して十分な余裕を考慮しなければならない。電動機の
絶縁は,接続されたコンバータの要求事項に従って設計しなければならない。
12.2 軸受及び潤滑
発電機の軸受及び潤滑に関する要求事項(7.2参照)に加えて,次の要求事項を適用する。
− 強制潤滑の軸受は,複数のポンプを設けなければならない。
− 電動機の軸受はシャフトの軸受でもよい。また,軸受及び潤滑は,当該公的官庁の要求事項を考慮し
なければならない。
12.3 推進用電動機の冷却
発電機の冷却に関する要求事項(7.3参照)に加えて,次の要求事項が適用される。
全ての負荷及び速度条件の下で十分な冷却を実施しなければならない。
適切な温度検知器によって,警報を発しなければならない。
推進用電動機の冷却が正しく機能しない場合,出力(操船性)の制限ができなければならない。例えば,
オペレータによる非常用換気口の開放などへの介入は許される。
12.4 水分及び結露への対策
推進用電動機には,機械内部の温度を周囲温度より約3 K高く維持するよう設計された電気ヒータを備
えなければならない。
12.5 保護
12.5.1 過電流
操船又は波浪時若しくは氷海での通常航行によって過電流が発生した場合でも,主回路及び励磁回路の
過電流保護機器が作動しないように,設定値を十分に高く設定しなければならない。
制御装置は,操船,波浪時若しくは荒天時の通常運転又は氷海航行によってシステムのいかなる部分に
も過負荷が生じないことを確実にしなければならない。
短絡及び過電流保護が必要であり,これらの保護はコンバータによって行ってもよい。
永久励磁式電動機,同期電動機,誘導電動機,直流電動機など,電動機のタイプ別の警報マトリックス
を,附属書Aに規定する。
過電流の場合,システムにおいて,その故障をシステムから切り離さなければならない。
12.5.2 推進用電動機の過速度
独立した過速度保護装置が必要である。1974 SOLAS(1974年 海上人命安全条約)第II-1章第27規則
第1項を参照。
――――― [JIS F 8073 pdf 17] ―――――
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F 8073 : 2017 (IEC 60092-501 : 2013)
推進用電動機は,その通常運転設定において,過速度保護機器の特性によって決まる上限値までの過速
度に耐えなければならない。
12.6 試験
推進用電動機は,製造元の工場で個々に試験を行わなければならない。試験範囲はIEC 60034シリーズ
に規定されている。
温度上昇試験においては,全高調波ひずみ(5.2参照)によって発生する熱を考慮しなければならない。
最初の温度上昇試験の後及び各検査の後には,絶縁抵抗の測定を実施しなければならない。
中性点にアクセスできないときは,規定の相間絶縁試験が実施できない。製造元は,同等の試験を提示
しなければならない。
12.7 短絡耐量
電動機は,いかなる条件下においても,その端子での突然の短絡に対して,損傷なく耐えなければなら
ない(10.1参照)。二相短絡及び三相短絡の両方の場合を考慮しなければならない。
永久励磁式電動機の定常短絡電流によって,電動機及び通電部品(例 ケーブル,給電線,スリップリ
ング)に熱的損傷が生じてはならない。
12.8 船内修理のためのスペース及び設備
修理点検のため,固定子及び回転子のコイルへのアクセス並びに界磁コイルの取外し及び交換に関する
措置を講じなければならない。
点検の実施並びに軸受の取外し及び交換を可能にするために,軸を支持する設備を設けなければならな
い。
整流子及びスリップリングがある場合は,その再表面処理が可能になるように,ブラシ,回転整流器及
び保護装置がある場合は,その交換及び取付けが可能となるように,十分なアクセス方法を提供しなけれ
ばならない。
滑りカップリングは,駆動軸及び被駆動軸が軸方向にずれることなく,かつ,極を外すことなく,カッ
プリングを外せるように設計しなければならない。
13 ポッド推進器に対する個別要求事項
13.1 一般要求事項
航行中,アクセスできない空間及び特別な環境条件に対し,十分な対策(例えば,信頼性の高い材料,
部品,十分な量のセンサ,特別な機械的対策など)が必要である点を,製造元は考慮しなければならない。
例えば,操作盤,センサ,スリップリング,ケーブル接続具,補助駆動装置などの構成要素は,3 Hz
100 Hzにおいて少なくとも4 gの振動強度に耐えなければならない。
13.2 センサ
13.2.1 一般要求事項
製造元は,全てのセンサの型式,実装位置,機能及び値(範囲,設定値及び生じる動作)を記載したリ
ストを作成しなければならない。
アクセス不能区域において,駆動能力及び制御能力を維持するのに重要な運転値を,冗長的に記録,評
価及び表示しなければならない。
記録した結果の妥当性を確認しなければならない。疑わしい入力信号がある場合には,警報を発しなけ
ればならない。極端な測定値とセンサの故障とが,区別できなければならない。
ドライドックだけで交換可能なセンサは,少なくとも二重化センサとして構成しなければならない。
――――― [JIS F 8073 pdf 18] ―――――
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F 8073 : 2017 (IEC 60092-501 : 2013)
13.2.2 軸受
油面の最低及び最高レベルを監視しなければならない。油の温度(最大値)も監視しなければならない。
これらは運航中にも適用する。油漏れの発生は警報をもって知らされなければならない。警報及び監視装
置とは別に,油面レベルの点検ができなければならない。
上記は,循環潤滑システムにも適用される。それらのシステムは,流量モニタ装置を別途,備えなけれ
ばならない。
シャフト軸受は,例えば,温度,振動,油の品質分析などによって監視し,運航中の変化を観察しなけ
ればならない。
シャフト軸受の温度を,監視しなければならない。警報処理は,2段階で行う(第1動作 : 警報,第2
動作 : 停止)。シャフト軸受の温度表示は,警報及び監視システムとは独立に提供しなければならない。冗
長化センサが必要である。
電動機軸受温度の測定は,IEC 60034-1:2010の8.9に従って実施しなければならない。
13.2.3 ビルジ
喫水線よりも低い全ての区域はビルジレベルセンサを備えなければならない。従来のビルジセンサ(ハ
イレベル,HL)に加え,推進を自動的に停止して派生的損害を防止する独立センサ(ハイハイレベル,
HHL)を設けなければならない。
軸シールの監視は,派生的損害の発生前に海水の浸入が検知されるように行わなければならない。非常
用シールを設けなければならない。非常用シーリングシステムと組み合わせて,いかなる天候及び通常の
えい航条件下において軸を固定できる制動装置又はかん合装置を設けなければならない。非常用シーリン
グシステム及び制動装置が作動したことは,それぞれの制御ステーションで表示しなければならない。
13.2.4 火災警報
効果的な火災監視を,実施しなければならない。
13.2.5 アクセス可能区域
定期保守作業が必要なアクセス可能区域には,十分な照明及び一時的な換気を提供しなければならない。
このような区域への入口は,駆動装置によって要員が危険にさらされることがない場合にだけ,アクセス
可能となるような方法で施錠しなければならない。
13.3 内部故障に対する推進用電動機の保護
1 MWを超える電動機及び全ての永久励磁式電動機には,コンバータと電動機との間の接続監視も行う
内部故障の保護機能を設けなければならない。故障発生時には,適切な時間内に不良装置への電源を遮断
しなければならない。
13.4 湿度
閉じた空気系統を備えた電動機は,湿度を監視しなければならない。
13.5 電動機給電系統
高い上限温度で運用されるケーブルは,他のケーブルとは別に敷設しなければならない。必要な場合,
接触の防止を実施しなければならない。
電流密度が大きい母線,又は高い導線温度で運用されるケーブルに対する温度上昇試験の試験報告書を
指定機関(4.2参照)に提出しなければならない。
海上試運転における温度上昇試験では,端子区域において最高許容温度を超えないことを証明しなけれ
ばならない。
全ての端子,電線貫通金物及び母線接続具の保護等級は,IP 44以上としなければならない。
――――― [JIS F 8073 pdf 19] ―――――
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上記の要求事項は,制御ケーブルにも適用される。
13.6 スリップリング
13.6.1 一般
スリップリングの機械及び電気特性が,油,カーボンダスト及び塩霧空気による汚染,又は酸化によっ
て劣化する可能性があることについて考慮しなければならない。
スリップリング部品のきょう体の保護等級は,少なくともJIS C 0920に基づいたIP 23としなければな
らない。
アークフォルトによって人員が危険にさらされないよう対策を講じなければならない。
使用材料が,許容最高温度において適切であることを証明しなければならない。接続するケーブルの最
高導体温度を超えてはならない。海上試運転における温度上昇試験では,最高許容温度を超えないことを
証明しなければならない。
バスシステムを使ってデータ伝送を行う場合は,二重化した伝送路を用意しなければならない。いずれ
か一方の故障について,警報を発しなければならない。
外部冷却又は強制冷却式のスリップリングは,冷却系統が機能しないときにも制限運転ができるような
寸法としなければならない。冷却系統に故障が発生した場合は,警報を発しなければならない。
13.6.2 試験
それぞれのスリップリングは,次の試験に合格しなければならない。
− 目視検査
− 絶縁抵抗測定
− 耐高電圧試験IEC 61180-1又はIEC 62271-200
− スリップリング接触抵抗
− 補助機器の機能試験(例 センサ,データ転送)
IEC 62271-200又はIEC 61439-1及びIEC 61439-2に基づいて,それぞれの各スリップリング設計に対す
る型式試験を行う。
− 環境試験(振動4 g,周囲温度55 ℃,湿度100 %)
− 無回転状態での温度上昇試験
− 耐久試験
速度1 r/minの回転試験を次のとおり行う。
− 定格電流10 %で100回転
− 定格電流90 %で100回転
− 定格電流150 %で1回転
− 無電流で100回転
この試験の後,再度スリップリング接触抵抗測定を行う。
− 電動機の特性に合わせた短絡
− 耐インパルス電圧試験
信号回路及び低圧回路については,適合する試験基準を適用しなければならない。EMCについては特別
な条件を考慮しなければならない。
海上試運転において,スリップリング,ブラシ及びケーブルの最高許容温度について,実証試験を行う。
――――― [JIS F 8073 pdf 20] ―――――
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JIS F 8073:2017の引用国際規格 ISO 一覧
- IEC 60092-501:2013(IDT)
JIS F 8073:2017の国際規格 ICS 分類一覧
- 47 : 造船及び海洋構造物 > 47.020 : 造船及び海洋構造物一般 > 47.020.60 : 船及び海洋構造物の電気設備
JIS F 8073:2017の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISC0920:2003
- 電気機械器具の外郭による保護等級(IPコード)
- JISC61000-6-2:2019
- 電磁両立性―第6-2部:共通規格―工業環境におけるイミュニティ規格
- JISF8061:2005
- 船用電気設備―第101部:定義及び一般要求事項
- JISF8063:2006
- 船用電気設備―第202部:システム設計―保護
- JISF8064:2000
- 船用電気設備 第301部 機器―発電機及び電動機
- JISF8065:2003
- 船用電気設備―第302部:低圧配電盤及び制御盤
- JISF8066:2005
- 船用電気設備―第303部:機器―動力及び照明用変圧器
- JISF8071:2008
- 船用電気設備―第352部:電力系統用ケーブルの選択及び敷設
- JISF8072:2006
- 船用電気設備―第401部:装備基準及び完成試験
- JISF8076:2005
- 船用電気設備―第504部:個別規定―制御及び計装
- JISF8076:2021
- 船用電気設備―第504部:自動化,制御及び計装
- JISF8081:2005
- 船用電気設備及び電子機器―電磁両立性