JIS F 8073:2017 船用電気設備―第501部:個別規定―電気推進装置 | ページ 5

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F 8073 : 2017 (IEC 60092-501 : 2013)

13.7 方位駆動装置

13.7.1 一般要求事項
方位駆動装置は,1974 SOLAS(1974年 海上人命安全条約)第II-1章第29規則及び第30規則に規定す
る操だ(舵)装置の要求事項に従わなければならない。全ての電気制御装置及び全ての電子制御装置,セ
ンサ及び油圧部品に対して,単一故障基準を確実に適用しなければならない。そのために,指定機関(4.2
参照)による故障モード影響解析(FMEA)を可能な限り実施し,実用的な範囲でそれを証明しなければ
ならない。いかなる故障が発生しても,ポッドの角度位置及び船舶の速度にかかわらず,船舶の安全航行
を確保しなければならない。方位駆動装置の方向を,現場において機械的に表示しなければならない。
それぞれのポッド推進器に対して,独立した方位駆動装置を,少なくとも二つ設けなければならない。
この場合,一方の駆動装置は非常用配電盤から給電し,他方は主配電盤から給電しなければならない。
方位駆動装置は,過電流(例えば,コンバータを用いる。ただし,該当する場合。)及び短絡に対して保
護しなければならない。それらは1974 SOLAS(1974年 海上人命安全条約)第II-1章第29規則及び第30
規則における要求事項に従って,定格移動速度に必要なトルクの160 %を60秒間与えることができなけれ
ばならない。設計の異なる方位装置,例えば油圧装置も,上記の要求事項に準拠しなければならない。
13.7.2 推進の方位角
推力の方位角は,一般に±35°以内とする。1974 SOLAS(1974年 海上人命安全条約)第II-1章第29
規則及び第30規則を参照。推力の定格値が小さいとき,船の速度が小さいとき又は危急停止操作を行うと
きは,この制限値を超える可能性がある。
船の安全が損なわれないよう,推進軸出力及び/又は選択した運転モードに応じて,推力の方位角を制
限しなければならない。さらに,船の安全が損なわれないように実際の方位角に応じて,推進出力を制限
しなければならない。
制限値に到達するか,それを超えると警報を発しなければならない。
制限値に達した後,マニュアルリセットなしで,方位駆動装置を許容範囲に戻すことができなければな
らない。
13.7.3 制御
操作及び表示装置は,船舶の移動方向又は推進方向が,明確に認識できるように構成しなければならな
い。また,移動方向及び推進方向のいずれを選択したかを,操船者が,明確に認識できるようにしなけれ
ばならない。
13.7.4 方位駆動装置に対する制御ステーションにおける追加要求事項
推進に対する機側制御については,14.5を参照。方位駆動装置に対する機側制御ステーションには,装
置構成に応じて,次のものを備えなければならない。
− かじ(舵)制御
− 電流計(各負荷要素の各給電側電流に対して)
− 方位角指示器(各ポッド推進器に対して)
− 動作可能な推進設備の表示(各駆動に対して)
− 不具合が発生している推進設備の表示(各駆動に対して)
− 出力制限表示(コンバータからの)
− 機関制御室からの制御表示
− 船橋からの制御表示
− 対応する推進駆動装置に対する運転表示

――――― [JIS F 8073 pdf 21] ―――――

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F 8073 : 2017 (IEC 60092-501 : 2013)
− 1974 SOLAS(1974年 海上人命安全条約)第II-1章第29規則及び第30規則に従った警報
機側制御ステーションは,機側において起動可能でなければならない。これは,最優先となる。
13.7.5 追加始動インターロック条件
設備の始動を行うときには,次の基準を満たすことが望ましい。
− 駆動装置はアクセス不能である。
− 非常用シール装置が起動されていない。
− 十分な数の方位駆動装置が使用できる。
− ポッド推進器への通信故障がない。

14 制御

14.1 総則

  コンピュータシステムは,JIS F 8076に従って設計及び試験をしなければならない。自動機能が失われ
たときは,警報を発しなければならない。

14.2 パワーマネジメントシステム(PMS)

14.2.1 一般
JIS F 8076に規定されている要求事項に加えて,次の要求事項を適用しなければならない。
− 並列運転される複数の発電機から給電されたときは,パワーマネジメント装置を備え,航行・操船時
であっても十分な発電量を確保しなければならない。操船中に負荷に応じて,ディーゼル発電機を自
動的に切り離すことを禁止する。
− 供給電源の周波数低下,過電流又は過負荷及び逆電力の場合,推進出力を制限しなければならない。
− 複数の発電機を並列運転し,かつ,そのうちの1基が遮断したとき,残りの発電機を許容できない負
荷増加から保護するために,電源系統に適切な負荷軽減手段を設けなければならない。同じ要求事項
は,母線接続用遮断器にも適用する。
− 母線接続用遮断器の引き外しによって,システムの異常が生じてはならない。電源系統が分割されて
いる場合は,システムが自動モードにとどまる必要はない。
14.2.2 試験
パワーマネジメントシステムは,製造元の工場で機能試験(ソフトウェアFAT)を受けなければならな
い。推進用配電盤との組合せ試験を推奨する。
試験の仕様は明確にされなければならない。

14.3 代表的な制御構成

  制御構成は,JIS F 8076の規定によらなければならない。
代表的な設備構成は,複数の制御ステーション,一つの中央処理装置,二つのコンバータ,一つの電動
機(二つの巻線系),一つの機側操作盤(独立した二つの参照入力)及び一つのエンジンテレグラフ受信機
で構成される。
ウイング操作盤及び機関制御室(ECR)操作盤は,航海区域が制限されている船においては,強制では
ない。
遠隔制御系が故障しても,機側制御は可能としなければならない。そのため,機側操作盤は,コンバー
タに直接接続しなければならず,最優先となる。

――――― [JIS F 8073 pdf 22] ―――――

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Bridge desk
Wing Wing
ECR desk
Propulsion control
system
Converters
1 船橋制御盤 4 推進用制御 7 エンジンテレグラフ受信機
2 ウイング 5 コンバータ
3 機関制御室(ECR)制御盤 6 機側制御盤
図2−代表的な制御構成

14.4 操縦操作盤の位置

  操作盤を機関室の外に設置する場合は,推進設備を機関室又は機関制御室からも操作可能な構成としな
ければならない。
機側制御ステーションは,駆動装置又はコンバータの近辺に設置し,推進制御の変化が認識できるよう
にしなければならない。

――――― [JIS F 8073 pdf 23] ―――――

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F 8073 : 2017 (IEC 60092-501 : 2013)

14.5 主制御ステーション及び機側制御ステーション

  JIS F 8076の9.5(機械制御装置)に規定されている要求事項に加え,次の要求事項を適用しなければな
らない。
少なくとも,相互に独立した主制御ステーション及び機側制御ステーションを設けなければならない。
推進用制御系の故障,機能不全又は電源喪失が発生しても,コンバータの制御は機側操作盤において可能
としなければならない(図2参照)。
操だ(舵)装置の監視及び制御を推進装置とは独立して運用できる装置を,船橋に設置しなければなら
ない。全ての機側制御ステーションに対して,同時に通信が可能でなければならない。
全ての警報は,機側制御ステーションにおいて確認応答可能としなければならない。更なる対処が不要
の警報については,主制御ステーションで確認応答可能とする。推進設備の再始動は,事前の選択に応じ
て,両方の制御ステーションから行うことができる。停電後は,主制御ステーションにおいて,推進装置
の再始動が可能でなければならない。
それぞれの制御ステーションには,駆動装置の制御及び作動中の制御ステーションから独立した非常停
止装置を備えなければならない。非常停止装置は,推進用コンバータの給電遮断器を確実に作動させなけ
ればならない。
14.3に従ってECRに制御ステーションを想定していない場合,非常停止装置がその場所で使用できなけ
ればならない。

14.6 測定装置,表示装置,制御装置及び監視装置

14.6.1 一般要求事項
測定,監視及び表示装置の故障によって,駆動装置の操作が不能になってはならない。例えば,実測値
又は参照値の異常が生じても,プロペラの速度及び/又は方向の過大な増加が生じてはならない。
14.6.2 機側制御ステーション
少なくとも次に示す測定装置,制御装置及び表示器を備えなければならない。
− 速度設定装置
− 機側遠隔スイッチ
− 電流計(各負荷要素の各給電側電流に対して)
− 励磁オン表示
− 回転計(各軸に対して)
− 可変ピッチ制御を備えた推進装置のピッチ表示
− 動作可能な推進装置の表示
− コンバータのオン/オフ表示
− 不具合の発生している推進装置の表示
− 出力制限表示
− 機関制御室からの制御表示
− 船橋からの制御表示
− 機側からの制御表示
14.6.3 船橋の(主)制御ステーション
船橋の(主)制御ステーションには,少なくとも次の測定装置及び表示器を備えていなければならない。
− 制御レバー
− 回転計(各軸に対して)

――――― [JIS F 8073 pdf 24] ―――――

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F 8073 : 2017 (IEC 60092-501 : 2013)
− 軸出力計
− スイッチ投入可能な推進装置の表示
− 動作可能な推進装置の表示
− 不具合の発生している推進装置の表示
− 出力制限表示
− 出力低減要求の表示(自動制御でない場合,又は強制押しボタンを備えていない場合)
− 機関制御室からの制御表示
− 機側制御ステーションからの制御表示
− 推進に用いる発電機の表示
− 運転モード選択スイッチ(すなわち,海上モード,河口モード及び港内モード)
余剰電力を示す表示器を推奨する。
可変速度装置及び可変ピッチプロペラに対して複数の制御ステーションが備わっているとき,プロペラ
の速度及びピッチを示す表示器を,それぞれの制御ステーションに設けなければならない。
14.6.4 機関制御室の(主)制御ステーション
機関制御室の(主)制御ステーションには,少なくとも次の測定装置及び表示器を備えなければならな
い。
− 制御レバー
− 回転計(各軸に対して)
− 軸出力計
− スイッチ投入可能な推進装置の表示
− 運転モード選択の表示
− 動作可能な推進装置の表示
− 不具合の発生している推進装置の表示
− 出力制限表示
− 出力低減要求の表示(自動制御でない場合,又は強制押しボタンを備えていない場合)
− 機側制御ステーションからの制御表示
− 船橋からの制御表示
− 推進に使用する発電機の表示
装置の障害監視は,附属書Aによる。

14.7 有効性

  一般に,他の制御監視装置の電力喪失又はそれら装置の異常によって,推進,操だ又は方位駆動装置の
機能が失われてはならない。
推進及び方位駆動装置並びに制御装置は,自己故障検出機能を備えなければならない。
いかなる故障,例えば,停電,断線などが発生した場合,危機的ではなく,新しい安全な状態に移行し
なければならない(フェイルセーフ機能)。

14.8 始動インターロック

  推進用設備の始動プロセスは,既存の異常状態がシャットダウンを引き起こす場合,又は始動プロセス
自体が推進用設備に損害を与える場合において,始動できないようインターロックがされなければならな
い。
次の場合,インターロックを考慮する必要がある(適用できる場合)。

――――― [JIS F 8073 pdf 25] ―――――

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JIS F 8073:2017の引用国際規格 ISO 一覧

  • IEC 60092-501:2013(IDT)

JIS F 8073:2017の国際規格 ICS 分類一覧

JIS F 8073:2017の関連規格と引用規格一覧