JIS F 9605:2006 船舶及び海洋技術―真船首方位信号伝達装置 | ページ 2

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3.12 磁気センサ(magnetic sensor)(*2) 磁気コンパスのあるなしにかかわらず,船首方位情報に関し
て磁場を検出して,プロセッサに情報を出力する磁気センサ部。
3.13 処理部(processor)(*2) 自差を調整することによって,伝達部のための磁気船首方位情報を得る
装置。
(*3) THDが,完全に有効な衛星アルマナックの状態で電源を入れてから,
3.14 静定時間(settling time)
6.3.3で規定する精度で船首方位信号を出力できるまでの時間。
3.15 静定(settled)(*1) コンパスを水平に固定された台上に設置した状態で,30分間隔で読み取られ
た3回の読取値が0.7° の範囲内にあるときの安定した状態。
備考 静定時間は,最初の方位誤差で起動した時刻から静定した3回目の読取値までの経過時間であ
る。
3.16 静止点船首方位(settle point heading)(*1) 3.15によって,コンパスが静定した後,20分間隔で読
み取られた10回の指示値の平均値。
3.17 静止点誤差(settle point error)(*1) 静止点船首方位と真方位との差。3.8及び3.16参照。
3.18 誤差(error)(*1) 観測値と3.16で定義した静止点船首方位との差。3.9参照。
3.19 緯度誤差(latitude error)(*1) ある種のジャイロコンパスに存在し,その大きさと符号がその地の
緯度によって変わる誤差。
3.20 速度誤差(speed error)(*1) 大きさと符号が船の速度,針路及びその地の緯度によって,変わる
ジャイロコンパスに存在する誤差。
3.21 マスターコンパス(master compass)(*1) 伝達部又はその他の航行援助装置に船首方位情報を供給
する主コンパス。
3.22 動揺試験台(scorsby table)(*1)(*3) プラットフォームを独立して3軸に動揺をさせる試験装置。
船の動揺をシミュレートするために使用される。
3.23 隅点方向運動(intercardical motion)(*1) 船の完全な動きに代わって,動的シミュレーション試験
で動揺中の誤差試験を行う際の運動。
3.24 GNSS原理(GNSS principles,Global Navigation Satellite System principles)(*3) GNSS信号のRF
搬送波位相の測定によって船首方位を決定するTHDの原理。

4. 性能要件

4.1 ジャイロ原理

4.1.1  機能性 この規格では,ジャイロコンパスはTHDの機能として規定される。
THDは,方位信号を生成し,他の装置のために適切な信号を出力する。
3.4で定義するいかなるセンサ部も装置に含まれてもよい。
あらゆる修正装置又はパラメータは,不注意な操作に対して保護されていなければならない。
電子的修正のため,手作業入力で設定可能な値は適切な手段によって表示されなければならない。
装置は4.1.24.1.8に示される必要条件に従わなければならない。
4.1.2 連続作動 装置は,6.1.10に規定する振動,湿度,温度及び電源変動の条件下で連続して作動しな
ければならない。
4.1.3 情報 センサを除くすべての表示及びすべての船首方位出力は真船首方位を指示しなければなら
ない。
表示は,(1/10)° が読み取れるように表示しなければならない。

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4.1.4 船首尾線マーク コンパスは,設置を容易にするために,船の船首尾線マークを付けなければなら
ない。
4.1.5 速度誤差修正 速度及び緯度による誤差を,修正するための手段を備えなければならない。
自動速度修正のためには,承認された正しい速度供給源を用いなければならない。
4.1.6 船首方位情報 THDは,真船首方位情報を他の航法装置に供給できるものとする。
船首方位情報は,5. で定義する精度の出力を供給しなければならない。
少なくとも一つの出力は,関連する国際船用インタフェース規格として適切なIEC 61162-1及びIEC
61162-2に適合しなければならない。
4.1.7 状態表示 ジャイロコンパスの使用可能状態を表示しなければならない。
4.1.8 警報信号 次の状態の警報を備えなければならない。
− THDの故障。
− 電源喪失。
警報出力は,すべての警報状態において提供されるものとする。

4.2 地磁気原理

4.2.1  機能性 THDの地磁気原理は,磁界の水平成分を検知する。また,他の装置のために,船の真船
首方位信号を生成する。
磁気コンパスを利用するセンサの一つの方式で,コンパスの性能及び必要条件は,JIS F 9101の船用磁
気コンパスを参照する。他のセンサの方式は,JIS F 9102の船用電子磁気コンパスに記述する性能要件を
満足しなければならない。
4.2.2 情報
4.2.2.1 センサを除くすべての表示及びすべての船首方位出力は,真船首方位を指示しなければならない。
4.2.2.2 電子的補正のため,手作業で設定可能な値は,適切な手段によって表示可能でなければならない。
4.2.3 船首尾線マーク ビナクル又はセンサ装置の収納ケースの底部には,設置を容易にするために船
首尾線マークを刻まなければならない。装置は,船首尾線上に設置されなければならない。磁気コンパス
方式のTHDでは,コンパスカードの中心と船首指標を通る鉛直面とに対して±0.5° 以内としなければなら
ない。
4.2.4 船首方位情報 THDは,真船首方位情報を他の航法装置に供給できるものとする。
少なくとも一つの出力は,関連する国際船用インタフェース規格として適切なIEC 61162シリーズに適
合しなければならない。
4.2.5 電線 直流電源用及びユニット間の接続用の電線は,船首情報に対して認められるいかなる誤差も
引き起こしてはならない。
4.2.6 ハウジングの無磁性 磁気センサ装置のハウジングは,無磁性でなければならない。
4.2.7 警報信号 次の状態の警報を備えなければならない。
− THDの故障。
− 電源喪失。
警報出力は,すべての警報状態において提供されるものとする。

4.3 GNSS原理

4.3.1  機能性 THDは船首方位信号を受けて,他の装置のために適切な出力を生成する電子装置である。
いかなるセンサ部も装置に含まれてもよい。
あらゆる補正装置又はパラメータは,不注意な操作に対して保護されていなければならない。電子的補

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正のため,手作業で設定可能な値は,適切な手段によって表示可能でなければならない。
4.3.2 連続動作 装置は,6.3.8に規定する振動,湿度,温度及び電源変動の条件下で連続して動作しな
ければならない。
4.3.3 情報表示 センサを除くすべての表示及びすべての船首方位出力は,真方位を指示しなければなら
ない。
4.3.4 方位出力整合 THDは,船首尾線に対して検知方位との整合の手段をもたなければならない。
4.3.5 GNSS信号の短い中断の補償 少なくとも60秒間のGNSS信号の中断があっても,5.3.2及び5.3.3
で定義する船首方位精度を維持するように補償しなければならない。
4.3.6 静定時間 静定時間は,静的な条件下で,完全に有効な衛星アルマナックの状態で10分以下とし
なければならない。
4.3.7 船首方位情報 THDは,船首方位を少なくとも50 msに1回更新しなければならない。
少なくとも一つの出力は,関連する国際船用インタフェース規格として適切なIEC 61162シリーズに適
合しなければならない。
4.3.8 警報 次の状態の警報を備えなければならない。
− THDの故障。
− 電源喪失。
− GNSS連続信号が60秒を超えて遮断。
警報出力は,すべての警報状態において提供されるものとする。

5. 精度

 THDは,可能な限りIMO決議A.424 (XI) 又はIMO決議A.821 (19) で規定する海象条件の下に,
装置の出力端で,少なくとも次の精度に適合しなければならない。

5.1 ジャイロ原理

5.1.1  伝達データ精度 分解度誤差を含め,伝達誤差は±0.2° 未満でなければならない。
5.1.2 静的状態下での精度
5.1.2.1 静的状態下での静定時間 コンパスは,製造業者の指示書に従って起動してから6時間以内に静
定しなければならない。
5.1.2.2 静的誤差(静止点誤差)
5.1.2.2.1 船首方位において3.8(3.17)で定義した静的誤差(静止点誤差)は±1° ×緯度のセカント(secant
latitude)未満で,船首方位指示値と平均値との差のRMS値は0.35° ×緯度のセカント(secant latitude)未
満でなければならない。
5.1.2.2.2 ある運転時と他の運転時の静止点誤差の再現性は,±0.35° ×緯度のセカント(secant latitude)
以内としなければならない。
5.1.3 運航状態下での精度
5.1.3.1 運航状態下での静定時間 コンパスは,船が周期615秒,最大角5°,最大水平加速度0.22 m/s2
の単弦運動の横揺れ及び縦揺れをしている状態で,製造業者の指示書に従って起動してから6時間以内に
静定しなければならない。
5.1.3.2 動的誤差 動的誤差は,±1.5° ×緯度のセカント(secant latitude)未満でなければならない。
動的誤差の振幅が±0.5° を超える場合は,誤差の周波数は0.033 Hz未満,同じく周期は30秒以上でなけ
ればならない。

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5.1.3.3 運航状態下での性能 北緯又は南緯70° までの緯度において,その船が航行する10° の緯度範囲
で,
− 30 knの速度と針路の影響を修正した後,残存する定常状態での誤差は,±0.35° ×緯度のセカント
(secant latitude)を超えてはならない。
− 30 knの速度の急変による最大誤差は,最小に抑えられ,かつ,±3° を超えてはならない。水平加速
度は,2.0 m/s2を超えてはならない。
− 30 knまでの速度で最大旋回20°/秒での急激な180° 変針による誤差は,±4.5° を超えてはならない。
水平加速度は2.0 m/s2を超えてはならない。
5.1.3.4 追従誤差 旋回レート別の追従誤差は,次による。
− 旋回レート10°/秒までで,±0.5° 未満。
− 旋回レート10°/秒から20°/秒までの間で,±1.5° 未満でなければならない。

5.2 地磁気原理

5.2.1  伝達データの精度 伝達誤差は,分解能による誤差を含み,±0.2° 未満でなければならない。
5.2.2 静的誤差(静止点誤差) 静的誤差は,±1.0°(95 %)未満でなければならない。
5.2.3 動的誤差 動的誤差の振幅は,±1.5°(95 %)未満でなければならない。
動的誤差の振幅が±0.5° を超える場合は,誤差の周波数は0.033 Hz以下,周期は30秒以上でなければな
らない。
5.2.4 追従誤差 旋回速度における追従誤差は,次による。
− 旋回レート10°/秒までで,±0.5° 未満。
− 旋回レート10°/秒から20°/秒までの間で,±1.5° 未満でなければならない。
5.2.5 システムに要求される静定時間 磁気コンパス方式のセンサにおいて,方位システムはもとの方位
に静定しなければならない。
カードの北を静止点から90° 片寄せて放し,その瞬間から最初の静止点の1° 以内に戻る時間は,温度
20±3 ℃において, 57 600 / H 秒以下としなければならない。ここに,Hは試験を行う場所の磁束密度の
水平成分であって,マイクロテスラ(μT)で与えられる。
5.2.6 磁気偏差による磁気船首方位の改正 真船首方位を得るため,磁気偏差による磁気船首方位の改正
は0.5° の誤差以内としなければならない。磁気偏差を改正する際の入力は,自動又は手動のいずれかとし
なければならない。
電子補正に使用する値は,適切な手段によって表示し,保存しなければならない。また,電源を入れた
とき,その値は自動的に回復しなければならない。
5.2.7 自差修正後の残存自差 係数A,B,C及びDの修正は,各自差の残存自差が±1° 未満にすること
ができなければならない。
5.2.7.1 ベアリングによる確認 ビナクルには,船体の永久磁気の水平分力が原因の自差を修正するため
の装置を備えなければならない。装置は,±3° までの係数Aを,少なくとも(720/H)° までの係数B,C
を,7° までの係数Dを,及び船体磁気の鉛直成分を±75 μTまで修正することができなければならない。
Hは5.2.5で定義されている。
5.2.7.2 磁界による確認 電子磁気コンパス方式のTHDにおいて,残存自差の各係数は次の式によって
得られるものとする。
N W
180 n nS 180 n nE
B ,C ,
2n' 2n'

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180 (nN nS ) (nW nE )
D
4n'
n,n,S
ここで,N E n,W nは,船首方位がそれぞれN,E,S,Wであるときの船の北方磁界である。
'nは n,
N n,
E n,W
S nの平均値である。
係数Aは,電子磁気コンパス方式のTHDでは,無視できる程度に小さい。
補償装置は,予期しない変更に対して保護されていなければならない。
5.2.8 船上の垂直軟鉄による自差修正手段 船内垂直軟鉄による自差を修正する手段が備えられていな
ければならない。
5.2.9 修正装置の保護 すべての修正装置又はパラメータは,不注意な操作に対して保護されていなけれ
ばならない。
5.2.10 更新周期 装置は少なくとも50 msに一回,新しい方位に更新されなければならない。

5.3 GNSS原理

5.3.1  伝送データの精度 分解能誤差を含め,伝達誤差は±0.2° 未満でなければならない。
5.3.2 静的誤差 いかなる方位に対しても3.8で定義される静的誤差(静止点誤差)1.0°(95 %)以内で
なければならない。
5.3.3 動的誤差 6.3.5 a),6.3.5 b),4.3.5の状態において,3.9で定義される動的誤差は1.5°(95 %)以
内でなければならない。
5.3.4 追従誤差 3.10で定義される,旋回レート別の追従誤差は,次による。
− 旋回レート10°/秒までで,±0.5° 未満。
− 旋回レート10°/秒から20°/秒までの間で,±1.5° 未満でなければならない。

6. 試験方法及び試験結果要件

6.1 ジャイロ原理

6.1.1  一般 ジャイロコンパスにレピータコンパスが附属している場合には,少なくとも1個のレピータ
コンパスは作動させて,環境試験の間常にマスターコンパスと整合させておかなければならない。他のレ
ピータコンパスの出力は,それぞれ製造業者から供給された通常の負荷又は通常の負荷の代わりになる適
切なインピーダンスに結合しておかなければならない。
その他のレピータコンパスには,この試験は適用しない。
THD装置は,センサ部を接続して精度を試験する。センサ部が伝達部に含まれるよう設計されたものは,
装置全体で試験されなければならない。
6.1.2 静定時間試験 マスターコンパスを固定された水平台上に設置した後,公称値の電源を給電し,製
造業者の指示書に従って,初期船首方位誤差(東側に)を30° 以上与えた状態から起動させなければなら
ない。
静定時間(3.15参照)は,5.1.2.1の規定を満足しなければならない。
6.1.3 静的誤差(静止点誤差)試験 マスターコンパスが3.15で定義されたように静定したとき,静的
誤差(3.8参照)は5.1.2.2.1に規定された要件に適合しなければならない。
6.1.4 静止点船首方位の再現性試験 マスターコンパスを初期船首方位誤差(東側に)を30° 以上与えた
状態から製造業者の指示書に従って起動させ,静定させなければならない。
静止点船首方位を3.16の規定によって決定した後,マスターコンパスをいったん12時間以上7日以下
の間停止させ,初期船首方位誤差(西側に)を30° 以上与えた状態から起動させ,静止点船首方位を測定

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  • ISO 22090-2:2004(MOD)
  • ISO 22090-3:2004(MOD)

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