JIS G 0551:2020 鋼―結晶粒度の顕微鏡試験方法 | ページ 5

                                                                                            19
G 0551 : 2020
界は,初析フェライトの網目状組織として現出する。
JA.3.2 熱処理
鋼材規格に規定するオーステナイト化条件で熱処理を行う。炭素鋼又はその他の焼入性の低い鋼につい
ては,オーステナイト結晶粒界にフェライトが析出するように,試験片を空冷,炉内冷却又は部分的に恒
温変態させる。
合金鋼の場合は,オーステナイト化後に,試験片を650 ℃720 ℃の適切な温度で部分的に恒温変態さ
せ,次に水中で急冷する。
注記1 変態に必要な時間は,鋼によって異なり,通常,1分5分間で十分なフェライトが析出する
が,場合によっては,最大で約20分間必要になることもある。
注記2 合金鋼で,恒温処理中に一様な変態を得るためには,12 mm×6 mm×3 mmの試験片が適し
ている。
JA.3.3 調製及び腐食
熱処理後の試験片を,顕微鏡で測定するために切り出し,研磨した後,塩酸·ピクリン酸−エタノール
溶液などの腐食液で,腐食させる。
JA.4 オーステナイト系ステンレス及びオーステナイトマンガン鋼の鋭敏化熱処理法
試験片を鋭敏化熱処理温度範囲(482 ℃704 ℃)で加熱して,炭化物の析出によって結晶粒界を現出さ
せる。エッチングには,炭化物を現出させる適切な腐食液を用いる。
この方法は,炭素含有率の非常に低い鋼種には使用しない方が望ましい。
JA.5 徐冷法
任意の大きさの試験片を,所定のオーステナイト化温度に所定時間加熱した後,徐々に冷却する。冷却
後の試験片の表面を研磨仕上げし,ピクリン酸−エタノール,ナイタルなどで腐食させた後,パーライト
結晶粒を取り囲んだ網目状初析フェライト又は初析セメンタイトによって結晶粒界を現出させる。試験片
の炭素含有率が低い場合は,所定の焼入温度から,その等温変態図で示されるA3変態点以下の適切な温度
の熱浴中に焼入れ,適切な時間保持し,粒界に少量のフェライトを析出した状態から水中に焼き入れる。
この試験片の表面を研磨仕上げし,結晶粒界を現出させる。
JA.6 焼入焼戻し法
径又は対辺距離5 mm15 mm,長さ10 mm15 mmの試験片を所定の焼入温度に所定時間保持し,適切
な方法で完全に焼入れし,適正な温度で1時間以上焼戻しした後冷却する。冷却後の試験片の表面を研磨
仕上げし,ナイタル,塩化鉄(III)1 g及び塩酸(比重1.18)1.5 mLをエタノール100 mLに溶解した腐食
液などで腐食させ,結晶粒界を現出させる。
JA.7 一端焼入法
径約15 mm,長さ約40 mmの試験片を,所定の焼入温度に所定時間加熱した後,試験片の一端約10 mm
を垂直に水中に浸して急冷する。冷却後,試験片の表面を軸方向に厚さ約5 mmを削り取って研磨仕上げ
し,界面活性剤を使用したピクリン酸飽和水溶液,ナイタル,ピクリン酸−エタノールなどで腐食し,マ
ルテンサイト組織の周囲を少量の微細パーライトで囲むことによって,結晶粒界を現出させる。
なお,JIS G 0561に規定する試験片を同様に腐食させ,結晶粒界を現出させてもよい。

――――― [JIS G 0551 pdf 21] ―――――

           20
G 0551 : 2020
JA.8 酸化法
あらかじめ研磨仕上げした試験片を,管状電気炉又はその他適切な加熱炉に入れ所定の温度に所定時間
加熱し,必要な時間酸化させた後,取り出して水中に焼き入れる。この際,酸化は,加熱時間の最後に行
い,酸化時間以外の加熱時間中は,被検面を鉄板などで覆って過度の酸化を防止するのがよい。試験片表
面に付着している酸化物を,結晶粒界に形成された網目状の酸化物が保たれるように注意しながら,細か
い研磨剤を使って軽く研磨し除去する。その後,体積分率15 %塩酸−エタノール溶液などの適切な腐食液
を用いて結晶粒界を現出させる。
注記 対応国際規格では,コーン(Kohn)法が同等の方法として規定されている。
JA.9 焼入法
任意の大きさの試験片を,所定の焼入温度に所定時間保持した後,速やかに油冷する。冷却後の試験片
の焼入変質層を完全に研削除去した後,試験片の軸と平行な面を研磨仕上げし,ナイタルなどで腐食させ,
結晶粒界を現出させる。

――――― [JIS G 0551 pdf 22] ―――――

                                                                                            21
G 0551 : 2020
附属書JB
(規定)
フェライト結晶粒度の切断法による評価方法
JB.1 一般事項
この附属書は,切断法によるフェライト結晶粒度評価方法を規定する。通常,結晶粒度標準図との比較
によるが,フェライト結晶粒が著しく展伸している場合又は精密を要する場合には,切断法によるのがよ
い。
JB.2 測定方法
腐食面に現れた結晶粒を顕微鏡で観察するか又は顕微鏡写真に撮影し,一定の長さの直交する二つの線
分で切断されるフェライト結晶粒の数を計数する。
この場合,線分の両端にあって一部分しか切断されないフェライト結晶粒は,一方だけを数え,切断さ
れないフェライト結晶粒が線分の一端だけの場合は,これを数えない。また,1本の線分で切断されるフ
ェライト結晶粒の数は,1視野で少なくとも10個以上になるように顕微鏡の倍率を選定し,総計50個以
上になるまで数視野測定する。
注記1 顕微鏡で観察する方法は,目視観察によるほかに,顕微鏡写真上又はすりガラス投影スクリ
ーン上での観察がある。
次の式(JB.1)及び式(JB.2)によって粒度番号を算出する。粒度番号は,小数点以下一桁に丸める。
2
g I1 I2
n 500 (JB.1)
100 L1 L2
log n
G 1 (JB.2)
.0301
ここに, G : 粒度番号
n : 顕微鏡の倍率100倍における25 mm平方中の結晶粒
の数
g : 画像(投射映像又は顕微鏡写真)の長さ倍率
L1(又はL2) : 互いに直交する線分のうち1方向の線分長さの総和
(単位mm)
I1(又はI2) : L1(又はL2)によって切断された結晶粒数の総和
注記2 図JB.1は,式(JB.2)のnとGとの関係をグラフにしたものである。
JB.3 各視野における評価方法
各視野における評価方法は,次による。
a) 計数した測定したフェライト結晶粒の数から,式(JB.2)又は図JB.1によって粒度番号を判定する。
b) パーライトなどが多量に混在する場合は,適切な方法1) によって,混在組織とフェライト結晶粒との
面積百分率を求め,次に,切断法によって,腐食面の100倍における25 mm平方中の結晶粒の数を測
定し,これを25 mm平方当たりのフェライト結晶粒の数に換算して,式(JB.2)又は図JB.1によって粒
度番号を判定する。
注1) 点算法,重量法,光電管法,リニアルアナリシス法などがある。

――――― [JIS G 0551 pdf 23] ―――――

           22
G 0551 : 2020
25 mm平方当たりの結晶粒の数n(倍率100倍において)
図JB.1−粒度番号と結晶粒の数との関係

――――― [JIS G 0551 pdf 24] ―――――

                                                                                            23
G 0551 : 2020
附属書JC
(規定)
混粒組織の評価方法及び表示方法
JC.1 一般事項
この附属書は,混粒組織の評価及び表示の方法について規定する。
JC.2 評価方法
混粒の場合,大粒部と小粒部との面積割合を目測によって算出し,その総合平均値によって混粒の割合
を判定する。この場合,混粒の程度に応じて,視野数は,判定の結果が信頼し得る程度に十分に多くなけ
ればならない。
JC.3 表示
JC.3.1 一般
7.3の総合判定結果に従い,結晶粒の種類による記号,粒度,混粒の面積割合,視野数,最高加熱温度(熱
処理粒度試験方法の場合)及び保持時間を,次の例に従って表示する。
JC.3.2 混粒の場合のフェライト結晶粒度の表示例
FG−[3(70 %)+6(30 %) ](10) : 10視野全部が混粒で総合判定において粒度3が70 %,粒度6が30 %
ある場合
JC.3.3 混粒の場合のオーステナイト結晶粒度の表示例
例1 混粒を含む視野が一部ある場合
Gf6.3(13)+[6.8(67 %)+2.5(33 %) ](7) (920 ℃×1.5 h) : JA.5の徐冷法で920 ℃に1.5時間保持し
たとき,視野数20のうち13視野の総合
判定による粒度が6.3で,残りの7視野
が混粒で,粒度6.8が67 %,粒度2.5が
33 %ある場合
例2 各視野に混粒を含まないが,総合判定において混粒の場合
Gf6.3(3)+2.5(7) (920 ℃×l.5 h) : JA.5の徐冷法で920 ℃に1.5時間保持したとき,視野数10
のうち3視野の総合判定による粒度が6.3で,7視野の総合
判定による粒度が2.5である混粒の場合
例3 各視野が全部混粒の場合
Gf[6.8(67 %)+2.5(33 %) ](20) (920 ℃×1.5 h) : JA.5の徐冷法で920 ℃に1.5時間保持したと
きの20視野が全部混粒で,総合判定において
粒度6.8が67 %,粒度2.5が33 %ある場合

――――― [JIS G 0551 pdf 25] ―――――

次のページ PDF 26

JIS G 0551:2020の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 643:2012(MOD)

JIS G 0551:2020の国際規格 ICS 分類一覧

JIS G 0551:2020の関連規格と引用規格一覧