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H 1699 : 2006
7. ICP発光分光分析法によるけい素の定量方法
試料を硝酸ナトリウム共存の下でふっ化水素酸及び硝
酸で分解した後,耐ふっ化水素酸試料導入装置(1)を装備したICP発光分光分析装置のアルゴンプラズマ中
に噴霧し,けい素の発光強度を測定する。
7.1 水
本分析法に使用する水は,JIS K 0557に規定する種別A3又はA4の水とする。
なお,使用する水は,あらかじめけい素の定量試験を行い,使用に支障のないことを確認しておく。
7.2 器具
器具は,ポリエチレンビーカー,ポリエチレン容器,四ふっ化エチレン樹脂ビーカー及び四
ふっ化エチレン樹脂時計皿を使用し,これらは事前に適切な酸洗いを行った後,水ですすぎ洗いをして使
用する。
7.3 試薬
試薬は,次による。試薬類は,けい素含有率が特に低く,けい素分析試験に支障のない純度
のものを用い,ポリエチレン容器に保存する。
a) 硝酸(1+1)
b) ふっ化水素酸(1+1)
c) 硝酸ナトリウム溶液(50 g/L)
d) 炭酸ナトリウム
e) 検量線作成用タンタル タンタル含有率 99.9 %(質量分率)以上のタンタルで,けい素を含有しな
いもの,又はけい素の含有率が既知で,試料の含有率よりもできるだけ低いものを用いる。
f) 標準けい素溶液A(Si : 100 μg/mL) あらかじめ1 000 ℃に強熱し,デシケーター中で室温まで放冷
した二酸化けい素含有率99.95 %(質量分率)の二酸化けい素0.214 gを白金るつぼにはかりとり,炭
酸ナトリウム1.0 gを加えて混合し,加熱して融解する。放冷した後,温水約100 mLを入れたポリエ
チレンビーカー(200 mL)(5)に浸し,ポリエチレン時計皿(6)で覆い,水浴上で温めて融成物を溶解し
た後,白金るつぼを水洗して取り出す。常温まで冷却し,1 000 mLのポリエチレン全量フラスコ(3)
に水を用いて移し入れ,水で標線まで薄めて原液とする(15)。
注(15) 市販のけい素標準溶液(1 000 μg/mL)を必要量だけ水で正しく10倍に薄めて使用できる。
g) 標準けい素溶液B(Si : 50 μg/mL) 標準けい素溶液A[7.3 f)]を使用の都度,必要量だけ水で正し
く2倍に薄めて標準けい素溶液Bとする。
h) 標準けい素溶液C(Si : 10 μg/mL) 標準けい素溶液A[7.3 f)]を使用の都度,必要量だけ水で正し
く10倍に薄めて標準けい素溶液Cとする。
7.4 装置及び測定条件
7.4.1 ICP発光分光分析装置 ICP発光分光分析装置は,JIS K 0116に規定されたもので,耐ふっ化水素
酸試料導入装置(1)を装備し,7.4.3 a) 及びb) の各再現性基準を満足することを確認しておくことが必要で
ある。分光測光部は,試料溶液(Ta : 10 mg/mL)中の低濃度けい素(0.1 μg/mL)を測定するとき,波長
251.61 nmにおけるけい素分析線の発光スペクトルは,波長251.60 nm付近及び波長251.63 nm付近のタン
タルによる各発光スペクトル線とそれぞれ分離できることが必要である。例えば,分光器の性能は,回折
格子溝数3 600本/mm以上で焦点距離1 m前後,スリット幅が入口20 μm,出口30 μm程度あり,半値幅
で68 pm程度をもつ高分解能のICP発光分光分析装置を用いることが望ましい。
7.4.2 分析線の選定 けい素の発光強度の測定に用いる分析線は,251.61 nmの波長を使用する。
なお,中心波長で発光強度を測定した後,けい素分析線の中心波長波から低波長側へ約0.018 nm移動し
た最適位置でバックグラウンド強度を測定し,中心波長での発光強度測定値からそれを差し引き,けい素
の純発光強度を求める。また,測定のときは,タンタルの干渉を避けることを目的にけい素の分析線の最
高強度位置を事前に求め,その位置で分光器の波長を固定して測定する。
――――― [JIS H 1699 pdf 16] ―――――
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7.4.3 測定条件の設定 測定条件は,次の二つの再現性基準を両方とも満足するように設定しなければな
らない。
a) 定量下限域再現性基準 次の手順に従って操作し,得られる10個のけい素定量値の相対標準偏差が,
表10の相対標準偏差上限値以下でなければならない。
1) 検量線作成用タンタル[7.3 e)]0.500 gをはかりとってポリエチレンビーカー(100 mL)(5)に移し入
れ,7.6.1のb) 及びc) の手順に従って操作した後,再現性基準の検討をするけい素の標準溶液を表
10に従って正しく加え,7.6.1 d) の操作を行う。
2) 検量線作成用タンタル[7.3 e)]0.500 gをはかりとってポリエチレンビーカー(100 mL)(5)に移し入
れる。以下,7.6.1のb) d) の手順に従って1) の操作と並行して操作する。
3) 1) 及び2) で得た溶液の一部を用いて,7.6.2の操作を行い,けい素の発光強度を測定する。
4) 1)3) の操作と並行して,7.8の手順に従ってけい素の検量線を作成する。
5) 3) で得た発光強度と,4) で作成した検量線とからけい素の量を求め,けい素の定量値(タンタル中
の含有率に換算した含有率)を,次の式によって小数点以下4けたまで算出する。
C A B 100
.0500
ここに, C : けい素の定量値[%(質量分率)]
A : 1) で調製した溶液を用いて3) で得た発光強度と,4) で作成した
検量線とから求めたけい素の量(g)
B : 2) で調製した溶液を用いて3) で得た発光強度と,4) で作成した
検量線とから求めたけい素の量(g)
6) 3)5) の操作を10回繰り返して10個の定量値を求め,その相対標準偏差を算出する。
表 10 定量下限域再現性基準試験における標準溶液添加量及び相対標準偏差上限値
分析成分 使用する標準 標準溶液添加量 分析成分添加量 分析成分換算含有率相対標準偏差上限値
溶液の適用箇条 mL 最 %(質量分率) %
けい素 7.3 h) 0.50 5.0 0.001 20
b) 定量上限域再現性基準 次の手順に従って操作し,各定量元素ごとに得られる10個の定量値の相対標
準偏差が,表11の相対標準偏差上限値以下でなければならない。
1) 検量線作成用タンタル[7.3 e)]0.500 gをはかりとってポリエチレンビーカー(100 mL)(5)に移し入
れ,7.6.1のb) 及びc) の手順に従って操作した後,再現性基準の検討をするけい素の標準溶液を表
11に従って正確に加え,7.6.1 d) の操作を行う。
2) ) の2)6) の手順に従って操作する。
表 11 定量上限域再現性基準試験における標準溶液添加量及び相対標準偏差上限値
分析成分 使用する標準 標準溶液添加量分析成分添加量 分析成分換算含有率相対標準偏差上限値
溶液の適用箇条 mL 最 %(質量分率) %
けい素 7.3 g) 2.00 100.0 0.020 2
7.5 試料はかりとり量
試料はかりとり量は,0.50 gとし,1 mgのけたまではかる。
7.6 操作
7.6.1 試料溶液の調製 試料溶液の調製は,次の手順によって行う。
a) 試料をはかりとってポリエチレンビーカー(100 mL)(5)に移し入れる。
――――― [JIS H 1699 pdf 17] ―――――
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b) 硝酸ナトリウム溶液[7.3 c)]1 mL及びふっ化水素酸(1+1)4 mLを加えた後,ポリエチレン時計皿(6)
で覆い,硝酸(1+1)2 mLを少量ずつ加えて水浴上で加熱して分解する。
c) 放冷した後,時計皿の下面及びビーカーの内壁を水で洗浄し,ポリエチレン時計皿を取り除く。
d) 溶液を50 mLのポリエチレン全量フラスコ(3)に水を用いて移し入れ,水で標線まで薄める。
7.6.2 発光強度の測定 7.6.1 d) で得た溶液の一部をICP発光分光分析装置のアルゴンプラズマ中へ噴霧
し,7.4.3で設定した測定条件によって,7.4.2で選定した分析線の波長におけるけい素の発光強度を測定
する。
7.7 空試験
検量線作成用タンタル[7.3 e)]0.500 gをはかりとってポリエチレンビーカー(100 mL)(5)
に移し入れる。以下,7.6.1 b) d) 及び7.6.2の手順に従って試料と同じ操作を試料と並行して行う。
7.8 検量線の作成
検量線作成用タンタル[7.3 e)]0.500 gずつを必要に応じて4個のポリエチレンビー
カー(100 mL)(5)にはかりとり,以下,7.6.1 b) 及びc) の手順に従って操作した後,けい素の標準液B[7.3
g)]を表12に従って正確に加える。以下,7.6.1 d) 及び7.6.2の手順に従って操作し,得たけい素の発光強
度と検量線用溶液中の量(16)との関係線を作成し,検量線とする。
注(16) 検量線作成用タンタル中にけい素が含まれている場合は,標準溶液として添加したけい素量に
加算される。
表 12 検量線用溶液のけい素添加量
検量線用溶液 1 検量線用溶液 2 検量線用溶液 3 検量線用溶液 4
標準溶液 けい素 標準溶液 けい素 標準溶液 けい素 標準溶液 けい素
添加量 添加量 添加量 添加量 添加量 添加量 添加量 添加量
mL 最 mL 最 mL 最 mL 最
0.00 0 0.50 25 1.00 50 2.00 100
7.9 計算
7.6.2及び7.7で得た発光強度と,7.8で作成した検量線とから,けい素量を求め,試料中のけ
い素含有率を,次の式によって算出する。
A1 ( A2 A3 )
E 100
m
ここに, E : けい素の含有率[%(質量分率)]
A1 : 試料溶液中のけい素検出量(g)
A2 : 空試験液中のけい素検出量(g)
A3 : 7.8で用いた検量線作成用タンタル[7.3 e)]0.500 gに含まれる
けい素量(g)
m : 試料はかりとり量(g)
JIS H 1699:2006の国際規格 ICS 分類一覧
- 77 : 金属工学 > 77.120 : 非鉄金属 > 77.120.99 : その他の非鉄金属及び合金
JIS H 1699:2006の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISH1680:2002
- タンタル―分析方法通則
- JISK0050:2019
- 化学分析方法通則
- JISK0116:2014
- 発光分光分析通則
- JISK0557:1998
- 用水・排水の試験に用いる水
- JISZ8402-2:1999
- 測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)―第2部:標準測定方法の併行精度及び再現精度を求めるための基本的方法