JIS H 7851:2015 遮熱コーティングの温度傾斜場での熱サイクル試験方法 | ページ 2

4
H 7851 : 2015

5.2 円柱形ジグ

  円柱形ジグは,次による。
a) 試験片には,負荷された熱流束を算出するために必要となる円柱形ジグを取り付ける。
なお,熱サイクル試験における損傷発生までのサイクル数によって耐久性だけを評価する場合には,
円柱形ジグは使用しなくてもよい(附属書JA参照)。
b) 取付けの代表的な例を,図3に示す。図2に示した試験片に円柱形ジグをろう付する[図3 a) 参照]
か,又は機械的に結合する。また,不完全な接合及び相互拡散を避けるために,図2に示した試験片
を円柱形ジグの先端に直接作製してもよい。例を図3 b) に示す。
c) 円柱形ジグの外径は,試験片基材と同一とする。
d) 円柱形ジグの材料は,銅,ニッケルなど,熱伝導率が大きく,かつ,温度依存性が小さいものが望ま
しい。熱伝導率は,既知であるものを用いる。
e) 負荷された熱流束の値を求めるため,円柱形ジグの外表面から中心軸に至る,温度計測用の熱電対の
穴を,一定の間隔で適当数設ける。穴の間隔及びその数は,円柱形ジグの材質及び寸法,試験条件な
どに基づいて選択する。
f) 熱電対取付け用の穴径は,使用するシース熱電対が容易に抜け落ちない大きさとする。
単位 mm
a) ジグに試験片をろう付又は b) ジグに直接コーティングした構造
機械的に結合した構造
図3−試験片及び円柱形ジグの構成例

6 試験装置

6.1 試験装置の構成

 図4に代表的構成例を示す。
試験装置は,試験部,加熱装置,冷却装置,制御・監視装置及び検出器を含む計測装置で構成する。
また,耐久性だけを評価する場合の試験装置の構成を,附属書JAに示す。

――――― [JIS H 7851 pdf 6] ―――――

                                                                                              5
H 7851 : 2015
図4−試験装置の代表的構成例

6.2 試験部

 試験部は,試験片,円柱形ジグ及び固定支持具で構成する。代表的な試験部の例を,図5
に示す。AEセンサーを試験片の損傷の有無の検出に使用する場合には,そのセンサーを試験部に設置す
る。試験片側面を加熱しないように,熱防護板を設ける(図4参照)。また,円柱形ジグの半径方向の熱
損失を避けるために,断熱材を円柱形ジグの周囲に設ける。
図5−試験部の例

6.3 加熱装置

 ガスバーナ,アーク放電,プラズマ,赤外線ランプ,レーザビーム又は電子ビームを加
熱装置として使用する。加熱装置は,所定の温度に到達させるのに十分な加熱能力をもち,かつ,加熱出
力の制御が可能なものを使用する。加熱時に,加熱表面の温度分布が,表面温度全体の平均値の±5 %の
ばらつきの範囲内となる加熱装置とする。加熱装置によっては,開閉可能なシャッターを設けるか,又は
加熱装置が前後に移動できる機能を付加してもよい。

6.4 冷却装置

 冷却装置によって,空気,水などの冷媒を用い,円柱形ジグの裏面を冷却する。所定の
温度傾斜場を実現するのに十分な冷却能力をもち,かつ,冷媒の流量制御が可能なものを使用する。

――――― [JIS H 7851 pdf 7] ―――――

6
H 7851 : 2015

6.5 制御・監視装置

 制御装置は,温度勾配及び繰返しの加熱・冷却を制御する。所定の温度傾斜場は,
加熱装置の出力及び冷媒流量を制御して実現する。熱サイクル試験での加熱・冷却は,シャッターの開閉,
加熱装置及び冷却装置の移動などによって行う。試験片の表面上での損傷を検出し,非破壊的に評価する
ために,ビデオカメラによって監視・記録することを推奨する。

6.6 計測装置

 計測装置で使用する検出器は,次による。
a) 熱電対 試験片基材及び円柱形ジグの温度分布を測定するために使用する熱電対は,適切な大きさ及
び精度をもち,かつ,適切に校正されたものを使用する(JIS C 1602参照)。
b) 放射温度計などの非接触式温度計 試験片の表面温度の計測に使用する放射温度計は,測定温度範囲
内で,熱電対に比べて同等又はそれ以上の精度をもち,かつ,実際の使用条件の下であらかじめ適切
に校正されたものを使用する(JIS C 1612参照)。
c) E測定装置 試験片の損傷時期の検出に用いることが望ましい。AEセンサー変換子の周波数応答性
は100 Hz1 MHz,プリアンプの利得は40 dB,メインアンプの利得は25 dB以上の性能をもち,必
要に応じてバンドパスフィルタを用いる。

6.7 チャンバー

 雰囲気を制御する場合には,供試部の周囲に雰囲気を制御できるチャンバーを用いる。

7 試験手順

  試験条件及び所定のサイクル数は,受渡当事者間の協定による。
試験手順の一例は,次による(図6参照)。
図6−試験手順の例
a) 冷却装置を作動させ,試験片の裏面温度が安定していることを確認する。
b) 加熱装置を作動させ,必要な出力で安定していることを確認する。
c) 温度測定及びAE測定を開始する。
d) シャッターを開けることによって,試験片の表面を加熱する。
e) 温度上昇過程における表面温度の履歴から,所定の加熱速度が達成されたことを確認する。

――――― [JIS H 7851 pdf 8] ―――――

                                                                                              7
H 7851 : 2015
f) 表面温度を所定の値の±5 %の範囲内に設定し,所定の最高温度保持時間の間,この温度を保持する。
g) この間に,試験片及び円柱形ジグの温度を測定し,所定の温度勾配が達成されたことを確認する。
h) シャッターを閉じることによって,試験片の加熱を停止する。
i) 温度降下過程での温度履歴から,所定の冷却速度が達成されたことを確認し,所定の最低温度保持時
間の間,この温度を保持する。
j) 所定のサイクル数まで,ステップd) i) を繰り返す。
k) 所定のサイクル数に達する前に損傷限界になった場合,試験を終了し,そのサイクル数を記録する。
l) 所定のサイクル数で損傷しなかった場合には,所定のサイクル数で損傷なしと評価する。

8 計算

  計算は,次による(図7参照)。
なお,温度は小数点以下1桁に,それ以外の数値は小数点以下2桁に丸める。
図7−試験片及び円柱形ジグの温度分布
a) 熱流束 熱流束を,式(1)によって算出する。
s dT
q (1)
dx
ここに, q : 熱流束(W/m2)
λs : 円柱形ジグの熱伝導率(W/K・m)
(円柱形ジグの熱伝導率は,測定された温度の平均温度
での値を使用する。)
dT
: 熱電対で測定した円柱形ジグでの平均温度勾配(K/m)
dx
b) 試験片の温度差 試験片のトップコートの温度差は,式(2)によって算出する。
なお,裏面温度の算出は,附属書Aによる。
T ThTc (2)
ここに, ΔT : 試験片内の温度差(K)
Th : 表面温度(K)
Tc : 裏面温度(K)2)

――――― [JIS H 7851 pdf 9] ―――――

8
H 7851 : 2015
注2) 裏面温度は,基材に取り付けた熱電対の測定値で代替してよい。
c) 等価有効熱伝導率 試験片のトップコートの等価有効熱伝導率を,式(3)によって算出する。
q t
eff (3)
T
ここに, λeff : トップコートの等価有効熱伝導率(W/K・m)
t : トップコートの厚さ(m)

9 評価

9.1 遮熱性能の評価

  試験片の遮熱性能は,トップコートの最高表面温度,トップコートの最高表面温度における表面と裏面
との温度差,及び等価有効熱伝導率で評価する。試験片の端面から損傷した試験片は,評価に使用しない。

9.2 耐久性の評価

  試験片の耐久性は,損傷限界に達した熱サイクル数で評価する。所定のサイクル数で損傷しなかった場
合には,所定のサイクル数で損傷なしと評価する。

10 報告

  試験報告書が必要な場合は,報告事項は受渡当事者間の協定によって,次の項目から選定する。
a) 試験片 試験片は,次による。
1) 材料及びコーティング部材の材質
2) 試験片の構造(図2参照)
3) 試験片の寸法
4) 試験片の表面粗さ
5) 円柱形ジグの材質
6) 円柱形ジグの熱電対取付け穴の位置及び熱電対の直径
7) 製造方法及び製造条件
8) コーティング方法及びコーティング条件
9) 製造業者名及びロット番号
b) 加熱装置及び冷却装置 加熱装置及び冷却装置は,次による(6.3及び6.4参照)。
1) ガスバーナ加熱の燃料の種類及び性状
2) アーク・プラズマ加熱の作動ガスなど
3) レーザビームの種類及び波長
4) 冷媒の種類
c) 試験条件 試験条件は,次による。
1) 加熱装置の作動条件
2) 冷却装置の作動条件
3) 加熱時間
4) 冷却時間
5) トップコートの最高温度
6) トップコートの最低温度
7) トップコートの最高温度保持時間

――――― [JIS H 7851 pdf 10] ―――――

次のページ PDF 11

JIS H 7851:2015の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 13123:2011(MOD)

JIS H 7851:2015の国際規格 ICS 分類一覧

JIS H 7851:2015の関連規格と引用規格一覧