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H 7902 : 2016
8 計算
8.1 一般
計算は,8.28.9の手順によって行い,数値は,四捨五入によって小数点以下2桁に丸める。
なお,ポーラス金属では,圧縮試験中の断面変化を無視できる。
8.2 圧縮ひずみ
a) 試験片のゼロ変形点における高さhを,圧縮応力−ひずみ曲線から求める。この場合,圧縮応力−ひ
ずみ曲線の立ち上がり部において,曲線の勾配が最も大きくなる直線部分の接線を,横軸と交差する
まで延長したときの横軸との交点をゼロ変形点とし(図2参照),この交点における試験片の高さh
を求める。
b) 圧縮ひずみは,式(2)によって算出する。
h 1
ec 100 (2)
0
ここに, ec : 圧縮ひずみ(%)
h : 圧縮応力−ひずみ曲線における試験片のゼロ変形点における
高さ(mm)
h0 : 箇条7 b)で得た試験片の高さ(mm)
h1 : 負荷した圧縮試験力に対応する試験片の高さ(mm)
8.3 圧縮応力
圧縮応力は,式(3)によって算出する。
σ F
(pdf 一覧ページ番号 )
A
ここに, σ : 圧縮応力(N/mm2)
F : 試験力(N)
A : 箇条7 a)で得た断面積(mm2)
8.4 圧縮弾性率
圧縮弾性率は,圧縮応力−ひずみ曲線の立ち上がり部における曲線の勾配が最も大きくなる直線部分を
用いて,式(4)によって算出する(図2参照)。
Δσc
Ec 100 (4)
Δe
ここに, Ec : 圧縮弾性率(N/mm2)
c : 直線上の2点間の応力の差(N/mm2)
同じ2点間の圧縮ひずみの差(%)
8.5 圧縮耐力
圧縮耐力は,0.2 %の永久圧縮ひずみが生じる応力とする(図2参照)。
8.6 初期最大圧縮応力
初期最大圧縮応力は,圧縮応力−ひずみ曲線において,圧縮耐力を超えた直後に応力のピークを生じる
場合,そのピークの応力とする(図2参照)。
――――― [JIS H 7902 pdf 6] ―――――
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H 7902 : 2016
図2−圧縮弾性率,圧縮耐力及び初期最大圧縮応力の求め方
8.7 プラトー応力
プラトー応力は,圧縮応力−ひずみ曲線において,プラトー領域内の応力で,通常2030 %の圧縮ひず
みでの圧縮応力の平均値とする(図3参照)。
図3−プラトー応力及び緻密化開始応力の求め方
8.8 緻密化開始応力
緻密化開始応力は,プラトー応力の1.3倍の値とする。
注記 緻密化開始応力を示すひずみを緻密化開始ひずみと呼び,対応国際規格ではプラトーエンドと
している。
8.9 エネルギー吸収量及びエネルギー吸収効率
単位体積当たりのエネルギー吸収量は,式(5)によって求める。また,エネルギー吸収効率は,式(6)によ
って求める。
1 0 e0
W σe (5)
100
――――― [JIS H 7902 pdf 7] ―――――
6
H 7902 : 2016
W
We 104 (6)
σ0 e0
ここに, W : 単位体積当たりのエネルギー吸収量(MJ/m3)
We : エネルギー吸収効率(%)
e0 : 積分範囲の上限値(%)
σ0 : 圧縮ひずみe0における応力(MPa)
積分範囲の上限値は,50 %圧縮ひずみ又は緻密化開始ひずみとする。ただし,必要に応じて異なる上限
値としてもよい。
9 試験報告書
9.1 報告項目
試験報告書には,次の事項を記載する。
a) 規格番号
b) 試験片の製品情報(名称,型番など)
c) 試験片の材質,密度,気孔率,気孔形態[連通気孔(オープンセル)又は独立気孔(クローズドセル)],
平均気孔径(等軸状気孔の場合は直径を,異方性気孔の場合は長軸方向及び単軸方向の寸法)
d) 試験片の寸法,気孔径に対する一辺の長さ
e) 試験片数
f) 試験条件(温度,潤滑)
g) 試験速度(ms−1),初期圧縮ひずみ速度(s−1)
h) 試験結果
1) プラトー応力(算出に用いたひずみ範囲も記載する。例 2030 %)
2) 初期最大圧縮応力(測定が可能な場合)
3) 緻密化開始応力
4) エネルギー吸収量(算出に用いた積分範囲の上限を記載する。例 50 %)
5) エネルギー吸収効率
6) 圧縮応力−ひずみ曲線
9.2 任意報告項目
試験報告書には,受渡当事者間の協定によって必要と判断した場合に次の項目を記載する。
a) 試験機の種類及び装置の測定可能範囲
b) 試験片作製方法
c) 試験結果
1) 圧縮弾性率
2) 圧縮耐力
3) 測定値の統計データ
参考文献 金武直幸 : ポーラス金属の圧縮試験方法,塑性と加工,50,(2009),10041008
――――― [JIS H 7902 pdf 8] ―――――
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H 7902 : 2016
附属書JA
(参考)
JISと対応国際規格との対比表
JIS H 7902:2016 ポーラス金属の圧縮試験方法 ISO 13314:2011,Mechanical testing of metals−Ductility testing−Compression test for
porous and cellular metals
(I) JISの規定 (II) (III)国際規格の規定 (V) JISと国際規格との技術的差
(IV) JISと国際規格との技術的差異の箇条ごとの評価
国際 及びその内容 異の理由及び今後の対策
規格
箇条番号 内容 箇条 内容 箇条ごと 技術的差異の内容
番号
及び題名 番号 の評価
1 適用範囲 1 適用範囲 変更 ISO規格では,気孔率の適用範囲を50 %以我が国では,気孔率30 %程度のロ
上と規定しているが,JISでは,30 %以上ータス金属も用いるため,変更し
た。
に変更した。室温での試験であること及び
ひずみ速度の適用範囲も追加した。
3 用語及び 3 用語及び定義 変更 箇条8で記載した方が定義及び内
ISO規格では,11の用語を規定しているが,
定義 JISでは圧縮ひずみなど8の用語を箇条8 容が明確になるため,移動した。
なお,ISO規格にはポーラス金属
に移動するとともに,JIS H 7009の引用に
変更した。 用語はないため,一般的ポーラス
金属用語は,JIS H 7009を引用し,
これに規定されていない用語は,
個別に本文で定義した。
4 原理 4 原理 追加 JISでは,ひずみ速度の範囲を追加した。高速圧縮試験方法との違いを明確
にするため,追加した。
5 装置及び 5.1 試験機 5.1 試験機 変更 JIS B 7721とISO 7500-1とは引用
ISO規格で引用しているISO 7500-1を,JIS
器具 箇所の内容が同じため,変更した。
B 7721に変更するとともに,試験機の試験
力及び変更の指示精度を追加した。
5.2 加圧ジグ 5.2 加圧ジグ 追加 JISでは,上下の加圧面の寸法は“試験片JISの適用範囲にある気孔率の低
の断面積よりも大きく”を追加した。 い試験片では,断面積が増加する
可能性があり,試験片に均一に試
H7
験力を加えるために必須であるた
902
め追加した。
: 2
5.3 ノギス 5.3 圧縮ひずみの測定 追加 JISでは,ノギスの規格としてJIS B 7507 −
01
器具 を追加した。技術的差異はない。
6
2
――――― [JIS H 7902 pdf 9] ―――――
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H 7902 : 2016
H7
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(I) JISの規定 (II) (III)国際規格の規定 (V) JISと国際規格との技術的差
(IV) JISと国際規格との技術的差異の箇条ごとの評価
国際 及びその内容 異の理由及び今後の対策
902
規格
: 2
箇条番号 内容 箇条 内容 箇条ごと 技術的差異の内容
番号
0
及び題名 番号 の評価
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6 試験片 6.2 試験片の数 6.2 試験片 変更 JIS K 7220などにおいて規定する
ISO規格では,“3個以上”としているが,
JISでは“5個以上”に変更した。 5個での評価及びユーザー判定へ
の信頼性(統計処理)の観点を考
慮した。
6.3 試験片の作製 6.3 試験片の作製 削除 JISでは,試料上下面の平行,側面及び加これらの作業は,当然のものと判
断した。
圧面の垂直,並びにばり取り加工の規定を
削除した。
7 試験 − 変更 JISでは,試験片寸法の測定,試験速度の試験片寸法の測定,試験速度の設
設定も合わせた実施方法を箇条7に規定し定を,試験の実施方法に含める方
た。 が分かりやすいと判断した。
7.1 試験温度 削除 ISO規格では,“雰囲気温度1035 ℃の 一般的な室温で試験を実施すれば
間”及び“温度調節機の設定温度を23± 問題ないと判断した。
5 ℃”と規定しているが,JISでは,削除
し,適用範囲で“室温”と規定した。
7.2 試験前の試験片寸 削除 ISO規格で推奨している測定箇所の数を削試験片の寸法測定は当然であり,
法の測定 除した。 あえて記載する必要はないと判断
した。
追加 ISO規格では,試験片寸法の測定機器が規 −
定されていないので,JISでは,測定機器と
してノギスを規定した。技術的差異はない。
7.4 試験実施方法 削除 ISO規格では,データサンプリング周波数一般的な静的引張・圧縮試験機を
を規定しているが,JISでは,規定しない使用すれば,十分な精度及びサン
ことにした。 プル間隔での試験力及び変位のデ
ータ採取が可能であるので,デー
タサンプリング周波数を規定する
必要はないと判断した。
7.5 予備試験及び除荷 削除 ISO規格では,逆転負荷によるヒステリシ我が国では,この方法は一般的で
試験 はなく,試験の準備・実施も煩雑
ス負荷試験を実施して,プラトー応力を推
となるため,適切ではないと判断
定する予備試験及び除荷試験が規定されて
いる。一方,JISでは,この予備試験及びした。
除荷試験を削除した。
――――― [JIS H 7902 pdf 10] ―――――
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JIS H 7902:2016の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 13314:2011(MOD)
JIS H 7902:2016の国際規格 ICS 分類一覧
- 77 : 金属工学 > 77.120 : 非鉄金属 > 77.120.99 : その他の非鉄金属及び合金
JIS H 7902:2016の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISB7507:2016
- ノギス
- JISB7721:2018
- 引張試験機・圧縮試験機―力計測系の校正方法及び検証方法
- JISH7009:2016
- ポーラス金属用語
- JISH7903:2008
- ポーラス金属の熱伝導率試験方法