JIS K 0114:2012 ガスクロマトグラフィー通則 | ページ 2

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df : 固定相液体の膜厚
ただし,di,dfは同じ単位を用いる。
3.13
スプリット注入法*(split injection method)
試料導入部に設けた分岐によって,注入気化した試料の一部をカラムに導入する方法。試料のカラムへ
の過負荷を防止して分析するキャピラリーカラム用試料注入法(分割導入方式)。
3.14
スプリットレス注入法*(splitless injection method)
注入気化した試料のほぼ全量がカラムに移送された段階で,スプリット出口を開き,気化室に残存する
溶媒などを系外に排出し分析するキャピラリーカラム用試料注入法(非分割導入方式)。
3.15
直接注入法*(direct injection method)
試料を加熱した気化室に注入して,瞬間気化させた後,カラムへ全量導入するキャピラリーカラム用試
料注入方法。
3.16
コールドオンカラム注入法*(cold on-column injection method)
試料溶媒の沸点以下に保った注入口を通してカラムに直接試料を導入する方法(全量導入方式)。注入後
カラムを昇温して分析する。
3.17
温度プログラム気化法,PTV法(programmed temperature vaporization method)
試料導入部の温度を任意にプログラムし試料をカラムに導入する方法。複数の注入法に対応できる(全
量導入方式,分割導入方式及び非分割導入方式)。
3.18
ベースライン*(base line)
クロマトグラムにおいて,試料成分がなくキャリヤーガスだけが検出器を通過している部分の安定な信
号を記録したもの。基線ともいう。
3.19
テーリング*(tailing)
ピーク後部が裾を引いている様子。ピーク後半部のピーク幅が,前半部のピーク幅に比べてひろくなる。
3.20
リーディング*(leading)
ピーク前部が緩やかに立ち上がっている様子。ピーク前半部のピーク幅が,後半部のピーク幅に比べて
ひろくなる。
3.21
ピーク*(peak)
クロマトグラムにおいて,カラムから試料成分が溶出しているときの曲線部分。
3.22
ピーク高さ*(peak height)
ピークの頂点からピークの両裾を結ぶ直線に時間軸に垂直に下ろした直線の長さ。

――――― [JIS K 0114 pdf 6] ―――――

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3.23
ピーク幅*(peak width)
ピークの両側の変曲点における接線とピークの両裾を結ぶ直線との二つの交点間の長さ。
3.24
ピーク面積*(peak area)
ピークの両裾を結ぶ直線とピークとが囲む面積。
3.25
半値幅*(peak width at half height)
ピーク高さの1/2の点において,時間軸に平行に引いた直線とピークとの交点間の長さ。
3.26
半値幅法*(peak width at half height method)
半値幅にピーク高さを乗じて表すピーク面積計算法。
3.27
分離度*,R(resolution)
目的成分が近接するピークからどの程度分離しているかを示す尺度。分離度は,ピーク幅又はピーク半
値幅を用いて,次の式で定義する。
(tRb−tRa )
R=2
(Wa+Wb )
ここに, R : 分離度
tRb,tRa : 成分ピークa及びbの保持時間(tRb>tRa)
Wa,Wb : 成分a及びbのピーク幅時間
ただし,tRb,tRa,Wa,Wbは同じ単位を用いる。
(tRb−tRa )
R=.118
(W2/1a+W2/1b )
ここに, R : 分離度
tRb,tRa : 成分ピークa及びbの保持時間(tRb>tRa)
Wa1/2,Wb1/2 : 成分a及びbのピーク半値幅時間
ただし,tRb,tRa,Wa1/2,Wb1/2は同じ単位を用いる。
3.28
保持係数*,k(retention factor)
各成分ピークの保持時間をデッドボリュームの値で補正した数値。保持時間tR及びホールドアップタイ
ムtMによって,次の式で定義する。試料成分が固定相と移動相とに分配した割合。
k=(tR−tM)/tM
3.29
保持時間*(retention time)
カラムに試料を導入後,特定成分のピークの頂点が現れるまでの時間。
3.30
空間補正保持時間*(adjusted retention time)
ホールドアップタイム(tM)によって補正された保持容量tR'。tR'=tR−tMで定義される。
3.31
保持容量*(retention volume)
ある条件のもとで特定の物質をカラムから溶出させるのに必要なキャリヤーガスの体積。VR=tR ×Fc

――――― [JIS K 0114 pdf 7] ―――――

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で定義する。ここに,tRはその場合の保持時間,Fcはそのときのカラム温度におけるカラム出口でのキャ
リヤーガス流量。
3.32
比保持容量*,Vg(specific retention volume)
標準状態における固定相液体の単位質量当たりの全補正保持容量で表した値(Vg)。
VN 273.15
Vg=
WL T
ここに, VN : 全補正保持容量
WL : 固定相液体の質量
T : カラムの絶対温度(K)
3.33
空間補正保持容量*,VR'(adjusted retention volume)
ホールドアップボリュームによって補正された保持容量(VR')。VR'=VR−VMで定義する。
ここに, VR' : 空間補正保持容量
VR : 保持容量
VM : ホールドアップボリューム
3.34
全補正保持容量*,VN(corrected retention volume)
カラムにおけるホールドアップタイムと体積及び圧力降下を補正した保持容量。空間補正保持容量VR'
に圧力勾配補正因子jを乗じたVN=j×VR'で定義する。
3.35
保持値*(retention value)
保持容量,保持時間,空間補正保持容量,全補正保持容量,比保持容量,保持比,保持係数などの総称。
3.36
保持比*(relative retention)
目的物質の基準物質に対する保持値の比。ある物質の保持値を表示するため,同一条件のもとで,
VR 1 'VN1 Vg1 VR1
r12
VR 2 'VN 2 Vg 2 VR 2
として得る数値。
ここに, VR' : 空間補正保持容量
VN : 全補正保持容量
Vg : 比保持容量
VR : 保持容量
なお,添字1 及び2 は,それぞれ特定物質及び比較用物質を表す。
ただし,VR',VN,Vg,VRは同じ単位を用いる。
3.37
ホールドアップタイム*(hold up time)
試料導入時からカラムに保持されない成分(k=0)のピークの頂点が現れるまでの時間。
3.38
理論段数*,N(number of theoretical plates)
カラムの効率を表す指標の一つ。特定成分について,次の式で定義する数。ピーク幅の求め方によって,
接線法,半値幅法,面積高さ法などの方法がある。

――――― [JIS K 0114 pdf 8] ―――――

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Rwt 接線法
N=16
b
2
wt
R 半値幅法
N=.554
b1/ 2
2
tR Ah 面積高さ法
N=2π
ピークがガウス曲線の場合,三つの式の結果は一致する。
ここに, tR : 保持時間
wb : ピーク幅
A : ピーク面積
h : ピーク高さ
wb1/2 : ピーク半値幅
ただし,tR,wb,wb1/2は,同じ単位を用いる。
3.39
分析種*(analyte)
分析試料中の被検成分。分析対象成分ともいう。
3.40
固相抽出*(solid phase extraction)
充剤などを充した固相の捕集剤に試料を通過させ,試料成分の単離,精製,濃縮などを行う操作。
3.41
キャリヤーガス*(carrier gas)
ガスクロマトグラフィー用移動相気体。
3.42
昇温分析法*(programmed temperature gas chromatography)
あらかじめ設定したプログラムに従って,カラム槽の温度を上昇させながら行う分析法。
3.43
昇温速度*(programming rate)
昇温分析におけるカラム槽温度の変化率。
3.44
絶対検量線法*(external standard method)
分析種と同じ成分の既知濃度の試料から得たクロマトグラム上のピーク面積又は高さをもとに作成した
検量線を用い,試料中の分析種の濃度又は量を求める方法。
3.45
内標準法*(internal standard method)
分析種の既知量に内標準物質の既知量を加えた混合試料を分析し,分析種と内標準物質の量比と信号比
とから関係線を作成し,次に目的試料に内標準物質の既知量を添加して分析し,関係線から目的試料中の
分析種を定量する方法。試料導入量変動の影響を受けにくい利点がある。
3.46
内標準物質(internal standard)
内標準法において基準として用いる物質。

――――― [JIS K 0114 pdf 9] ―――――

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3.47
相対感度*(relative sensitivity)
基準とする成分の単位量当たりのピーク面積又は高さに対する,対象成分の単位量当たりのピーク面積
又は高さとの比。相対感度の逆数を補正係数という。
3.48
溶媒効果(solvent effects)
キャピラリーカラムを用いるガスクロマトグラフ分析においてカラム温度を試料溶媒の沸点より20 ℃
程度低くする。このとき,試料注入部で気化した試料溶媒はカラムの先端で凝縮する。試料導入部で広が
った成分が凝縮した溶媒に保持されることによって,ピーク幅が狭くなる現象。
3.49
標準物質*(reference material)
ガスクロマトグラフの校正,測定方法の評価又は試料に値を付与することに用いるために,その特性値
が必要かつ十分な程度で確定されている物質。
3.50
サロゲート(surrogate)
検出器として質量分析計(MS)を使用するときに,試料の前処理操作,分析操作の段階における収率の
補正,回収率の確認などのために添加される,分析種と化学構造が同じ,又は類似した物質。元素の一部
を重水素d,13Cなどの安定同位体で置換したものが用いられる。サロゲート物質ともいう。
3.51
ディスクリミネーション(discrimination)
ガスクロマトグラフ分析において,広い沸点範囲の試料を注入したときに,注入した試料とカラムに入
った試料との組成が変わること。主に,試料中の高沸点成分が低沸点成分に比べてカラムに移行されにく
く高沸点成分の組成比が相対的に小さくなる。シリンジ針先での分別蒸留現象,注入口での不均一な気化,
拡散などに起因して発生する。
3.52
McReynolds数(McReynolds constant)
五つの分析種(ベンゼン,1-ブタノール,2-ペンタノン,ピリジン及び1-ニトロプロパン)の該当する
固定相液体での各分析種の保持指標から,無極性固定相の基準としたスクアランに対する保持指標をそれ
ぞれ引いて得られた五つの値の総和で定義する。McReynolds数が大きいほど極性が強い。目安として,
McReynolds数に100以上の差があると分離挙動が異なる。
3.53
熱脱着(thermal desorption)
表面に吸着している物質が加熱によって,表面から他の相に脱離する現象。
3.54
熱抽出(thermal extraction)
試料に含まれている物質を加熱によって,他の相に移す操作。
3.55
コンディショニング(conditioning)
固定相に吸着又は溶解している不純物を除去するために,キャリヤーガスを流しながらカラムを適切な
温度まで上げる操作。

――――― [JIS K 0114 pdf 10] ―――――

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JIS K 0114:2012の国際規格 ICS 分類一覧

JIS K 0114:2012の関連規格と引用規格一覧

規格番号
規格名称
JISK0050:2019
化学分析方法通則
JISK8251:2020
ガラスウール(試薬)