JIS K 0166:2011 表面化学分析―高エネルギー分解能をもつオージェ電子分光器による元素分析及び化学結合状態分析のためのエネルギー軸の校正方法 | ページ 6

24
K 0166 : 2011
k 2
I 2 t 1 R
U95 .124 12 .0040 (eV) (C.6)
k
kを7,tk−1を=2.447とすると,式(C.6)から,式(C.7)に示すように
2 2 1
U95I
≦ 1.2 R .0040 (eV) (C.7)
となる。
C.2 通常の校正に関する不確かさの計算法
I
ほとんどの分光器のエネルギー軸の誤差は,近似的には運動エネルギーEに比例する。ε2がUよりも小
95
さく,それゆえエネルギー軸が線形にとれるであろうことが分かっても,これは単にエネルギー値Eref 2で
I
の不確かさUが分かるだけである。σRが,σR1,σR2,σR4又はσR3の最も大きいものと等しいとした解析に
95
よって,運動エネルギー0 eV2 250 eV(Au M5N6, 7N6, 7を用いた場合)又は0 eV1 550 eV(Al KL2, 3L2, 3
cI
を用いた場合)の領域での全体的な不確かさUが与えられる。ここで(参考文献[7]参照),
95
1.5t6
U95cI ≦ 12
R
(C.8)
m
であり,mは日常的な校正手順での繰返し回数である。式(C.8)から,
U95cI ≦ 6.2
R ,m=2 (C.9)
≦ 7.3R,m=1 (C.10)
I
となり,式(12)及び式(13)で示されたものが求められる。|ε2|がUよりも大きいかδ/4よりも小さいのであ
95
れば,校正はまだ有効である。この場合にε2の値は,校正の不確かさに含まれなければならない。エネル
ギー軸の誤差がEについての二次の依存性があると仮定するのであれば,非線形的な寄与は,Au M5N6, 7N6,
7を用いた場合の0 eV2 250 eVの間の運動エネルギー領域又はAl KL2, 3L2, 3を用いた場合の0 eV1 550
eVの間の領域において,1.15ε2で最大となり,−1.15ε2で最小となる。さらに,三次のエネルギー軸の誤
差は,±1.2ε2の間に入る。したがって,エネルギー軸全体の不確かさU95は,式(11)から,式(C.11)で与え
られる。
I 2 2 1
U95 95
2.1 2 (C.11)

――――― [JIS K 0166 pdf 26] ―――――

                                                                                             25
K 0166 : 2011
附属書D
(参考)
測定した運動エネルギーの不確かさの考え方
D.1 一般
この附属書は,分光器のエネルギー軸の目盛の校正の不確かさの決定法について記載する。すなわち分
析者は,さらなる(例えば,新しい)ピークエネルギー値を決定する場合の不確かさを引用しようとする
であろう。この附属書では,これを“分析不確かさ”(UA)と呼ぶ。次に概要を示すとおり,考慮するの
がよい三つの一般的な場合がある。これら三つは,全て新しいピークの繰返し性の標準偏差σRnewを含んで
いる。
D.2 表面電位が分析試料のほとんどの部分で一定のときに,一つのスペクトル中の二つの化学状態に対
して測定されたオージェ電子ピークの間でのエネルギーの差
この場合,分光器が0.1 %以上の目盛誤差をもつことはまれであり,更に化学状態間のエネルギー差は
10 eV未満であるので,ここで行った校正の不確かさの多くは特に考慮する必要はない。6.7で規定してい
る測定の繰返し性には試料の位置が大きく影響するが,この場合は,関連するいずれのピークについても
共通条件であるため,やはり考慮する必要はない。ピークが重なり合っていないのであれば,分離に対す
る不確かさはそれぞれのピークに定義される不確かさによって定義される。ピークが重なり合っている場
合には,スペクトルの最大値を与えるエネルギー値は,各成分のピークのエネルギー値と一致しない。し
たがって,通常はピーク分離を行うソフトウェアを利用して,それぞれの成分ピークの運動エネルギーを
求める。有効なソフトウェアによる場合,分析の不確かさは,この校正法で議論した項目よりもむしろピ
ークフィッティング[16], [17] からくる統計誤差に支配される。
D.3 続けて測定した二つの試料の化学状態に対する測定されたオージェ電子ピークのエネルギー差
D.2のように,ほとんどの校正の不確かさは無視でき,分析の不確かさは二つのピークの繰返し性の標
準偏差に依存する。測定している新しいピークに対する繰返し性の標準偏差σRnewが校正時に決定されたσR
の値に等しいとき,導体試料に対する信頼度95 %でのエネルギー差の分析の不確かさは,次の式で求める。
UA=tk−121/2σR (D.1)
k=7とすれば,
UA=3.5σR (D.2)
絶縁物試料の場合は,帯電補正の不確かさを含める必要がある。この不確かさは,主に他の要因で支配
される。
着目している多くのピークに対して,これらのピークはしばしば校正に用いられる適切な金属のピーク
よりも幅が広く強度も弱いことから,σRnewがσRよりも大きくなることに注意する。
D.4 校正の直後に測定した単一ピークのエネルギー
分光器のドリフトが無視できるように分光器を校正した直後にピークエネルギーの測定が行われた場合
は(6.14参照),不確かさは,式(11)及び式(C.11)で与えられるが,新しいピークに対する項も含まれる。
式(11)及び式(C.11)の条件に対して,分析不確かさは式(D.3)で表される。

――――― [JIS K 0166 pdf 27] ―――――

26
K 0166 : 2011
UA
2
U95cI E 2.1 2
2 jt
1 Rnew
2
1
紀 (D.3)
これは新しいピークに対してj回の測定の分散からσRnewが導出されるということを仮定している。実際
には,もちろん,一般的にσRnewが測定されることはない。σR1,σR2,σR4又はσR3がσRに等しいかそれより
小さければ,式(D.3)は評価できる。通常の校正におけるCu M2, 3VV及びAu M5N6, 7N6, 7ピークに対する2
回の繰り返し又は1回の測定及び新しいピークに対する1回のスペクトル測定に対して,分析の不確かさ
は式(D.4)及び式(D.5)で表される。
2 2 1
UA ≦ 6.3 R 2.1 2 (m=2) (D.4)
かつ,
2 2 1
UA ≦ 4.4 R 2.12 (m=1) (D.5)
D.3で述べたように,式(D.3)を用いる場合は,多くの新しいピークに対してσRnewはσRより大きい。
D.5 校正の間における単一ピークのエネルギー
校正の間に測定された新しいピークに対して,分析の不確かさは式(D.6)の関係にある。
UA≦δ+tj−1σRnew (D.6)
ここで,D.4のように,新しいピークの繰返し性の標準偏差σRnewはj回の測定で定義される。
先に述べたように,σRnewが,以前の新しいピークの7回測定の記録による校正で決定したσRの値より
小さいか等しいならば,新しいピークのスペクトル1回の測定に対して,分析の不確かさは式(D.7)の関係
にある。
UA≦δ+2.5σR (D.7)
D.3で述べたように,多くの新しいピークに対してσRnewはσRより大きい。

――――― [JIS K 0166 pdf 28] ―――――

                                                                                             27
K 0166 : 2011
参考文献
[1] JIS Q 17025 試験所及び校正機関の能力に関する一般要求事項
注記 対応国際規格 : ISO/IEC 17025,General requirements for the competence of testing and
calibration laboratories(IDT)
[2] SEAH, M.P. and TOSA, M., Linearity in electron counting and detection systems, Surface and Interface
Analysis, Mar. 1992, vol. 18, no. 3, pp. 240-246
[3] SEAH, M.P., LIM, C.S. and TONG, K.L. Channel electron multiplier efficiencies: the effect of the pulse
height distribution on spectrum shape in Auger electron spectroscopy, Journal of Electron Spectroscopy, Mar.
1989, vol. 48, no. 3, pp. 209-218
[4] SEAH, M.P., GILMORE, I.S. and SPENCER, S.J. XPS−Binding energy calibration of electron
spectrometers 4−Assessment of effects for different X-ray sources, analyser resolutions, angles of emission
and of the overall uncertainties, Surface and Interface Analysis, Aug. 1998, vol. 26, no. 9, pp. 617-641
[5] SAVITZKY, A. and GOLAY, M.J.E. Smoothing and differentiation of data by simplified least squares
procedures, Analytical Chemistry, July 1964, vol. 36, no. 8, pp. 1627-1639
[6] SEAH, M.P. and SMITH, G.C. AES: Energy calibration of electron spectrometers, II−Results of a BCR
interlaboratory comparison co-sponsored by the VAMAS SCA TWP, Surface and Interface Analysis, Feb.
1990, vol. 15, no. 2, pp. 309-322
[7] SEAH, M.P. AES: Energy calibration of electron spectrometers, IV−A re-evaluation of the reference
energies, Journal of Electron Spectroscopy, December 1998, vol. 97, no. 3, pp. 235-241
[8] SEAH, M.P., SMITH, G.C. and ANTHONY, M.T. AES: Energy calibration of electron spectrometers I−An
absolute, traceable energy calibration and the provision of atomic reference line energies, Surface and
Interface Analysis, May 1990, vol. 15, no. 5, pp. 293-308
[9] SEAH, M.P. and SMITH, G.C. Spectrometer energy scale calibration, Appendix 1: in Practical Surface
Analysis Vol 1: Auger and X-ray Photoelectron Spectroscopy, Chichester: Wiley, 1990, pp. 531-540
[10] SEAH, M.P. and GILMORE, I.S. AES: Energy calibration of electron spectrometers III−General calibration
rules, Journal of Electron Spectroscopy, Feb. 1997, vol. 83, nos. 2,3, pp. 197-208
[11] SEAH, M.P. and ANTHONY, M.T. A verification of the relativistic correction for electrostatic electron
spectrometers, Journal of Electron Spectroscopy, Feb. 1995, vol. 35, nos. 1,2, pp. 145-153
[12] GOTO, K. and SHIMIZU, R. Absolute Auger electron spectroscopy: accuracy and detectability, International
Symposium on Atomic Level Characterisations for New Materials and Devices, 23-28 November 1997,
Hawaii, Japan Society for Promotion of Science, Tokyo, 1990, pp. 403-406
[13] ISO 7870-1,Control charts−Part 1: General guidelines
[14] ISO 7873,Control charts for arithmetic average with warning limits
[15] CUMPSON, P.J., SEAH, M.P. and SPENCER, S.J. Simple procedure for precise peak maximum estimation
for energy calibration in AES and XPS, Surface and Interface Analysis, Sept. 1996, vol. 24, no. 10, pp.
687-694
[16] CUMPSON, P.J. and SEAH, M.P. Random uncertainties in AES and XPS: 1: Uncertainties in peak energies,
intensities and areas derived from peak synthesis, Surface and Interface Analysis, May 1992, vol. 18, no. 5,
pp. 345-360
[17] SEAH, M.P. and BROWN, M.T. Validation and accuracy of software for peak synthesis in XPS, Journal of

――――― [JIS K 0166 pdf 29] ―――――

28
K 0166 : 2011
Electron Spectroscopy, Aug. 1998, vol. 95, no. 1, pp. 71-93

――――― [JIS K 0166 pdf 30] ―――――

次のページ PDF 31

JIS K 0166:2011の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 17974:2002(MOD)

JIS K 0166:2011の国際規格 ICS 分類一覧

JIS K 0166:2011の関連規格と引用規格一覧

規格番号
規格名称
JISK0147:2004
表面化学分析―用語