JIS K 0212:2016 分析化学用語(光学部門) | ページ 7

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K 0212 : 2016
番号 用語 よみ 定義 対応英語(参考)
8041 偏光顕微鏡 へんこうけんびき polarized-light
偏光を利用して物質を調べるために,偏光子,
ょう 検光子などをもつ顕微鏡。 microscope
8042 飽和励起, ほうわれいき, saturated excitation,
蛍光分子を励起する光強度を十分強くしていく
SAX さっくす SAX
と,光強度上昇に比べて蛍光強度上昇が飽和す
る現象。
8043 飽和励起顕微 ほうわれいきけん saturated excitation
高強度光を集光して,光の強い中心部分だけで
鏡, びきょう, 飽和励起が起こる現象を利用した超解像顕微 microscope
SAX顕微鏡 さっくすけんびき 鏡。
ょう
8044 誘導放出制御 ゆうどうほうしゅ stimulated emission
観察用の励起レーザー光及び誘導放出用の短パ
顕微鏡, つせいぎょけん ルスレーザー光を試料に対してほぼ同時に照射depletion microscope
STED顕微鏡 びきょう, して,自然放出光だけを観察することで,高い
すてっどけんびき 空間分解能での観察が可能な顕微鏡。
ょう
8045 ライトシート らいとしーとけん light sheet fluorescent
シリンドリカルレンズなどを用いて照明光をシ
顕微鏡, びきょう, ート状にして,観察用対物レンズの軸外から試microscope,
光シート顕微 ひかりしーとけん light sheet fluorescence
料の焦点面だけに照射することによって,光学
鏡 びきょう 切片画像を得る顕微鏡。 microscope
8046 レーザー走査 れーざーそうさが laser scanning
共焦点光学系を利用してレーザー光をスポット
型顕微鏡, たけんびきょう 集光して,集光位置を走査することで,高い空microscope,
LSM 間分解能で定性・定量を行う顕微鏡。 LSM
8047 レイリーの解 れいりーのかいぞ Rayleigh resolution
光学系において,二つの点像が2点として識別
像限界 うげんかい 可能な最短距離。 limit
注記 0.61 一一
光の波長
NA : レンズの開口数

3.9 赤外吸収分光法・ラマン散乱分光法

 番号      用語           よみ                         定義                    対応英語(参考)
9001 外部反射法 がいぶはんしゃほ external reflection
非金属表面に平行偏光を入射し,その反射光を
う 測定することによって,非金属表面に存在するspectroscopy
分析種のスペクトルを測定する方法。
9002 共鳴ラマン散 きょうめいらまん resonant Raman
励起光のエネルギー近傍で物質の電子遷移状態
乱 さんらん を誘起できる場合に,ラマン散乱光強度が著しscattering
く増大される現象。
9003 顕微赤外分光 けんびせきがいぶ 微小領域の赤外分光測定を行う方法。 infrared
法 んこうほう microspectrometry
9004 顕微ラマン分 けんびらまんぶん Raman microscopy,
ラマン散乱分光において,励起光学系と散乱光
光法, こうほう, laser Raman
検出系とに顕微光学系を組み込み,微小部分の
顕微レーザー けんびれーざーら スペクトル観測を行う方法。 microscopy
ラマン分光 まんぶんこうほ
法 う
9005 コーンズの優 こーんずのゆうい Connes advantage
干渉分光法ではレーザー波長を基準にして干渉
位性 せい 図形(インターフェログラム)の計測をするた
め,スペクトルの波数精度が高いという利点。
9006 錠剤法 じょうざいほう disk method,
測定波長範囲における光の吸収が少ない微粉状
tablet method,
の媒体中に,微粉化した試料を均一に混合し,
錠剤に成形する試料調製方法。 pellet method
注記 媒体としてKBrが広く用いられる。

――――― [JIS K 0212 pdf 31] ―――――

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K 0212 : 2016
番号 用語 よみ 定義 対応英語(参考)
9007 HgCdTe検出 すいぎんかどみう 赤外波長領域の光に感度をもつ光伝導体 HgCdTe detector,
器, むてるるけんし HgCdTeを用いる検出器。 MCT detector
MCT検出器 ゅつき, 注記 FT-IRなどに利用される。
えむしーてぃーけ
んしゅつき
9008 赤外吸収スペ せきがいきゅうし 赤外波長領域で測定した吸収スペクトル。 infrared absorption
クトル ゅうすぺくとる spectrum
9009 赤外分光光度 せきがいぶんこう infrared spectrometer
赤外波長領域における試料の吸収,反射特性を
計 こうどけい 測定する機器。
9010 赤外分光分析 せきがいぶんこう infrared spectrometry
赤外吸収スペクトルを測定して定性・定量を行
法 ぶんせきほう う分析方法。
9011 ノッチフィル のっちふぃるたー notch filter
ラマン散乱分光測定において,散乱光から励起
ター 光の波長成分を除去し,ラマン散乱光だけを測
定するために用いる,特定の波長範囲の光を急
しゅん(峻)に遮断できるフィルター。
9012 反射吸収法, はんしゃきゅうし reflection absorption
金属表面に大きな入射角で平行偏光を入射し,
高感度反射法, ゅうほう, その反射光を測定することによって,金属表面spectroscopy,
RAS こうかんどはんし RAS
に存在する分析種のスペクトルを高感度で測定
ゃほう, する方法。
らす 注記 非金属表面での反射吸収法は外部反射法
として区別する。
9013 比較ガス(赤 ひかくがす reference gas (of
赤外線吸収によって試料の濃度を測定する機器
外ガス分析 において,対照として用いる赤外線を吸収しなinfrared gas
計の) いガス。 analyzer)
9014 表面増強ラマ ひょうめんぞうき surface enhanced
金属表面に吸着した分子に対して観測される著
ン散乱, ょうらまんさん しく増強されたラマン散乱。 Raman scattering,
SERS らん, SERS
さーす(さーず)
9015 フーリエ変換 ふーりえへんかん Fourier transform
試料を透過又は反射した後に測定した干渉図形
赤外分光光 せきがいぶんこ (インターフェログラム)をフーリエ変換するinfrared
度計, うこうどけい ことによって,赤外波長領域のスペクトルを得spectrometer,
FT-IR る分光装置。 FT-IR
9016 フーリエ変換 ふーりえへんかん Fourier transform
フーリエ変換赤外分光光度計を用いて,得られ
赤外分析法, せきがいぶんせ た赤外波長領域のスペクトルから,試料の分子infrared
FT-IR分析法 きほう, 構造などを分析する方法。 spectrometry,
えふてぃーあいあ FT-IR spectrometry
ーるぶんせきほ

9017 フェルゲット ふぇるげっとのり Fellgettes advantage
測定に時間をかけたときのSN比向上の程度が,
の利得 とく 波長掃引による観測手法に比べて,干渉分光法
など全波長領域の信号を同時に観測する手法で
有利になること。
9018 ペースト法 ぺーすとほう paste method
細かくすりつぶした固体試料を,流動パラフィ
ンなどに分散させる,分光測定のための試料調
製方法。
9019 ラマン散乱 らまんさんらん Raman scattering
物質に光を照射したときに,照射光と振動数の
異なった散乱光とが生じる現象。

――――― [JIS K 0212 pdf 32] ―――――

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番号 用語 よみ 定義 対応英語(参考)
9020 ラマン散乱分 らまんさんらんぶ ラマン散乱光を分光測定する方法。 Raman scattering
光法, んこうほう, spectroscopy,
ラマン分光法 らまんぶんこうほ Raman spectroscopy

3.10 X線分析法

 番号      用語           よみ                         定義                    対応英語(参考)
10001 アンジュレー あんじゅれーたー undulator
周期的な磁場により電子を小さく蛇行運動させ
ター ることによって,光源サイズ及び角度発散の小
さい準単色光を得るための,シンクロトロンの
挿入光源。
10002 一次フィルタ いちじふぃるたー primary beam filter
励起X線のスペクトル分布を変えるために,励
ー(X線分 起X線源と試料との間に入れるX線フィルタ (for X-ray analysis)
析法の) ー。
10003 イメージング いめーじんぐぷれ imaging plate,
輝尽性蛍光体の微結晶をフィルムに塗布した蓄
プレート, ーと 積型2次元分布計測媒体。 IP
IP 注記 X線,電子線,紫外線などの検出に用い
られる。
10004 ウィグラー うぃぐらー wiggler
周期的な磁場を用いて電子を大きく蛇行運動さ
せることによって,高エネルギーかつ高強度の
白色光を得るための,シンクロトロンの挿入光
源。
10005 エスケープピ えすけーぷぴーく escape peak
入射X線のエネルギーよりも半導体検出器に固
ーク 有なエネルギー分だけ低く現れるピーク。
10006 X線回折法, えっくすせんかい X-ray diffractometry,
X線が結晶格子で回折を示す現象を利用して,
X線回折, せつほう, 物質の結晶構造を決定する方法。 XRD
XRD えっくすせんかい
せつ
10007 X線管球 えっくすせんかん X線を発生させるための真空管。 X-ray tube
きゅう 注記 熱電子二極管の一種で,封入式及び開放
式がある。
10008 X線吸収端近 えっくすせんきゅ X-ray absorption near
X線吸収スペクトルで,吸収端近傍の低エネル
傍構造, うしゅうたんき ギー側約10 eVから高エネルギー側約30 eVに edge structure,
XANES んぼうこうぞう, わたる領域にみられる微細構造。 XANES
ぜーんず
10009 X線吸収分光 えっくすせんきゅ X-ray absorption
物質にX線を照射したときの内殻電子の励起に
法, うしゅうぶんこ 伴うX線吸収の変化を捉える分光法。 spectroscopy,
XAS うほう XAS
10010 X線光電子分 えっくすせんこう X-ray photoemission
試料に単色X線を照射したときに放出される光
光法, でんしぶんこう 電子の運動エネルギー分布を測定することによspectroscopy,
XPS ほう XPS
って,試料中の内殻電子のエネルギー状態を観
測する分光法。
注記 光電子ピークの化学シフトから元素の化
学結合状態に関する情報が得られる。
10011 X線CT えっくすせんしー X-ray computed
試料に多方向からX線を照射し,検出した透過
てぃー X線強度分布のデータを用いて計算することに tomography
よって,試料内部のX線の透しやすさの分布を
三次元的に再構成する方法。

――――― [JIS K 0212 pdf 33] ―――――

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K 0212 : 2016
番号 用語 よみ 定義 対応英語(参考)
10012 X線自由電子 えっくすせんじゆ X-ray free electron
アンジュレーターを利用した,ピーク輝度が高
レーザー, うでんしれーざ くかつパルス幅が短いコヒーレントなX線光 laser,
XFEL ー 源。 XFEL
10013 X線発光分光 えっくすせんはっ X-ray emission
電子線又はX線の照射によって,生成した物質
法, こうぶんこうほ 構成原子の内殻空孔の放射緩和過程で放出されspectroscopy,
XES う るX線のエネルギー分布を測定する方法。 XES
10014 X線反射率法 えっくすせんはん X-ray reflectometry
X線を試料表面に極浅い角度で入射させ,反射
しゃりつほう X線の強度プロファイルを測定し,試料の膜
厚・密度を決定する方法。
10015 X線フィルタ えっくすせんふぃ X-ray filter
材料の吸収端を利用して,必要とするエネルギ
ー るたー ー領域のX線を取り出すための薄膜フィルタ
ー。
注記 Kβフィルター,バランスドフィルターな
どがある。
10016 X線マイクロ えっくすせんまい X-ray micro analysis,
試料面に照射した電子ビームによって発生する
アナリシス, くろあなりしす 特性X線(固有X線)の分光測定から,微小領XMA
XMA 域の組成を分析する方法。
10017 エネルギー分 えねるぎーぶんさ energy dispersive
X線のエネルギーを直接電気信号に変換して選
散方式(X んほうしき 別し,分光する方式。 method (for X-ray
線分析法の) analysis)
10018 L系列X線 えるけいれつえっ L-series X-ray
原子に固有なX線のうち,原子に属する電子が
くすせん L殻にある空位の軌道へ遷移することによって
発生する一群のX線。
10019 温度因子, おんどいんし, temperature factor,
結晶格子によるX線散乱の因子のうち,原子の
デバイ-ワラ でばい-わらーい Debye-Waller factor
熱振動により生ずる格子不整によって,X線の
ー因子 んし 積分回折強度を減少させる因子。
10020 数え落とし かぞえおとし 高計数率のX線又は の強度を測定する場合,counting loss
入射X線又は の強度と測定された計数率と
の間の比例関係がなくなり,入射X線又は
の強度よりも低く計数される現象。
10021 ガイガー-ミ がいがー-みゅらー Geiger-Mller counter,
気体を入れた筒の電極間に高電圧を印加し,通
ュラー計数 けいすうかん, GM counter
過した放射線をパルス電流として検知する構造
管, じーえむけいすう をもつ放射線検出器。
GM計数管 かん
10022 吸収効果(X きゅうしゅうこう 試料内でX線が吸収されて回折X線又は蛍光X absorption effect (in
線分析法の) か 線強度が減少する現象。 X-ray analysis)
10023 吸収端(X線 きゅうしゅうたん absorption edge (in
物質にX線を照射したときの内殻電子の励起に
分析法の) 伴い,X線の吸収が大きく上昇し,X線吸収ス X-ray analysis)
ペクトルの形状が急しゅん(峻)に変化するX
線のエネルギー。
10024 クラツキーU くらっきーゆーす Kratky U-slit
小角散乱強度測定の光学系において,低角度側
スリット りっと の測定を可能にするためのスリット。
10025 K系列X線 けいけいれつえっ K-series X-ray
原子に固有なX線のうち,原子に属する電子が
くすせん K殻にある空位の軌道へ遷移することによって
発生する一群のX線。
10026 蛍光X線 けいこうえっくす X線, 最 などを物質に照射することによって
fluorescent X-rays
せん 放出される二次X線のうち,物質構成原子固有
の内部エネルギーを反映するX線。

――――― [JIS K 0212 pdf 34] ―――――

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K 0212 : 2016
番号 用語 よみ 定義 対応英語(参考)
10027 蛍光X線分析 けいこうえっくす 試料にX線を照射したときに発生する蛍光X線X-ray fluorescence
法, せんぶんせきほ を測定し,物質の定性・定量を行う方法。 analysis,
XRF う XRF
10028 蛍光収量法, けいこうしゅうり X線の照射によって放射される蛍光X線の強度fluorescence yield
FY(X線分析 ょうほう から,物質による入射X線の吸収量を測定する method,
法の) 方法。 FY (in X-ray analysis)
10029 広域X線吸収 こういきえっくす extended X-ray
X線吸収スペクトルで吸収端より高エネルギー
微細構造, せんきゅうしゅ 側約30 eVから1 keVにわたる領域に観測され absorption fine
EXAFS うびさいこうぞ る,減衰する波状の振動構造。 structure,
う, EXAFS
えぐざふす
10030 光電子分光法 こうでんしぶんこ photoelectron
真空紫外光又は軟X線を試料に照射することに
うほう よって得られる光電子を検出する分光法。 spectroscopy
10031 コンプトン散 こんぷとんさんら X線及び のような電磁波が物質中の電子にCompton scattering
乱 ん 衝突し,電磁波のエネルギーの一部を電子に与
えて,その波長が変化する散乱現象。
10032 ゴニオメータ ごにおめーたー goniometer
物質によるX線の回折,散乱角度を測定する機
ー 器。
10033 最低励起電圧 さいていれいきで 各原子における特定の特性X線(固有X線)をlowest excitation
んあつ 励起するために必要な,最低限度の励起電圧。voltage
10034 サムピーク さむぴーく sum peaks (in X-ray
二つ以上のX線が半導体検出器に入射した場合
(X線分析 に,分離できずにX線エネルギーの和に相当す analysis)
法の) る位置に検出されるピーク。
10035 質量吸収係数 しつりょうきゅう mass absorption
X線の吸収する度合いを表す係数(吸収係数)
しゅうけいすう を,物質の密度で除した量。 coefficient
10036 集中法(X線 しゅうちゅうほう θ-2θ method,
X線源,試料の回折面及び検出器を集中円上で
回折法の) 走査することによって結晶構造情報を得る方parafocusing method
法。 (in X-ray
diffractmetry)
10037 小角X線散乱 しょうかくえっく small angle X-ray
X線を物質に照射して散乱する X線のうち,散
法, すせんさんらん 乱角が小さい(通常は10度以下)ものを測定すscattering,
小角X線散乱, ほう, SAXS
ることによって,物質の構造情報を得る方法。
SAXS しょうかくえっく 注記 数ナノメートルレベルの規則構造の分析
すせんさんらん, に用いる。
さっくす
10038 シリコン−リ しりこん−りちう Si (Li) emiconductor
けい素中にリチウムをドープして作った絶縁層
チウム半導 むはんどうたい を挟んでP-I-N接合した素子を用い,入射X線 detector
体検出器 けんしゅつき 又は のエネルギーに比例した電流パルスを
出力する検出器。
10039 シンクロトロ しんくろとろんほ synchrotron radiation,
電子・陽電子加速器の一種であるシンクロトロ
ン放射, うしゃ, ンからの連続光の放射。 SR
放射光, ほうしゃこう 注記 テラヘルツ領域からX線領域に及ぶ広範
SR 囲の連続光が得られる。
10040 シンチレーシ しんちれーしょん scintillation detector
NaI (Tl) などのシンチレーターによってX線及
ョン検出器 けんしゅつき び を可視・紫外領域の蛍光パルスに変換し,
これを光電子増倍管を用いて計測する検出器。
10041 線吸収係数 せんきゅうしゅう linear absorption
X線の吸収する度合いを表す係数(吸収係数)
けいすう を物質中のX線が通過する長さで除した量。 coefficient

――――― [JIS K 0212 pdf 35] ―――――

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