JIS K 5600-2-4:2014 塗料一般試験方法―第2部:塗料の性状・安定性―第4節:密度(ピクノメータ法) | ページ 2

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K 5600-2-4 : 2014
m2 m1

(pdf 一覧ページ番号 )

                              Vt
ここに, m1 : 空のピクノメータの質量(g)
m2 : 温度(tT)における製品を詰めたピクノメータの質量(g)
Vt : 附属書Bによって求めた温度(tT)におけるピクノメータの容
量(cm3)
注記1 サンプルの充によって押し出される,ピクノメータ内の空気の密度(0.001 2 g/cm3)は,
この方法の精度に関し無視できる。
注記2 試験温度が標準温度でない場合,密度はB.2の式で計算してもよい。

10 精度

10.1 繰返し精度(γ)

  同一のオペレータによって,短い時間間隔で,同一試料について,規定の操作条件で同一装置を用いて
得た二つの試験結果の絶対誤差は,確率95 %で次のようになる。
溶剤の場合 : 0.001 g/cm3未満
塗料の場合 : 0.005 g/cm3未満

10.2 再現精度(R)

  異なる試験機関で,異なるオペレータによって,同一の試料について測定された二つの結果(それぞれ
2回の測定の平均値)間の絶対誤差は,確率95 %で次のようになる。
溶剤の場合 : 0.002 g/cm3未満
塗料の場合 : 0.007 g/cm3未満

11 試験報告

  試験報告には,少なくとも次の事項を含んでいなければならない。
a) この規格の番号
b) 試験した製品の種類及びその詳細
c) 使用したピクノメータのタイプ
d) 試験温度
e) 50 cm3未満の容量に対しては,0.001 g/cm3の桁まで,50100 cm3の容量に対しては,0.01 g/cm3の桁
まで丸めた密度の値(g/cm3)
f) 規定手順から逸脱した場合は,その内容
g) 試験年月日

――――― [JIS K 5600-2-4 pdf 6] ―――――

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K 5600-2-4 : 2014
附属書A
(参考)
ピクノメータの補正方法の例
A.1 方法
ピクノメータの内側及び外側を,揮発性溶剤を用いて注意深く清掃した後,完全に乾燥する。ピクノメ
ータ上に指紋が付かないようにする。指紋は,はかり量誤差の原因となる。
はかりの近くにピクノメータを置き,室温で30分間保持した後,質量(m1)を測定する。
蒸留水又は脱イオンした水(JIS K 0557のA2レベル)でピクノメータを満たす。この水はあらかじめ
沸騰して脱気しておき,密度を試験する温度より1 ℃以内に低く保持しておく。ピクノメータは蓋又はス
トッパーでしっかり密閉する。ピクノメータ内に気泡が生じないよう注意する。ピクノメータをウォータ
ーバス又は恒温室に静置して,試験温度になるまで保持する。あふれた水は吸収性の布又は紙で拭き取る。
ウォーターバスから取り出したピクノメータは,外側を完全に乾かす。ピクノメータを暖めてはならない。
水がそれ以上あふれないことを確認し,直ちに,そのピクノメータの質量(m3)を測定する。
素手でピクノメータを持つことは,指紋がつくことのほかに,温度を上昇させ,さらなるオーバーフロ
ーの原因となるので,綿布及び/又は挟み具を使うとよい。
開口部分のオリフィスの水の蒸発による減量を最小にするため,水を満たしたピクノメータは,素早く
計量する。
ピクノメータの容量は温度によって変化するため,製品の密度を決める温度と同じ温度で,ピクノメー
タは補正しなければならない。さらに,附属書Bに示した補正をすることが望ましい。
A.2 ピクノメータの容量の補正
温度(tT)におけるピクノメータの容量Vt(cm3)を次の式によって計算する。
m3 m1 1 A
Vt (A.1)
W A G
m3 m1
Vt .0999 85 (A.2)
W .0001 2
ここに, m1 : 空のピクノメータの質量(g)
m3 : 試験温度(tT)における蒸留水を満たしたピクノメータの質量
(g)
ρW : 試験温度(tT)での純水の密度(g/cm3)(表A.1参照)
ρA : 空気の密度(0.001 2 g/ cm3)
ρG : 使用した分銅の密度(鉄の場合はρG=8 g/cm3)

――――― [JIS K 5600-2-4 pdf 7] ―――――

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K 5600-2-4 : 2014
表A.1−脱気した純水の密度
温度 密度 温度 密度 温度 密度
tT ρW tT ρW tT ρW
℃ g/cm3 ℃ g/cm3 ℃ g/cm3
10 0.999 7 22 0.997 8 25 0.997 0
11 0.999 6
12 0.999 5 22.1 0.997 8 25.1 0.997 0
13 0.999 4 22.2 0.997 7 25.2 0.997 0
14 0.999 2 22.3 0.997 7 25.3 0.997 0
15 0.999 1 22.4 0.997 7 25.4 0.996 9
16 0.998 9 22.5 0.997 7 25.5 0.996 9
17 0.998 8 22.5 0.997 6 25.6 0.996 9
18 0.998 6 22.7 0.997 6 25.7 0.996 9
19 0.998 4 22.8 0.997 6 25.8 0.996 8
22.9 0.997 6 25.9 0.996 8
20 0.998 2 23 0.997 5 26 0.996 8
27 0.996 5
20.1 0.998 2 23.1 0.997 5 28 0.996 2
20.2 0.998 2 23.2 0.997 5 29 0.995 9
20.3 0.998 1 23.3 0.997 5 30 0.995 7
20.4 0.998 1 23.4 0.997 4 31 0.995 3
20.5 0.998 1 23.5 0.997 4 32 0.995 0
20.6 0.998 1 23.6 0.997 4 33 0.994 7
20.7 0.998 1 23.7 0.997 4 34 0.994 4
20.8 0.998 0 23.8 0.997 3 35 0.994 0
20.9 0.998 0 23.9 0.997 3
21 0.998 0 24 0.997 3 36 0.993 7
37 0.993 3
21.1 0.998 0 24.2 0.997 3 38 0.993 0
21.2 0.998 0 24.2 0.997 2 39 0.992 6
21.3 0.997 9 24.3 0.997 2 40 0.992 2
21.4 0.997 9 24.4 0.997 2
21.5 0.997 9 24.5 0.997 2
21.6 0.997 9 24.6 0.997 1
21.7 0.997 8 24.7 0.997 1
21.8 0.997 8 24.8 0.997 1
21.9 0.997 8 24.9 0.997 1

――――― [JIS K 5600-2-4 pdf 8] ―――――

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K 5600-2-4 : 2014
附属書B
(参考)
温度変化の影響
B.1 ピクノメータの熱膨張係数
ある温度でのピクノメータの容量が既知の場合,その温度より試験温度(tT)が5 ℃以上異なっている
ならば,密度はピクノメータの容量変化を補正して求めることが望ましい。試験温度におけるピクノメー
タの容量Vtをcm3単位で,有効数字5桁まで式(B.1)を使って計算する。
Vt VC 1 PtT tC (B.1)
ここに, VC : 補正温度tCにおけるピクノメータの容量(cm3)
γP : ピクノメータの材質による熱膨張係数(℃−1)(表B.1参照)
tT : 試験温度(℃)
tC : 補正温度(℃)
表B.1−ピクノメータの材質による熱膨張係数γP
材質 γP
℃−1
ほうけい酸ガラス 10×10−6
ソーダガラス 25×10−6
オーステナイトステンレス 48×10−6
銅亜鉛合金[真ちゅう(鍮)] 54×10−6
CuZn37(Ms63)
アルミニウム 69×10−6
B.2 他の温度での測定からの規準温度での密度の補正
もし検査対象製品の密度(ρG : g/cm3)が規準温度と異なった温度で測定されるならば,式(B.2)を使って
計算する。
t
C t1 m(tC tT (B.2)
1 m (tCtT )
ここに, ρt : 試験温度で製品の密度(g/cm3)
γm : 検査対象製品の熱膨張係数
水系のペイント(2×10−4 ℃−1)
溶剤系ペイント(7×10−4 ℃−1)
tC : 規準温度(℃)
tT : 試験温度(℃)
参考文献 JIS K 0557 用水・排水の試験に用いる水
ISO 3507,Laboratory glassware−Pyknometers

――――― [JIS K 5600-2-4 pdf 9] ―――――

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K 5600-2-4 : 20142019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格(日本産業規格)」を「日本産業規格」に読み替えてください。
K5
2
附属書JA
60
(参考)
0-
2-4
JISと対応国際規格との対比表
: 2014
ISO 2811-1:2011 Paints and varnishes−Determination of density−Part 1: Pyknometer
JIS K 5600-2-4:2014 塗料一般試験方法−第2部 : 塗料の性状・安定性−第4節 :
密度(ピクノメータ法) method
(I) JISの規定 (II) (III)国際規格の規定 (V) JISと国際規格との技術的差異
(IV) JISと国際規格との技術的差異の箇条ごと
国際 の評価及びその内容 の理由及び今後の対策
規格
箇条番号 内容 箇条 内容 箇条ごと 技術的差異の内容
番号
及び題名 番号 の評価
3 用語及び JIS K 5500 塗料用語 3 追加 主な用語及び定義は,JIS K 5500に
定義 よることとした。
6 装置 6.3 温度計 6.3 − 追加 具体的な温度計を説明 国内で入手可能な機種を明記。
JISと国際規格との対応の程度の全体評価 : ISO 2811-1:2011,MOD
注記1 箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。
− 追加 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。
注記2 JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。
− MOD 国際規格を修正している。

JIS K 5600-2-4:2014の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 2811-1:2011(MOD)

JIS K 5600-2-4:2014の国際規格 ICS 分類一覧

JIS K 5600-2-4:2014の関連規格と引用規格一覧