この規格ページの目次
4
K 6297 : 2020
損失せん断弾性率と貯蔵せん断弾性率との比。
4 原理
粘度の測定は,一定のひずみ,温度及び周波数において密閉されたキャビティ内で,一方のダイにねじ
り振動を加えて試験片を変形させることで発生するひずみによって,試験片に生じるトルク(貯蔵トルク
S',損失トルクS''及び複素トルクS*)を,特定の温度,周波数及び振幅の条件下で測定し,複素せん断弾
性率,貯蔵せん断弾性率,損失せん断弾性率,損失正接及び応力緩和を求める。
応力緩和は,一定の静的ひずみ及び一定温度下でのトルク低下から求める。この試験は,原料ゴム又は
未加硫配合ゴムで広範囲の粘度領域の測定にも応用することが可能である。
注記 せん断弾性率とJIS K 6300-1:2013に規定するムーニー粘度との相関性を,附属書JAに記載す
る。
5 試験装置
5.1 一般 試験装置には,ロータレス密閉式レオメータ(図1参照)を用いる。ロータレス密閉式レオ
メータは,キャビティに試験片を規定の力で密封し,加熱する二つのダイからなる。
試験装置は,JIS K 6300-2:2001の11.1による。ただし,装置のねじり振動数は,毎秒0.1回(0.1 Hz)
以下,試験片に与えるひずみ率は,150 %以上を選択可能でなければならない。
5.2 振動装置 試験装置の後ろに組み込まれる振動装置(図1参照)は,モータによって一方のダイ(通
常は下側)から試験片にねじり振動を与える。
振動振幅θは,適用するひずみに応じて変えることができる。加えられた最大ひずみ振幅γ0を求める場
合は,試験で使用した振動振幅及びダイの形状(双円すい形)から,次の式によって求める。
γ0=θ/φ
ここに, φ : 双円すい形ダイの特性角
注記 図1の例ではφ=7°10′,150 %ひずみの場合θ=10°40′である。
――――― [JIS K 6297 pdf 6] ―――――
5
K 6297 : 2020
単位 mm
a) 測定原理図
図1−ロータレス密閉式レオメータの例
――――― [JIS K 6297 pdf 7] ―――――
6
K 6297 : 2020
単位 mm
b) ダイ(上及び下)
c) 試験片
1 ヒータ 5 上部ダイ 9 シール材
2 下部ダイ 6 温度センサ 10 振動装置
3 下部シール板 7 トルク測定装置 11 溝部
4 上部シール板 8 試験片
図1−ロータレス密閉式レオメータの例(続き)
――――― [JIS K 6297 pdf 8] ―――――
7
K 6297 : 2020
6 試験装置の校正
試験装置の校正は,附属書Aによる。
7 試験片
7.1 試験片の採取・作製
試験片の採取·作製は,JIS K 6300-1:2013の5.3.1による。ただし,試験片の体積は,キャビティの容
積よりも大きめ(一般的に,キャビティの1.1倍1.2倍)とし,ダイを閉じたときにダイの全ての端部か
ら少量の材料が押し出される体積とする。試験片の体積は,図1に示す典型的なロータレス密閉式レオメ
ータでは,4 cm35 cm3である。試験片は,一定量を適切な装置で打ち抜いて作製する。再現性をより良
くするために,試験片間の質量のばらつきの目安は,±0.5 gとする。試験前の試験片の状態調節は,(23
±5)℃で3時間以上行うことが望ましい。
7.2 保護フィルム
試験片とダイとの間に保護フィルム(例えば,0.025 mm厚)を挿入してもよい。保護フィルムの使用に
よって,ダイ内部に残った材料の洗浄が不要となる。保護フィルムは,試験片と反応してはならない。ま
た,保護フィルムは,試験結果に影響を及ぼす可能性があるので,使用する場合は,それらの仕様(材料,
最高使用温度,厚さ,剛性など)を報告書に記載する。
注記 保護フィルムに適した材料には,セロハン,ポリエステル,ナイロン,高密度ポリエチレン
(100 ℃以下の測定),無地のコーティングされていない布地などがある。
8 試験温度
試験温度は,100 ℃とする。ただし,受渡当事者間で取り決めた,異なる温度で測定してもよい。
注記 温度が高すぎると,試験片が劣化する場合がある。
9 試験方法
9.1 概要
この試験方法は,粘度試験と応力緩和試験とで構成する。応力緩和試験が不要な場合は,粘度試験だけ
を行ってもよい。ダイを閉じた状態で両方のダイの温度を試験温度にする。試験片を充する前に,必要
なゼロ調整,及び力又はトルク測定装置の範囲の選択をしなければならない。
9.2 試験片の取付け
試験片の取付け及びダイの開閉は,できるだけ速やかに行う。試験片を挿入した直後にダイを閉じる。
試験片を取り除いた後,ダイの温度が設定値の±0.3 ℃のときは,すぐに別の試験片を挿入することができ
る。そうでない場合は,ダイを閉じて温度を設定値まで回復させる。
試験片とダイとの間に保護フィルムを使用しない場合,試験片による汚染がダイ上に蓄積する可能性が
あり,汚染が発生した場合,最終トルク値に影響を及ぼす可能性がある。汚染の発生を検出するために標
準ゴムを使用してもよい。汚染が発生した場合は,それを除去しなければならない。クリーニングには細
心の注意を払う必要があり,試験機の製造元の指示に従う。
注記 ムーニー粘度の標準ゴムとしては,ASTM D5900[1]に規定するIRM 241などがある。
9.3 粘度試験
粘度試験は,次の手順を連続的に行う。
a) 予熱 ダイが静止し,ダイを閉じた状態で,100 ℃で1分間保持する。
――――― [JIS K 6297 pdf 9] ―――――
8
K 6297 : 2020
b) 100 ℃での時間掃引 下側のダイを0.1 Hzの周波数で150 %の正弦波ひずみ振動を合計6回加え,最
後の3回の周期で測定した損失角δ,並びにS',S''及びS*の最大トルクからせん断弾性率(G',G''及
びG*)を算出し,各々の結果の平均値を求める。
9.4 応力緩和試験
応力緩和試験は,次の手順を連続的に行う。
a) 予熱 ダイが静止し,ダイを閉じた状態で,100 ℃で1分間保持する。
b) 100 ℃での時間掃引 下側のダイに0.1 Hzの周波数で150 %の正弦波ひずみ振動を合計6回加える。
c) 応力緩和 試験片をダイに静止させた状態で,100 ℃で1分間保持する(この操作は,掃引後の残留
応力除去に必要である。)。その後,0.1 Hz相当の速度で150 %ひずみを1回加える。この直後のトル
ク(S*0)を測定する。さらに,1秒後(S*1)及び20秒後(S*20)のトルクを測定する。トルク測定
の間は,150 %のひずみを35秒間維持する。
10 結果のまとめ方
試験結果のまとめ方は,次による。数値の丸め方は,JIS Z 8401の規則Aに従って丸め,有効数字3桁
で表す。
なお,9.3によって得られた値から求める,150 %ひずみにおける複素せん断弾性率G*は,ゴムの粘性
挙動を評価するための代表的なパラメータとなる(3.7参照)。
a) せん断弾性率 せん断弾性率のまとめ方は,次による。
1) 150 %ひずみにおける複素せん断弾性率G*(kPa) 150 %ひずみにおけるG*は,次の式によって
求め,·G*·(150 %)として表す。
·G*·(150 %)=·S*·×1 000/(2/3×π×R3)/γ0(150 %) (kPa)
ここに, S* : 複素トルク(N·m)
π : 円周率
R : ダイの半径(m)
γ0(150 %) : 150/100
2) 150 %ひずみにおける貯蔵せん断弾性率G'(kPa) 150 %ひずみにおけるG'は,次の式によって求
め,G'(150 %)として表す。
G'(150 %)=·G*·(150 %)×cos δ (kPa)
ここに, δ : 損失角
3) 150 %ひずみにおける損失せん断弾性率G''(kPa) 150 %ひずみにおけるG''は,次の式によって
求め,G''(150 %)として表す。
G''(150 %)=·G*·(150 %)×sin δ (kPa)
4) 150 %ひずみにおける損失正接tan δ 150 %ひずみにおけるtan δは,次の式によって求め,tan δと
して表す。
tan δ(150 %)=G''(150 %)/G'(150 %)
b) 応力緩和 応力緩和は,150 %ひずみを与えてから1秒後のトルク低下率(ΔS1)及び20秒後のトル
ク低下率(ΔS20)として表し,次による。
1) 1秒後のトルク低下率ΔS1(%) ΔS1は,次の式で求める。
ΔS1=S*1/S*0×100
ここに, S*1 : 150 %ひずみを与えて1秒後の複素トルク
S*0 : 150 %ひずみを与えた直後の複素トルク
――――― [JIS K 6297 pdf 10] ―――――
次のページ PDF 11
JIS K 6297:2020の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 13145:2012(MOD)
JIS K 6297:2020の国際規格 ICS 分類一覧
- 83 : ゴム及びプラスチック工業 > 83.060 : ゴム