JIS K 6933:2013 プラスチック―ポリアミド―粘度数の求め方 | ページ 2

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K 6933 : 2013 (ISO 307 : 2007)

5.2 洗浄液

  洗浄液は,次による。
5.2.1 クロム酸溶液 硫酸(96 %,ρ0=1.84 g/ml)と飽和クロム酸カリウム溶液(99.5 %)とを同体積混
合して調整する(JIS K 8312を参照)。
なお,クロム酸溶液は,同等の効果をもつほかの洗浄液で代替可能である。
5.2.2 アセトン(99.5 %),又は他の水溶性・低沸点溶媒(JIS K 1503及びJIS K 8034を参照)

6 装置

6.1   真空乾燥器 圧力100 kPa以下に制御できるもの。
6.2 天びん 0.1 mgの桁まで測定できるもの。
6.3 全量フラスコ JIS R 3505に規定する呼び容量50 ml又は100 mlの共通すり合わせフラスコ。
6.4 ひょう量フラスコ 呼び容量100 mlの共通すり合わせフラスコ。
6.5 メスピペット JIS R 3505に規定する0.01 ml目盛付きの呼び容量0.2 mlのもの。
6.6 振とう器又はマグネチックスターラ
6.7 焼結ガラスフィルタ 40 湛呟 は孔面積0.075 mm2のステンレスシーブ。
6.8 粘度計 ISO 3105に規定する懸垂液面形のウベローデ粘度計を用いる。粘度計の主要寸法を,図1
に示す。ぎ酸溶液(5.1.2)を使用する場合は,ISO 3105に規定するタイプ1の内径0.58 mm(許容差±2 %)
の毛細管のものを用いる。硫酸溶液(5.1.1)又はm-クレゾール(5.1.3)を用いる場合は,ISO 3105に規
定するタイプ2の内径1.03 mm(許容差±2 %)の毛細管のものを用いる。
なお,ISO 3105に規定する粘度計と同等以上の性能をもつ粘度計を用いてもよい。ただし,係争が生じ
た場合は,ISO 3105に規定するウベローデ粘度計を用いる。
ほかの種類の粘度計を用いる場合はJIS K 7367-1に従う。
6.9 温度計 液封形の全浸せき(漬)温度計で,使用温度域の読取り目盛が0.05 ℃で,かつ,校正済み
のものが望ましい。又はこれと同等以上の温度計測機器を用いてもよい。
6.10 恒温槽 25.00 ℃±0.05 ℃に制御できるもの。
6.11 時間計測器具 ストップウォッチ。0.1秒単位まで読み取れるもの。
6.12 遠心分離機

7 試料の調製

7.1 一般

  粘度数測定に用いるポリアミド試験試料は,強化材などの添加剤を除き,5.1に規定する溶媒に溶解しな
ければならない。試料によっては必要な溶解時間が長いため,生産管理には適さない場合がある。試料の
溶解時間が長すぎる場合は,結果が変わらないことを検証後,溶解時間の短縮のため試料を粉砕して用い
てもよい。

7.2 ポリアミド含量が質量分率98 %未満の試料

  添加剤を2 %以上含む試料の場合,添加剤量は,個別に確立された試験方法又は製造業者の処方から求
める。選択した方法を報告書に記載する。
試料の水分量は,JIS K 7251に規定する方法によって求め,灰分はJIS K 7250-4に規定する方法によっ
て求める。
はかりとる試料の質量は,ポリアミドの質量が250 mgとなるように,箇条8の式(2)によって算出した

――――― [JIS K 6933 pdf 6] ―――――

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量とする。
三酸化アンチモン及び硫化亜鉛のような添加剤は,JIS K 7250-4による燃焼処理によって完全に揮発す
る。ガラス繊維強化材料には,難燃性の三酸化アンチモン又は他の揮発性添加剤を含んでいる。添加剤の
総量が2 %以上の場合は,正確な試料量を計算するために,これらの揮発成分を考慮する。
添加剤量を,分析で求めるには長時間を要す。そのため,生産管理の目的に用いるには適さない。この
場合,試料量の計算に用いる添加剤量は,ポリアミドの量のばらつきが,4 %(質量分率)以下(ポリア
ミド量が65 %の場合は,63 %67 %)であれば,生産処方での量を用いてもよい。添加剤の定量ができな
い場合も,同様に生産処方での量を用いる。

8 試料の質量計算

  測定試料の質量mc(mg)は,式(2)によって算出する。
250
mc= (2)
w1+w2+w3
1−
100
ここに, 250 : 試料中のポリアミド量(mg)
w1 : 試料中の水分量(質量分率%)
w2 : 試料中の無機物(フィラー,ガラス繊維など)量(質量
分率%)
w3 : その他,ポリオレフィン及び難燃剤のような添加物など
の含有量(質量分率%)

9 溶媒の選定

  ポリアミドの粘度数の値は,用いる溶媒に依存するため,ポリアミドの種類ごとに,次の溶媒を用いる。
a) A 6,PA 46,PA 66,PA 69,PA 610,PA MXD6及びそれらのコポリアミドには,溶媒として,ぎ酸又
は硫酸を用いる。これらのポリアミドが酸性溶液中でガスを発生する添加物を含む場合は,m-クレゾ
ールを用いる。係争がある場合は,ぎ酸を用いる。
b) A 612には,溶媒として硫酸又はm-クレゾールを用いる。係争がある場合はm-クレゾールを用いる。
c) A 11,PA 12及びPA 11/12コポリマーには,溶媒としてm-クレゾールを用いる。末端基の会合によっ
てカルボン酸のアンモニウム塩が粘度に影響を与える場合は,m-クレゾール/オルトリン酸溶液を溶
媒として,更に測定を行う(5.1.8)。
d) A 6T/66,PA 6I/66,PA 6I/6T,PA 6T/6I/66,PA 6T/6I,PA 6I/6T/66には,m-クレゾール又はフェノー
ル/1,1,2,2-テトラクロロエタンを溶媒に用いる。係争がある場合はm-クレゾールを用いる。
e) その他のポリアミドの場合には,上記の溶媒のどれを用いてもよい。
注記 粘度の測定を妨げる添加物を含有しないポリアミドの粘度数は,変換式によって,ある溶媒
から別の溶媒での値に換算する方法が提案されている。換算のグラフが,附属書Eのように
提案されている。それらの信頼性も附属書Eに示されている。

10 手順

10.1 粘度計の洗浄

  粘度計を初めて用いるとき及び指示値が一致しないとき(例えば,2回連続して測定した溶媒の流下時
間が0.4秒以上異なるとき)には,粘度計を洗浄する。さらに,通常に用いるときでも,ときどき粘度計
(6.8)を洗浄する。

――――― [JIS K 6933 pdf 7] ―――――

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洗浄方法は,クロム酸溶液(5.2.1)などの洗浄液(5.2)中で12時間保持し,その後,液を抜き水洗し
て,更にアセトン(5.2.2)で洗浄後,除じん(塵)した空気をゆっくり通すか,真空乾燥器(6.1)を用い
る方法などで乾燥する。
試験溶液を測定後は,粘度計から液を抜き,溶媒で洗浄,次に水洗,更に例えばアセトン(5.2.2)で洗
浄し,前記の方法で乾燥する。ただし,次に測定する試験溶液が同タイプのポリアミドで,同等の粘度を
示す場合は,粘度計から試験溶液を抜き,次に測定しようとする試験溶液で洗浄後,この試験溶液で満た
してよい。生産管理及び自動流下時間測定の場合には,粘度計は次の試料を見越して溶媒で満たしてよい。

10.2 試験溶液の調製

10.2.1 一般
試験溶液の調製方法は,次の三つである。
10.2.2の方法は,測定試料中の不溶性の添加物の体積補正を行わない方法で,経験上測定試料質量の許
容差は,(mc±5)mgであり,試験濃度は,純粋なポリアミドの場合,0.004 9 g/ml0.005 1 g/mlの範囲と
なる。
不溶性添加物を含むポリアミドでは,粘度数の計算には実際のポリアミド濃度が必要なため,測定試料
量を正確に計算(箇条8)して,ほぼ正確なポリアミド濃度0.005 g/mlの試験溶液を得る。
10.2.3に規定する体積による方法(ポリアミド実含有量換算での方法)及び10.2.4に規定する質量によ
る方法では,不溶性の添加物及びポリアミドの体積を考慮している。この二つの方法は,半自動粘度測定
装置との組合せでしばしば用いられる。
注記 不溶性の添加物だけを含有しているポリアミドの試料では,体積による方法又は質量による方
法に従って調製された試験溶液の濃度は正確に5 mg/mlとなる。
10.2.2 体積による方法
箇条8から求めた質量mc mgの測定試料を許容差±5 mgの範囲でポリアミドが吸水しないように0.2 mg
の精度で迅速にひょう量する。ひょう量に2分以上経過した場合は,その試料は廃棄し,新たにひょう量
する。
測定試料を50 mlの全量フラスコ(6.3)に移し,溶媒(箇条9参照)約40 mlを加える。その後フラス
コに栓をし,振とうするか又はマグネチックスターラ(6.6)を用い,ポリアミドが溶解するまでかくはん
する。
ポリアミドの溶解は,測定試料の種類及び大きさによって異なり,30分から数時間かかる。硫酸又はぎ
酸溶液を溶媒として用いる場合は,液温が30 ℃を超えてはならない。また,m-クレゾール又はフェノー
ル/1,1,2,2-テトラクロロエタンを溶媒として用いる場合は,温度95 ℃100 ℃に上げて溶解してもよい。
ただし,溶解に2時間以上かかる場合には,溶解時間を報告書に記載する。PA 6T/66の場合は,望ましい
条件は90 ℃で2時間であることが分かっている。
溶解完了後,試験溶液を25 ℃±2 ℃に冷却し,標線まで溶媒を加え,よく混合する。もし,マグネチ
ックスターラ(6.6)を用いる場合は,希釈前に溶液中からかくはん(撹拌)子を取り除き,溶媒で洗浄し,
その洗浄液をフラスコに入れる。
10.2.3 体積による方法(ポリアミド実含有量換算での方法)
箇条8から求めた質量mc mgの測定試料を許容差±10 %の範囲でポリアミドが吸水しないように0.2 mg
の精度で迅速にひょう量する。ひょう量に2分以上経過した場合は,その測定試料は廃棄し,新たにひょ
う量する。

――――― [JIS K 6933 pdf 8] ―――――

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測定試料を100 mlの全量フラスコ(6.3)又はひょう量フラスコ(6.4)に移し,溶液100 ml当たり試料
0.50 gの濃度になる量の溶媒(箇条9参照)を加える。加える溶媒容量は,下記溶媒量の補正例のように
試料中の溶解物質の体積で補正した量とする。溶媒は適切な添加器具(例えば0.01 mlの精度のビュレッ
ト)で加える必要がある。その後フラスコに栓をし,振とうする又はマグネチックスターラ(6.6)を用い,
ポリアミドが溶解するまでかくはんする。ポリアミドの溶解は,測定試料の種類及び大きさによって異な
り,30分から数時間かかる。硫酸又はぎ酸溶液を溶媒として用いる場合は,液温が30 ℃を超えてはなら
ない。また,m-クレゾール又はフェノール/1,1,2,2-テトラクロロエタンを溶媒として用いる場合は,温度
95 ℃100 ℃に上げて溶解してもよい。ただし,溶解に2時間以上かかる場合には溶解時間を報告書に記
載する。PA 6T/66の場合は,望ましい条件は90 ℃で2時間であることが分かっている。溶解完了後,試
験溶液を25 ℃±2 ℃に冷却する。
例 溶媒量の補正例
測定試料中のポリアミドの質量 275 mg
ポリアミドの密度 1.130 0 kg/dm3
ポリアミドの体積 0.275 g/1.130 0 g/ml=0.243 4 ml
加える溶媒の体積 (275/250)×50−0.243 4=54.76 ml
10.2.4 質量による方法(ポリアミド実含有量換算での方法)
箇条8から求めた質量mc mgの測定試料を許容差±10 %の範囲でポリアミドが吸水しないように0.2 mg
の精度で迅速にひょう量する。ひょう量に2分以上経過した場合は,その測定試料は廃棄し,新たにひょ
う量する。
測定試料を100 mlの全量フラスコ(6.3)又はひょう量フラスコ(6.4)に移し,溶液100 ml当たり試料
0.50 gの濃度になる量の溶媒(箇条9参照)を加える。加える溶媒質量は,下記溶媒量の補正例のように
試料中の溶解物質の体積を質量に換算した量とする。溶媒は適切な添加器具(例えば0.01 mlの精度のビ
ュレット)で加える必要がある。その後フラスコに栓をし,振とうする又はマグネチックスターラ(6.6)
を用い,ポリアミドが溶解するまでかくはんする。ポリアミドの溶解は,測定試料の種類及び大きさによ
って異なり,30分から数時間かかる。硫酸又はぎ酸溶液を溶媒として用いる場合は,液温が30 ℃を超え
てはならない。また,m-クレゾール又はフェノール/1,1,2,2-テトラクロロエタンを溶媒として用いる場合
は,温度95 ℃100 ℃に上げて溶解してもよい。ただし,溶解に2時間以上かかる場合には溶解時間を
報告書に記載する。PA 6T/66の場合は,望ましい条件は90 ℃で2時間であることが分かっている。溶解
完了後,試験溶液を25 ℃±2 ℃に冷却する。
例 溶媒量の補正例
測定試料中のポリアミドの質量 275 mg
ポリアミドの密度 1.130 0 kg/dm3
溶媒の密度 1.204 4 kg/dm3
ポリアミドの体積 0.275 g/1.130 0 g/ml=0.243 4 ml
加える溶媒の体積 (275/250)×50−0.243 4=54.76 ml
加える溶媒の質量 54.76 ml×1.204 4=65.95 g
注記1 試験溶液の準備に自動ひょう量システムが生産管理でしばしば用いられる。
注記2 高分子量ポリアミドの場合,長時間かくはんしても,均一な試験溶液が得られない場合があ
る。そのような試験溶液は,類似のポリアミドの相互比較にだけ使用する。

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10.3 流下時間の測定

  溶媒の流下時間は,同じ粘度計を用い,次の試験溶液の場合と同様の方法で測定する。溶媒の流下時間
は,使用する日に少なくとも1回測定する。統計学的に検証されているならば,異なる頻度で測定しても
よい。溶媒の流下時間が最初に調製したときの値と0.5 %以上異なるときは,廃棄して新たな溶媒を用い
る。
試験溶液は,焼結ガラスフィルタ(6.7)又はメタルシーブを使ってろ過し,粘度計のチューブL(図1)
に入れる。又は試験溶液を毎秒50回の遠心分離機にかけ,上澄み液を粘度計(6.8)に入れる。試験溶液
量は液面を試料採取標線間に合わせる。粘度計に試験溶液を入れる際には,不用意に恒温槽(6.10)を汚
すことがあるので,できれば,恒温槽の外で行うとよい。
粘度計(図1)は,25.00 ℃±0.05 ℃に制御した恒温槽の中に,チューブNが垂直で,かつ,最上部の
マークEが少なくとも槽中の液面から30 mm下になるように固定し,粘度計の温度が槽温度になるまで少
なくとも15分間は放置する。
チューブMを閉じ,ピペッタなどで,チューブN上部の球状部の中まで液面を上げる。次に,チュー
ブNを閉じ,チューブMを開け,キャピラリーチューブ下端から試験溶液を流下させる。チューブNを
開け,液面の下端がEからFへ移行する流下時間を0.2秒の精度で測定する。不透明な試験溶液の場合は,
液面の上部を見て測定する。流下時間の測定は,2回続けて0.25 %の誤差範囲になるまで繰り返し,これ
ら二つの平均値を試験溶液の流下時間とする。
それぞれのポリアミド試料において,少なくとも2回新しい試験溶液を用いて粘度数を測定し,それら
の値が溶媒(表E.1)ごとに定めた繰返し精度範囲に入るまで繰り返す。これら2点の平均値を四捨五入
し,整数に丸めて試料の粘度数とする。2回続けて測定した平均流下時間が0.5 %以上異なるときは,粘度
計を洗浄する(10.1)。必要ならば,測定前に試験溶液をフィルタ(6.7)でろ過する。試料に含まれるガラ
ス繊維は34時間で完全に沈殿する。この場合,試験溶液は上澄液を取って粘度を測定でき,ろ過する必
要はない。
自動溶液粘度測定装置を使用する場合,手順は規定された方法と異なってもよい。ただし,試験溶液,
装置,槽温度及び流下時間に関する要求条件を統一しなければならない。
生産品質管理目的において,試験方法の精度が既知であり,特定の工程変動(精度は,工程変動の30 %
未満,可能であれば10 %未満)下で,かつ,工程管理限界と工程警戒限界とが,既知の精度幅に基づき決
定され,それが統計学的に検証されているという条件で,通常,一回の粘度測定でよい。一回の粘度測定
値が,警戒限界の外側にあるが処置限界の内側にある場合,又は処置限界の外側にある場合にとるべき生
産品の取扱方法,処置の手順を含んだ生産管理手順に,統計モデルを入れることが望ましい。これらの手
順は,次のいずれかのような処置を含んでいてもよい。
− 測定の繰返し(例えば,2回)
− ランダムサンプリングによる生産管理の場合,均一化したバッチの測定
− より広い工程管理限界に基づいた生産品の承認

11 結果の表示

  溶媒中のポリアミド濃度(g/ml)は,式(3)によって算出する。
mt
C= (3)
100
1 000 50
100−(w1+w2+w3 )

――――― [JIS K 6933 pdf 10] ―――――

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  • ISO 307:2007(IDT)

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