JIS K 7131:1994 プラスチックフィルムの熱刺激電流試験方法 | ページ 2

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K 7131-1994
附属書 熱刺激電流測定の原理及び試験結果の表し方
1. 適用範囲 この附属書は,熱刺激電流(以下,TSCという。)の測定の原理及び試験結果の表し方に
ついて規定する。
2. 測定の原理 両面に電極を接触させた厚さのフィルム状試験片において,次の式(1)で求められる緩和
電圧 VP
時間をもつ双極子分極をもっているとすれば,温度Tpでポーリング電界 EP : の印加によって次
厚さ d
の式(2)の双極子分極の飽和分極量P0が形成される。
0 H
exp (1)
kT
ここに, 双極子分極の緩和時間 (s)
双極子の振動角周波数に関する定数 (s)
H : 活性化エネルギー (J)
k : ボルツマン定数 [1.380 7×10−23 (J/K) ]
T : 絶対温度 (K)
2
N EP
P0 (2)
3kTP
ここに, P0 : 飽和分極量 (C/m2)
N : 双極子の密度 (m−3)
双極子能率 (C・m)
この場合,電界印加時間tpが,温度Tpにおける双極子分極の緩和時間 長くない場合には,次
の式(3)に従って双極子分極Piが形成される。
tP
Pi P0 1 exp (3)
ここに, 温度Tpにおける双極子分極の緩和時間 (s)
tp : 温度Tpにおける電界印加時間 (s)
この場合,tpが 長ければPi=P0となる。
このように双極子分極Piが形成された状態で,急速に試験片を冷却すれば,双極子分極は変化せず,凍
結されたことになる。ここで電界を取り去り,短絡回路で試験片を一定の速度 戰 温すれば,昇温中に
双極子の脱分極によって次の式(4)で求められる電流Iが温度Tの関数として観測され,これがTSCと呼ば
れる。TSC測定の温度,電界及び電流の時間特性を附属書図1に示す。
Piexp H
I(T) 0
kT
T H
1
exp ( 0) exp dT (4)
T0 kT
ここに, T0 : 昇温開始温度 (℃)
拿 昇温速度 (℃/s)
式(4)で求められる電流IがTSCであり,電流ピークが観測され,その時間積分である電荷量はPiとな
る。式(4)のTSCからPi, こ びHが求められる。これらを用いて式(1)及び式(3)からP0が計算される。更
に,その双極子分極に起因した誘電率の周波数特性が得られる。

――――― [JIS K 7131 pdf 6] ―――――

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附属書図1 TSCの測定手順
3. 計算及び試験結果の表し方
3.1 双極子分極の決定 双極子分極では,TSCの電界依存性を測定すれば,式(4)の電流値又はその積分
であるTSC電荷量Piが電界Epに比例する。
また,電界の正負で対称的となる。
TSC電荷量Piは, Pi I(T) t で表される。
0
参考 電界範囲は,−108+108V/m程度である。
3.2 活性化エネルギー及び緩和時間の求め方
3.2.1 TSCの初期立ち上がり法 TSCの初期立ち上がりにおいて,式(4)は次の式(5)のように近似できる。
Piexp H
I(T)≒0

(pdf 一覧ページ番号 )

                                        kT
1
したがって,TSCの立ち上がり部分の電流の対数と温度の逆数の関係 ln I(T) をプロットするこ
T
とで傾きから,活性化エネルギーが求められる。この関係を附属書図2に示す。このとき,3.1のTSC電
H
荷量Piが得られていれば,次の式(6)から 騰 緩和時間0 exp が求められる。
kT
0≒
Pi H
exp (6)
I(T) kT

――――― [JIS K 7131 pdf 7] ―――――

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附属書図2 TSCの初期立ち上がり法
3.2.2 ピーク温度法 式(4)を微分し,TSCがピークとなる温度をTmとすれば,次の式(7)が成立する。
Tm2 H0 H
exp (7)
k kTm
T 戀と1 の関係をプロット
戰 えてTSCを幾つか測定すれば, 戰 化する。そこで,
lnm
T
m
すれば傾きからHが得られ,次の式(8)を用いることで 更に 法を附属書図3に
示す。
kTm2 H
0 exp (8)
H kTm
一つのTSCを測定してTm, 戰 霰替 3.2.1の初期立ち上がり法を用いてHを求めて,式(8)にTm,H,
及び 戰 入すれば 算できる。
附属書図3 TSCのピーク温度法
3.2.3 積分法(Bucci法) 式(4)は,次の式(9)のように書き直すことができる。
P(T)
I(T) (9)
(T)
ここに, P (T) : 温度Tにおける残留分極量
そこで,次の式(10)が導かれる。

――――― [JIS K 7131 pdf 8] ―――――

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T
I(T) T
P(T) 1
(T) (10)
I(T) I(T)
したがって,附属書図4のように式(10)の分母及び分子を実験から求め,その対数及び T1 の関係をプロ
ットすれば,その直線の傾きが kH となり こ びHが求められる。
附属書図4 積分法
3.3 誘電率の周波数特性の求め方 双極子分極の 霰 デバイの式から次の式(11)の誘電率の
周波数特性が求められる。
rS r( )
r( ) 2 2

(pdf 一覧ページ番号 )

                                     1
rS r( )
2 2
1( )
ここに, 攀 複素比誘電率の実数部
攀 複素比誘電率の虚数部
攀 比静誘電率
攀 ∞) : 双極子の緩和が起こらないような十分高い周波数に
おける比誘電率
角周波数
この様子を附属書図5に示す。式(11)の [攀 攀 ∞) ] と式(2)の飽和分極量P0との間には,次の式(12)の
関係がある。
P0 rS r( ) 0C0EPd (12)
真空の誘電率
ここに, C0 : 単位面積当たりの試験片の幾何学的容量 厚さ
したがって,式(11)は,次の式(13)のように書き表される。
P0
'r r( ) 2 2

(pdf 一覧ページ番号 )

                                  [(1      ) 0C0EPd]
P0
"r 2 2
[(1 ) 0C0EPd]
このようにTSCから計算された びP0を用いて,式(13)の誘電率の周波数特性を求めることができる。

――――― [JIS K 7131 pdf 9] ―――――

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附属書図5 誘電率の周波数特性
3.4 TSC値の温度依存性の表し方 TSC値の温度依存性の表し方は,記録用紙の横軸に温度を,縦軸に
TSC (A/cm2) を用い,温度に対するTSC値をプロットする(附属書図6を参照)。
附属書図6 TSC値の温度依存曲線の表し方の一例

――――― [JIS K 7131 pdf 10] ―――――

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