この規格ページの目次
3
K 7252-1 : 2016 (ISO 16014-1 : 2012)
4種の平均分子量を,次の諸式によって定義する。
なお,式中,Niは,分子量Miの成分iの分子数であり,aはマーク・ホーウィンク・桜田式の指数であ
る。
3.4.1
数平均分子量,Mn(number-average molecular mass)
次の式(1)によって求める,分子量。
(Ni Mi )
i 1
Mn (1)
Ni
i 1
ここに, Mn : 数平均分子量
Ni : 各溶出時間の成分の分子数
Mi : 各溶出時間の成分の分子量
3.4.2
質量平均分子量,Mw(mass-average molecular mass)
次の式(2)によって求める,分子量。
2
(Ni Mi )
i 1
Mw (2)
(Ni Mi )
i 1
ここに, Mw : 質量平均分子量
Ni : 各溶出時間の成分の分子数
Mi : 各溶出時間の成分の分子量
3.4.3
Z平均分子量,Mz(z-average molecular mass)
次の式(3)によって求める,分子量。
3
(Ni Mi )
i 1
Mz (3)
2
(Ni M i)
i 1
ここに, Mz : Z平均分子量
Ni : 各溶出時間の成分の分子数
Mi : 各溶出時間の成分の分子量
3.4.4
粘度平均分子量,Mv(viscosity-average molecular mass)
次の式(4)によって求める,分子量。
/1 a
a 1
(Ni M i )
i 1
Mv (4)
(Ni Mi )
i 1
ここに, Mv : 粘度平均分子量
Ni : 各溶出時間の成分の分子数
――――― [JIS K 7252-1 pdf 6] ―――――
4
K 7252-1 : 2016 (ISO 16014-1 : 2012)
Mi : 各溶出時間の成分の分子量
a : マーク・ホーウィンク・桜田式の指数
4 原理
試料を適切な溶媒に溶解して,希薄溶液を調製する。この溶液を移動相(溶離液)に注入して,SECカ
ラムに導入する。カラムには,均一の大きさの細孔又は種々の大きさの細孔をもつ非吸着性の微粒子が充
されている。試料は,カラムを通過するにつれて分子量(流体力学的体積)の相違によって相互に分離
される。SECでは,大きな分子は細孔の中に浸透できないため,より早く溶出する。一方,小さい分子は
細孔の中に浸透できるので溶出が遅くなる。溶出液中の高分子の濃度は,連続的に濃度検出器(SEC-LS
を用いる場合は,光散乱検出器を組み合わせる。)で検出してSECクロマトグラムを得る。
JIS K 7252-2JIS K 7252-4に規定されているSECの手法において,SECクロマトグラムにおける任意
の溶出時間に対応する分子量は,単分散の高分子分子量標準物質を用いて作成した校正曲線によって求め
る。JIS K 7252-5に規定されているSEC-LSにおいては,各溶出時間のSEC-LSクロマトグラムから得られ
た絶対分子量を用いて作成した校正曲線を用いる。平均分子量及び分子量分布は,各溶出時間に対応した
分子量及び濃度のデータを計算することによって求めることができる。
5 試薬
5.1 溶離液
SEC測定で用いる溶離液の純度は,用途によって異なる。しかし,一般的には粒子状物質,
高分子成分と反応する成分,及び高分子の検出を妨害する成分を含まないようにすることが望ましい。JIS
K 7252-2JIS K 7252-4に規定されているSECの手法において,溶解性の改善及び屈折率の増減又は溶離
液の節約のために混合溶媒を用いてもよい。ただし,混合溶媒は,高分子が混合溶媒の構成成分を選択的
に吸着して誤った結果を与えるため,SEC-LSの測定に用いることはできない。
5.2 カラム性能評価のための試薬
カラムの理論段数,シンメトリー係数及び分離度を求めるために,
低分子量化合物を用いる。
5.3 分子量標準物質
JIS K 7252-2JIS K 7252-4に規定されている測定法は,絶対法ではなく相対法で
あり,SECクロマトグラムから平均分子量及び分子量分布を計算するためには,校正曲線が必要である。
校正曲線は,分子量既知で分子量分布の狭い標準物質を用いて作成する。分子量標準物質のMw及び/又
はMnは,光散乱,膜浸透圧,蒸気圧浸透圧,超遠心分離,末端基分析などの絶対法によって決定する。
多分散度Mw/Mnは,MwをMnで除すことで得られる。分子量標準物質の多分散度は,次に示す範囲になけ
ればならない。
3
Mp 2 10 Mw / Mn .120
3 6
2 10 ≦ Mp 1 10 Mw / Mn .110
6
1 10 ≦ Mp Mw / Mn .120
ここに, Mw : 質量平均分子量
Mn : 数平均分子量
Mp : ピークの最高点での分子量
Mpは,式(5)によって計算する。
1
Mp Mn Mw (5)
注記 市販の分子量標準物質は,Mw及び/又はMn値が決められているが,Mp値は決められていない。
――――― [JIS K 7252-1 pdf 7] ―――――
5
K 7252-1 : 2016 (ISO 16014-1 : 2012)
このような場合,高分子の分子量分布が対数正規分布であれば,式(5)はMp値を得るために用
いられる。
市販の分子量標準物質の例を,附属書Bに示す。
SEC-LS(JIS K 7252-5参照)の場合は,絶対法であるため,このような分子量標準物質は不必要である。
5.4 流量指標用試薬(内部標準物質)
溶出時間の正確さを監視するため,すなわち,データが仕様の
範囲内であるかどうかを評価するために低分子量化合物を用いる。
5.5 添加剤
試料の酸化劣化,溶離液の分解,高分子の会合及び充剤への高分子の吸着を防止するた
めに酸化防止剤,塩などの添加剤を用いることができる。
6 装置
6.1 一般
SEC装置の流路図の例を図1に示す。必要な構成要素としては,溶離液槽,ポンプ,試料導
入装置,カラム,検出器,配管,記録計,温度制御装置及びデータ処理システムがある。SEC-LS測定で
は,分子量を検知するLS検出器を汎用の検出器(濃度を検知する)と連結させる。いずれの機器も,こ
の規格で規定する性能を満たしているものを用いる。
1 溶離液槽 4 カラム 7 記録計 10 廃液へ
2 ポンプ 5 検出器 8 表示部
3 試料導入装置 6 データ処理システム 9 プリンタ
図1−SEC装置の流路図の例
6.2 溶離液槽
溶離液槽は,校正曲線の作成,及び一連の試料測定に必要な容量を備えている。溶離液
は,減圧下超音波洗浄器による方法又は溶離液槽とポンプとの間に真空脱気装置を設置した方法によって
脱気する。溶離液中の粒子は,メンブレンフィルタによって除去することが望ましい。さらに,溶離液中
には,不活性ガスを通気(バブリング)し,溶離液槽の気相は,不活性ガスで置換し,溶離液槽は,遮光
することが望ましい。
6.3 ポンプ
一定の流量で脈流がないことが望ましい。内径8 mmのカラムの場合,約1 cm3/minの流量
にするとよい。SEC装置で用いるポンプは,±0.3 %の流量精度が必要である。高分子及び/又は切断され
やすい化合物を測定する場合並びに粘度の高い溶媒を用いる場合には,低流量で測定することが望ましい。
送液を一定に保つためには,送液部の温度を±1 ℃の範囲に制御するとよい。
内部標準物質の溶出時間又は溶離液の溶出体積若しくは溶出質量を直接計量(A.2参照)することによ
――――― [JIS K 7252-1 pdf 8] ―――――
6
K 7252-1 : 2016 (ISO 16014-1 : 2012)
って流量をはかり,変動が顕著な場合には補正する。JIS K 7252-2JIS K 7252-4に規定されている方法は,
分子量標準物質で作成した校正曲線を用いて計算する相対法であるため,流量についての情報は,必要と
しない。
6.4 試料導入装置
流路切替方式によって,試料溶液をループに保持し,バンドの広がり及び圧力の変
動を最小にして,試料をカラムに導入する。
注記 試料導入時のバンドの広がりとは,試料溶液が本流に入った場合に,拡散,乱流などによって,
試料溶液が溶離液に希釈されることをいう。最終的にはクロマトグラムのピーク幅が広がった
結果を与える。
6.5 カラム
6.5.1 一般 カラムは,分子の大きさに従って試料を分離する機能をもつ。カラムは,一般に,エンドフ
ィッティングをもつステンレス管,フィルタ及び多孔性充剤から構成する。カラムの長さ,内径又は充
剤の粒子径に制限はない。
6.5.2 理論段数の計算 初めに,エチルベンゼンなどの低分子量化合物を用いて,図2のクロマトグラム
のピークを求めた後,式(6)又は式(7)によってカラム全体の理論段数(N)を計算する。
2
te
N .554 (6)
W1 2
2
te
N 16 (7)
W
ここに, te : ピークの溶出時間
W1/2 : ピークの半値幅
W : ピーク幅
望ましい理論段数の範囲は,JIS K 7252-3又はJIS K 7252-4による。
1 注入
注記 Hは,溶出ピークのシグナル強度を示す。
図2−低分子量化合物のSECクロマトグラムの例
6.5.3 分離度の測定 カラム全体の分離度(R)は,校正曲線(9.1及び図5参照)及び試料ピークの頂
――――― [JIS K 7252-1 pdf 9] ―――――
7
K 7252-1 : 2016 (ISO 16014-1 : 2012)
点近くに溶出する狭い分子量分布をもつ分子量標準物質(5.3及び図3参照)を用いて,式(8)によって計
算する。
1
R (8)
D WSTD
ここに, D : 分子量標準物質のピークの頂点の溶出時間に対応する
校正曲線上の点における校正曲線の接線の傾き
WSTD : 分子量標準物質のベースライン上のピーク幅
望ましい分離度の範囲は,JIS K 7252-3又はJIS K 7252-4による。
1 注入
図3−分子量標準物質のSECクロマトグラムの例
6.5.4 シンメトリー係数の測定 カラム全体のシンメトリー係数(AS)は,エチルベンゼンのような低分
子量化合物のピークから得られるデータを用いて,式(9)によって計算する(図2参照)。
a b
AS (9)
a
ここに, AS : シンメトリー係数
a : 10 %のシグナル強度におけるピーク前半の幅
b : 10 %のシグナル強度におけるピーク後半の幅
望ましいシンメトリー係数の範囲は,JIS K 7252-3又はJIS K 7252-4による。
6.6 検出器
検出器は,カラムから溶出した溶出液中の高分子の濃度を連続的にモニタするためのもの
と,光散乱強度をモニタするためのものとがある。濃度検出器としては,示差屈折率検出器,紫外・可視
吸光検出器,赤外検出器,蛍光検出器などがあり,光散乱をモニタするものとしては,光散乱検出器があ
る。検出器はいずれも市販されている。
カラムで分離した分子群の分離帯を広げないために,かつ,6.5.2及び6.5.3で測定したカラム全体の理
論段数及び分離度を低下させないために,フローセルは十分に小さな体積でなければならない。
JIS K 7252-2JIS K 7252-5で用いられる濃度検出器は,示差屈折率で10−8又は紫外吸光度で10−4の差
異を検出できるような感度をもたなければならない。シグナルとノイズとの比(S/N比)としては,200
以上が必要であるが,分子量分布が極めて広い試料の場合又は分子量が極めて高い試料を低濃度で測定す
る場合には,S/N比が低くても認容できる。ただし,このような場合でもS/N比は20以上必要である。さ
――――― [JIS K 7252-1 pdf 10] ―――――
次のページ PDF 11
JIS K 7252-1:2016の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 16014-1:2012(IDT)
JIS K 7252-1:2016の国際規格 ICS 分類一覧
- 83 : ゴム及びプラスチック工業 > 83.080 : プラスチック > 83.080.01 : プラスチック一般
JIS K 7252-1:2016の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISK7252-2:2016
- プラスチック―サイズ排除クロマトグラフィーによる高分子の平均分子量及び分子量分布の求め方―第2部:ユニバーサルキャリブレーション法
- JISK7252-3:2016
- プラスチック―サイズ排除クロマトグラフィーによる高分子の平均分子量及び分子量分布の求め方―第3部:常温付近での方法
- JISK7252-4:2016
- プラスチック―サイズ排除クロマトグラフィーによる高分子の平均分子量及び分子量分布の求め方―第4部:高温での方法
- JISK7252-5:2016
- プラスチック―サイズ排除クロマトグラフィーによる高分子の平均分子量及び分子量分布の求め方―第5部:光散乱検出による方法