JIS M 8130:1996 鉱石中のアンチモン定量方法 | ページ 2

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白煙を十分に発生させ,溶液の色が無色になるまで強熱する。
(2) 放冷後,水5060mlを加えた後,塩酸 (1+1) 30mlを加え,かき混ぜた後,亜硫酸水50mlを加え,
温水で液量を約200mlとし,少量の沸石を入れ加熱して約20分間穏やかに煮沸を続け,亜硫酸ガス
を除去する。
(3) 流水中で冷却し,この溶液に約10分間空気を吹き込んだ後,過マンガン酸カリウム標準溶液 [6.2(13) ]
を用いて滴定し,溶液の色が赤紫に変わった点を終点とする。
注(11) ろ紙の小片は,通常径9cmのろ紙(5種B)の約321を細くちぎって用いる。
6.5 空試験 試料を用いないで,試料と同じ操作を試料と並行して行う。
6.6 計算 試料中のアンチモン含有率を,次の式によって算出する。
(V1 V2 )
Sb 100
m
ここに, Sb : アンチモン含有率 [% (m/m) ]
V1 : 6.4.3(3)で得た過マンガン酸カリウム標準溶液使用量 (ml)
V2 : 6.5で得た過マンガン酸カリウム標準溶液使用量 (ml)
f : 過マンガン酸カリウム標準溶液1mlのアンチモン相当量 (g)
m : 試料はかり採り量 (g)
7. 過マンガン酸カリウム滴定法
7.1 要旨 試料を硝酸と硫酸とで分解し,加熱して濃縮し硫酸の白煙を発生させる。ろ紙片を加えて再
び加熱し,アンチモン及びひ素を還元する。塩類を水と塩酸とで溶解した後,過マンガン酸カリウム標準
溶液で滴定する。別に試料中のひ素含有率を求め,アンチモン含有率を補正する。
7.2 試薬 試薬は,次による。
(1) 塩酸 (1+1)
(2) 硝酸
(3) 硝酸 (1+1)
(4) 硫酸カリウム
(5) よう素酸カリウム (0.5g/l)
(6) 0.02mol/l過マンガン酸カリウム標準溶液 6.2(13)による。
7.3 試料はかり採り量 試料はかり採り量は,0.30.4gとする。
7.4 操作
7.4.1 試料溶液の調製 試料溶液の調製は,次の手順によって行う。
(1) 試料をはかり採り,ビーカー (400ml) に移し入れ,硝酸1015mlを加え,時計皿で覆い,穏やかに
加熱して分解する。激しい反応が終わった後,硫酸 (1+1) 40ml及び硫酸カリウム約3gを加え,引き
続き加熱して,硫酸の白煙を十分に発生させる(3)。
(2) 次いで,ろ紙の小片(4)を加え,加熱を続けて,溶液の色が無色となるまで強熱する。
(3) (2)の操作を更に1回繰り返して,アンチモンを完全に還元する。
(4) 放冷後,水で時計皿の下面及びビーカー内壁を洗い時計皿を取り除く。水5060ml及び塩酸 (1+1)
30mlを加え,かき混ぜた後,温水で液量を約200mlとし,加熱して23分間穏やかに煮沸し,流水
で冷却する。
7.4.2 滴定 7.4.1(4)で得た溶液に,よう素酸カリウム溶液1, 2滴を加え(12),過マンガン酸カリウム標準
溶液 [7.2(6) ] を用いて滴定し,溶液の色が赤紫に変わった点を終点とする。

――――― [JIS M 8130 pdf 6] ―――――

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注(12) よう素酸カリウム溶液は,過マンガン酸カリウムによってひ素を定量的に酸化するための触媒
で,12滴の添加で十分であり,それ以上に過剰に加えてはならない。
7.5 空試験 試料を用いないで,試料と同じ操作を試料と並行して行う。
7.6 ひ素の定量 JIS M 8132の規定によって,ひ素を定量する。
7.7 計算 試料中のアンチモン含有率を,次の式によって算出する。
(V1 V2 )
Sb 100 A .1625
m
ここに, Sb : アンチモン含有率 [% (m/m) ]
V1 : 7.4.2で得た過マンガン酸カリウム標準溶液使用量 (ml)
V2 : 7.5で得た過マンガン酸カリウム標準溶液使用量 (ml)
f : 過マンガン酸カリウム標準溶液1mlのアンチモン相当量 (g)
m : 試料はかり採り量 (g)
A : 試料中のひ素含有率 [% (m/m) ]
8. 水酸化鉄共沈分離原子吸光法
8.1 要旨 試料を硝酸,臭化水素酸及び塩酸で分解し,塩酸及び塩化鉄 (III) を加えた後アンモニア水を
加え,アンチモンを水酸化鉄 (III) と共沈させ,ろ過する。沈殿は塩酸に溶解した後,原子吸光光度計を
用いて,その吸光度を測定する。
8.2 試薬 試薬は,次による。
(1) 塩酸
(2) 塩酸 (1+1,1+2,1+10)
(3) 硝酸
(4) ふっ化水素酸
(5) 臭化水素酸
(6) 硫酸 (1+1)
(7) アンモニア水
(8) アンモニア水 (1+99)
(9) 臭素
(10) 塩化鉄 (III) 溶液 (20mgFe/ml)塩化鉄 (III) 六水和物48.4gを塩酸 (1+100) 500mlに溶解する。塩
化鉄 (III) 六水和物は,アンチモンの含有率が0.001% (m/m) 以下のものを使用する。
(11) 鉛溶液 (10mgPb/ml) 鉛[99.9% (m/m) 以上]1.00gを硝酸 (1+1) 30mlで分解し,室温まで冷却した
後,水で100mlとする。
(12) 標準アンチモン溶液 (0.2mgSb/ml) アンチモン[99.9% (m/m) 以上]0.100gを王水20mlで分解し,
常温まで冷却した後100mlの全量フラスコに水を用いて移し入れ,塩酸 (1+1) で標線まで薄めて原
液 (1mgSb/ml) とする。この原液を使用の都度,必要量だけ水で正しく5倍に薄めて標準アンチモン
溶液とする。
8.3 試料はかり採り量 試料はかり採り量は,アンチモンの含有率に応じて表3による。

――――― [JIS M 8130 pdf 7] ―――――

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表3 試料はかり採り量
アンチモン含有率 試料はかり採り量
% (m/m) g
0.01以上0.2未満 1
0.2 以上1 未満 0.5
1 以上5 未満 0.1
8.4 操作
8.4.1 試料溶液の調製 試料溶液の調製は,次の手順によって行う。
(1) 試料をはかり採り,ビーカー (200300ml) に移し入れ,硝酸15ml,臭化水素酸10ml及び塩酸20ml
を加え(13),時計皿で覆い,穏やかに加熱して分解する。
(2) 放冷後,水で時計皿の下面及びビーカーの内壁を洗い,時計皿を取り除く。塩酸 (1+2) 30mlを加え,
ろ紙(5種B)を用いてろ過し,塩酸 (1+10) で十分に洗浄する(14)(15)。ろ液及び洗液は,ビーカー
(300ml) に受け,水を加えて液量を約150mlとする。
注(13) 臭化水素酸の代わりに臭素を用いることができる。この場合は,硝酸10ml,臭素3ml及び塩酸20ml
を加える。
(14) 残物中にアンチモンが含まれる場合は,少量の水を用いて残物を白金皿(例えば50番)に洗い
移し,硫酸 (1+1) 2,3滴及びふっ化水素酸35mlを加え,加熱して二酸化けい素を揮散させ
乾固する。放冷後,塩酸 (1+1) 5mlを加えて可溶性塩を溶解し,ろ紙(5種B)を用いてろ過
し,温水で十分に洗浄した後,ろ液及び洗液は主液に合わせる。
(15) 試料が鉛精鉱のように多量の鉛を含む場合は,塩化鉛の結晶が析出することがある。析出した
塩化鉛は,塩酸 (1+10) で十分洗浄した後,ろ紙上に熱水を注いで溶解する。
8.4.2 アンチモンの分離 アンチモンの分離は,次の手順によって行う。
(1) 8.4.1(2)で得た溶液に,塩化鉄 (III) 溶液 [8.2.(10) ] を加え(16)(17),この溶液をかき混ぜながらアンモニ
ア水を加え,水酸化鉄の沈殿が出始めたら,更に5mlを加え,加熱して数分間煮沸する。直ちに沈殿
をろ紙(5種A)を用いてろ過し,温アンモニア水 (1+99) で数回洗浄した後,温水で元のビーカー
(300ml) に洗い移す。ろ紙上から塩酸 (1+1) 20mlを少量ずつ加えて,水酸化物の沈殿を溶解した後,
ろ紙を温水で十分に洗浄する。
これら溶液は沈殿を洗い移した元のビーカー (300ml) に受け,加熱して沈殿を溶解する。
(2) 常温まで冷却後,水を用いて100mlの全量フラスコに移し入れ,水で標線まで薄める。
注(16) 塩化鉄 (III) 溶液の添加量は,はかり採った試料中に含まれる鉄量と加える鉄量の合計が約
300mgになるようにする。
(17) はかり採った試料中に含まれる鉄量が300mg以上の場合は,塩化鉄 (III) 溶液は添加しない。
8.4.3 吸光度の測定 8.4.2(2)で得た溶液の一部(18)を,水を用いてゼロ点を調整した原子吸光光度計の空
気−アセチレンフレーム中に噴霧し,波長217.6nm又は231.1nmにおける吸光度を測定する。
注(18) 溶液中に塩化鉛の結晶が析出した場合,又は浮遊物を認めた場合は,溶液の一部を乾いたろ紙
(5種A)でろ過し,その最初のろ液510mlは捨て,その後のろ液を用いる。
8.5 空試験 試料を用いないで,試料と同じ操作を試料と並行して行う(19)。
注(19) はかり採った試料中の鉄量が300mg以上の場合は,試料溶液中の鉄量と同量になるように塩化
鉄 (III) 溶液 [8.2(10) ] を加える。
8.6 検量線の作成 検量線の作成は,次の手順によって行う。

――――― [JIS M 8130 pdf 8] ―――――

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(1) 塩酸 (1+1) 20ml及び塩化鉄 (III) 溶液 [8.2(10) ] 15ml(19)を数個の100ml全量フラスコにはかり採る
(20)。
(2) それぞれの全量フラスコに,標準アンチモン溶液 [8.2(12) ] の各種液量025ml(アンチモンとして0
5mg)を段階的に加え,水で標線まで薄める。
(3) それぞれの溶液の一部を,水を用いてゼロ点を調整した原子吸光光度計の空気−アセチレンフレーム
中に噴霧し,波長217.6nm又は231.1nmにおける吸光度を試料と並行して測定し,得た吸光度とアン
チモン量との関係線を作成し,その関係線を原点を通るように平行移動して検量線とする。
注(20) はかり採った試料中の鉛量が50mg以上の場合は,鉛溶液 [8.2(11) ] 5mlを加える。
8.7 計算 8.4.3及び8.5で得た吸光度と8.6で作成した検量線とからアンチモン量を求め,試料中のアン
チモン含有率を,次の式によって算出する。
A1 A2
Sb 100
m
ここに, Sb : アンチモン含有率 [% (m/m) ]
A1 : 試料溶液中のアンチモン検出量 (g)
A2 : 空試験液中のアンチモン検出量 (g)
m : 試料はかり採り量 (g)
9. 誘導結合プラズマ発光分光法
9.1 要旨 試料を硝酸,臭化水素酸及び塩酸で分解した後,加熱して蒸発乾固する。塩酸を加えて可溶
性塩類を溶解し,溶液を誘導結合プラズマ発光分光装置のアルゴンプラズマ中に噴霧し,その発光強度を
測定する。
9.2 試薬 試薬は,次による。
(1) 塩酸
(2) 塩酸 (1+1,1+10)
(3) 硝酸
(4) ふっ化水素酸
(5) 臭化水素酸
(6) 硫酸 (1+1)
(7) 臭素
(8) 銅溶液 (10mgCu/ml) 銅[99.9% (m/m) 以上]1.00gを硝酸 (1+1) 20mlで分解し,室温まで冷却した
後,水で100mlとする。
(9) 亜鉛溶液 (10mgZn/ml) 亜鉛[99.9% (m/m) 以上]1.00gを塩酸 (1+1) 20mlで分解し,室温まで冷却
した後,水で100mlとする。
(10) 鉛溶液 (10mgPb/ml) 8.2(11)による。
(11) 塩化鉄 (III) 溶液 (10mgFe/ml)8.2(10)の塩化鉄 (III) 溶液 (20mgFe/ml) を,水で2倍に薄める。
(12) 標準アンチモン溶液A (1mgSb/ml) 8.2(12)の原液を用いる。
(13) 標準アンチモン溶液B (0.2mgSb/ml) 8.2(12)による。
9.3 試料はかり採り量 試料のはかり採り量は,0.50gとする。
9.4 操作
9.4.1 試料溶液の調製 試料溶液の調製は,次の手順によって行う。

――――― [JIS M 8130 pdf 9] ―――――

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(1) 8.4.1(1)の手順に従って操作する。
(2) 放冷後,水で時計皿の下面及びビーカーの内壁を洗い,時計皿を取り除く。引き続き加熱して蒸発乾
固する。
(3) 放冷後,塩酸10ml及び水約50mlを加え,穏やかに加熱して可溶性塩を溶解した後,ろ紙(5種B)
を用いてろ過し,温水で十分に洗浄する(14)(15)。ろ液及び洗液は液量約70mlまで濃縮し,常温まで冷
却した後,水を用いて100mlの全量フラスコに移し入れ,水で標線まで薄める。
9.4.2 発光強度の測定 9.4.1(3)で得た溶液の一部(18)を誘導結合プラズマ発光分光装置のアルゴンプラズ
マ中に噴霧し,波長206.833nmにおける発光強度を測定する(21)。
注(21) 精確さを確認してあれば,他の波長を用いて測定してもよい。
また,高次のスペクトル線が使用可能な装置では,高次のスペクトル線を用いてもよい。バ
ックグラウンド補正機構がついている装置では,バックグラウンド補正機構を用いてもよい。
9.5 空試験 9.6の検量線作成操作で得た標準アンチモン溶液を添加しない溶液の発光強度を,空試験の
発光強度とする。
9.6 検量線の作成 検量線の作成は,次の手順によって行う。
(1) 試料溶液中に共存する主成分と同一量になるように銅溶液 [9.2(8) ] ,亜鉛溶液 [9.2(9) ] ,鉛溶液
[9.2(10) ] 及び塩化鉄 (III) 溶液 [9.2(11) ] (22)を数個の100mlの全量フラスコにはかり採り,各々に塩酸
(1+1) 20mlを加える。
(2) それぞれの全量フラスコに,標準アンチモン溶液A [9.2(12) ] 及び標準アンチモン溶液B [9.2(13) ] の各
種液量025ml(アンチモンとして025mg)を段階的に加え,水で標線まで薄める。
(3) それぞれの溶液の一部を,誘導結合プラズマ発光分光装置のアルゴンプラズマ中に噴霧し,波長
206.833nmにおける発光強度を試料と並行して測定し,得た発光強度とアンチモン量との関係線を作
成し,その関係線を原点を通るように平行移動して検量線とする。
注(22) 試料が銅精鉱の場合は銅溶液及び鉄溶液を,亜鉛精鉱の場合は亜鉛溶液及び鉄溶液を,鉛精鉱
の場合は鉛溶液及び鉄溶液を,試料溶液と同じ濃度になるように加える。
9.7 計算 9.4.2及び9.5で得た発光強度と9.6で作成した検量線とからアンチモン量を求め,試料中のア
ンチモン含有率を次の式によって算出する。
A1 A2
Sb 100
m
ここに, Sb : アンチモン含有率 [% (m/m) ]
A1 : 試料溶液中のアンチモン検出量 (g)
A2 : 空試験液中のアンチモン検出量 (g)
m : 試料はかり採り量 (g)
10. 水酸化鉄共沈分離誘導結合プラズマ発光分光法
10.1 要旨 試料を硝酸,臭化水素酸及び塩酸で分解し,塩酸及び塩化鉄 (III) を加えた後アンモニア水を
加え,アンチモンを水酸化鉄 (III) と共沈させ,ろ過する。沈殿は塩酸に溶解した後,誘導結合プラズマ
発光分光装置のアルゴンプラズマ中に噴霧し,その発光強度を測定する。
10.2 試薬 試薬は,次による。
(1) 塩酸
(2) 塩酸 (1+1,1+2,1+10)

――――― [JIS M 8130 pdf 10] ―――――

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