JIS Q 20000-1:2020 情報技術―サービスマネジメント―第1部:サービスマネジメントシステム要求事項 | ページ 3

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Q 20000-1 : 2020 (ISO/IEC 20000-1 : 2018)
3.1.21
トップマネジメント(top management)
最高位で組織(3.1.14)を指揮し,管理する個人又は人々の集まり。
注記1 トップマネジメントは,組織内で,権限を委譲し,資源を提供する力をもっている。
注記2 マネジメントシステム(3.1.9)の適用範囲が組織の一部だけの場合,トップマネジメントと
は,組織内のその一部を指揮し,管理する人をいう。

3.2 サービスマネジメントに固有の用語

3.2.1
資産(asset)
組織(3.1.14)にとって,潜在的又は実際に価値をもつ品目,物又は実体。
注記1 価値は,有形のものでも無形のものでも,また,財務的なものでも非財務的なものでもあり
得,リスク(3.1.20)及び責務の考慮を含むものである。それは,資産寿命の異なる段階で,
好ましいもの又は好ましくないものでもあり得る。
注記2 物理的資産は,通常,組織によって所有される機器,在庫品及び財産を表す。物理的資産は,
リース,ブランド,デジタル資産,使用権,ライセンス,知的所有権,評判又は合意のよう
な,非物理的資産である無形資産とは正反対のものである。
注記3 資産システムと呼称される資産の集まりも資産として考慮され得る。
注記4 資産は,構成品目(3.2.2)でもあり得る。一部の構成品目は資産ではない。
(JIS X 0164-5:2019の3.2を変更している。注記4は新しい内容を含んでいる。)
3.2.2
構成品目,CI(configuration item,CI)
サービス(3.2.15)の提供のために管理する必要がある要素。
3.2.3
顧客(customer)
サービス(3.2.15)を受ける組織(3.1.14)又は組織の一部。
例 消費者,依頼人,受益者,出資者,購入者。
注記1 顧客は,サービスを提供する組織の内部又は外部のいずれでもあり得る。
注記2 顧客は利用者(3.2.28)でもあり得る。顧客は供給者として振る舞うこともあり得る。
3.2.4
外部供給者(external supplier)
組織の外部にあって,サービス(3.2.15),サービスコンポーネント(3.2.18)又はプロセス(3.1.18)の
計画立案,設計,移行(3.2.27),提供及び改善に貢献するために契約を結ぶ他の関係者。
注記1 外部供給者には,指定された統括供給者を含むが,その供給者の再契約先供給者は含まない。
注記2 SMSの適用範囲の組織が,より大きな組織の一部である場合には,他の関係者はその大きな
組織の外部にある。
3.2.5
インシデント(incident)
サービス(3.2.15)に対する計画外の中断,サービスの品質の低下,又は顧客(3.2.3)若しくは利用者
(3.2.28)へのサービスにまだ影響していない事象。

――――― [JIS Q 20000-1 pdf 11] ―――――

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Q 20000-1 : 2020 (ISO/IEC 20000-1 : 2018)
3.2.6
情報セキュリティ(information security)
情報の機密性,完全性及び可用性を維持すること。
注記 さらに,真正性,責任追跡性,否認防止,信頼性などの特性を維持することを含めることもあ
る。
(JIS Q 27000:2019の3.28)
3.2.7
情報セキュリティインシデント(information security incident)
望まない単独若しくは一連の情報セキュリティ(3.2.6)事象,又は予期しない単独若しくは一連の情報
セキュリティ事象であって,事業運営を危うくする確率及び情報セキュリティを脅かす確率が高いもの。
(JIS Q 27000:2019の3.31)
3.2.8
内部供給者(internal supplier)
SMS(3.2.23)の適用範囲外である,より大きな組織(3.1.14)の一部であって,サービス(3.2.15),サ
ービスコンポーネント(3.2.18)又はプロセス(3.1.18)の計画立案,設計,移行(3.2.27),提供及び改善
に貢献するために,合意文書を結ぶ関係者。
例 調達,インフラストラクチャ,財務,人事,設備。
注記 内部供給者及びSMSの適用範囲内の組織は,いずれもより大きな同じ組織の一部である。
3.2.9
既知の誤り(known error)
根本原因が特定されているか,又はサービス(3.2.15)への影響を低減若しくは除去する方法がある問題
(3.2.10)。
3.2.10
問題(problem)
一つ以上の実際に起きた又は潜在的なインシデント(3.2.5)の原因。
3.2.11
手順(procedure)
活動又はプロセス(3.1.18)を実行するために規定された方法。
注記 手順は,文書にすることもあれば,しないこともある。
(JIS Q 9000:2015の3.4.5)
3.2.12
記録(名詞)(record, noun)
達成した結果を記述した,又は実施した活動の証拠を提供する文書。
例 監査(3.1.1)報告書,インシデント(3.2.5)の詳細,教育・訓練の参加者名簿,会議の議事録
注記1 記録は,例えば,トレーサビリティを正式なものにする,並びに検証,予防処置及び是正処
置(3.1.5)の証拠を提供するために使用されることがある。
注記2 通常,記録の改訂管理を行う必要はない。
(JIS Q 9000:2015の3.8.10を変更。例を追加している。)

――――― [JIS Q 20000-1 pdf 12] ―――――

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Q 20000-1 : 2020 (ISO/IEC 20000-1 : 2018)
3.2.13
リリース(名詞)(release, noun)
一つ以上の変更の結果として,稼働環境へ展開される,新規サービス(3.2.15)又はサービス変更,又は
サービスコンポーネント(3.2.18)の一つ以上の集合。
3.2.14
変更要求(request for change)
サービス(3.2.15),サービスコンポーネント(3.2.18),又はSMS(3.2.23)に対して行う変更について
の提案。
注記 サービス変更には,新規サービスの提供,サービスの移行又は不要となったサービスの削除を
含む。
3.2.15
サービス(service)
顧客が達成することを望む成果を促進することによって,顧客(3.2.3)に価値を提供する手段。
注記1 サービスは,一般的に無形である。
注記2 この規格で使用するサービスという用語は,SMS(3.2.23)の適用範囲のサービスを意味す
る。サービスという用語を異なる意図で使用するときは,明確に区別している。
3.2.16
サービス可用性(service availability)
あらかじめ合意された時点又は期間にわたって,要求された機能を実行するサービス(3.2.15)又はサー
ビスコンポーネント(3.2.18)の能力。
注記 サービス可用性は,合意された時間に対する,実際にサービス又はサービスコンポーネントを
利用できる時間の割合又はパーセンテージで表すことができる。
3.2.17
サービスカタログ(service catalogue)
組織がその顧客に提供するサービスについての文書化した情報。
3.2.18
サービスコンポーネント(service component)
他の要素と組み合わされたときに完結したサービス(3.2.15)を提供する,サービスの一部。
例 インフラストラクチャ,アプリケーション,文書,ライセンス,情報,資源,支援サービス
注記 サービスコンポーネントは,構成品目(3.2.2),資産(3.2.1)又は他の要素を含み得る。
3.2.19
サービス継続(service continuity)
サービス(3.2.15)を中断なしに,又は合意した可用性を一貫して提供する能力。
注記 サービス継続管理は,事業継続管理の部分的な集まりであり得る。JIS Q 22301が,事業継続管
理のマネジメントシステムの規格である。
3.2.20
サービスレベル合意書,SLA(service level agreement,SLA)
サービス(3.2.15)及びその合意されたパフォーマンスを特定した,組織(3.1.14)と顧客(3.2.3)との
間の合意文書。
注記1 サービスレベル合意書は,組織と,外部供給者(3.2.4),内部供給者(3.2.8),又は供給者と

――――― [JIS Q 20000-1 pdf 13] ―――――

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Q 20000-1 : 2020 (ISO/IEC 20000-1 : 2018)
して振る舞う顧客との間でも締結することができる。
注記2 サービスレベル合意書は,契約書又は他の種類の合意文書に含めることができる。
3.2.21
サービスレベル目標(service level target)
組織(3.1.14)が約束する,具体的に測定可能なサービス(3.2.15)の特性。
3.2.22
サービスマネジメント(service management)
価値(3.2.29)を提供するため,サービス(3.2.15)の計画立案,設計,移行(3.2.27),提供及び改善の
ための組織(3.1.14)の活動及び資源を,指揮し,管理する,一連の能力及びプロセス(3.1.18)。
注記 この規格は,箇条及び細分箇条へ分割された一連の要求事項を提供する。各組織は,要求事項
をどのようにプロセスへ結合するかを選択できる。細分箇条は,組織のSMSのプロセスを定義
するために使用できる。
3.2.23
サービスマネジメントシステム,SMS(service management system,SMS)
組織(3.1.14)のサービスマネジメント(3.2.22)活動を指揮し,管理するマネジメントシステム(3.1.9)。
注記 SMSには,この規格に規定した要求事項(3.1.19)を満たすために必要な,サービスの計画立
案,設計,移行(3.2.27),提供及び改善のための,サービスマネジメントの方針(3.1.17),目
的(3.1.13),計画,プロセス(3.1.18),文書化した情報,及び資源を含む。
3.2.24
サービス提供者(service provider)
顧客(3.2.3)へのサービス(3.2.15)を管理及び提供する組織(3.1.14)。
3.2.25
サービス要求(service request)
情報,助言,サービス(3.2.15)へのアクセス,又は事前に承認されている変更に対する要求。
3.2.26
サービスの要求事項(service requirement)
明示されている又は義務であるサービス(3.2.15)及びSMS(3.2.23)に関連する顧客(3.2.3),利用者
(3.2.28)及び組織(3.1.14)のニーズ。
注記 SMS(3.2.23)の場合,サービスの要求事項は,通常,暗黙のうちに了解されているよりは,
むしろ文書化及び合意される。法令・規制要求事項のような他の要求事項も存在し得る。
3.2.27
移行(transition)
新規サービス(3.2.15)又はサービス変更の,稼働環境への移動又は稼働環境からの移動に関わる活動。
3.2.28
利用者(user)
サービス(3.2.15)とやり取りする,又はサービスから便益を得る個人又はグループ。
注記 利用者の例は,個人又はコミュニティの人々を含む。顧客(3.2.3)も利用者であり得る。
3.2.29
価値(value)
重要性,便益又は有用性。

――――― [JIS Q 20000-1 pdf 14] ―――――

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Q 20000-1 : 2020 (ISO/IEC 20000-1 : 2018)
例 金銭的価値,サービスの成果達成,サービスマネジメント(3.2.22)の目的(3.1.13)達成,顧客
の維持又は制約の排除
注記 サービス(3.2.15)からの価値創造は,最適な資源レベルで便益を実現しつつ,リスク(3.1.20)
を管理することを含んでいる。資産(3.2.1)及びサービス(3.2.15)は,価値を付与し得る例で
ある。

4 組織の状況

4.1 組織及びその状況の理解

  組織は,組織の目的に関連し,かつ,そのSMSの意図した成果を達成する組織の能力に影響を与える,
外部及び内部の課題を決定しなければならない。
注記 この場合の単語“課題”は,望ましい又は望ましくない影響をもつ要因であり得る。これらは,
合意した質のサービスを顧客に提供する能力に関し,組織にとって重要な要因である。

4.2 利害関係者のニーズ及び期待の理解

  組織は,次の事項を決定しなければならない。
a) MS及びサービスに関連する利害関係者
b) それらの利害関係者の,関連する要求事項
注記 利害関係者の要求事項は,サービス,パフォーマンス,法令・規制要求事項,並びにSMS及び
サービスに関連する契約義務を含み得る。

4.3 サービスマネジメントシステムの適用範囲の決定

  組織は,SMSの適用範囲を定めるために,その境界及び適用可能性を決定しなければならない。
この適用範囲を決定するとき,組織は,次の事項を考慮しなければならない。
a) 4.1に規定する外部及び内部の課題
b) 4.2に規定する要求事項
c) 組織が提供するサービス
SMSの適用範囲の定義には,適用範囲内のサービス,及びサービスを管理し,提供する組織の名称を含
めなければならない。
SMSの適用範囲は,文書化した情報として利用可能な状態にし,維持しなければならない。
注記1 ISO/IEC 20000-3は,適用範囲の定義に関する手引を提供する。
注記2 SMSの適用範囲の定義は,適用範囲内のサービスを記載している。これは,組織が提供する
サービスの全ての場合も一部の場合もあり得る。

4.4 サービスマネジメントシステム

  組織は,この規格の要求事項に従って,必要なプロセス及びそれらの相互作用を含む,SMSを確立し,
実施し,維持し,かつ,継続的に改善しなければならない。

5 リーダーシップ

5.1 リーダーシップ及びコミットメント

  トップマネジメントは,次に示す事項によって,SMSに関するリーダーシップ及びコミットメントを実
証しなければならない。
a) サービスマネジメントの方針及びサービスマネジメントの目的を確立し,それらが組織の戦略的な方
向性と両立することを確実にする。

――――― [JIS Q 20000-1 pdf 15] ―――――

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JIS Q 20000-1:2020の国際規格 ICS 分類一覧