この規格ページの目次
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R 1652 : 2003
i) 測定時間(求めるせん断速度に到達した後,データを読み取るまでに経過した時間)
j) 個々の粘度測定結果(単位Pa・s又はmPa・s)及びそれらの平均値
k) この規格によらないで当事者が協定した測定条件,例えば,寸法の異なる測定システムの採用
l) 測定年月日
5. ブルックフィールド形単一円筒回転粘度計による粘度の測定
5.1 原理
円筒又はそれに関連した形状のスピンドルを試料スラリーの中で一定の回転数で駆動する。
試料スラリーの粘度による流体抵抗がスピンドルに加わりトルクが生じる。このトルクを適切な計器で指
示させる。粘度は5.7の式から算出する。
備考 この種の粘度計では,せん断速度こう配はスピンドルのどの部分でも同じではない。したがっ
て,その測定結果は厳密には“既知のせん断速度こう配における粘度”ではない。
5.2 装置
a) ブルックフィールド形単一円筒回転粘度計 JIS Z 8803の8.に規定した形式があり,セラミックスス
ラリー試料及び希望する精度によって選択する。この装置の概要を附属書3(参考)に示す。
粘度計は,次のものから構成されている。
1) 粘度計本体
2) スピンドル 1から7まで番号の付いた,交換可能な7種類のスピンドル(1が最大)。腐食又は偏
心の徴候を示すスピンドルを用いてはならない。
備考 これらのスピンドルには、液体中の浸せきレベルを示す標線が印されているが、標線はいずれ
の粘度計とも同じである。
3) 取り外し可能なガード 粘度計の調整及び校正は,粘度が判明しているニュートン性液体を用いて,
使用者の測定室又は他の測定機関で必要に応じて行うことを推奨する。JIS Z 8809に規定する標準
液の使用が望ましい。
b) 恒温槽 試料を±0.2 ℃の正確さで測定温度に保持するもの。
c) その他の装置
1) 支柱 粘度計を支持し,これを垂直な面内で動かせるもの。
2) 標準ビーカ 直径が9092 mmで,高さが115160 mmのもの(500 mlビーカ)を標準とする。
これ以外の特殊なものを使用する場合は,校正等によって補正を必要とする。
3) 温度計 測定する試料の温度を0.1 ℃まで読めるもの。
5.3 粘度計の調整及び校正
粘度計の調整及び校正は、粘度が判明しているニュートン性液体(1)を用い
て、使用者の試験室や他の試験機関で必要に応じて行うことを推奨する。
5.4 測定温度
測定温度は23±0.2℃を推奨する。
5.5 回転数及びスピンドルの選び方
測定する粘度の値,希望する精度及び速度こう配を考慮し,回転
数とスピンドルの組合せを選ぶ。この選び方は,どの測定値もフルスケールの20 %未満又は95 %以上に
ならないようにする必要がある。さらに,精度を最もよくするためには,フルスケールの45 %95 %の範
囲に保つことが望ましい。非ニュートン性試料の間で粘度を比較したい場合は,一方の測定精度が著しく
低下するとしても,回転数とスピンドルの同じ組合せを用いる必要がある。回転数を選択すると,自動的
に一種類又はそれ以上の粘度計を選ぶことになる。このために,可能な場合には,10 min−1の回転数を用
いるのがよい。用いる回転数とスピンドルの組合せは,測定条件として記載しておくとよい。
5.6 手順
――――― [JIS R 1652 pdf 6] ―――――
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a) ガードを用いる場合は,これを取り付けて,粘度計を支柱に取り付ける。
b) スラリー試料は,気泡の発生に注意しながら,粒子の沈降防止又は沈降した粒子を再分散させるため
容器の振とう,かくはんなどの操作を行う。
備考 超音波分散又は過度の媒体かくはん,ボールミルなどはスラリー試料の性質が変化するので,
注意が必要である。
c) 気泡を生じないように注意しながらビーカをスラリー試料で満たし,次に恒温槽に入れて希望の温度
に到達させるのに十分な時間放置する。沈降性のスラリー試料では,かくはんを行う。スラリー試料
が揮発性物質を含んでいたり,又は吸湿性の場合にはこの操作中ビーカを密閉する。
d) ビーカを恒温槽中に置いたまま,スピンドルを試料表面に対し約45°の角度に保ち,スラリー試料中
に浸す。次にスピンドルを垂直に向け,装置の軸に接続する。
e) 泡水準器を使用してスピンドルが垂直であることを確かめ,スピンドルの下端がビーカの底から10
mm以上離れた位置とする,及びスピンドルが軸の標線の下側まで浸されていることを確認して、温
度計をスラリー試料中に浸す。
f) スラリー試料の温度が規定の限度内になるまで待つ。装置製作者の推奨に従って,モータを始動し,
希望する回転数で回転させる。
g) 装置を運転したまま,計器の指示値が安定したとき装置製作者の推奨に従って,トルク計のフルスケ
ールの0.25 %まで軸針をロックし,モータを止めて読み取る。トルク計の読みが徐々に変化するとき
には,材料がチクソトロピー性か又はレオペキシー性をもつことを示している場合がある。トルク計
の読みを規定の時間後に取ったか,又は読みが一定になった直後に取ったかを報告書で報告する。ま
たは,粘度の曲線を回転時間の関数としてプロットすることもできる。
備考 液体によっては,異なるレオロジー特性を示すものがある。チクソトロピー性か又はレオペキ
シー性の挙動を示す液体については,回転時間は,例えば,1分に固定するとよい(トルク計
の読みは時間により変わることがあるので,ただ一つの時間間隔を用いる)。
h) モーターを再始動し,次の測定を行う。連続2回の測定値がお互いに3 %以上離れない値を得るまで
測定を継続する。これら2回の値の平均値を求める。
i) 各測定後,スピンドルを装置から外し,適切な溶剤に浸してよく洗浄する。
5.7 粘度の算出
粘度は、次の式により算出する。
ηa=Kn×θ
ここに、ηa : 粘度(mP/S)
Kn : 換算係数(各粘度計に付属している数表の値を用いる。)
θ : 2回の試験の粘度計指示値の平均
5.8 測定結果報告書
測定結果報告書には,次の事項を記入する。
a) この規格番号
b) 測定したスラリー試料の名称
c) スラリー調製方法の詳細
d) 測定温度
e) 用いた粘度計の形式,スピンドルの番号及び回転数
f) 粘度の値
g) トルク計の読みが徐々に変化するときの読みとり方法
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6. セラミックススラリー粘度測定のための前処理及び留意事項
セラミックススラリーは,測定に際し
て留意すべき点が多い。以下にスラリー粘度測定に関連する留意事項を列挙する。
6.1 スラリーの前処理
保管してあるセラミックススラリーを使用する場合、セラミックススラリーは
一般に沈降していることが多いので,測定前にかくはんや容器の振とうなどによって分散させる。ただし、
セラミックススラリーはこの操作で気泡が発生することが多い。気泡が発生すると粘度が変化するので,
気泡を発生させないように注意してかくはん・振とうなどを行う。
6.2 前処理に関する留意事項
a) 脱泡操作 気泡を含んだ場合には減圧などによる脱泡操作は有効であるが,実際のセラミックス製造
プロセスのスラリー特性が変わるおそれがある。スラリー調製以降の成形などのプロセスで脱泡操作
を行っている場合を除き,粘度への影響が大きいので実施しないことが望ましい。実施する場合は報
告する。
b) その他の留意事項 あまり強い高速かくはんや超音波分散などはスラリー温度の上昇を引き起こし,
スラリーに添加した分散剤やバインダーなどの高分子添加剤の不可逆変化を引き起こし粘度特性を変
化させるので用いないことが望ましい。
6.3 測定時の留意事項
a) 乾燥の影響 高濃度のセラミックススラリーは乾燥の影響を受けやすいので,容器の密封等を行うの
が望ましい。
b) 沈降の影響 事前にメスシリンダーにスラリーを入れ,沈降による上澄み層,中間層,濃厚層の体積
の経時変化を,メスシリンダの目盛を読むことでスラリー中の粒子の沈降速度を測定し,測定時間内
に顕著な上澄み層ができるような沈降速度が速い場合は,温度調整時もローターを回転してかくはん
することが望ましい。また、沈降の影響の大きい円すい−平板法では,迅速に測定する必要がある。
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附属書1(参考) 共軸−二重円筒形粘度計
この附属書(参考)は、本体に関連する事柄を記述するものであり、規定の一部ではない。
1. 特徴 回転軸を共有する2円筒の間げき(隙)に試料を満たし片方の円筒を回転させ,トルク応力と
回転速度の関係から粘度を求める測定法である。測定のせん断速度をほぼ決定でき,粘度測定のほか,回
転速度を変えた測定から,粘度のせん断速度依存性を求めることができる。外筒回転型(Couette型)と内
筒回転型(Searle型)がある。
2. 測定原理及び計算法 片方の円筒の回転によってせん断変形が試料にもたらされ,発生するせん断応
力を,装置の形状によって係数が定まるトルク応力として計測する。粘度(η)はせん断応力(τ)/せん
断速度(γ で求められる。
η τ /γ
CM / ω(Cは装置定数) (1)
せん断応力及びせん断速度は,内外筒の間で一定ではなく回転軸からの半径rの関数である。rの位置
におけるせん断応力,せん断速度は,次の式から求められる。
τ 2
M /(2πLer )
(pdf 一覧ページ番号 )
2 2 2
γ 2ω/ r /1( re ) ]
1 /[(/1 ri ) (3)
せん断応力,せん断速度の表示は,代表値を用いるのが便利である。代表値としては,内筒及び外筒面
におけるせん断応力,せん断速度の平均値を用いることを推奨する。式(4),(5)によるτとγ 係は,0.3
2の間のべき乗の挙動をする流体の流動特性を非常に良い近似で表現することが理論的にも経験的にも
示されている。
2 2 2
τr1( δ 2/)δ (4)
M /(2πLeri )
2 2
γrω 1( )1
δ ) /(δ (5)
ここに,
η : 粘度
rτ : せん断応力の代表値(平均値)
ir : 内筒半径
er : 外筒半径
δ : 外筒半径/内筒半径
M : 測定されたトルク応力
eL : 端面の補正がなされた実効内筒長さ(測定システムごとに異なる
ので実験的に決定する必要がある。)
ω : 回転の角速度 (rad/s)2πn/ 60 (nは回転数,rpm)
rγ せん断速度の代表値
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3. 測定システムの標準的形状 測定システムの標準的形状を附属書1図1に示す。粘度計の寸法として
次の比率を推奨する。これによって,粘度計の流れ場の幾何学的相似性が得られる。これ以外の形状を用
いるときでも,括弧内に示した比率の範囲を推奨する。
δ=re/ri=1.084 7 (≦1.2)
L/ri=3 (≧3)
L/ri=1 (≧1)
L”/ri=1
rs/ri=0.3
α=120° (≦150°,≧90°)
備考1. 内筒下端の円すいは,気泡をためることなく試料中に内筒
を挿入するための工夫である。
2. 標準形状の場合,必要な試料の体積は,8.17×ri3である。
3. 端面の補正はLe=L+ 地 0.3riが経験値と
して知られている。shear thinningの液体ではこの値は大き
くなる。
rγ 0.3ri(ニュートン性
4. 標準形状の粘度計の rτ及び
液体)として,
rτ(Pa) =0.044 6M (Nm) /ri3 (m) 附属書1図1 共軸−二重円筒形
rγ
回転粘度計の測定システム形状
s−1) =12.33ω(rad/s) =1.291n (min−1)
が得られる。
なお,括弧内は使用する単位を示す。
4. 測定の指針
a) 注意点
1) 共軸2重円筒は,内外筒の軸を正確に一致させることが必要である。
2) 内筒回転粘度計は,低粘度液体の計測時にはテイラー流れの発生限界が測定回転数の上限となる。
b) 校正 粘度計の校正には,JIS Z 8809に規定する標準液の使用が望ましい。
c) 指針
1) 測定点は,τ又はγ 数列をなすように選ぶことが推奨される。
2) τとγ 係が原点を通る直線で表されるときはニュートン性液体であり,単一の粘度で表現され
る。
3) 測定値の有効数字は,粘度計の精度によって決められるものである。一般的に,3けた以上の表現
はほとんど無意味である。
4) 一般に,粘度は温度に敏感であり,試料の温度は常に記録する必要がある。
5) 高粘度・高せん断速度の測定時には,せん断流動による発熱が試料の温度上昇をもたらすので注意
が必要である。
――――― [JIS R 1652 pdf 10] ―――――
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JIS R 1652:2003の国際規格 ICS 分類一覧
- 81 : ガラス及びセラミック工業 > 81.060 : セラミックス > 81.060.10 : セラミック原材料
JIS R 1652:2003の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISK7117-1:1999
- プラスチック―液状,乳濁状又は分散状の樹脂―ブルックフィールド形回転粘度計による見掛け粘度の測定方法
- JISK7117-2:1999
- プラスチック―液状,乳濁状又は分散状の樹脂―回転粘度計による定せん断速度での粘度の測定方法
- JISR1600:2011
- ファインセラミックス関連用語
- JISZ8803:2011
- 液体の粘度測定方法
- JISZ8809:2011
- 粘度計校正用標準液