JIS R 1703-1:2020 ファインセラミックス―光触媒材料のセルフクリーニング性能試験方法―第1部:水接触角の測定 | ページ 2

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することができ,放射照度を調整できるように,試験片又はランプの位置を可動できるもの。ランプ反射
板を取り付ける場合は,紫外放射の吸収及び劣化の少ない材料を使用し,試験片位置で放射照度が測定で
きる構造とする。
6.3 紫外放射照度計 JIS R 1709の箇条5(紫外放射照度計)による。
6.4 接触角測定装置 測定範囲が0°180°であり,測定読取り精度0.1°及び測定精度±1°をもつ装
置。試験片に付着させた液滴形状の画像によって,JIS R 3257の6.1(試験原理)に従い着滴後,一定時間
経過した後の接触角を算出する。

7 試薬

  試薬は,次による。
7.1 オレイン酸 キャピラリーカラムを用いるガスクロマトグラフ分析において純度60.0 %(質量分率)
以上のもの。
7.2 ヘプタン JIS K 9701に規定するもの。
7.3 水 JIS K 0557に規定する種別及び質がA3又はA4に適合するもの。

8 試験室の温度及び湿度

  試験室の温度及び湿度は,JIS K 7100の4.(標準雰囲気)及び5.(標準雰囲気の級別)に規定する標準
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状態とし,温度23 ℃±5 ℃,相対湿度( 50+
−)%が望ましい。ただし,JIS
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Z 8703の2.(標準状態)及
び3.(標準状態の許容差)に規定する標準状態とし,温度20 ℃±5 ℃,相対湿度(65±10)%としてもよ
い。

9 試験片

  試験片は,次による。
a) 試験片は,光触媒材料の平らな部分を100 mm±2 mm角の大きさに切り取る。ただし,光触媒材料を
100 mm±2 mm角に切り取ることが困難な場合は,異なる5点で接触角を測定することが可能な試験
片の形状及び大きさである場合に限り,ここに規定する形状及び大きさ以外の試験片を使用してもよ
い。
試験片は,光触媒材料そのものから採取する。ただし,光触媒材料の形状から試験片の前処理が困
難な場合は,同じ原料及び加工方法で別途平板状に加工したものから試験片を調製してもよい。
b) 試験片を調製する場合は,試験結果に影響を与える油などの有機物汚染,光触媒材料間の相互汚染な
どは,あってはならない。
c) 試験片は,5個準備する。

10 試験方法

10.1 一般

  試験方法一般は,次による。
a) 前処理として,試験片の表面にオレイン酸を付着させる。
b) 6.2によって紫外光を照射する。
c) 照射の過程での接触角を測定し,試験片表面でのオレイン酸の分解及び親水性の変化を同時に評価す
る。ただし,この前処理が困難であり,紫外光照射前の初期接触角が20°以上の場合は,前処理を省

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略して限界接触角を求めてもよい。

10.2 試験片の前処理

10.2.1 一般
試験片の前処理は,10.2.2による。この前処理を実施した直後に試験を開始しない場合は,シリコーン
グリースを使わないガラス製密閉容器内に保管する。試験片を取り扱うときは,疎水性物質などからの汚
染を防ぐために,試験片表面に直接触れてはならず,手袋を着用する。手袋は,ポリエチレン製の手袋な
どがよい。
なお,10.2.2の操作を省いた場合は,10.3.3及び10.3.4に追加して,紫外光照射を行わない暗条件での試
験を実施しなければならない。暗条件の試験は,試験片の数を5個とし,紫外光照射を行わないこと以外
は,10.3.3及び10.3.4と同じ手順で行う。暗条件の試験を紫外光照射の試験と同時に行う場合は,進行中
の暗条件におけるn時間後の接触角を求めなくてもよい。
10.2.2 前処理の手順
10.2.2.1 有機物の除去
紫外放射照度計を用いて,試験片面での放射照度が2.0 mW/cm2となるように調整した紫外光照射装置を
用い,試験片に24時間以上の紫外光照射を行う。試験片の表面に汚れが付着している場合など,必要に応
じて,紫外光照射を行う前に水を用いて試験片の表面を洗浄してもよい。
10.2.2.2 オレイン酸の塗布
光触媒材料面に,次のa)又はb)によってオレイン酸を塗布する。
a) 手塗り 光触媒材料面を上にして置き,試験片の光触媒材料面中央付近に200 μLのオレイン酸を滴下
した後,不織布を用いて試験片の中央付近から放射状にオレイン酸が均一となるように塗り広げる。
その後,過剰なオレイン酸を拭き取り,試験片をひょう(秤)量して,オレイン酸の塗布量が100 cm2
当たり2.0 mg±0.2 mgとなるように調製する。
b) ディップ オレイン酸をヘプタンで希釈した体積分率0.5 %の溶液を準備し,試験片をその溶液に沈
め,60 cm/minの速度で引き上げた後,70 ℃で15分間乾燥する。

10.3 水接触角の測定

10.3.1 放射照度の測定及び紫外光照射装置の準備
紫外光照射装置の床面に紫外放射照度計の受光部を据え付け,試験片面での放射照度を測定する。この
とき,放射照度を安定化させるため,紫外光照射装置の光源を15分間以上予備点灯しておく。
放射照度は,紫外光照射装置の調整によって,10.2.2.2 a)の場合は2.0 mW/cm2±0.1 mW/cm2,10.2.2.2 b)
の場合は1.0 mW/cm2±0.1 mW/cm2とする。
10.3.2 初期接触角の測定
初期接触角の測定は,次による。ただし,初期接触角が20°未満の場合は,接触角の低減を判断するこ
とが困難となるため,試験を無効とする。
a) 前処理後のそれぞれの試験片について,各々5か所の接触角を測定する。
b) この各試験片ごとに測定された5点の接触角測定値の算術平均を,各試験片の初期接触角とする。
c) 滴下する水滴の量は,使用する接触角計の仕様書に従い,適切な量で測定を行う。
d) 接触角の測定は,滴下後,3秒間5秒間で行う。
10.3.3 紫外光照射n時間後の接触角の測定
紫外光照射n時間後の接触角の測定は,次による。測定例を,図1に示す。
a) 試験片に紫外光照射を開始した後,適切な照射時間の間隔を空けて,それぞれの試験片について,各々

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5か所の接触角を測定する。
b) この各試験片ごとに測定された5点の接触角測定値の算術平均を,各試験片の紫外光照射n時間後の
接触角とする。
10.3.4 限界接触角の測定
各試験片ごとに,時間的に連続する3回の紫外光照射n時間後の接触角の変動係数を求め,変動係数が
10 %以下となるまで測定する。10 %以下となった場合は,測定を終了し,11.2によって限界接触角を決定
する。
各試験片の紫外光照射n時間後の接触角が,5°以下となった場合には,その時点で測定を終了し,その
ときの接触角測定値を各試験片の“限界接触角”としてもよい。
限界接触角の測定例を,附属書Aに示す。
図1−水接触角の測定例

11 試験結果の計算

11.1 数値の表し方

  接触角の数値は,JIS Z 8401の規則Bによって小数点以下1桁に丸めて表す。

11.2 限界接触角の決定

  限界接触角は,式(1)式(4)によって計算する。
試験片ごとに,時間的に連続する3回の紫外光照射n1,n2,n3時間後の接触角を用いて平均及び標準偏
差を求め,この変動係数が,10 %以下である場合に,それら3回の接触角の算術平均を限界接触角とする。
+
n1 +
n2 n3
x (1)
3
2 2 2
n1 x n2 x n3 x
s (2)
3
s
x≦10% (3)
f x (4)

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ここに, θn1 : 紫外光照射n1時間後の接触角(°)
θn2 : 紫外光照射n2時間後の接触角(°)
θn3 : 紫外光照射n3時間後の接触角(°)
x : 連続する3回のθnの平均(°)
s : 連続する3回のθnの標準偏差(°)
θf : 限界接触角(°)
紫外光照射n時間後の接触角が5°以下となった場合には,“5°以下”とするか,又は,JIS Z 8401の
規則Bによって小数点以下1桁に丸めて,括弧内にその数字を記載する(例参照)。
例 4.1°の場合は,“5°以下”と表記するか,又は,“(4°)”と記載する。

12 試験結果の報告

  試験の結果は,次の項目について報告する。
a) この規格の番号(JIS R 1703-1)
b) 試験年月日
c) 試験室の温度及び相対湿度
d) 試験片の種類,大きさ,材質及び形状
e) 試薬の製造業者名,等級など
f) ブラックライトブルー形紫外線蛍光ランプの製造業者名·形式·ランプ数,及びピーク放射の波長
g) 紫外放射照度計の製造業者名及び形式
h) 接触角測定装置の製造業者名及び形式
i) 有機物の除去方法及び紫外光照射時間
j) オレイン酸の塗布方法
k) 各試験片の初期接触角
l) 各試験片の限界接触角及びそのときの照射時間
m) 暗条件の試験を行った場合は,各試験片の暗条件における限界接触角及びそのときの試験時間
n) 試験依頼者から要求がある場合は,各試験片の紫外光照射n時間後の接触角
o) 試験依頼者から要求がある場合は,各試験片の暗条件におけるn時間後の接触角
p) 試験状況及び試験後の試験片に関しての特記事項
q) 試験条件を変更した場合は,その変更点

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附属書A
(参考)
限界接触角の測定例
A.1 限界接触角の測定例
限界接触角の測定の例を,次に示す。
a) 水接触角の測定 測定結果の一例を,表A.1に示す。
表A.1−測定結果の一例
紫外光 5点の測定値(°) sx 連続する3回の
照射時間 (°) (%) 平均値
1 2 3 4 5
(h) (°)
0 54.8 55.2 60.6 55.9 47.7 54.8 − −
2 55.9 60.3 60.9 59.2 59.4 59.1 − −
4 57.8 60.2 60.9 62.3 59.3 60.1 4.9 58.0
6 57.4 55.7 58.7 54.9 61.3 57.6 2.1 58.9
24 45.5 27.1 14.8 19.8 16.1 24.7 41.6 47.5
28 48.5 34.2 19.7 23.6 35.0 32.2 45.2 38.2
48 12.8 8.3 9.8 10.0 10.8 10.3 49.7 22.4
72 8.3 7.4 8.2 8.8 7.6 8.1 79.0 16.9
74 7.3 8.2 9.8 7.9 7.5 8.1 14.4 8.8
76 9.8 9.7 9.5 8.6 9.3 9.4 8.8 8.5
この結果は,試験片の前処理(オレイン酸の塗布方法)を,“ディップ”で行った場合の例である。
b) 限界接触角の決定 表A.1に示す結果を用いて,11.2によって限界接触角を決定する。
紫外光照射72時間後の接触角,紫外光照射74時間後の接触角及び紫外光照射76時間後の接触角を,
時間的に連続する3回の紫外光照射n1,n2及びn3時間後の接触角とし,式(1)によって連続する3回
の平均xを算出した場合,8.5°となる。同様に,式(2)によって連続する3回の標準偏差sを算出した
場合,0.75°となる。式(3)における連続する3回の変動係数sxは,8.8 %となるため,式(3)の条件を
満たす。したがって,式(4)によって連続する3回の平均であるxが限界接触角 その値は
8.5°である。そのときの照射時間は,76時間である。
: 紫外光照射72時間後の接触角=8.1°(n1=72)
: 紫外光照射74時間後の接触角=8.1°(n2=74)
: 紫外光照射76時間後の接触角=9.4°(n3=76)
x : 上記連続する3回の平均=8.5°
s : 上記連続する3回の標準偏差=0.75°
sx : 上記連続する3回の変動係数=8.8 %
: 限界接触角=8.5°
そのときの照射時間=76時間

――――― [JIS R 1703-1 pdf 10] ―――――

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JIS R 1703-1:2020の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 27448:2009(MOD)

JIS R 1703-1:2020の国際規格 ICS 分類一覧

JIS R 1703-1:2020の関連規格と引用規格一覧