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T 5111 : 2018 (ISO 16954 : 2015)
5.1.4 接種前試験水の調製
1 Lごとの試験水として,1/3力価TSB(5.1.1.5)1.00 mL及び硬度原液1(5.1.2)1.80 mLを水1.00 L(5.1.1.1)
に加え,蒸気滅菌し,調製する。滅菌済溶液を冷却後,1 Lごとの試験水に0.2 μmマイクロフィルタを使
用して滅菌した硬度原液2を4.00 mL加え,調製する。水酸化ナトリウム(5.1.1.6)又は塩酸(5.1.1.7)を
加え,ISO 10523によってpHを測定し,pHを7.08.0に調製する。試験水は,24時間以内に使用するか
又は(5±3)℃で保管し,その保管期間を最大1週間としなければならない。
注記1 調製済試験水の硬度は,カルシウムイオン濃度約1.8 mmol/L[CaCO3(炭酸カルシウム)約
180 mg/Lと同等]とする。この値は,硬水の一般的な許容範囲の上限に相当する [17]。
注記2 試験水の濃度は,TSB約10 mg/Lとし,全有機炭素(TOC)レベルは,約4 mg/Lとするが,
正確なTOCレベルは若干変動する。このTOC近似レベルは,塩素処理飲料水中のTOC推奨
上限値4 mg/Lと一致し [1],バイオフィルム形成時間を短縮する。
5.2 細菌チャレンジ懸濁液
試験水を接種するために使用する細菌チャレンジ懸濁液は,米国培養細胞系統保存機関(ATCC)又は
国際的に認可されたATCCの代理店から入手した次の菌を準備しなければならない。
a) seudomonas aeruginosa[ATCC番号700888,緑のう(膿)菌]
b) lebsiella pneumoniae[ATCC番号13882,肺炎かん(桿)菌]
指定された菌株が入手不可能な場合,Pseudomonas aeruginosa[緑のう(膿)菌]及びKlebsiella pneumoniae
[肺炎かん(桿)菌]の代替株(すなわち,ATCC番号は異なるが同じ菌種)として,ATCCが指定した
分離源が水又は水系のものを使用することができる。
細菌種は,トリプチックソイブロス(TSB培地)で,濃度が0.3 g/Lになるように滅菌済TSBにて希釈
してそれぞれ再構成し,再構成した培養系は,8継代培養以内のものを使用しなければならない。接種済
試験水による細菌の繁殖は,5.3に従い,接触済試験水の準備よりも1日前に実施しなければならない。
上記の細菌を使用して作業する場合,及びこれらによって汚染されてもよい廃棄物を取り扱う場合は,
実験室の適切な安全性の実施要項の遵守は,大変重要である。
5.3 接種済試験水
接種済試験水は,試験期間中に滅菌済試験水(5.1)を再構成した細菌培養系(5.2)で接種し,6.2.2に
規定された作業フロー開始前の2時間以内に調製しなければならない。接種済試験水の各細菌濃度は,5
×101 CFU/mL5×102 CFU/mL,全細菌濃度は,102 CFU/mL103 CFU/mLにする。接種時の滅菌済み試験
水の温度は,(23±3)℃としなければならない。
接種済試験水中の各細菌濃度を確保するために,各再構成済細菌培養を遠心分離機にかけ,滅菌済りん
酸緩衝生理食塩水中に再分散させ,濁度測定によって,その推定細菌濃度を決定するのが実用的である。
この結果を使用すれば,試験水に添加する細菌懸濁液単一種の量を計測できる。また,濃度範囲を特定す
るための他の方法も使用可能である。
6 試験装置
試験装置は,歯科用ユニット一式又は歯科用ユニット給水システムを再現した模擬歯科用ユニット給水
システムで構成しなければならない。
処置水に接触する試験装置の全ての部品は,結果を再現することができるように,バイオフィルムの防
止試験若しくは抑制試験(7.2),又はバイオフィルムの防止試験若しくは抑制試験(7.2)とバイオフィル
ム除去(7.3)との連続試験ごとに新しいものを使用しなければならない。
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注記 バイオフィルム除去(7.3)の試験手順は,7.3.1で示すように,バイオフィルムの防止試験又は
抑制試験(7.2)に使用した試験装置で最初のバイオフィルムを形成した後に実施する。
6.1 試験装置の設計
6.1.1 一般
歯科用ユニット一式の試験装置の場合は,最もバイオフィルムが形成しやすいと想定されるユニット(以
下,不利なモデルという。)又は構成(2種以上のモデル又は構成を製造業者から入手できる場合)を決定
する上で,要素として水管路の長さ,分岐数及び滞留の可能性を考慮しなければならない。
模擬歯科用ユニット給水システムの試験装置の場合は,6.2で示す内容を含んだ歯科用ユニット給水シス
テムの基本的な性能及び機能を模擬可能とする。模擬歯科用ユニット給水システムは,模擬しようとする
歯科用ユニットの最も不利なモデル又は構成(2種以上のモデル又は構成を製造業者から入手できる場合)
を模擬するものとする。
模擬歯科用ユニット給水システムは,設計,構造,構成及び処置水供給システムの水管路の操作を含ん
だ処置水供給システムを正確に再現しなければならない。処置水と直接接触しない,又は処置水を制御し
ないその他の構成品(例えば,構造的,装飾的部品など)を含む必要はない。模擬歯科用ユニット給水シ
ステムの構成品は,再現しようとしている歯科用ユニットの構成品と同じ環境条件(すなわち,照明及び
温度)でなければならない。
模擬歯科用給水システムは,処置水と流入水とを分離するため,JIS T 5702の逆流防止に関する要求事
項に適合するエアギャップシステム又は他の逆流防止機構を,試験装置に使用しなければならない。
模擬歯科用ユニット給水システムで再現する必要のある重要な要素は,次による。
− 水管路の構成(構成品の位置,分岐点の配置,滞留箇所など)
− 配管径
− 配管長
− 配管の材質
− 処置水に接触する,又は流れを制御する構成品(制御ブロック,バルブ,接合部品など)
− 水処理機構(フィルタ,自動又は受動処理システム)の位置
歯科用ユニット又は模擬歯科用ユニット給水システムは,歯科用ハンドピースに通常使用で処置水を供
給するホースを1本,及び多機能(空気又は水)シリンジに通常使用で処置水を供給するホースを最低限
1本含まなければならない。歯科用ユニットに取り付けているその他の器具に通常使用で処置水を供給す
るホースは,歯科用ユニット又は模擬歯科用ユニット給水システムに含むことができる。通常,患者ごと
に滅菌するために歯科用ユニットから取り外すことが可能な歯科用ハンドピース,歯科用器具又はその附
属品は,ホースから取り外して,この試験には使用しない。
例 JIS T 5912:2015の,図A.1のcの接続部
スピットンボウル用洗浄管路は,歯科用ユニットから分離するか,又は模擬歯科用ユニット給水システ
ムからは取り外さなければならない。スピットンボウルのコップ給水管路は,歯科用ユニット又は模擬歯
科用ユニット給水システムに含むことができる。
注記 バイオフィルムの除去,予防及び抑制の点から,他の水管路の方がより厳しい試験環境を形成
するとの推察に基づき,スピットンボウルの水管路は,除外可能である。
6.1.2 抗菌材及び細菌付着防止材特有の配慮
試験を実施する歯科用ユニット又は模擬歯科用ユニット給水システムが,処置水と接触する部分におい
て抗菌性をもった材料又は細菌付着防止材を使用する場合は,次の構造変更を試験装置に施さなければな
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らない。
バイオフィルム形成の防止又は抑制評価用の試験装置は,次による。
− 対照群の試験装置 : 対照群の歯科用ユニット又は模擬歯科用ユニット給水システムの水管路に使用す
る構成品は,抗菌効果又は細菌付着防止効果のない同一基材に交換する。
− 試験群の試験装置 : 試験群の歯科用ユニット又は模擬歯科用ユニット給水システムの水管路に使用す
る構成品は,(該当する場合)抗菌材又は細菌付着防止材を含むものとする。
バイオフィルム除去評価用試験装置は,次による。
− 試験群の試験装置 : 試験群の歯科用ユニット又は模擬歯科用ユニット給水システムの水管路に使用す
る構成品は,抗菌効果又は細菌付着防止効果のない同一基材に交換する。これは,バイオフィルムの
除去能力を評価する上で不可欠である。
注記1 バイオフィルム形成の防止又は抑制試験に使用した対照群の試験装置は,この試験の試験群
として使用することが可能である。
注記2 バイオフィルム形成の防止又は抑制効果を評価する必要がない場合は,抗菌効果又は細菌付
着防止効果のない同一基材に交換することを必要としないが,バイオフィルム生成過程が必
要である。
6.2 試験装置の操作
6.2.1 流量
ハンドピース処置水の流量は,(30±3)mL/minに,多機能シリンジの水の流量は,(60±6)mL/minに
調整しなければならない。
試験装置に処置水管路から供給する水を使用する器具又は機器を含む場合,これらの流量を製造業者の
推奨に従って調整しなければならない。
全ての流量は,試験前に設定し,試験期間中,週に一度確認し,必要であれば調整しなければならない。
6.2.2 流れのパターン(オンオフサイクル)
試験装置水管路は,週に5日間連続で運転し,2日間連続で休止しなければならない。運転期間中は,
接種済試験水を5.3によって,新たに調製し,試験装置内水管路の水の流れは,次のプログラムに従い,
30サイクルによってなる日々の自動プログラムで制御しなければならない。
− ハンドピース処置水は,1サイクル当たり30秒間運転しなければならない。二つ以上のハンドピース
処置水給水管路がある場合,各サイクル中は一つの処置水管路だけを運転し,選択したハンドピース
処置水管路は,1日のフロープログラムを通してほぼ均等に運転するように,サイクルごとに順次入
れ替える。
− シリンジ水は,サイクルごとに30秒間運転しなければならない。二つ以上のシリンジがある場合は,
各サイクル中は1本のシリンジだけを運転し,選択したシリンジは,1日のフロープログラムを通し
てほぼ等しく運転するように,サイクルごとに順次入れ替える。
− サイクルごとに,9分間の水が流れない時間を設ける。
試験装置にその他のハンドピース及びシリンジが含まれる場合は,それぞれの目的とする臨床使用に見
合った方法で,1日のフロープログラムにその操作を含めなければならない。
6.2.3 試験の環境温度及び準備期間
環境温度は,(23±3)℃を維持し,全ての装置は,試験開始の少なくとも24時間前にこの温度範囲内に
て調整しなければならない。
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7 試験方法
7.1 試験手順
試験は,次の手順による。
a) バイオフィルムの防止又は抑制の評価試験は,7.2による。
b) バイオフィルムの除去の評価試験は,7.3による。
注記 7.2の完了時に形成したバイオフィルム付き対照群の試験装置を,7.3において試験群の試験装
置として使用するこの手順によって,試験装置数及び試験工数を減らしている。
7.2 バイオフィルムの防止又は抑制
7.2.1 一般
図1に,歯科用水管路内でのバイオフィルム形成を防止又は抑制することを意図した処理方法を評価す
る試験方法の手順を示す。
試験群
製造業者の指示によ 接種済試験水への同時 微生物学的 結果の分析
る試験装置の前処理 暴露及び サンプリング及び
バイオフィルム防止又は 試験
(7.2.2) 抑制の処理 (7.2.4) (7.2.6)
(7.2.3)
対照群
製造業者の指示によ 接種済試験水への 微生物学的 結果の分析
る試験装置の前処理 暴露 サンプリング及び
試験
(7.2.2) (7.2.3) (7.2.4) (7.2.6)
図1−バイオフィルム防止又は抑制の評価試験のフロー図
バイオフィルムの形成には固有の変動があるため,試験は,異なる歯科用ユニット又は模擬歯科用ユニ
ット給水システムで再現させなければならない。バイオフィルムの防止及び抑制の試験には,少なくとも
2台の歯科用ユニット又は模擬歯科用ユニット給水システムを,試験群,対照群それぞれに含まなければ
ならない。
7.2.2 試験装置の前処理
試験装置は,歯科用ユニットの製造業者の指示によって,試験前に前処理を実施しなければならない。
例 歯科用ユニットの設置後に使用開始前の消毒処置を製造業者が指定する場合は,この試験前に消
毒処置を実施する。
7.2.3 接種済試験水への同時暴露及びバイオフィルムの防止又は抑制のための処理
試験群には,5.3で指定した接種済試験水を供給するとともに,製造業者の指示に沿った処理方法を歯科
ユニット又は模擬歯科用ユニット給水システムに実施しなければならない。対照群には,接種済試験水を
歯科用ユニット又は模擬歯科用ユニット給水システムに供給しなければならないが,処理は実施しない。
全ての歯科用ユニット又は模擬歯科用ユニット給水システムは,6.2に従い,操作し,接種済試験水は,
自動化された1日のフロープログラムが始まる2時間前以内に準備しなければならない。試験装置に供給
する接種済試験水の微生物学的サンプリング及び試験は,8.1によって,少なくとも週1回,試験装置へ
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の供給前に実施しなければならない。
7.2.4 微生物学的サンプリング及び試験
試験群及び対照群両方の歯科用ユニット又は模擬歯科用ユニット給水システムでの微生物学的サンプリ
ングと試験とは,処理方法の効果を判断するために,8.1及び8.2によって実施しなければならない。8.1
による総生菌数カウントのサンプリング及び試験は,全ての歯科用ユニット又は模擬歯科用ユニット給水
システムにおいて,試験期間中に少なくとも週に一度実施しなければならない。微生物学的試験のための
サンプルを収集するときには,試験装置の全ての水管路を浄化するための十分な量の滅菌済試験水(接種
なし)を試験装置に供給し,サンプリングの前に5分間,水管路内に滞留させなければならない。8.2に
よる給水チューブのサンプリング及びバイオフィルム形成の特徴付けは,少なくとも一度,全ての歯科用
ユニット又は模擬歯科用ユニット給水システムにおいて,試験の最後に実施しなければならない。
7.2.5 試験期間
試験は,次の基準を満たすまで,7.2.3及び7.2.4によって継続しなければならない。
− 最低4週間,試験を実施する。
− 接種済試験水の代わりに滅菌済試験水を一時的に供給し,サンプリング前に5分間水管路内に滅菌済
試験水を滞留させた後に接種済試験水を使用して通常の試験方法を再開したときの,対照群の全ての
試験装置の処置排水で,総生菌数カウントが104 CFU/mL以上存在する。
− バイオフィルムの存在が,対照群の全ての歯科用ユニット又は模擬歯科用ユニット給水システムのチ
ューブサンプル数に,8.2による“相当量密集した微生物及び/又はバイオフィルムが存在する。”と
いう分類で確認できる。
上記基準を満たした後に,速やかに7.3に従い,バイオフィルム除去の評価試験を実施しなければなら
ない。この細分箇条に規定した,対照群の接種済試験水への暴露を行う日常手順は,7.3に従った試験を
実施するまで継続しなければならない。
7.2.6 結果の分析
バイオフィルムの防止又は抑制する処理方法の効果は,次の項目を報告し,特徴付けを実施しなければ
ならない。
− 8.1に従った,試験期間の週単位ごとの試験群及び対照群における処置水中の総生菌数カウントの対数
値(平均,標準偏差及び反復数)
− 試験期間中の,水管路出口の種類ごとの試験群及び対照群の総生菌数カウントの平均対数値の差
− 試験期間の最後に試験群及び対照群の総生菌数カウントの結果を対数変換し,有意確率P<0.05を使
用した両側検定の統計分析を実施して比較した結果
− 試験期間の最後に実施する8.2に従った試験群及び対照群でサンプル収集した各水管路のバイオフィ
ルム被覆率の比較
7.3 バイオフィルム除去
7.3.1 一般
図2に,歯科用水管路内でのバイオフィルムの除去を意図した処理方法を評価する試験方法の手順を示
す。
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