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附属書A
(参考)
破壊じん(靱)性
A.1 一般
破壊じん(靱)性は,材料に固有の性質であり,破壊じん(靱)性を用いて,欠陥の大きさ及び数に影
響されやすい強さなどの他の物性を予測できるので,重要である。したがって,破壊じん(靱)性値は,
構造用のセラミックス間の比較に用いるのに有用である。破壊じん(靱)性値を求める方法は数多くあり,
それらの方法を実施するときの難易度は,様々である。
この規格では,ISO 23146又は代替規格に規定され,A.2にその簡便法を示す“単一エッジVノッチビ
ーム”(SEVNB)法を推奨する。この方法は,標準化のために国際的な評価が行われていて,使い勝手が
よく,容易で,信頼性があり,正確であるとみなされている([1]参照)。
ISO 23146によれば,SEVNB法は,インターラボラトリ試験[11]において,大半の参加機関で,かみそ
り(剃刀)研ぎ出し法では鋭利なVノッチ先端半径を形成することができなかったことから,1 μm未満
の粒子径からなる微細粒状材料の破壊じん(靱)性の測定に用いないほうがよいと記載されている。Vノ
ッチの鈍磨性のために,破壊じん(靱)性の大多数のデータは真の値を超えて過大評価になっている[11]。
また,ISO 23146の箇条1で,イットリア安定化正方晶ジルコニア多結晶体について,鋭利なVノッチ先
端半径を形成することが困難であるため,この方法を用いないほうがよいと記載されている。
ISO TC 206に従って,代替法として,予亀裂導入破壊試験法(SEPB法,ISO 15732),曲げにおける表
面亀裂法(SCF法,ISO 18756)及びシェブロンノッチビーム法(CNB法,ISO 24370)によって破壊じん
(靱)性を評価してもよい。SEPB法,CNB法及びSCF法は,イットリア安定化正方晶ジルコニア多結晶
体に対して用いることができる。これらの方法はそれぞれ利点及び欠点があり,高精度で正確な結果を得
るには多少の経験が必要である。
破壊じん(靱)性は,圧痕の亀裂長さに基づく方法[例えば,ビッカース圧痕の角から発生した表面亀
裂の長さに基づいてじん(靱)性を評価する方法。]で評価してはならない。
A.2 単一エッジVノッチビーム法
A.2.1 機器
A.2.1.1 平行平面をもつ棒状試験片作製用装置
焼成又は機械加工した後,研削・研磨して,棒状試験片を作製するもの。
A.2.1.2 切込み器具
棒状試験片の一平面に,切り込むためのダイヤモンド器具。
A.2.1.3 片刃のかみそり(剃刀)及びダイヤモンド研磨ペースト
Vノッチの形成用。
A.2.1.4 4点曲げ試験用のジグ
7.3.2.1.2による。
A.2.2 試験片の作製
A.2.2.1 寸法及び形状
棒状試験片5本を用いる。試験片は,長方形断面をもち,図2に示す寸法とする。曲げ強さ試験で規定
――――― [JIS T 6526 pdf 16] ―――――
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するりょう(稜)の面取りは必須ではなく,行わなくてもよい。
試験片の寸法
厚さ w=4.0±0.2 mm
幅 b=3.0±0.2 mm
試験片の長さは,試験に用いる支点間距離より2 mm以上長くなければならない。この試験片は,曲げ
強さ試験片と90°異なる方向で,すなわち,試験機の支持棒の中央位置に試験片を載せて,3 mm厚さの
面の上,試験片の長軸に垂直な方向に荷重を加えて試験する。
A.2.2.2 切込み及びVノッチの形成
試験片5本並びに切り込み中及びVノッチ形成中に試験片を保護するために用いるダミー試験片2本を,
できるだけ互いに密着させて,切込み器具で均一に切込みを入れられる平らなホルダに取り付ける。切込
みを形成する3 mm幅の面(破壊試験中,この面に張力が働く。)を上へ向ける。切込みの方向付けのため
に,試験片長の中心を結んで中心線を引く(図A.1参照)。
単位 mm
中心線
ダミー試験片
1
3 2
3
4
5
ダミー試験片
図A.1−試験片の準備
Vノッチを形成するかみそり(剃刀)がうまく導かれるように,切込み器具のダイヤモンドブレードを
用いる。試験片上の中心線に沿って,約0.5 mmの深さまで切込みを形成する。切り込み後,Vノッチ形
成に先立って,切込み部の切りくず(屑)を除くために洗浄する(図A.2参照)。
――――― [JIS T 6526 pdf 17] ―――――
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単位 mm
ダイヤモンドホイール
試験片ホルダ
図A.2−切込みの形成(中央部断面図)
洗浄後,最大粒径が36 μmのダイヤモンド研磨ペーストで切込みを満たす。切込みの中にかみそり(剃
刀)を入れ,軽い力(510 N)を加えて,できるだけ真っすぐにゆっくりと前後運動させてVノッチを
形成する。光学顕微鏡を用いて,Vノッチの両端の深さが同じか調べる。最終のVノッチの深さは,均一
で,かつ,0.81.2 mmでなければならない。最終のVノッチの深さは,図A.3に示すようにa−c>bと
最初の深さよりも深くなければならない。試験片をホルダから取り外し,アセトンで超音波洗浄し,十分
に乾燥する(例えば,110 ℃で1時間加熱する。)。
a) ノッチ幅径及び角度測定部位 b) SO 23146によるVノッチ底部の形状
a 0.8 mm以上1.2 mmまで
b 約0.5 mm
c かみそり(剃刀)の幅径,a−bβ 約30度(°)又はできるだけ小さくする。
S Vノッチ幅径
図A.3−Vノッチ形状の概略形態
――――― [JIS T 6526 pdf 18] ―――――
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a) 容認例
b) ノッチの偏心例
c) ノッチ形成 d) 鈍磨した
不足例 Vノッチ例
図A.4−Vノッチ形状の実例
ISO 23146(6.5)に規定されるSEVNB法
試験のため,1組5本の中から2本の試験片を選択する。選択した各試験片の1辺に存在するVノッチ
の写真を約50xの倍率で撮影するが,Vノッチ先端の解像度が低い場合はより高い倍率を用いる。写真を
利用してVノッチ形状の適否を評価する(図A.4参照)。図A.3に示される形状からのかい(乖)離を記
録する。
同じ試験片のVノッチの先端部の写真を約300xの倍率で撮影する。図A.3によって,Vノッチ角度及
び幅径を測定する。Vノッチ角度β及び幅径Sを記録する。
Vノッチ幅径Sは,試験材料の平均粒径の2倍値と同じ程度又はより小さくなければならない。試験材
料の粒径を問わず,Vノッチ幅径が20 μmを超えるものは許容できない。
注記1 平均粒径は,参考文献[7]及び[10]に記載されているように,直線外挿法を用いて求めること
ができる。
注記2 試料をホルダから取り外す前に,最も外側にある試験片に作製されたVノッチの幅径につい
て,容認の適否を決定することは有用である。これによって,Vノッチ幅径が過大な場合,
その整形工程を継続することを可能にする。
A.2.2.3 手順
7.3.2.1.2に規定した4点曲げ試験又は3点曲げ試験のジグを用いて,試験片の破壊じん(靱)性を試験
する。
最小表示値が0.001 mm以上を測定できるマイクロメータを用いて,幅(b)及び厚さ(w)を測定し,
記録する。Vノッチの深さを倍率50倍以上の顕微鏡を用いて測定し,有効数字3桁以上で,深さa1,a2
及びa3を読み取る(図A.5参照)。
Vノッチをもつ3 mm幅の面を下に向けて置く。室温で,クロスヘッド速度0.5 mm/minで試験片に荷重
を加える。有効数字3桁以上で破壊荷重を記録する。Vノッチ全長にわたって,破壊がVノッチの底から
始まっていることを確認する(そうでない場合には,その試験は,無効である。)(図A.3参照)。
破壊表面において,破壊の発生以前に,Vノッチ底部での安定亀裂伸展が存在した証拠を確認する。安
定亀裂伸展が発生し,かつ,測定可能である場合は,次の式にその値を含める。破壊の直前に,何らかの
非線形挙動が生じたかについて確認するため,破壊試験から得られた荷重(変位又は荷重)時間記録を調
査する。非線形性が検出された場合,切欠け部での予亀裂の遅延亀裂成長伸展が生じた可能性の兆候であ
――――― [JIS T 6526 pdf 19] ―――――
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る。
b
破断面
w
a1 a2 a3
図A.5−Vノッチ深さの測定
A.2.2.4 破壊じん(靱)性の計算
破壊じん(靱)性の計算は,次による。
a) 各試験片について,平均値(a)及び相対Vノッチ深さ(α)を,式(A.1)及び式(A.3)から求める。相
対Vノッチ深さは,0.2と0.3との間で,Vノッチ深さのばらつきは,式(A.2)を満足しなければなら
ない。
a1 a2 a3
a (A.1)
3
amax amin
≦ 1.0 (A.2)
a
a
(A.3)
w
ここに, a : Vノッチ深さの平均(m)
amax : a1,a2及びa3のうちの最大値(m)
amin : a1,a2及びa3のうちの最小値(m)
α : 相対Vノッチ深さ
b) 各試験片について,破壊じん(靱)性(KIc)を,次の式によって算出する。
F S1 S2 3
KIc 5.1
b w w 21
注記1 3点曲げ試験では,S2=0とする。
4点曲げでは,参考文献[1],[5]及び[10]を用いる。
4点曲げでは,次のYを用いる。
2
.349 .068 .135 1
Y .1988 7 .1326
1
3点曲げでは,この式は試験片の厚さに対する支点間距離S1の比に依存する。
S1/w=10の場合,参考文献[1],[5]及び[10]を用いる。
Y=1.947 2−5.024 7α+11.895 4α2−18.063 5α3+14.598 6α4−4.689 6α5
――――― [JIS T 6526 pdf 20] ―――――
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JIS T 6526:2018の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 6872:2015(MOD)
JIS T 6526:2018の国際規格 ICS 分類一覧
JIS T 6526:2018の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISK1351:1993
- 酢酸
- JISK1351:2007
- 酢酸
- JISR6253:2006
- 耐水研磨紙
- JIST0993-1:2020
- 医療機器の生物学的評価―第1部:リスクマネジメントプロセスにおける評価及び試験
- JIST6001:2012
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