JIS T 7329:2008 医療用洗浄滅菌器 | ページ 2

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3.16
真空脱気式滅菌器
チャンバ内及び被滅菌物内の滅菌温度上昇を阻害する残留空気を,滅菌工程前に真空装置によって強制
的に吸引排除する装置。パルス脱気式を含む。
3.17
制御設定温度
選定された滅菌作用(暴露)温度付近の所要の範囲にチャンバの温度が維持されるよう,滅菌器制御シ
ステムの動作基準として機能する任意の温度。
3.18
精度
測定結果の正確さ及び精密さを含めた,測定量の真の値との一致の度合い(JIS Z 8103参照)。
3.19
積算式
滅菌温度設定点に到達した時点で作動する滅菌タイマが,滅菌温度が正常に推移したとき,加算又は減
算して滅菌時間を測定する方法。
3.20
洗浄
必要な場合は処理用化学物質を用いるか,又はそれを用いないで水を用いて清浄にすべき表面から付着
した汚染物質を除去する運転サイクル。
3.21
チャレンジテストパック
滅菌される物品を想定して定められたテストパック。運転サイクルの性能の有効性を評価するために用
いられる。
3.22
チャンバ
滅菌器の一部をなし,内部で物品が洗浄滅菌処理され,扉若しくはふたの閉鎖によって周囲環境から遮
断される空間,又は被洗浄滅菌物を収納し洗浄滅菌処理するための空間を形成する容器2)。片扉式と両扉
式とがある。
3.23
D値
所定の設定条件において,特定の微生物集団を1対数(90 %)低減するのに必要な作用(暴露)時間。
3.24
電磁両立性(EMC)
装置又はシステムの存在する環境において,許容できないような電磁妨害をいかなるものに対しても与
えず,かつ,その電磁環境において満足に機能するための装置又はシステムの能力。
3.25
特定保守管理医療機器
医療機器のうち,保守点検,修理その他の管理に専門的な知識及び技能を必要とすることからその適正
な管理が行われなければ疾病の診断,治療又は予防に重大な影響を与えるおそれがある機器。これらの機
器は,厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて指定する。

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3.26
ハーフサイクル法
既知のD値及び菌数(例えば106個)のバイオロジカルインジケータが,すべて死滅する最小時間の2
倍の時間で滅菌処理する方法。
3.27
ハンドル
チャンバの扉又はふたの開閉及び/又はロック・アンロックを行うための手動装置。また,この用語は
滅菌器に使用される蒸気又は水の流れを制御するための操作部にも適用される。
3.28
バイオロジカルインジケータ(生物学的指標)
運転サイクルに一定の抵抗を示す微生物,及びその微生物を含む使用準備のできた一次包装内の接種担
体。
3.29
負荷
運転サイクルに供される物品又はそれを模したもの(IEC 61010-2-040参照)。
3.30
飽和蒸気
凝縮と蒸発の間で平衡状態にある水蒸気(飽和状態にある水蒸気。)。
3.31
保持時間
負荷のあらゆる部分の温度が滅菌温度域内に保持される時間。
注記 平衡時間の直後に始まる。保持時間の長さは,滅菌温度に関係している。
3.32
ボウィー・ディックテスト
被滅菌物内の空気が排除され,水蒸気が被滅菌物内に確実に浸透することを監視する試験。試験には規
定された条件の下,専用のテストパック及びテストシートが使用される。
3.33
無菌性保証レベル(以下,SALという。)
滅菌後の物品に生存可能な微生物が存在している確率。
注記 SALは通常,10−nと表現する。SALが10−6の場合,滅菌された1物品が(生存可能な微生物1
個に)汚染されている確率は100万分の1以下である。
3.34
滅菌
物品を生育可能な微生物が存在しない状態にするために用いる,バリデーションを受けた運転サイクル。
注記 運転サイクルでは,微生物の不活性化作用の本質は指数関数で表現する。したがって,あらゆ
る物品上の生育可能な微生物の存在は,確率を用いて表現できる。この確率は非常に低い数ま
で減少させることができるが,ゼロまで減少させることは不可能である(3.33参照)。
3.35
滅菌温度
保持時間において達成・維持される温度。

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3.36
滅菌タイマ
選定された滅菌条件下に滅菌器を維持しておく時間を制御する,機械的又は電気的装置。

4 設計上の要求事項

4.1 洗浄滅菌器の設計,構造,部品及び附属品

4.1.1  機械的安全性
機械的安全は,JIS C 1010-1及びIEC 61010-2-040によって設計及び製造しなければならない。
なお,圧力容器2) に関する要求事項は,圧力容器構造規格1) によるものでなければならない。
4.1.1.1 安全弁又は安全装置
安全弁又は安全装置は,圧力容器構造規格1) に適合する性能をもつものでなければならない。
4.1.2 電気的安全性
洗浄滅菌器の電気的安全性は,JIS C 1010-1及びIEC 61010-2-040によって設計及び製造し,EMCにつ
いては,JIS C 1806-1に従わなければならない。
4.1.3 耐腐食性
4.1.3.1 チャンバの内表面
洗浄滅菌器のチャンバの内面及び扉又はふたのチャンバ内側は,耐腐食性をもつ材質で製作しなければ
ならない。圧力容器2)に該当する場合は,圧力容器構造規格1)の規格によらなければならない。
4.1.3.2 収納用附属品
チャンバに収納される附属品である被洗浄滅菌物収納用棚及びその他の附属品は,洗浄又は滅菌処理さ
れる物品及び材質,並びに水及び蒸気に対して,耐腐食性の特質をもつ材質で製造しなければならない。
4.1.4 エアフィルタ
洗浄滅菌器が外気による真空破壊を必要とする場合,エアフィルタ(粒径0.3 μmの粒子の除去率が
99.97 %以上)を設置しなければならない。
4.1.5 給蒸装置
蒸気発生器をもつ構造の洗浄滅菌器は,滅菌工程中に補水によって滅菌温度が低下してはならない。
4.1.6 自動制御装置
自動制御装置は,次による。
a) 自動制御の範囲 運転サイクルのすべての工程を連続的に制御できるものとする。
b) 運転表示装置 洗浄滅菌器の運転状況及び完了を明示する表示装置を,操作者の見やすい位置に取り
付ける。
4.1.7 脚又は固定部
洗浄滅菌器は必要に応じて,次のような脚又は固定部をもつものとする。
− 滑りにくい材料でできた脚。
− 移動用車輪をもつものは半数以上の車輪を固定できるか,又は別に固定装置を設ける。
− 常時建造物に固定する必要のある洗浄滅菌器は,ボルトで固定するためのアンカボルト穴などの固定
手段。

4.2 洗浄滅菌器の安全性

4.2.1  インターロック
洗浄滅菌器は,通常の動作条件においてチャンバの扉又はふたがロックされていないときに水又は水蒸

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気がチャンバ内に侵入できないように設計されたインターロック機構を備えなければならない。
洗浄滅菌器は,チャンバ内の残留圧力が外部の圧力と等しいとき及びチャンバ内に水がない状態でなけ
れば,その扉又はふたを開けることのできない構造としなければならない。
注記 この要求事項は,工程を完了するため電源障害発生時も動作するように設計された自動洗浄滅
菌器を適用外とするものではない。
4.2.2 熱傷害の防止
通常稼動時に操作者が用いる放射棒,ハンドル及びこれと類似の接触可能なものすべてにおいて,その
温度はJIS C 1010-1及びIEC 61010-2-040に適合しなければならない。
4.2.3 運転サイクルの中止制御
動作中のサイクルを安全に中止又は終了をするための手段若しくは緊急操作部を操作者が容易に利用で
きるようにしなければならない。
4.2.4 騒音
騒音は,5.2.4によって試験したとき,75 dB(A)以下でなければならない。

4.3 工程モニタリング・制御装置

  洗浄滅菌器は,チャンバの温度を表示する手段を備えなければならない。
チャンバの温度をディジタル記録若しくはアナログ記録するための手段,又はその手段への接続が提供
されることが望ましい。また,必要な場合は圧力を表示する手段及び記録するための手段,又はその手段
への接続を備えなければならない。
温度については,その表示及び/又は記録と運転サイクル制御システムとが独立していることが望まし
い。
4.3.1 チャンバ内の温度
4.3.1.1 温度のモニタリング及び記録
洗浄滅菌器はチャンバ内の温度を表示する手段,及びチャンバ内の温度をディジタル若しくはアナログ
記録するための手段をもつか,又はその手段への接続が提供されることが望ましい。
4.3.1.2 温度センサの位置
運転制御に用いる温度センサは,滅菌中チャンバ内で最も低い温度を示す位置に取り付けなければなら
ない。
4.3.1.3 温度測定の精度
温度表示器の精度は,通常用いる滅菌温度の±5 ℃の範囲において,±2.5 ℃以内でなければならない。
4.3.1.4 温度測定の分解能
温度測定の分解能は,通常用いる滅菌温度の±5 ℃の範囲において,ディジタル計測器では1 ℃以内で
なければならない。アナログ計測器で5 ℃以内に目盛られていなければならない。
4.3.1.5 洗浄滅菌器の滅菌時の温度制御
設定した滅菌温度の,04 ℃の範囲にチャンバ内の温度が入らなければならない。
4.3.1.6 温度測定用装置
洗浄滅菌器は,4.3.1.5を確認するための適切な数の温度センサをチャンバ内へ導入するためのソケット
を装備するか,又は適切な方法でチャンバ内の温度を測定する方法を準備しなければならない(この方法
の例としては,温度データロガーなどによるチャンバ内温度測定装置がある。)。
4.3.2 滅菌タイマ
滅菌タイマは,滅菌温度制御器と連動し,チャンバ内の滅菌温度が設定値に達したとき又は設定幅内に

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あるとき,作動する構造でなければならない。また,チャンバ内温度が制御設定温度を下回った時点で,
操作者に警告しなければならない。5.3.2の試験を行ったとき,各々の滅菌時間制御方式に合わせ,次に適
合しなければならない。
a) 積算式は,チャンバ内の温度が滅菌温度設定値によって所定温度より低下している間は,タイマを停
止又はリセットさせ,設定値に復帰したときに再スタートし,所定の時間経過後に滅菌工程を終了す
る。時間の設定誤差は,±1 %以内とする。
b) 演算制御方式は,チャンバ内温度及びその保持時間の変化を滅菌中常時検出し,マイクロコンピュー
タなどによってその値を演算し積分を行う。演算値が設定値と同等,又は積算値が無菌性保証レベル
に達したとき,滅菌を終了しなければならない。
c) 下限積算滅菌温度は115 ℃以上とし,下限積算滅菌温度を下回ったときは,タイマは停止しなければ
ならない。演算値の設計上の積算誤差は,マイナスであってはならない。
4.3.3 洗浄タイマ
洗浄タイマは,チャンバ内の水位,水温などについて製造業者が定める所定の条件に達したときに作動
し,設定時間経過後に洗浄工程を終了しなければならない。時間の設定誤差は,±5 %以内とする。
4.3.4 圧力表示器
4.3.4.1 チャンバ内圧力計
チャンバ用の圧力計又は連成計は,JIS B 7505に適合するもの又はこれと同等以上の性能をもつものと
し,操作者の見やすい位置に取り付ける。目盛板には,最高使用圧力を示す赤マークを表示する。
圧力容器2) に該当する場合には,圧力容器構造規格1)によらなければならない。
なお,両扉又は両ふた式の場合は,洗浄滅菌器の両面に取り付ける。
4.3.4.2 ジャケット圧力計
ジャケット用の圧力計又は連成計は,JIS B 7505に適合するもの又はこれと同等以上の性能をもつもの
とし,操作者の見やすい位置に取り付ける。目盛板には,最高使用圧力を示す赤マークを表示する。
圧力容器2)に該当する場合は,圧力容器構造規格1)によらなければならない。
なお,両扉又は両ふた式の場合は,ジャケット用圧力計を主操作側に備える。
4.3.5 運転記録
4.3.5.1 ディジタルプリンタの記録
ディジタルプリンタ付きの場合は,各々のサイクルの洗浄滅菌器出力文書として次の情報を記載しなけ
ればならない。
a) そのサイクルで選定したパラメータ。
b) サイクルスタート時の日付及び時間。
c) サイクルナンバ及び洗浄滅菌器の機番(ID番号)。
d) 指定された工程ごとの経過時間及びそのときの温度及び圧力。
e) トータルサイクル時間。
さらに,サイクルロットナンバ又はインジケータの記録用に空欄を用意する。選択されたサイクルパラ
メータとサイクルプログラムの作動するパラメータとに偏差が生じた場合は,それらの発生中にエラー又
はその他の表示をし,その発生時刻を記録することが望ましい。
4.3.5.2 アナログ式記録計の記録
アナログ式記録計付きの場合は,少なくともチャンバ内温度を記録しなければならない。
さらに,チャンバ内圧力及びサイクルスタート時の日付と時刻を記録できることが望ましい。

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