JIS T 8125-3:2009 手持ちチェーンソー使用者のための防護服―第3部:履物試験方法 | ページ 2

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6.1.2.2 模擬下たい(腿)部
模擬下たい部は,円形断面の直径50±1 mmの広葉樹材又は類似の材料の表面を,JIS K 6400-2によっ
て試験したときの圧縮応力値(Sv40)が75±10 kPaであり,厚さ14±2 mm,比重50±2 kg/m3のエチレン
酢酸ビニル共重合体からなる軟質発泡材料で被覆したものとする。その長さは,700 mm以上でなければ
ならない(図2参照)。
単位 mm
図2−模擬下たい部
6.1.3 履物充てん用材料
履物充てん用材料は,次によって構成される。
− 直径約7 mmの乾燥エンドウ豆又は乾燥大豆
− 2±0.1 kgの粒状鉛又は類似のものを含む袋

6.2 試験手順

6.2.1  概要
キャリブレーション手順は,JIS T 8125-1の7.1による。ただし,キャリブレーション後は,次の事項を
変更する。
a) チェーンソー装置は,JIS T 8125-1の5.3.4に規定した配置とするが,その負荷は,30±0.5 Nでなけ
ればならない。
b) 接触点からスプロケットの中心までの水平距離は,300±2 mmでなければならない。
注記 JIS T 8125-1の図3を参照。JIS T 8125-1の5.3.4(ソーユニット取付器具)に従うと,試料
に加わる力が15 Nとなるので,スプロケットの中心から接触点までの水平距離を上記のよう
に変更することが必要である。
切断試験は,図3に示されている位置で左右の履物の両足に対し,次の箇所で実施する。
− つま革の左側(ポジション1)
− 甲部(ポジション2)
− 脚の前面(ポジション3)
− 先しんの左側(ポジション4)(先しんをもつ履物に限る)
履物に取り付けている締め具の切断は,正しい結果が得られなくなるので,いかなる場合でも避ける。

――――― [JIS T 8125-3 pdf 6] ―――――

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これが不可能な場合は,締め具も含めて切断した旨を試験報告書に記録するのが望ましい。
それぞれ全試験についてどのサンプルにも1回だけ切断を行って合計六つの切断(先しんのないもの)
又は八つの切断[先しんのあるもの(6.2.5参照)]を行う。
この規格の切断試験は,次の各チェーン速度とする。
− クラス1 : 20 m/秒
− クラス2 : 24 m/秒
− クラス3 : 28 m/秒
− クラス4 : 32 m/秒
各試験の後に,試験片のカットスルーの有無をチェックして,その結果を試験報告書に記載する。
単位 mm
14 ポジション番号 : 切断試験位置
図3−切断試験の位置
6.2.2 つま革部の切断
つま革部の切断試験においては,次の方法で履物をベースにしっかりと固定し,切断する。
a) 履物の底は,自然の形を変えることなく,かかとと前足部との両方がベースに接触している。
b) ベースは,その後,履物の右側が最も低く試験装置の支点に最も近くなるように,水平に対して30°
±2°傾ける(図4参照)。
なお,案内板は,履物(切断箇所)に対して90°±3°の角度とする。
c) 足部すべてと脚の少なくとも半分とを充てんするために十分な乾燥エンドウ豆又は乾燥大豆(6.1.3)
を履物の中に注入する。次に,粒状鉛の袋を詰めてエンドウ豆又は大豆が動かないようにする(6.1.3)。
d) ポジション1(すなわち,履物の左側で,先しんの裏の方向に15±5 mm)として図3に示す位置で切
断試験を行う。

――――― [JIS T 8125-3 pdf 7] ―――――

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1 手持ちチェーンソー
2 ベース
3 案内板
図4−先しんの左側(ポジション1又はポジション4)の試験位置
6.2.3 甲部の切断
甲部の切断は,6.2.2に規定しているように履物をベースにしっかりと固定する。
そのベースは,履物のかかとが最も低くなるように水平に対して45°±2°傾斜する。また,案内板は,
履物(切断箇所)に対して90°±3°の角度とする(図5参照)。履物の右側は,支点(ソーユニット全体を
回転させる中心点)の最も近くになければならない。
ポジション2として図3に示す位置で切断試験を行う。
1 手持ちチェーンソー
2 ベース
図5−甲部(ポジション2)の試験位置

――――― [JIS T 8125-3 pdf 8] ―――――

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6.2.4 脚部の切断
脚部の切断は,履物の脚が何らかの締め具(例えば,靴ひも,革ひもなど)を用いて取り付けられてい
る場合,編上げ靴のサイジングボディ(5.1.1)の周りにこれらをしっかり留める。履物からサイジングボ
ディを取り外す。
固定する必要があれば,チェーンソー防護材料のどの部分にも損傷を与えたり機能を損ねることがない
ように,かかとを含む表皮側部分をできるだけ少なく切除してもよい。それによって防護材料が影響を受
けた場合は,それを試験報告書に明記する。切除によって生じた履物の損傷がチェーンソー防護材料の機
能に影響を与えないようにして,模擬下たい部(6.1.2.2)上に履物の脚を取り付ける。損傷が起こった場
合は,これを試験報告書に明記する。
履物を模擬下たい部に両面テープなどでしっかり固定する。履物の左側で固定するのが望ましい。試験
方法の一例を,図6に示すが,代替方法を用いてもよい。その後,50±1 N/mの伸長荷重をかける。次に,
履物の脚の前面が最上部にあり,履物の中央の面が垂直で,試験装置の案内板に対して90°±2°の角度に
模擬下たい部を置く[図6のa)参照]。
履物の左側は,支点の反対側でなければならない。その形を変形することなく,また,いかなる締め具
[例えば,フック,アイレット(小穴)など]も避けるように注意しながら,かかと中央の中底上表面(イ
ンソック)から150±30 mmの距離のところで,脚のラインに対して90°±3°の角度で切断試験を行う[図
6のb)参照]。

――――― [JIS T 8125-3 pdf 9] ―――――

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a) 側面図
b) 正面図
1 手持ちチェーンソー
2 案内板
3 模擬下たい部
4 脚のライン(履物の正面から見てほぼセンターの仮想のライン)
図6−脚の前面(ポジション3)の試験位置
6.2.5 先しんの付いた履物に対する追加の切断
先しんの付いた履物の場合,先しんがチェーンソーによる切断に耐えられることを確認するために追加
の切断を行う。6.2.2に規定しているように左及び右の履物にベース一つずつ取り付けて,図3のポジショ
ン4に示す位置で6.2.2と同様に切断試験を行う。

7 試験報告書

  試験報告書には,次の事項を記載する。
− 試料の特定,例えば,製造業者,形,デザイン,サイズなど
− 各試験部分の切断についての試験結果
− チェーン速度及びそのクラス

――――― [JIS T 8125-3 pdf 10] ―――――

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JIS T 8125-3:2009の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 11393-3:1999(MOD)

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