JIS T 9267:2020 福祉用具―歩行補助具―多脚つえ | ページ 4

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T 9267 : 2020
附属書JA
(参考)
設計における配慮事項
JA.1 福祉用具に関連して起こる可能性があるハザード及び関連する要因の例
福祉用具に関連して起こる可能性があるハザード及び関連する要因の例を示す。ただし,全てを網羅し
ているわけではなく,ハザード及び要因を特定する手助けとなる。
a) 可動部分(介助者,子供などが手,足,指などを挟み込む構造の存在)に関する危険性
例 高さ調節機能のあるつえのスライド部又は固定部近傍に指を置いた場合に挟まれてけがをしな
いか。
b) 接触アレルギー誘発性などに関する危険性
例 適切な表示がされているか。
c) 他の機器と併用される場合の不適合性
例 ベッドからの移乗を行う場合に問題はないか。
d) 廃棄物及び/又は福祉用具の廃棄による汚染
例 ごみとして燃やす場合などに有毒な物質を排出しないか。
e) 不適切な操作説明,例えば,
1) 複雑すぎる操作説明
2) 使いにくい,分かりにくい取扱説明書
例 専門用語を不必要に使っていないか。
f) 合理的に予見できる誤使用
例 前後又は左右を逆にして使った場合にも問題はないか。
g) 製品の寿命に関する適切な情報提供
例 一部の部品が他に比べて製品寿命が短いなどの場合
JA.2 多様なユーザに対する人間工学的検討項目
高齢者,障害者などの身体機能の低下によって多様なニーズをもつユーザに対する人間工学的検討項目
の例を示す。ただし,全てを網羅しているわけではなく,項目を特定する手助けとなる。
注記 JIS Z 8071の箇条7(人間の能力及び特性)などが参考となる。
a) 動作能力の低下,筋力の低下及び体力の低下による意図しない動き
例 自動車運転における道路標識認識の反応時間は19歳29歳に対し60歳以上は3倍以上(1.5
秒3.8秒)であった[1]。
b) 機器の操作力の低下
例 押す力は30歳代に対して60歳代はその約70 %であった[2]。
注記 JIS T 9241-2では,手指による操作は5 N,手又は腕による操作は105 N,足による操作は300
N,回転(ノブ)による操作は1.9 Nm以下としている。
c) 認知症を含む使用者の知的能力の低下及び短期記憶能力の低下した使用者による使用
例 短期記憶に関わる単語の再生は,20歳29歳では約14語であるのに対し,60歳以上では約7
語であった[3]。

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d) 平衡を保ち転倒を避ける能力の低下した使用者による使用
例 閉眼における立位時の動揺軌跡は,20歳代に対し60歳代ではその約1.23倍であった [4]。
e) 色知覚能力の低下,視力の低下,聴覚機能の低下,触覚感度の低下などによる不十分な情報取得
例 近距離での生活視力は,35歳44歳が約1.05に対して65歳74歳では約0.53であった [5]。
注記 JIS S 0032,JIS S 0033,JIS S 0052などが参考となる。
参考文献
[1] 独立行政法人産業技術総合研究所·人間福祉医工学研究部門編 人間計測ハンドブック,P.770-771,
2003年9月,朝倉書店
[2] 独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE 平成13-14年度人間特性計測データ)
[3] 佐藤方彦 監修 : 人間工学基準数値数式便覧,第1版3刷,P.169,1999年3月,技報堂出版
[4] 佐藤方彦 監修 : 人間工学基準数値数式便覧,第1版3刷,P.97,1999年3月,技報堂出版
[5] 独立行政法人産業技術総合研究所·人間福祉医工学研究部門編 : 人間計測ハンドブック,P.444,2003
年9月,朝倉書店
JIS T 9241-2 移動·移乗支援用リフト−第2部 : 移動式リフト
JIS Z 8071 規格におけるアクセシビリティ配慮のための指針
EN BS 12182:1999,Technical aids for disabled persons−General requirements and test methods
JIS S 0032 高齢者·障害者配慮設計指針−視覚表示物−日本語文字の最小可読文字サイズ推定方法
JIS S 0033 高齢者·障害者配慮設計指針−視覚表示物−年齢を考慮した基本色領域に基づく色の組合せ
方法
JIS S 0052 高齢者·障害者配慮設計指針−触覚情報−触知図形の基本設計方法

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附属書JB
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(参考)
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JISと対応国際規格との対比表
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JIS T 9267:2020 福祉用具−歩行補助具−多脚つえ ISO 11334-4:1999,Walking aids manipulated by one arm−Requirements and test
methods−Part 4: Walking sticks with three or more legs
(I) JISの規定 (II) (III)国際規格の規定 (V) JISと国際規格との技術的差
(IV) JISと国際規格との技術的差異の箇条ごと
国際 の評価及びその内容 異の理由及び今後の対策
規格
箇条番号 内容 箇条 内容 箇条ごと 技術的差異の内容
番号
及び題名 番号 の評価
1 適用範囲 わき下若しくは前腕で 1 わき下又は前腕で支持す変更 国際規格の見直しの際,提案を行
可動部をもつつえは機能·性能が異
支持するつえ,又は可 るつえを除く。 なることからこれらも除く。 う。
動部(ユニバーサルジ
ョイントなど)をもつ
つえは除く。
2 引用規格
3 用語及び 3.3 アナトミックハン 3 − 追加 ISO規格には記載がない。 国際規格の見直しの際,提案を行
定義 ドグリップ う。
− 3.10 telescoping members 削除 差込み部細部の名称をJISに追加。 −
明確化を目的とするもので,技術的
差異はない。
3.12 最大使用者体重 3.12 user weight 変更 本文では許容最大体重を示すため −
製造業者が設定する, body mass of the person に使用されているため,明確化のた
つえ使用対象者の許容 using the product as a めに修正した。技術的差異はない。
最大体重。 technical aid
3.13 シャフト − 追加 多脚つえの例の細部の名称を追加。 −
明確化を目的とするもので,技術的
差異はない。
3.14 ハンドグリップ − 追加 試験方法の明確化を目的とするも 国際規格の見直しの際,提案を行
荷重参照点 ので,技術的差異はない。 う。
3.15 つえ高さ調整具 − 追加 同上 −
3.16 つえ高さ調整穴 − 追加 同上 −
3.17 分離脚 − 追加 同上 −

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(I) JISの規定 (II) (III)国際規格の規定 (V) JISと国際規格との技術的差
(IV) JISと国際規格との技術的差異の箇条ごと
国際 の評価及びその内容 異の理由及び今後の対策
規格
箇条番号 内容 箇条 内容 箇条ごと 技術的差異の内容
番号
及び題名 番号 の評価
3 用語及び 3.18 荷重当具 − 追加 国際規格の見直しの際,提案を行
試験に使用する道具の名称を追加。
定義(続き) この当具の使用を本文で選択的に う。
規定した。
3.19 転倒角度 − 追加 安定性試験の用語を追加。 国際規格の見直しの際,提案を行
う。
4 リスクマ 製品の設計に際してリ − − 追加 ISO規格には規定がない。 国際規格の見直しの際,提案を行
ネジメント スク分析を行い,リス う。
による設計 クマネジメントを行
う。
残留リスクは取扱説明
書などに記載。
5 外観,材 5.1 外観 4 4.5 Finish 一致 − −
料及び構造 5.2 材料 たわ(撓)み, − 追加 ISO規格には規定がない。 国際規格の見直しの際,提案を行
防せい(錆)性の規定。 う。
5.3 構造 a) グリップ 4.1 Handgrip 変更 ISO規格には(長さ)規定がない。 国際規格の見直しの際,提案を行
の最低長さを規定。 う。
5.3 構造 b) 4.1 Handgrip 一致 − −
− 削除
4.2 Leg section and tips 安全性の観点から規定の必要がな
脚端部の径 い。
5.3 構造 c) 4.3 Adjusting devices 変更 分かりやすい記述に変更した。技術 −
的差異はない。
5.3 構造 d) 4.3 Adjusting devices 一致 − −
5.3 構造 e) 4.3 Adjusting devices 変更 分かりやすい記述に変更した。技術 −
的差異はない。
− 削除
4.3 Adjusting devices シ − リスクマネジメントによって対応
ャフトの最下部における が可能であると考え,国際規格の
床面からの距離(120 mm 見直しの際,削除提案を行う。
T9
以上)
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6

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T9
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(I) JISの規定 (II) (III)国際規格の規定 (V) JISと国際規格との技術的差
(IV) JISと国際規格との技術的差異の箇条ごと
2
国際 の評価及びその内容 異の理由及び今後の対策
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規格
: 2
箇条番号 内容 箇条 内容 箇条ごと 技術的差異の内容
番号
0
及び題名 番号 の評価
20
5 外観,材 − 4.4 Materials リサイク削除 − リサイクル材料の耐久性は,耐久
料及び構造 ル材料の耐久性 性試験で確認することが検討可
(続き) 能。国際規格の見直しの際,バー
ジン材の使用に関する規格を削除
することが合意されている。
− 4.4 Materials 生体適合削除 − リスクマネジメントとして参考規
性 定とできるか,今後の検討課題と
する。
− 削除
4.5 Finish 皮膚及び衣服 − 評価の一般化が困難であることを
への着色 考慮して,国際規格の見直しの際,
削除提案を行う。
6 性能 表1 安定性 変更
4.6 Stability 内側安定性 ISO規格の安定性要求性能値が実 国際規格の見直しの際,提案を行
試験の実施と転倒角度 2度以上を要求 う。
状にそぐわないこと及び(適切な)
の表示·公表の実施と 外側安定性5度(3脚の場 安定性のための転倒限界角度の設
を規定。ただし,いず 合),7.5度(4脚以上の場 定が困難であることから,各々のつ
れか一方向での測定転 合)以上を要求 えの転倒角度の表示·公表を要求事
倒角度が0.5度以上で 項とした。
あることを要求。
表1 静的強度 一致
4.2 Leg section and tips − −
4.7 Mechanical strength
and durability
表1 分離脚強度及び接 − − 追加 − 実使用調査で通常歩行プロセスに
合·分離部強度 おいて,一部の分離脚だけを接地
する動作があることが確認された
ため,各分離脚の強度試験を追加
した。国際規格の見直しの際,提
案を行う。

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JIS T 9267:2020の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 11334-4:1999(MOD)

JIS T 9267:2020の国際規格 ICS 分類一覧

JIS T 9267:2020の関連規格と引用規格一覧

規格番号
規格名称
JIST0102:2011
福祉関連機器用語[支援機器部門]