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5 計測種別の決定
ファンクションポイント計測の最初の作業は,ファンクションポイント計測の種別を決定することにあ
る。
5.1 ファンクションポイント計測種別の定義
ファンクションポイント計測には,プロジェクト又はアプリケーションのいずれかが関係する。それら
には,次の三つがある。
− 開発プロジェクト ファンクションポイント
− 機能改良プロジェクト ファンクションポイント
− アプリケーション ファンクションポイント
5.1.15.1.3で,ファンクションポイント計測の各種別を定義する。
5.1.1 開発プロジェクト ファンクションポイント
開発プロジェクト ファンクションポイントは,開発プロジェクトが完了したときに納入されたソフトウ
ェアの最初の導入時に,利用者に提供される機能の計測値である。
5.1.2 機能改良プロジェクト ファンクションポイント
機能改良プロジェクト ファンクションポイントは,既存のアプリケーションに対する,開発プロジェク
トが完了したときに納入された利用者機能に追加,修正又は削除を行う改良の計測値である。
機能改良プロジェクトによる変更機能を導入するときに,アプリケーションのファンクションポイント
は,機能の変更を反映するために更新されなければならない。
5.1.3 アプリケーション ファンクションポイント
アプリケーション ファンクションポイント及びプロジェクト ファンクションポイントは,導入された
アプリケーションと関連が付いている。その値は,ベースライン ファンクションポイント又は導入ファン
クションポイントとしても参照されている。この値は,アプリケーションが利用者に提供する最新の機能
の計測値を示す。この値は,開発プロジェクトにおけるファンクションポイントが決まったときに初期値
とされる。機能改良プロジェクトが完了してアプリケーションの機能が変更される都度,この計測値は更
新される。
5.2 計測の種別の作業手順図
ファンクションポイント計測の種別及びそれらの関係を,図3に示す(プロジェクトAが最初に完了し,
続いてプロジェクトBの順になる。)。
――――― [JIS X 0142 pdf 21] ―――――
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見積り値 最終計測値 初期値設定
プロジェクトAとしての プロジェクトAとしての
開発プロジェクト 開発プロジェクト
ファンクションポイント プロジェク ファンクションポイント
トの完了
アプリケーション
ファンクションポ
イント
見積り値 最終計測値
プロジェクトBとしての プロジェクトBとしての
機能改良プロジェクト 機能改良プロジェクト
ファンクションポイント プロジェク ファンクションポイント 更新
トの完了
図3−計測種別
5.2.1 見積り値及び最終計測値
開発の初期段階でのファンクションポイント計測が納入する機能の見積りであることを自覚することが
重要になる。加えて,範囲が明らかになり,機能が開発されるにつれて,当初の仕様書には示されていな
い追加機能が明確になることはごく当たり前のことである。この現象を,要求の自然増(scope creep,scope
gallop)などということがある。
開発の完了時にアプリケーション ファンクションポイントを更新することが最も重要になる。開発中に
機能を変更する場合,開発の完了時でのファンクションポイント計測は,利用者に納入した全機能を正確
に反映していることが望ましい。
6 計測範囲及びアプリケーション境界の識別
ここでは,計測の目的,計測範囲及びアプリケーション境界を定義する。アプリケーション境界の決定
及び計測範囲の明確化のための規則,作業手順及び留意点を示す。
6.1 計測範囲及びアプリケーション境界の決定
ここでは,計測範囲及びアプリケーション境界を定義し,計測の目的がそれらに与える影響について説
明する。
6.1.1 計測の目的の定義
ファンクションポイント計測は,業務課題への解決策を提供することを目的とする。
計測は,次のことを目的とする。
− ファンクションポイント計測の種別及び開発中の業務課題への解決策を得るために必要とされる計測
範囲を決定する。
− 計測対象のソフトウェアと関連するソフトウェアとの間の境界決定に影響を与える。
例えば,人事情報システムの人事情報モジュールをパッケージソフトウェアに置き換える場合,利
用者は境界を再設定してもよいし,人事情報モジュールを関係のないアプリケーションと考えてもよ
い。
――――― [JIS X 0142 pdf 22] ―――――
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計測の目的の例を次に示す。
− アプリケーションの最初のリリース版の開発工数を決めるために,見積り工程の入力として,ファン
クションポイントを提供する。
− アプリケーションの導入された基本部分のファンクションポイントを提供する。
− 二つの異なった供給者のパッケージソフトウェアによって納入される機能の比較を可能とするための
ファンクションポイントを提供する。
6.1.2 計測範囲の定義
計測範囲は,特定のファンクションポイントに含まれる機能を次のように決定する。
− 計測範囲は,計測対象のソフトウェアを決定する。
− 計測範囲は,ファンクションポイントの計測の目的によって決定される。
− 計測範囲は,計測目的に関係のある解を提供するために,ファンクションポイントにどの機能が含ま
れるかを識別する。
− 計測範囲は,二つ以上のアプリケーションを含む可能性がある。
計測種別ごとの計測範囲を次に示す。
− 機能改良プロジェクト ファンクションポイント
追加,変更又は削除されるすべての機能を含む。影響を受けるアプリケーション境界は,機能改良
の前後で,変わらない。アプリケーションの機能は,追加,変更又は削除される機能の影響を反映す
る。
− 開発プロジェクト ファンクションポイント
プロジェクト活動で影響を受ける(構築される又はカスタマイズされる)全機能を含む。
− アプリケーション ファンクションポイント
利用目的(例えば,ソフトウェアの解決策としてパッケージソフトウェアを提供する。)によって異
なり,次のような例がある。
− 利用者によって利用される機能だけ
− 納入される全機能
この二つの計測のアプリケーション境界は同じであり,計測範囲とは独立している。
6.1.3 アプリケーション境界の定義
アプリケーション境界は,測定対象ソフトウェアと利用者との間の境界を示す。
− アプリケーション境界は,アプリケーションの外部を定義する。
− アプリケーション境界は,アプリケーションの内部と外部である利用者との間の概念的な境界をいう。
− アプリケーション境界は,トランザクション(EI,EO及びEQ)によって処理されるデータをアプリ
ケーションの内部又は外部に移動させる“細胞膜”として作用する。
− アプリケーション境界は,アプリケーション(ILF)によって維持管理される論理データを含む。
− アプリケーション境界は,このアプリケーションによって参照されるが維持管理されない論理データ
を識別する助けとなる。
− アプリケーション境界は,アプリケーションに関する利用者の業務上の視点に依存し,技術的な観点
及び/又は実装上の観点に依存しない。
例えば,図4は,人事情報システムと外部のアプリケーション(為替システム及び固定資産管理システ
ム)との間の境界を示している。さらに,利用者と人事情報システムとの間の境界も示している。
――――― [JIS X 0142 pdf 23] ―――――
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利用者
為替システム
人事情報システム
(計測対象プロジェクト)
固定資産
管理システム
図4−アプリケーション境界
6.2 計測範囲及びアプリケーション境界に関する規則及び手順
ここでは,計測範囲及びアプリケーション境界を決めるときに適用する規則及び手順について示す。
アプリケーション境界の位置は,ファンクションポイント計測の結果に影響を与える重要な事項である。
アプリケーション境界は,計測範囲に含まれるアプリケーションに入力するデータを識別するために役立
つ。
6.2.1 アプリケーション境界に関する規則
アプリケーション境界には,次の規則を適用しなければならない。
− アプリケーション境界は,利用者の視点に基づいて決め,利用者が理解及び表現できるものに焦点を
当てる。
− 関連したアプリケーション間の境界は,技術的な観点ではなく利用者側から見た別々の機能領域に基
づく。
− アプリケーション又は機能改良対象のアプリケーションに対して設定された最初のアプリケーション
境界は,計測範囲の影響を受けない。
注記1 計測範囲の中に二つ以上のアプリケーションを含んでもよい。その場合には,複数のアプリ
ケーション境界を設定する。
注記2 要求分析の初期段階のようにアプリケーション境界が明確に定義できない場合,可能な限り,
アプリケーション境界を設定することが望ましい。
6.2.2 計測範囲及びアプリケーション境界に関する作業手順
――――― [JIS X 0142 pdf 24] ―――――
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手順 作業内容
1 計測の目的を決定する。
2 計測範囲を識別する。
3 アプリケーション境界を識別する。
4 次の項目を文書化する。
− 計測の目的
− 計測範囲
− アプリケーション境界
− 上記に関連するすべての前提
6.3 計測範囲及びアプリケーション境界を識別するための留意点
6.3.1 計測範囲
計測範囲の識別に役立つ留意点を次に示す。
− 計測範囲の決定のため,ファンクションポイント計測目的をレビューする。
− 導入されたベースライン ファンクションポイント計測の範囲(すなわち,保守チームによって維持管
理されている機能)を識別する場合,現在提供され,利用者に利用されている全機能を含める。
6.3.2 アプリケーション境界
アプリケーション境界の識別に役立つ留意点を次に示す。
− システムの外部仕様書を使用するか,又はシステムフロー図を手に入れるかして,アプリケーション
の内部及び外部を明示するためシステムの周りに境界線を引く。
− データのグループがどのように維持管理されているかを調査する。
− ある種別の分析対象(例えば,実体又は要素処理)の所有者を機能領域に割り付けることによって機
能領域を明確にする。
− 工数,費用,欠陥などの関連した測定データを調査する。ファンクションポイント及び他の測定デー
タの境界は同じであることが望ましい。
6.3.3 留意点
開発中のソフトウェアと他のアプリケーションとの間のアプリケーション境界の設定は,主観的になっ
てもよい。一つのアプリケーションがいつ終了して,次のアプリケーションがいつ開始するかを正確に説
明することは,困難な場合が多い。技術的観点又は物理的観点ではなく,業務上の観点からアプリケーシ
ョン境界を設定する。アプリケーション境界を出入りするすべてのデータは,潜在的に計測範囲に含まれ
るので,アプリケーション境界は,注意して設定することが重要になる。
7 データファンクションの計測
データファンクションは,アプリケーション境界の内部又は外部のデータに対する要件を満たすために
利用者に提供される機能を表す。データファンクションには,内部論理ファイル(ILF)及び外部インタフ
ェースファイル(EIF)の二つがある。
ここでのファイルという用語は,従来のデータ処理で用いられる意味とは異なる。データファンクショ
ンにおけるファイルとは,論理的に関連するひとまとまりのデータのグループであり,物理的に実装され
たグループのひとまとまりではない。
ここでは,ILF及びEIFの定義を含み,これらのファンクション型に関連する計測の作業手順及び規則
について記述する。
――――― [JIS X 0142 pdf 25] ―――――
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JIS X 0142:2010の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO/IEC 20926:2003(MOD)