JIS X 0142:2010 ソフトウェア技術―機能規模測定―IFPUG機能規模測定手法(IFPUG4.1版未調整ファンクションポイント)計測マニュアル | ページ 6

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7.1 ILF及びEIFの定義

  ここでは,ILF及びEIFを定義する。これらの定義で使用する用語も定義する。必要に応じて事例を示
している。
7.1.1 ILF(内部論理ファイル)
計測対象のアプリケーション境界の内部で維持管理される,論理的に関連のあるデータ又は制御情報の
利用者視点のグループ。ILFは,計測対象のアプリケーション境界の内部にある一つ以上の要素処理によ
って維持管理されるデータを保持することを主目的とする。
7.1.2 EIF(外部インタフェースファイル)
計測対象アプリケーションによって参照される,論理的に関連のあるデータ又は制御情報の利用者視点
のグループ。ただし,維持管理は他のアプリケーション境界の内部で行われる。EIFは,計測対象のアプ
リケーション境界の内部にある一つ以上の要素処理によって参照されるデータを保持することを主目的と
する。このことは,あるアプリケーションで計測されるEIFは,他のアプリケーションにおいてILFでな
ければならないことを意味している。
7.1.3 ILFとEIFとの違い
ILFとEIFとの基本的な違いは,EIFが計測対象のアプリケーションによって維持管理されないことに対
し,ILFが維持管理されることにある。
7.1.4 ILF及びEIFの定義で使用している用語の定義
ここでは,ILF及びEIFの定義で使用する用語の定義を行う。
7.1.4.1 制御情報
計測対象アプリケーションの要素処理に影響を及ぼすデータ。対象となるデータ,処理時期及び/又は
処理方法を指定する。
例 給与課の担当者は,事業所ごとに社員にいつ給与の支払をするかという支払計画を立てるために
支払サイクルを決める。支払のサイクル,又は支払計画は,給与支払の要素処理をいつ起動する
かに影響を与えるタイミング情報を含んでいる。
7.1.4.2 利用者視点
利用者及びソフトウェア開発者の両者で合意し,理解したプロセス及び/又はデータのグループに対す
る定義された要件。
例 利用者及び開発者は,人事情報システムによって社員情報を維持管理し,記憶することに合意す
る。
7.1.4.3 維持管理された
要素処理によってデータが追加,更新又は削除されている状態。
例 追加,変更,削除,増加,修正,更新,割当て,作成などがあるが,これに限定しない。
7.1.4.4 要素処理
利用者にとって意味のある業務活動の最小単位。
例1 利用者がシステムに新しい社員を追加する機能を要求する場合の例を示す。利用者が定義する
社員の個人データには,給与情報及び扶養家族情報を含む。利用者の観点からすると,業務活
動の最小単位は,新入社員を追加することである。給与情報又は扶養家族情報のような情報の
一部の追加は,要素処理とみなせる業務活動ではない。
要素処理は,自己完結していなければならない。さらに,計測対象のシステムの業務を矛盾のない状態
にするものでなければならない。

――――― [JIS X 0142 pdf 26] ―――――

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例2 社員の追加という利用者要件は,給与情報及び扶養家族情報の設定を含む。社員情報のすべて
を追加しないうちは,社員情報は生成されない。情報の一部だけの追加では,社員を追加する
という業務は,矛盾のない状態になっていない。社員の給与情報及び扶養家族情報の両方を追
加すると,この一連の業務は完了し,業務は矛盾のない状態となる。

7.2 ILF及びEIFの計測規則

  ここでは,ILF及びEIFを計測するときに適用する規則を定義する。
7.2.1 計測手順の概要
ここでは,ILF及びEIFの計測手順に関連する規則を要約する。
注記 計測手順の詳細は,7.3で示す。
ILF及びEIFの計測手順では,次の二つの作業を実施しなければならない。
手順 作業内容
1 ILF及びEIFを識別する。
2 ILF又はEIFの複雑さ及び未調整ファンクションポイントに対する寄与を決定する。
それぞれの作業のために,ILF計測規則及びEIF計測規則を使用する。計測規則には,次の二つの種類
がある。
a) 識別規則
b) 複雑さ及び寄与の規則
次の順番で規則を説明する。
1) LF識別規則
2) IF識別規則
3) 複雑さ及び寄与の規則,これには次の種別がある。
− DET
− RET
7.2.2 ILF識別規則
ILFの識別は,ILFの定義を満たすデータ又は制御情報のグループを探し出すことにある。
情報をILFとして計測するためには,次の識別規則のすべてが適用できなければならない。
− データ又は制御情報のグループは,論理的で利用者視点によるものである。
− データのグループは,計測対象のアプリケーション境界の内部で,要素処理によって維持管理される。
7.2.3 EIF識別規則
EIFの識別は,EIFの定義を満たすデータ又は制御情報のグループを探し出すことにある。
情報をEIFとして計測するためには,次の識別規則のすべてが適用できなければならない。
− データ又は制御情報のグループは,論理的で利用者視点によるものである。
− データのグループは,計測対象アプリケーションの外部にあって参照される。
− データのグループは,計測対象アプリケーションによって維持管理されない。
− EIFとして識別したデータのグループは,他のアプリケーションのILFとして維持管理される。
7.2.4 複雑さ及び寄与の定義及び規則
ILF,EIF及びそれらの相対的なファンクションの複雑さの数によって,未調整ファンクションポイント
に対するデータファンクションの寄与が決まる。
ILF又はEIFに関連したDET及びRETの数に基づいて,識別したそれぞれのILF又はEIFのファンク
ションの複雑さを割り当てる。

――――― [JIS X 0142 pdf 27] ―――――

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ここでは,DET及びRETを定義し,それぞれの計測規則を規定している。
7.2.4.1 DETの定義
利用者視点に基づき,重複も繰返しもない,論理的データの最小単位。
7.2.4.2 DET計測規則
DETの計測には,次の規則を適用する。
− 要素処理の実行によって,ILF若しくはEIFを維持管理しているか,又はILF若しくはEIFから参照
される,一意で繰返しのない利用者視点のデータ項目を1DETとして計測する。
例1 複数の項目に保存される口座番号は,1DETと計測する。
例2 監査のために維持管理される10項目のグループについての処理の前後で,処理前のグループ
(全10項目)で1DET,処理後のグループ(全10項目)で1DET,合計2DETと計測する。
例3 顧客注文に対して消費税を計算して,ILFで維持管理するような,要素処理での計算結果は,
顧客注文ILFで1DETと計測する。
例4 利用者の要求がある場合に,請求書作成ファイルに保存される商品の単価又は時刻刻印のよ
うなデータ項目は,DETとして計測する。
例5 社員レコードのキー及び扶養家族レコードの外部キーとして,ILF又はEIFで社員番号が2
度現れる場合は,DETとして一度だけ計測する。
例6 ILF又はEIFにおいて,12か月の月次予算額は,1DETと計測する。これに加えて,適用可
能な月を識別するためのデータ項目を1DETと計測する。
− 二つのアプリケーションが,同一のILF又はEIFを維持管理及び/又は参照し,かつ,各々が異なっ
たDETを維持管理又は参照するとき,各々のアプリケーションが使用するDETだけを計測する。
例7 アプリケーションAは,住所を郵便番号,都道府県名及び市区町村名として識別し使用する。
アプリケーションBは,住所を別々の構成要素とみなさずに,データのひとかたまりとして
みなす。このとき,アプリケーションAでは3DETと計測し,アプリケーションBでは1DET
と計測する。
例8 アプリケーションXは,郵便番号,都道府県名,市区町村名,保険者番号,社員氏名及び指
定郵便配送先を含むILFを維持管理及び/又は参照する。アプリケーションZは,都道府県
名,市区町村名及び社員氏名を維持管理及び/又は参照する。アプリケーションXでは6DET
と計測し,アプリケーションZでは3DETと計測する。
− 他のILF又はEIFとの関係を定めるために利用者が要求したデータ項目は,1DETとして計測する。
例9 人事情報システムでは,社員情報はILFで維持管理される。社員情報の一部には社員の担当
業務名称を含む。この業務名称は,社員と社内の業務とを結び付けるために必要とされる項
目であり,DETとして計測する。この種別のデータ項目は,外部キーとして参照される。
例10 オブジェクト指向(OO)アプリケーションでは,利用者は,別々のILFとして識別される複
数のオブジェクトクラスの間の関係を必要とする。事業所名は,事業所情報EIFのDETであ
る。社員情報を処理するときに,事業所名は必要になる。したがって,社員情報ILFでも事
業所名をDETとして計測する。
7.2.4.3 RETの定義
ILF内又はEIF内にあるデータ要素の利用者視点に基づくサブグループ。
このサブグループには,次の二つがある。
− 任意サブグループ

――――― [JIS X 0142 pdf 28] ―――――

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− 必す(須)サブグループ
任意サブグループは,データインスタンスを追加又は生成する要素処理では,使用しなくてもよい。
必す(須)サブグループは,データインスタンスを生成する要素処理では,少なくとも一つは使用しな
ければならない。
例 人事情報システムでは,共通情報を入力することによって社員情報を追加する。共通情報に加え
て,社員情報には正社員又は非正社員を区別する情報がある。
利用者は,社員が正社員であるか,非正社員であるかを決める。どちらの社員にも扶養家族情
報がある。この例では,次に示すように三つのサブグループ又はRETがある。
− 正社員[必す(須)] : 共通情報を含む。
− 非正社員[必す(須)] : 共通情報を含む。
− 扶養家族(任意)
7.2.4.4 RET計測規則
RETの計測では,次の規則のいずれかを適用する。
− ILF又はEIFの必す(須)サブグループ又は任意サブグループのそれぞれをRETとして計測する。
− サブグループがない場合は,ILF又はEIFを1RETと計測する。

7.3 ILF及びEIFの計測手順

  ここでは,ILF及びEIFの計測手順を詳細に記述する。
7.3.1 識別及び計測手順
次の手順に従って,ILF及びEIFを識別する。
手順 作業内容 適用規則
1 ILFの識別 ILF識別規則
2 EIFの識別 EIF識別規則
3 複雑さ及び寄与の決定 複雑さ及び寄与の計測手順
7.3.2 複雑さ及び寄与の計測手順
次の手順に従って,未調整ファンクションポイントに対するILFの複雑さ及び寄与並びにEIFの複雑さ
及び寄与を計算する。

――――― [JIS X 0142 pdf 29] ―――――

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手順 作業内容
1 複雑さ及び寄与の定義及び規則を使用して,RET及びDETを識別し,計測する。
2 次の複雑さ表に従って,機能の複雑さを判定する。
119 DET 2050 DET 51 DET以上
1 RET 低 低 中
25 RET 低 中 高
6 RET以上 中 高 高
3 ILF又はEIFをそれぞれの変換表を使用して,未調整ファンクションポイントに変換する。
ILF変換表 : 次の表に従って,ILFを未調整ファンクションポイントに変換する。
複雑さ判定 未調整ファンクションポイント
低 7
中 10
高 15
EIF変換表 : 次の表に従って,EIFを未調整ファンクションポイントに変換する。
複雑さ判定 未調整ファンクションポイント
低 5
中 7
高 10
例 複雑さの判定が高のEIFの未調整ファンクションポイントは,10に変換する。
4 未調整ファンクションポイントに対するILF及びEIFのそれぞれの寄与を計算する。
例 高と判定されたILFの複雑さが一つ,中と判定されたEIFの複雑さが二つ及び高と判定さ
れたEIFの複雑さが一つあるときの計測例を次に示す。
ファンクション型 ファンクションの複雑さ 複雑さの合計 ファンクション型の合計
ILF 0 低 × 7 = 0
0 中 × 10 = 0
1 高 × 15 = 15 15
EIF 0 低 × 5 = 0
2 中 × 7 = 14
1 高 × 10 = 10 24
この簡単な例では,複雑さが低又は中と判定されたILFはないので,ILFの寄与の合計値は15となる。
EIFの複雑さは,複雑さ低がなく,複雑さ中が二つで14,複雑さ高が一つで10となり,合計値は24とな
る。
ILF及びEIFの寄与は,すべてのファンクション型について集計する表に加える。すべてのファンクシ
ョン型についての最終合計値が,未調整ファンクションポイントとなる。

7.4 計測上の留意点

  次の計測上の留意点は,ILF及びEIFの識別規則を適用するときに参考にしてもよい。
注意 計測上の留意点は,計測規則ではないので,規則として使用しないことが望ましい。

――――― [JIS X 0142 pdf 30] ―――――

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  • ISO/IEC 20926:2003(MOD)

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