JIS X 0145-4:2010 情報技術―プロセスアセスメント―第4部:プロセス改善及びプロセス能力判定のための利用の手引 | ページ 2

4
X 0145-4 : 2010 (ISO/IEC 15504-4 : 2004)
め,製品若しくはサービスのため,又はその他の事業上の要求事項のために,組織のプロセ
スを活用することを含めてもよい。
注記3 JIS X 0145-3に規定しているように,組織の標準プロセスのレビューは一般に,組織で実行
したプロセスのプロセスアセスメントに続いて実施する。
注記4 プロセス能力判定は,戦略的,組織的,財務的,人員及び他の多くの要因を含むリスクのす
べての側面を取り上げていない。プロセス能力判定の出力は,組織のリスク管理プロセスへ
取り込む。ただし,それは,5.5に概説するように,プロセス関連リスクに関してだけである。

4.6 プロセスアセスメント出力

  適合プロセスアセスメントの出力は,プロセスプロファイル集合を含んでいる。プロセスプロファイル
は,JIS X 0145-2に示すように,規定したプロセス参照モデルから選択した各プロセスに対して割り当て
られたプロセス属性評定値を表現している。
プロセス参照モデルとしてJIS X 0160を用いたプロセスプロファイル集合の例は,図1に示すようなも
ので提供できる。プロセス(F.1.3.1など)は,JIS X 0160からのもので,プロセス属性(PA 1.1など)及
び評定“十分達成している”は,JIS X 0145-2の中で定義している。
プロセス プロセス属性
実施 管理された 確立された 予測可能な 最適化している
された
PA 1.1 PA 2.1 PA 2.2 PA 3.1 PA 3.2 PA 4.1 PA 4.2 PA 5.1 PA 5.2
F.1.3.1 要件引出し F F L
F.1.3.3 システム方式設計 F F F F L L L
F.2.2 構成管理プロセス F P L F L
F.3.1.5 リスク管理 P N N N N
F.1.1.2 供給者の選択 L L L L L
凡例(JIS X 0145-2の定義と同じ)
評定していない 十分達成してい おおむね達成し
F L
る ている
部分的に達成し 達成していない
P N
ている
図1−プロセスプロファイル集合のアセスメント出力例
この規格で示す手引は,適合プロセスアセスメントの出力に適用することを意図している。

――――― [JIS X 0145-4 pdf 6] ―――――

                                                                                              5
X 0145-4 : 2010 (ISO/IEC 15504-4 : 2004)

5 プロセスアセスメントの利用

5.1 一般

  ここではプロセス改善及びプロセス能力判定の両者に共通する事項についての手引を提供する。

5.2 プロセス参照モデルの選択

  プロセス改善及びプロセス能力判定の両者において,依頼者は適切なプロセス参照モデルを選択するこ
とが必要となる。
プロセス参照モデルは,JIS X 0145-2で定義している目的及び成果の用語を用いてプロセスを示してい
る。プロセス参照モデルは,一般に認知された分野の標準である。JIS X 0160:2007の附属書F及びJIS X
0170:2004は,各々ソフトウェアエンジニアリング及びシステムエンジニアリング分野のプロセス参照モ
デルである。
依頼者は,適切なプロセス参照モデルの選択においてJIS X 0145-3の手引に従って,(プロセス能力判定
に対する)規定要求事項又は(プロセス改善に対する)事業目標に対してどのプロセス参照モデルが最も
適切かを判定することが望ましい。
認知された分野の標準に整合しないプロセスに基づいて改善を計画する場合,このプロセスモデルを適
切なものと定義し,利用することはできるが,適合プロセスアセスメントに基づくものとみなすことはで
きない。

5.3 目標能力の設定

  依頼者は,(プロセス能力判定に対する)規定要求事項又は(プロセス改善に対する)事業目標を満足さ
せるために,選択したプロセス参照モデルの中から最も重要なプロセスを判定することが望ましい。
そして,依頼者は,選択した各プロセスに対して,どのプロセス属性を要求しているか,また,各プロ
セス属性に対して,どの評定を必要であると判断するかを示す目標プロセスプロファイルを特定すること
が望ましい。“十分達成している”又は“おおむね達成している”というプロセス属性評定だけを設定する
ことが望ましい。必要ではないと判断するプロセス属性については,“評定していない”と注記することが
望ましい。“部分的に達成している”は,JIS X 0145-2で定義しているように,達成の幾つかの側面が予測
できないことを示しているので,設定しないほうが望ましい。
目標プロセスプロファイル一式は,(プロセス能力判定に対する)規定要求事項又は(プロセス改善に対
する)事業目標を満たすために,受容可能なリスクに関して,依頼者が適切と判断した目標能力を表現し
ている。
表1−目標能力例
プロセス参照モデルから プロセス属性 必要となるプロセス属性
選択したプロセス 評定値
F.1.3.1 要件引出し PA 1.1 十分達成している
PA 2.1,PA 2.2 おおむね達成している
F.1.3.3 システム方式設計 十分達成している
PA 1.1,PA 2.1,PA 2.2,PA 3.1,PA 3.2
PA 4.1,PA 4.2 おおむね達成している
F.2.2 構成管理プロセス PA 1.1,PA 2.1,PA 2.2 十分達成している
PA 3.1,PA 3.2 おおむね達成している
F.3.1.5 リスク管理 十分達成している
PA 1.1,PA 2.1,PA 2.2,PA 3.1,PA 3.2
F.1.1.2 供給者の選択 PA 1.1,PA 2.1 十分達成している
PA 2.2 評定していない
PA 3.1,PA 3.2 おおむね達成している

――――― [JIS X 0145-4 pdf 7] ―――――

6
X 0145-4 : 2010 (ISO/IEC 15504-4 : 2004)
プロセス プロセス属性
実施 管理された 確立された 予測可能な 最適化している
された
PA 1.1 PA 2.1 PA 2.2 PA 3.1 PA 3.2 PA 4.1 PA 4.2 PA 5.1 PA 5.2
F.1.3.1 要件引出し F L L
F.1.3.3 システム方式設計 F F F F F L L
F.2.2 構成管理プロセス F F F L L
F.3.1.5 リスク管理 F F F F F
F.1.1.2 供給者の選択 F F L L
凡例(JIS X 0145-2の定義と同じ)
評定していない 十分達成してい おおむね達成し
F L
る ている
部分的に達成し 達成していない
P N
ている
図2−目標プロセスプロファイル一式として表示した目標能力の例
表1及び図2は,目標能力の例を示している。プロセス属性(PA 1.1など)及び評定(“十分達成してい
る”など)はJIS X 0145-2で定義しているものであるが,プロセス(F.1.3.1など)はJIS X 0160からのも
のである。図2は,個々のプロセス属性に対して,要求評定を特定している目標能力を示している。
目標能力は,また,JIS X 0145-2の表1で示す,必要となるプロセス属性評定値を用いて,選択した各
プロセスに対して要求能力水準評定を特定することで表すことができる。この進め方は図2に示しており,
F.1.3.1に対する必要となるプロセス属性評定値は水準2となり,F.2.2に対する要求評定は水準3となり,
F.1.3.3に対する要求評定は水準4となる。
定義されたプロセス改善手法には,組織の事業目標の分析から目標能力を導出する手段を含めることが
望ましい。定義されたプロセス能力判定手法には,規定要求事項の分析から目標能力を設定する方法を含
めることが望ましい。
プロセス参照モデルとしてのJIS X 0160に基づいた,目標能力を確立する一つの簡潔な進め方を表2に
提示する。

――――― [JIS X 0145-4 pdf 8] ―――――

                                                                                              7
X 0145-4 : 2010 (ISO/IEC 15504-4 : 2004)
表2−目標能力の設定
ステップ アクション 根拠
ステップ1 規定要求事項と関連性がなJIS X 0160プロセス参照モデル内の主要ライフサイクルプロセ
プロセスの初期設 いプロセスを除いて,主要スは,製品及びサービスを提供する上で最も直接的に貢献す
定の選択 ライフサイクルプロセスをる。
選択する。
ステップ2 能力水準1,2,3のすべて この進め方は,次のことを確実にしている。
あらかじめ定めて のプロセス属性評定値に a) 選択したプロセスが十分達成されている。
おいた必要となる “十分達成している”を設b) 実施は,納期遅れ,予算超過及び製品品質問題を回避する
プロセス属性評定 定する。 ため準備が整っている。
値をプロセスの初 c) プロセスを実証済みのベストプラクティスに従って展開す
期設定に対して設 ることによって,将来の性能が過去の実績と調和している
定する。 という確信を与える。
ステップ3 水準4又は水準5に対して F.1.3.3のシステム方式設計が能力水準4のプロセス属性をもつ
各プロセスの初期 属性評定を追加する。すなことを図2に示したように,水準4及び水準5のプロセス属性
設定に対して必要 わち,水準3の属性評定を をプロセスに追加することは,プロセス関連リスクを低減する
となるプロセス属 取り除く。 ために正当化されてもよい。
性評定値をレビュ F.1.3.1の要件引出しが能力水準1及び2のプロセス属性だけを
ーし,調整する。 もつことを図2に示したように,水準3のプロセス属性を削除
することが正当化されてもよい。
ステップ4 “支援ライフサイクルプロ“支援ライフサイクルプロセス”及び“組織的ライフサイクル
プロセスを更に追 セス”及び“組織的ライフプロセス”は組織内で高水準のプロセス能力を確立する上で重
加し,それぞれに必サイクルプロセス”を追加要である。
要となるプロセス する。 多くのプロセス属性は“支援ライフサイクルプロセス”及び“組
属性評定値を加え 織的ライフサイクルプロセス”と関係している。
る。 例えば,実施管理属性(PA 2.1)が“主要ライフサイクルプロ
セス”に含まれている場合,“プロジェクト管理プロセス”も
また,含まれることが望ましい。
“支援ライフサイクルプロセス”及び“組織的ライフサイクル
プロセス”に対する目標能力は,選択したプロセスの初期集合
に適用するプロセス属性を支援する程度によって促進される。
他の“支援ライフサイクルプロセス”及び“組織的ライフサイ
クルプロセス”は,(プロセス能力判定に対する)規定要求事
項又は(プロセス改善に対する)事業目標に関連する目標能力
記述に含めることが望ましい。
目標能力は,製品又はサービスよりも組織的能力を対象とする必要がある点に留意する。例えば,要求
事項は,それ自体,強力な構成管理プロセスの確立を求めてもよい。その場合,選択したプロセス一式に
はこの構成管理プロセスを含むことになる。

5.4 アセスメント入力の定義

  依頼者は,JIS X 0145-2で規定しているように,プロセスアセスメントの入力をJIS X 0145-3に示す手
引及び次に示す追加手引に従って準備することが望ましい。
少なくとも,アセスメント入力として,次のことを明記しなければならない。
a) アセスメントの依頼者の識別及び診断対象組織単位に対する依頼者の関係
(JIS X 0145-2の4.4.2参照)

――――― [JIS X 0145-4 pdf 9] ―――――

8
X 0145-4 : 2010 (ISO/IEC 15504-4 : 2004)
アセスメント依頼者の識別は,プロセス能力判定依頼者又はプロセス改善依頼者のいずれかになる。
e) 少なくとも,次のことを考慮しているアセスメント制約
···
4) アセスメントで調査する客観的証拠の量及び種類
5) アセスメント出力の所有権及びこれらの使用上の制限
(JIS X 0145-2の4.4.2参照)
各プロセス属性評定値を支援するために必要な客観的な証拠の数量及び種別は,アセスメント目的及び
アセスメント範囲に対し,次のように依存している。
− 初期のプロセス改善プログラムで,依頼者又は手法が要求する客観的な証拠の一例として,各プロセ
ス属性評定値に対し,最低限2件の表明を要求してもよい。ただし,これらの表明は,異なるデータ
収集期間に収集したものでなければならないが,証拠書類は必要としない。
− 供給者能力評価で,依頼者又は手法が要求する客観的な証拠の一例として,各プロセス属性評定値に
対し,最低限3件の表明と少なくとも1件の証拠書類を要求してもよい。ただし,これらの表明は,
異なるデータ収集期間に収集したものでなければならない。このような場合,組織単位が,適格なア
セッサによって公式に要求された文書を作成できないことを表明したときには,必要な証拠書類の代
わりにこの表明を用いてもよいという留保条件が付くこともある。
アセスメント出力の所有権及びその利用における制限は,守秘義務契約からくる情報にかかわる統制は
アセスメント入力の中で定義しなければならない。これは,守秘義務契約を反映して行われ,プロセス改
善プログラム全体又はプロセス能力判定に影響を及ぼす。

5.5 プロセス関連リスクの評価

5.5.1  アセスメント出力からのプロセス関連リスクの推察
製品又はサービスの品質は,それを提供するために展開しているプロセスに大きく影響を受ける。プロ
セス能力は,JIS X 0145-2で規定しているプロセス属性によって測定する。プロセス関連リスクは,不適
切なプロセス管理,すなわち,適切なプロセスを展開しないこと又は要求したプロセス属性評定値を達成
しない方法でそれらを展開することから生じる。
4.6及び図1に示したように適合プロセスアセスメントの出力は,プロセスプロファイル一式を含んでい
る。要求プロセス属性は,5.3及び図2で示したように,目標プロセスプロファイル一式として表すこと
ができる。
図3に示すように,目標プロセスプロファイル及び診断対象プロセスプロファイルの両者を一つの図表
で表すことができる。さらに,F.1.3.1などで示すプロセスは,JIS X 0160からのものであり,PA 1.1など
で示すプロセス属性及び“十分達成している”などの評定は,JIS X 0145-2に定義している。

――――― [JIS X 0145-4 pdf 10] ―――――

次のページ PDF 11

JIS X 0145-4:2010の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO/IEC 15504-4:2004(IDT)

JIS X 0145-4:2010の国際規格 ICS 分類一覧

JIS X 0145-4:2010の関連規格と引用規格一覧

規格番号
規格名称