JIS X 25030:2012 ソフトウェア製品の品質要求及び評価(SQuaRE)―品質要求事項 | ページ 4

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X 25030 : 2012 (ISO/IEC 25030 : 2007)

6 品質要求事項のための要求事項

  箇条6は,ソフトウェア製品の品質要求事項について,この規格の要求事項及び推奨事項を提供する。

6.1 一般的な要求事項及び前提

  ソフトウェアは,多くの場合,より大きなシステムの一部分である。システムの階層構造のより高い位
置でなされた方式決定は,ソフトウェアとの境界及びインタフェースを定義する。
注記1 システムのどの部分を実際にソフトウェアに実装するかについての方式は,利害関係者の品
質要求事項が仕様化される時点で決定されなくてもよいし,部分的に決定されてもよい。し
たがって,品質要求事項がソフトウェアに関係しているかどうかを,システムライフサイク
ルの早い時点で決定することは,不可能であるかもしれない。
注記2 品質要求事項は,単独では理解することはできず,他の種類の要求事項との関係によってだ
け理解できる。
注記3 JIS Q 9001:2008では,製品への品質要求事項を決定することを要求している。より具体的に
は,JIS Q 9001:2008の7.2.1は,製品に関係する要求事項の決定に関する次の要求事項を規
定している。組織は,次の事項を明確にしなければならない。
a) 顧客が規定した要求事項。これには,引渡し及び引渡し後の活動についての要求事項を
含む。
b) 顧客が明示していないが指定された用途又は意図された用途が既知である場合,それら
の用途に応じた要求事項
c) 製品に適用される法令・規制要求事項
d) 組織が必要と判断する追加要求事項全て
この規格は,JIS X 0129-1:2003(JIS X 25010)の品質モデルと同様の構造をもつソフトウェア品質モデ
ルが使用されているということを前提にしている。適用するソフトウェア品質モデルは,文書化されなけ
ればならない。
注記4 JIS X 0129-1:2003(JIS X 25010)で規定された品質モデルの利用を提案する。このモデルは,
多くの状況で利用してもよい。また,この規格の基礎となっている。しかしながら,場合に
よっては,特定の品質側面を重視する他の品質モデルを使用することが適切な場合もある。
この規格は,特定の開発モデルも測定量(measures)も規定していないし,想定もしていない。
注記5 この規格は,JIS X 0170で規定された包括的なライフサイクルプロセスの枠組みを適用する。
利害関係者の要求定義プロセス及び要求分析プロセスは,この規格に最も関係がある。
注記6 一般的な要求事項に含まれるプロセス及びアクティビティと特別なソフトウェア製品の品質
要求事項との間には,多くの類似点がある。多くの場合,アクティビティは,組み合わされ
ている。

6.2 利害関係者要求事項

  利害関係者要求事項は,システムに関係している。幾つかの利害関係者要求事項は,ソフトウェアに関
連していなくてもよい。システム方式を決定するとき,どの利害関係者要求事項がソフトウェアに影響す
るかを決めることができる。6.2は,システム視点を採用しており,ソフトウェアに特化したものではない。
注記 JIS X 0170の5.5.2は,利害関係者要求事項定義のプロセスアクティビティについて規定してい
る。より詳細については,この規格の附属書Bを参照。

――――― [JIS X 25030 pdf 16] ―――――

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6.2.1 システムの境界
6.2.1の要求事項及び推奨事項は,システム品質に関連するシステムの境界及び制約が文書化されている
ことを確実にすることを目指している。
システムの境界は,文書化されなければならない。
注記1 5.2にシステム概念の例を示す。
システムの意図する目的を文書化しなければならない。文書は,利用,便益,システムの定められた寿
命,システムの重大性及び,安全性問題又は危険性問題のようなリスク依存性を含んでいることが望まし
い。
システムの制約を文書化しなければならない。
注記2 システム制約は,既存の合意,管理の決定及び技術的決定からくる必然的な結果である。こ
れらは,次のことから導かれる。
1) 利害関係者が定義した解決策の事例又は領域
2) システムの階層構造のより高いレベルでなされた実装決定
3) 定義された使用可能なシステム,資源及び要員を利用するという要求
システム品質要求事項の誤解を避けるため,使用された特定の概念及び用語を定義し,説明することが
望ましい。
6.2.2 利害関係者の品質要求事項
6.2.2の要求事項及び推奨事項は,“文書化した品質要求事項が全ての利害関係者のニーズ及び期待を考
慮したものであること”,を確実にすることを目指している。
利害関係者の品質要求事項を仕様化する目的は,文書化されなければならない。
注記1 目的は,新規開発,既存システムの拡張,既存システムの改造又はシステム評価であっても
よい。
全ての関係する利害関係者を列挙しなければならない。
注記2 5.3は,利害関係者及びその要求事項に関係する概念を説明している。
列挙した利害関係者の役割及び関心事項を文書化しなければならない。
注記3 利害関係者について必要な情報は,状況に依存している。ある場合には,年齢が非常に重要
となる。他の場合には,例えば,国籍,職業,性別,学歴,経験が重要となる。
利害関係者の品質要求事項を識別する場合,各利害関係者について,考慮するかどうかを文書化しなけ
ればならない。考慮しない利害関係者については,その論理的根拠を文書化することが望ましい。
注記4 市販の成功したソフトウェア製品では,その製品の要求事項から特定の利害関係者の要求事
項を除外していることがある。例えば,意思決定者の要求事項を満たすように決定し,幾つ
かのエンドユーザの要求事項を採択していないことがある。そうした決定について明確にし
ておくことも重要であるが,結果として,利害関係者の中に,そのソフトウェア製品に満足
しない人がいることがある。
識別されたが記述されていない利害関係者要求事項は,文書化されなければならない。
適切な場合,利害関係者の品質要求事項を識別するため,シナリオ及び利用者との対話を使用すること
が望ましい。今後予想される使用可能な支援シナリオ及び環境に対応する,全ての要求されたサービスを
識別するために,シナリオは,一連の代表的なアクティビティの順序を含むことが望ましい。利用者とシ
ステムとの対話は,文書化することが望ましい。可能ならば,利害関係者の品質要求事項は,シナリオ及
び利用者の対話の記述を追跡できることが望ましい。

――――― [JIS X 25030 pdf 17] ―――――

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各利害関係者の品質要求事項は,独自のものとして識別されなければならない。
注記5 個々の利害関係者は,不明確な,不明瞭な,非現実的な又は矛盾する要求事項をもつことが
ある。異なる利害関係者の要求事項間には,不一致があることがある。利害関係者の品質要
求事項は,こうした課題が全て解決された要求事項の統合された集合として表現される。5.3
は,利害関係者についての情報を提供している。
重大な品質に関係する,健康,安全,セキュリティ,環境並びにその他の利害関係者の要求事項及び機
能は,文書化することが望ましい。
注記6 重大な側面の範囲を確かにするために,リスク分析を適用することができる。
各利害関係者の品質要求事項は,対応する利害関係者又はいろいろな立場の利害関係者を追跡できるこ
とが望ましい。
注記7 経営陣は,顧客の要求事項を決定し,それらが顧客の満足度を向上させるための狙いを満た
すことを確実にしなければならないということを,JIS Q 9001:2000の5.2は,要求している。
注記8 JIS Q 9001:2008の7.2.1は,要求事項(利用者のニーズ)を,次のように分類している。
a) 顧客が規定した要求事項
b) 顧客が明示してはいないが,指定された用途に応じた要求事項
c) 法令・規制要求事項
d) 開発組織が必要とする追加要求事項全て
6.2.3 利害関係者品質要求の妥当性確認
6.2.3の要求事項及び推奨事項は,利害関係者品質要求事項の品質を確保することを目指している。
利害関係者の品質要求事項は,妥当性を確認し,承認されなければならない。
利害関係者の品質要求事項の妥当性を誰が確認し,承認したかを文書化しなければならない。

6.3 ソフトウェア要求事項

  6.3は,システムのソフトウェア要素を識別するような,より高いレベルの方式決定が行われることを前
提としている。
注記 JIS X 0170の5.5.3は,要求分析プロセスのアクティビティを規定している。より詳細な内容に
ついては,この規格の附属書Bを参照。
6.3.1 ソフトウェアの境界
ソフトウェアの意図する目的を文書化しなければならない。文書化では,そのソフトウェアが構成要素
となっているシステムでのソフトウェアの役割を記述することが望ましい。
注記1 ソフトウェア品質要求事項は,取得者と開発者との間の契約合意の一部であってもよいし,
又はソフトウェア製品品質評価への入力であってもよい。
提供される機能の振る舞い及び特徴に関して,ソフトウェアの機能的な境界を文書化しなければならな
い。文書化には,どの機能をソフトウェアの部分として実装するかということについて,システムの構造
においてより高いレベルでの設計によって割り振られた方式決定を含むことが望ましい。
ソフトウェア品質要求事項に関わるシステムソリューションの制約を文書化しなければならない。シス
テムソリューションの制約に対する理論的根拠及び情報源を可能な限り文書化することが望ましい。
ソフトウェア品質要求事項に関連する実装の制約を文書化しなければならない。
注記2 実装の制約は,利害関係者の品質要求事項から導かれる。又は,解決が不可避な制限である。
これには,システムの構造のより高いレベルでの設計によって割り振られた実装の決定を含
む。

――――― [JIS X 25030 pdf 18] ―――――

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6.3.2 ソフトウェア品質要求事項
6.3.2の要求事項及び推奨事項は,選択した品質モデルに従って,ソフトウェア品質要求事項が文書化さ
れることを確実にすることを目指している。
ソフトウェア品質要求事項は,一意に識別されなければならない。
ソフトウェア品質要求事項は,利害関係者要求事項に対して追跡可能でなければならない。
ソフトウェア品質要求事項は,全ての関連する利害関係者の品質要求事項を考慮に入れなければならな
い。
注記1 幾つかの利害関係者の品質要求事項は,ソフトウェアとは異なる手段で実現されてもよい。
ソフトウェア品質要求事項は,適用する品質モデルで定義したように品質特性(又は品質副特性)と関
連付けを行わなければならない。
注記2 品質モデルは,全ての品質側面を確実に網羅するためのチェックリストとして利用すること
ができる。
どのソフトウェア品質要求事項も品質モデルの特定の品質特性(又は品質副特性)に対応しない場合,
このことを文書化しなければならない。
ソフトウェア品質要求事項は,次のいずれかの品質モデルに従って分類することが望ましい。
− 利用時のソフトウェア品質要求事項
− 外部ソフトウェア品質要求事項
− 内部ソフトウェア品質要求事項
ソフトウェア品質要求事項は,ソフトウェア品質測定量(measure)及び関係する目標値に関して仕様化
しなければならない。
TS X 0111-2,-3及び-4(ISO/IEC 2502n)の記載事項に従って,使用するソフトウェア品質測定量
(measures)を文書化しなければならない。
注記3 使用に供する品質測定量(measures)の一覧表を作成し,保守することを推奨する。異なる
プロジェクトに測定量(measures)の同じ集合を適用することによって,JIS X 0133-3(ISO/IEC
25042)で規定した測定経験データベースを生成することが可能となる。この進め方は,見積
りをより信頼できるものにする。これに変わる手法として,GQM[目標(Goal)−質問
(Question)−測定法(metric)]又はそれと類似の進め方を,特定の状況に応じて適切な測
定量(measures)を識別するために適用してもよい。
注記4 測定量(measure)の目標値は,ソフトウェア品質要求事項を満たすものであると判断できる
値である。目標値は,単一の値であってもよいし,値の範囲であってもよい。
注記5 TS X 0111-2,-3及び-4(ISO/IEC 2502n)は,多くの測定量(measures)を提供している。そ
れらは,そのままで又は特定の組織のニーズに適応させて使用してもよい。
注記6 品質要求事項は,他の一連の品質要求事項の観点から仕様化してもよい。JIS X 5070は,こ
の方法(進め方)の事例を提供している。この事例において,(セキュリティに関係する。)
ソフトウェアの外部品質要求事項は,ソフトウェアの内部品質要求事項の集合として仕様化
される。
ソフトウェアに要求された機能のうち,どの機能にソフトウェア品質要求事項が適用できるかを文書化
しなければならない。
注記7 ソフトウェア機能とソフトウェア製品の品質要求事項との関係に関するさらなる情報は,5.7
を参照。

――――― [JIS X 25030 pdf 19] ―――――

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X 25030 : 2012 (ISO/IEC 25030 : 2007)
ソフトウェア品質測定量(measures)を選択するために適用する基準を文書化しなければならない。
注記8 基準には,関連性,データ収集の実現可能性及び容易さ,個人情報保護,解説のしやすさ,
並びにライフサイクル段階の適用性を含めてもよい。ISO/IEC 25020は,代わりの測定量
(measures)を選択するため更に詳細な基準を提供している。
ソフトウェア品質要求事項のための操作側面は,関係がある場合,仕様化しなければならない。
注記9 ソフトウェアが特定の水準でのサービスを維持できなければならないという条件の下に,操
作側面は,作業負荷(仕事量),利用者側面及びトランザクションの種類を仕様化する。異な
る操作側面は,結果として異なる測定(measurement)をもたらしてもよい。それゆえに,操
作側面の仕様化なしでは,要求事項は,一意に仕様化されない。利用の状況は,この概念を
代わりに表現した用語である。
注記10 この要求事項は,主として外部品質属性及び利用時の品質属性に関するソフトウェア品質要
求事項に適用される。ソフトウェアの内部品質属性の測定量(measures)は,多くの場合は
静的である。この場合,操作側面は,関係しない。
ソフトウェア品質要求事項の目標値を仕様化する場合,受入れ可能な許容範囲を文書化しなければなら
ない。
注記11 ISO/IEC 25020のA.2.1は,品質測定量(measure)の要素についての測定(measurement)の
信頼性に影響する課題の一覧を提供している。
6.3.3 ソフトウェア品質要求事項の検証
6.3.3の要求事項及び推奨事項は,ソフトウェア品質要求事項の品質を確実にすることを目指している。
ソフトウェア品質要求事項は,検証可能でなければならない。
特別なツール,技術又は労力(工数),時間などの他の資源を検証するために必要とする場合,このこと
を文書化することが望ましい。ソフトウェア品質要求事項を検証するために必要な時間及び労力(工数)
は,文書化することが望ましい。ソフトウェア品質要求事項を検証するために特別な資源又は能力を必要
とする場合,これらの要求は,文書化されなければならない。
ソフトウェア品質要求事項間に存在する識別された矛盾を文書化しなければならない。
注記1 開発プロジェクトで二つ以上のソフトウェア品質要求事項を達成できるかどうかを理解する
ために,基本的な品質モデルについての深い理解が,多くの場合,必須である。例えば,信
頼性に対する高い要求事項,保守性に対する高い要求事項及び効率性に対する高い要求事項
を同時に満たすことは困難であるかもしれないということを,実際の経験は,示している。
JIS X 0129-1:2003(JIS X 25010)の品質モデルは,このような関係を示唆する情報を提供し
ていない。要求事項に一貫性があった場合でも,実際にそれを全て満たすのは困難である。
何が達成できるかどうかは,ほとんどの場合,ソフトウェア開発者の能力によって決まる。
また,利用する手法,ツール及び技術にも,依存している。
注記2 要求事項間の整合性を確保するプロセスは,異なる使用状況に対して異なる要求事項を使用
するだけでなく,優先権及び優先順位を設定することを含んでいてもよい。
ソフトウェア品質要求事項と実装の制約との間の識別された矛盾を文書化しなければならない。
ソフトウェア品質要求事項に関して識別された課題を解決するという追加的な又は変更されたソフトウ
ェア品質要求事項は,元々のソフトウェア品質要求事項に対して追跡可能でなければならない。差し替え
られた又は削除されたソフトウェア品質要求事項は,それ自体を書き留めなければならない。
ソフトウェア品質要求事項をレビューし,承認しなければならない。

――――― [JIS X 25030 pdf 20] ―――――

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JIS X 25030:2012の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO/IEC 25030:2007(IDT)

JIS X 25030:2012の国際規格 ICS 分類一覧

JIS X 25030:2012の関連規格と引用規格一覧

規格番号
規格名称