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X 8341-3 : 2016 (ISO/IEC 40500 : 2012)
附属書JA
(参考)
ウェブアクセシビリティの確保・維持・向上のプロセスに関する推奨事項
ウェブページ一式においては,ウェブコンテンツの企画,設計,制作・開発,確認及び保守・運用の各
段階において,ウェブアクセシビリティの確保・維持・向上に取り組むことが重要である。この附属書で
は,ウェブページ一式の責任者に推奨される事項を説明する。
JA.1JA.5では,主にウェブページ一式の新規構築及びリニューアルを念頭に,企画から保守・運用に
至るまでの各プロセスにおいて取り組む事項を説明する。
ウェブコンテンツの追加,削除又は更新が行われるウェブページ一式の運用においては,JA.6に示すと
おり“Plan-Do-Check-Act(PDCA)”として知られる方法論に基づき計画し,継続的にウェブアクセシビリ
ティの確保・維持・向上に取り組むことが重要である。
JA.1 企画
企画段階においてウェブページ一式の責任者は,ウェブアクセシビリティ方針を策定する。策定したウ
ェブアクセシビリティ方針は,ウェブサイトではサイト上,ウェブアプリケーションではマニュアルなど
で公開するとよい。ウェブアクセシビリティ方針には,次の事項を明記する。
a) 対象 ウェブページ一式の中でウェブアクセシビリティを確保する対象を定める。
注記1 原則として,ウェブページ一式全体を対象とする。
注記2 対象とする範囲を段階的に広げていく場合,対象とする範囲及び時期が分かるように明記
する。
注記3 第三者がその対象を特定できるように明記するのがよい。
b) 目標とする適合レベル この規格で定義されているレベルの中から目標とする適合レベルを選択する。
JA.2 設計
設計段階においてウェブページ一式の責任者は,ウェブアクセシビリティ方針に沿ったウェブコンテン
ツを制作及び開発するために必要な設計条件を決定する。設計条件には次の事項を含める。決定した設計
条件は文書化するとよい。
a) 適用する達成基準 制作するウェブコンテンツに適用する達成基準を,目標とする適合レベルに含ま
れる達成基準から選択する。さらに,目標とする適合レベルよりも上のレベルで適用する達成基準が
あるかどうかを確認する。
例 動画が含まれないコンテンツでは,動画に関する達成基準を適用する必要がない。
b) 依存するウェブコンテンツ技術及び達成方法 使用するウェブコンテンツ技術のうち,この規格の要
件を満たすために依存するウェブコンテンツ技術を選定する。また,各達成基準を満たすための達成
方法を明確にする。
注記1 ウェブコンテンツ技術及び達成方法の選び方については,W3Cが公開するUnderstanding
WCAG 2.0(http://www.w3.org/TR/UNDERSTANDING-WCAG20/)を参照する。
注記2 各達成基準の具体的な意図,並びに各達成基準を満たすウェブコンテンツ技術及び達成方
法に関しては,W3Cが公開するUnderstanding WCAG 2.0
――――― [JIS X 8341-3 pdf 46] ―――――
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X 8341-3 : 2016 (ISO/IEC 40500 : 2012)
(http://www.w3.org/TR/UNDERSTANDING-WCAG20/)及びTechniques for WCAG 2.0
(http://www.w3.org/TR/WCAG20-TECHS/)が参考になる。
注記3 設計の早い段階から高齢者及び障害者を含む利用者に参画してもらうとよい。ウェブブラ
ウザ,支援技術などをどのように用いてウェブコンテンツを利用しているかを把握したり,
開発中のウェブコンテンツを実際に利用してもらってより多くの問題を抽出したりするこ
とができる。早い段階で問題を洗い出して対処することによって,アクセシビリティを確
保したウェブコンテンツを開発するための工数及び費用を削減できる。
c) 制作及び開発に用いるオーサリングツール ウェブコンテンツを追加,削除又は更新するときにアク
セシビリティを低下させないように,達成基準を満たすことを補助する機能をもつオーサリングツー
ル(ウェブページ作成ソフト,コンテンツ管理システム,ブログなど)を選定する。
d) 確認に用いるユーザエージェント ウェブページ一式が対象とする利用環境に従って,確認に用いる
OS,ブラウザ及び支援技術を選定する。
JA.3 制作・開発
ウェブページ一式の責任者は,対応する達成基準を満たすように,ウェブコンテンツを制作・開発する。
注記 達成基準を満たすために用いる(ウェブコンテンツ技術の)達成方法は,W3Cが公開している
Understanding WCAG 2.0(http://www.w3.org/TR/UNDERSTANDING-WCAG20/)のSufficient and
Advisory Techniquesを参照するとよい。
JA.4 確認
ウェブページ一式の責任者は,ウェブコンテンツを制作・開発した後,対応する達成基準が満たされて
いることを確認する。
例 試験を実施する。
注記1 この規格の附属書JB(試験方法)において,達成基準を満たしていることを確認し,
確認した結果を明確に表す方法として試験の実施方法を説明している。
注記2 試験を実施するに当たっては,この規格の附属書JB(試験方法)を参考にするとよい。
例 ユーザ評価を実施する。
注記 高齢者及び障害者を含む利用者にウェブコンテンツを実際に利用してもらって問題を抽
出することで,ウェブコンテンツが達成基準を満たしているかどうかの判断がより確か
になる。ただし,対応する達成基準の確認を網羅できないため,他の方法と組み合わせ
て実施するとよい。
例 チェックツールを用いて確認する。
注記 多くのウェブコンテンツを対象に確認を行うという観点で有効である。ただし,機械的
に判定可能な事項は限られることから,人間による目視,動作確認などを交えて確認を
行う必要がある。
JA.5 保守・運用
a) アクセシビリティの品質確保 ウェブページ一式の責任者は,ウェブコンテンツを保守・運用すると
きには,ウェブアクセシビリティの品質を確保し,維持・向上に努める。
注記 ウェブコンテンツの追加,削除又は更新があった場合には,達成基準を満たしていることを
――――― [JIS X 8341-3 pdf 47] ―――――
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X 8341-3 : 2016 (ISO/IEC 40500 : 2012)
確認し直すとよい。
b) フィードバックによる意見の収集 ウェブページ一式の責任者は,ウェブアクセシビリティの取組み
に対する利用者の意見を収集する手段を用意して,利用者からの意見を収集する。この規格の要件は
アクセシビリティを確保する上で必要最低限のものであり,利用者からの意見を参考にすることによ
って,ウェブコンテンツのアクセシビリティ及び使い勝手を更に向上させることができる。
例 ウェブページ一式のどのウェブページにも,“お問合せ”フォーム及び“ご意見・ご要望”フォ
ームへのリンクが決まった位置にあり,利用者がウェブコンテンツの使い勝手に関する意見及
び要望を送信することができる。
c) アクセシブルな問合せ手段の提供 ウェブページ一式の責任者が,ウェブコンテンツに関する利用者
からの問合せを受け付けることを目的とした何らかの手段を用意する場合,その手段はアクセシブル
なものであって,かつ,ウェブコンテンツ上の分かりやすい位置で提供する。
注記1 特定の問合せ手段だけでは利用できない人が存在するため,複数の問合せ手段を提供する
ことが有効である。
注記2 よくある問合せ内容をまとめてFAQページに掲載しておくことで,利用者が問合せをする
手間を省くことができる。
例 オンラインで問合せするためのフォームを提供しているウェブページに,電話番号,ファック
ス番号,郵送先なども併せて明示する。
JA.6 PDCAサイクルによるウェブアクセシビリティの確保・維持・向上
ウェブコンテンツの追加,削除又は更新が行われるウェブページ一式においては,“Plan-Do-Check-Act
(PDCA)”として知られる方法論に基づき計画し,継続的にウェブアクセシビリティの確保・維持・向上
に取り組む。
a) (Plan) : 計画 ウェブページ一式の現状を把握した上で,今後の予定などを踏まえて,目標を設定
する。
例 ウェブアクセシビリティ方針を策定して,ウェブサイト,マニュアルなどで公開する。
b) (Do) : 実行 ウェブアクセシビリティ方針で定めた目標を達成するために,ウェブアクセシビリテ
ィの確保・向上に取り組む。
例 新しく制作したウェブページを公開する前に,対応する達成基準を満たしていることを確認す
る。
例 計画に基づき,既存のウェブコンテンツの改善を行う。
例 ウェブコンテンツの制作・開発に従事する者を対象とした研修を定期的に実施する。
例 JA.5に示す内容を実行する。
c) (Check) : 評価 ウェブページ一式を対象に目標とする適合レベルの達成基準が満たされているこ
とを定期的に確認する。
例 試験を実施し,試験結果をウェブページで公開する。
注記1 この規格の附属書JB(試験方法)において,達成基準を満たすことを確認し,確認
した結果を明確に表す方法として試験の実施方法を説明している。
注記2 試験を実施するに当たっては,この規格の附属書JB(試験方法)を参考にするとよ
い。
例 ユーザ評価を実施する。
――――― [JIS X 8341-3 pdf 48] ―――――
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X 8341-3 : 2016 (ISO/IEC 40500 : 2012)
注記 高齢者及び障害者を含む利用者にウェブコンテンツを実際に利用してもらって問題を
抽出したりすることで,ウェブコンテンツが達成基準を満たしているかどうかの判断
がより確かになる。ただし,対応する達成基準の確認を網羅できない場合があるため,
他の方法と組み合わせて実施するとよい。
例 チェックツールを用いて確認する。
注記 多くのウェブコンテンツを対象に確認を行うという観点で有効である。ただし,機械
的に判定可能な事項は限られることから,人間による目視,動作確認などを交えて確
認を行う必要がある。
d) (Act) : 改善 確認した結果を踏まえて,さらに,ウェブアクセシビリティを向上させ,かつ,継
続的に確保・維持していくための改善策を検討する。
例 発見されたウェブページの問題について改善を計画し実行する。
例 運用しているガイドライン及びチェックリストを改善する。
例 ウェブコンテンツの企画,設計,制作・開発,確認及び保守・運用の各段階に従事する者を対
象としたヒアリングを行い,改善すべき課題を確認する。
例 確認した結果に基づき,必要に応じてウェブアクセシビリティ方針の見直しを行う。
――――― [JIS X 8341-3 pdf 49] ―――――
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X 8341-3 : 2016 (ISO/IEC 40500 : 2012)
附属書JB
(参考)
試験方法
この規格を用いた試験方法について説明する。
JB.1 適合試験の要件
ウェブページ単位で試験をする場合はJB.1.1を参照する。ウェブページ一式単位で試験をする場合は
JB.1.1及びJB.1.2を参照する。
また,第三者によるコンテンツがあるためにウェブページ全体を試験できない場合は,5.3を参照する。
達成基準を満たすことができないウェブページに達成基準を満たす代替のウェブページを提供する場合の
試験については,A.16を参照する。さらに,依存していないウェブコンテンツ技術を使用したウェブペー
ジの試験については,5.1.5を参照する。
JB.1.1 ウェブページ単位
ウェブコンテンツをウェブページ単位で試験する場合は,5.1.2及び5.1.3の要件を満たすようにする。
JB.1.2 ウェブページ一式単位
ウェブページ一式を試験する場合には,次のいずれかの方法で試験対象のウェブページを選択し,選択
したウェブページに対して,JB.1.1の方法を用いて試験する。
a) 全てのウェブページを選択する場合 ウェブページ一式に属する全てのウェブページを選択する。
b) ランダムに選択する場合 ウェブページ一式に属する全てのウェブページから試験対象のウェブペー
ジをランダムにサンプリングして選択する。
c) ウェブページ一式を代表するウェブページを選択する場合 ウェブページ一式を代表するウェブペ
ージをウェブページ一式の中から選択する。次に示すウェブページが存在する場合,それらを含むよ
うにする。
1) ウェブページ一式における共通のウェブページ
・ ウェブページ一式の入り口となるページ(例 トップページなど)及びそのウェブページから直
接リンクされているウェブページ
・ ウェブページ一式に属する各ウェブページのヘッダー,ナビゲーションメニュー,フッターなど
から共通してリンクされているウェブページ
2) ウェブページ一式のアクセシビリティに関連するウェブページ
・ アクセシビリティに関する方針,及び解説のあるウェブページ
・ 利用者からの問合せを受け付けるウェブページ
・ ウェブページ一式のヘルプ機能を提供するウェブページ
・ 各種設定,選択肢,ショートカットなどの説明を提供するウェブページ
3) 上記1)及び2)以外でウェブページ一式を代表するウェブページ
・ ウェブページ一式の中で主要な機能を提供するウェブページ
機能の例を次に示す。
・ 商品の選択及び購入
・ 利用者登録
――――― [JIS X 8341-3 pdf 50] ―――――
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