JIS Y 30105-1:2021 情報技術―ITを使用したビジネスプロセスアウトソーシング(ITES-BPO)ライフサイクルプロセス―第1部:プロセス参照モデル(PRM)

JIS Y 30105-1:2021 規格概要

この規格 Y30105-1は、アウトソーシングされたビジネスプロセスに対して,ITES-BPOサービスプロバイダによって実行されるライフサイクルプロセスに関する要求事項について規定。

JISY30105-1 規格全文情報

規格番号
JIS Y30105-1 
規格名称
情報技術―ITを使用したビジネスプロセスアウトソーシング(ITES-BPO)ライフサイクルプロセス―第1部 : プロセス参照モデル(PRM)
規格名称英語訳
Information technology -- IT Enabled Services -- Business Process Outsourcing (ITES-BPO) lifecycle processes -- Part 1:Process reference model (PRM)
制定年月日
2021年1月20日
最新改正日
2021年1月20日
JIS 閲覧
‐ 
対応国際規格

ISO

ISO/IEC 30105-1:2016(IDT)
国際規格分類

ICS

35.080
主務大臣
経済産業
JISハンドブック
‐ 
改訂:履歴
2021-01-20 制定
ページ
JIS Y 30105-1:2021 PDF [28]
                                                           Y 30105-1 : 2021 (ISO/IEC 30105-1 : 2016)

pdf 目 次

ページ

  •  序文・・・・[1]
  •  1 適用範囲・・・・[2]
  •  2 引用規格・・・・[3]
  •  3 用語及び定義・・・・[3]
  •  4 プロセス参照モデルの概要・・・・[3]
  •  5 プロセス参照モデル・・・・[6]
  •  5.1 戦略有効化プロセス・・・・[6]
  •  5.2 リレーションシップマネジメントプロセス・・・・[7]
  •  5.3 ソリューションプロセス・・・・[8]
  •  5.4 トランジションイン(導入)プロセス・・・・[9]
  •  5.5 サービスデリバリプロセス・・・・[12]
  •  5.6 トランジションアウト(契約終了時の移行)プロセス・・・・[14]
  •  5.7 戦術有効化プロセス・・・・[15]
  •  5.8 運用有効化プロセス・・・・[19]
  •  附属書A(参考)ISO/IEC 33004への適合宣言・・・・[24]
  •  参考文献・・・・[26]

(pdf 一覧ページ番号 1)

――――― [JIS Y 30105-1 pdf 1] ―――――

           Y 30105-1 : 2021 (ISO/IEC 30105-1 : 2016)

まえがき

  この規格は,産業標準化法第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人情報処理学会(IPSJ)及び一般
財団法人日本規格協会(JSA)から,産業標準原案を添えて日本産業規格を制定すべきとの申出があり,
日本産業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本産業規格である。
  この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
  この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本産業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。

(pdf 一覧ページ番号 2)

――――― [JIS Y 30105-1 pdf 2] ―――――

                                      日本産業規格                            JIS
                                                                         Y 30105-1 : 2021
                                                                     (ISO/IEC 30105-1 : 2016)

情報技術−ITを使用したビジネスプロセスアウトソーシング(ITES-BPO)ライフサイクルプロセス−第1部 : プロセス参照モデル(PRM)

Information technology-IT Enabled Services-Business Process Outsourcing (ITES-BPO) ifecycle processes-Part 1: Process reference model (PRM)

序文

 この規格は,2016年に第1版として発行されたISO/IEC 30105-1を基に,技術的内容及び構成を変更す
ることなく作成した日本産業規格である。
  なお,この規格で点線の下線を施してある参考事項は,対応国際規格にはない事項である。
  ITを使用したビジネスプロセスアウトソーシング(ITES-BPO)サービスとは,サービス提供のために
適切な技術を使用するサービスプロバイダに,一つ以上のITを使用したビジネスプロセスが委託されるこ
とである。そのようなサービスプロバイダは,事前に定義された測定可能なパフォーマンス指標に従って,
受託したビジネスプロセスをマネジメント,デリバリ,改善及び管理する。これは,金融,人事マネジメ
ント,行政,ヘルスケア,銀行及び金融サービス,サプライチェーンマネジメント,旅行及び接客業,メ
ディア,マーケットリサーチ,分析,通信,製造などの多様なビジネスプロセス分野を対象とする。これ
らのサービスは,世界中の顧客にビジネスソリューションを提供し,顧客の中核となるサービスデリバリ
チェーンの一部を形成する。
  ISO/IEC 30105シリーズは,次のようにITES-BPO業界に関わるライフサイクルプロセスの要求事項を
規定している。
− アウトソーシングされたビジネスプロセスを実行するサービスプロバイダから見た,ITES-BPO業界
    のあらゆる側面について,包括的な規格を提供する。これは,多様な業種の顧客に対して,契約を通
    じてサービスを提供するITES-BPOサービスプロバイダに適用される。
− アウトソーシングのライフサイクル全体を対象とし,優れた実践であると考えられるプロセスを定義
    する。
− アウトソーシングしたビジネスプロセスを実行するサービスプロバイダのリスクの特定及び低減を可
    能にする。また,サービスプロバイダのためのプロセス参照モデルとしても役割を果たす。
− アウトソーシングされたビジネスプロセスの,ITを使用したアウトソーシングサービスに焦点を当て
    る。
− 汎用的であり,提供されるサービスの種類,規模及び性質に関係なく,全てのITES-BPOサービスに
    適用可能である。
− ISO/IEC 30105シリーズを使用して実施されるプロセス改善は,顧客及びサービスプロバイダに,明

――――― [JIS Y 30105-1 pdf 3] ―――――

           2
Y 30105-1 : 2021 (ISO/IEC 30105-1 : 2016)
    確な投資効果を導くことが可能である。
− ISO/IEC 30105シリーズに合わせることによって,サービスデリバリにおける一貫性,品質及び予測
    可能性を向上させることが可能である。
  ITES-BPOサービスに関連する主要な組織及びその関係を,図1に示す。顧客,ITES-BPOサービスプロ
バイダ及び様々なレベルのサプライヤを含む。これは,JIS Q 20000-1:2012の7.2に示されたサプライチェ
ーンの関係による。
                            図1−ITES-BPOの主要な組織及びその関係
  この規格では,プロセス参照モデル(PRM)について詳しく説明する。これは,プロセスの内容,目的
及び成果に関して記述されたライフサイクルにわたるプロセス定義,並びにプロセス間の関係を定義する
フレームワークを含む。
  このプロセスの目的では,このプロセスの実施が利害関係者に具体的な利益をもたらすように,プロセ
スを実行する高水準目標を詳述する。プロセスの成果は,観察可能な結果によって明確に定義され,顧客
及びサービスプロバイダにもたらされるビジネス上の利益につながる。

1 適用範囲

  この規格は,アウトソーシングされたビジネスプロセスに対して,ITES-BPOサービスプロバイダによ
って実行されるライフサイクルプロセスに関する要求事項について規定する。この規格は,サービスを計
画,確立,実施,運用,監視,レビュー,保守かつ改善するプロセスを定義する。
  この規格は,次による。
− アウトソーシングされたITを使ったビジネスプロセスを対象とする。
− ITプロセスに対応することを意図したものではなく,網羅性のために,重要な接点としてITプロセ
    スに言及する。
− 顧客ではなく,サービスプロバイダに適用する。
− ITES-BPOの全てのライフサイクルプロセスに適用する。
− ITES-BPOサービスを提供する組織のためのプロセス参照モデルとしての役割を果たす。
    注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
          ISO/IEC 30105-1:2016,Information technology−IT Enabled Services-Business Process Outsourcing
              (ITES-BPO)   ifecycle processes−Part 1: Process reference model (PRM)(IDT)
            なお,対応の程度を表す記号“IDT”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“一致している”こ
          とを示す。

――――― [JIS Y 30105-1 pdf 4] ―――――

                                                                                             3
                                                           Y 30105-1 : 2021 (ISO/IEC 30105-1 : 2016)

2 引用規格

  次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格のうちで,西暦年を付記してあるものは,記載の年の版を適用し,その後の改正版(追補を含む。)
は適用しない。西暦年の付記がない引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
    JIS X 33001 情報技術−プロセスアセスメント−概念及び用語
      注記 対応国際規格 : ISO/IEC 33001,Information technology−Process assessment−Concepts and
             terminology
    ISO/IEC 20000-10,Information technology−Service management−Part 10: Concepts and vocabulary
      注記 対応国際規格は,ISO/IEC TR 20000-10を引用しているが,ISO/IEC TR 20000-10は,2018
             年に廃止され,ISO/IEC 20000-10に置き換わった。
    ISO/IEC 30105-4,Information technology−IT Enabled Services-Business Process Outsourcing (ITES-BPO)
        lifecycle processes−Part 4: Terms and concepts
    ISO/IEC 33004:2015,Information technology−Process assessment−Requirements for process reference,
        process assessment and maturity models

3 用語及び定義

  この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS X 33001,ISO/IEC 20000-10及びISO/IEC 30105-4による。
  ISO及びIECは,次のアドレスで標準化に使用するための専門用語のデータベースを維持している。
− IEC Electropedia : http://www.electropedia.org/
− ISO Online Browsing Platform : http://www.iso.org/obp

4 プロセス参照モデルの概要

  ISO/IEC 33004は,プロセス参照モデルに含まれるプロセスが次の条件を満たすことを要求している。
附属書Aに,ISO/IEC 33004の詳細な要求事項を示す。
  プロセスの記述は,次の要求事項を満たさなければならない。
a) プロセスは,その目的及び成果によって記述されなければならない。
b) 一連のプロセス成果は,プロセスの目的を達成するために必要かつ十分なものでなければならない。
c) プロセスの記述は,JIS X 33003に適合し関連するプロセス測定フレームワークの基礎レベルを超えた
    プロセス品質特性の諸側面を含んではならず,また,暗示してはならない。
  PRMのそれぞれのプロセスは,次の記述要素をもつ。
a) 名前 プロセスの名前は,プロセスの適用範囲を要約し,プロセスの主要な関心事を特定し,プロセ
    ス参照モデルの適用範囲内の他のプロセスと区別する短い名詞句とする。
b) 内容 それぞれのプロセスについて,このプロセスの適用の意図する内容を簡単に概説する。
c) 目的 このプロセスの目的は,プロセスを実施するための高度かつ総合的な目標とする。
d) 成果 成果は,プロセスの目的の成功達成の観察可能な結果とする。成果とは,プロセスが達成した
    測定可能な,具体的な技術的又はビジネス的結果のこととする。それらは観察可能で評価可能なもの
    とする。
  ITES-BPOのプロセスアセスメントモデルのプロセス次元に含まれたこの規格のプロセスを,図2に列
挙する。これは,ITES-BPOのソリューションの開発からサービスデリバリ及びトランジションアウト(契

――――― [JIS Y 30105-1 pdf 5] ―――――

           4
Y 30105-1 : 2021 (ISO/IEC 30105-1 : 2016)
約終了時の移行)に至るITES-BPOサービスのあらゆる側面を含む。また,ライフサイクル全体を通して
サポートするリーダーシップ,リレーションシップマネジメント及び有効化プロセスを含む。
                                        戦略有効化
                              リレーションシップマネジメント
                            トランジション          サービス             トランジション
   ソリューション                                                         アウト(契約終
                             イン(導入)           デリバリ
                                                                            了時の移行)
                                        戦術有効化
                                        運用有効化
                         図2−ITES-BPOライフサイクルプロセスカテゴリ
  ITES-BPOのプロセスカテゴリは,次のとおりとする。
− 戦略有効化プロセス これには,サービスプロバイダ組織のための戦略の方向性及び計画に対するビ
    ジネスパフォーマンスのレビュー,並びに画期的な変化をもたらすためのイノベーションプロセスを
    含む。
− リレーションシップマネジメントプロセス サービスプロバイダと顧客及びサプライヤとの関係を
    網羅する。
− ソリューションプロセス ITES-BPOのソリューション構築の考え方,契約文書の作成及び管理を含
    む。
− トランジションイン(導入)プロセス 必要なマネジメント,人員及びインフラストラクチャの実現
    能力を確立し,移行するサービスの試行によって,顧客からサービスプロバイダへの業務プロセスの
    移行を網羅する。
− サービスデリバリプロセス ITES-BPOサービスの日常的なマネジメント及びデリバリに必要な全て
    のプロセスを含む。
− トランジションアウト(契約終了時の移行)プロセス 顧客又は別のサービスプロバイダへの業務プ
    ロセスの移行の動きを網羅する。
− 戦術有効化プロセス 中核となるサービスデリバリプロセスの目標達成を可能にする一連のプロセス
    を含む。これらは本質的な戦術とする。
− 運用有効化プロセス サービスデリバリの日常的な運用を確認するプロセスで,サービスデリバリプ
    ロセスと並行して,サポートし,実行する。
  ITES-BPOのライフサイクルにおけるプロセスカテゴリ及びプロセスを,図3に示す。

――――― [JIS Y 30105-1 pdf 6] ―――――

                                                                                             5
                                                           Y 30105-1 : 2021 (ISO/IEC 30105-1 : 2016)
   戦略有効化プロセス:
   SEN1:戦略立案及び方向付け          SEN2:イノベーションマネジメント
   リレーションシップマネジメントプロセス:
                                       RLS2:サプライヤマネジメント
   RLS1: 顧客リレーションシップマネジメント
                         トランジションインプロセス:
                                                 サービスデリバリプロセス:
   ソリューションプロセス:
                         TRN1: 人員体制整備
   SLN1: ソリューション構築                     SDL1: サービスデリバリ トランジションアウトプロセス:
                         TRN2: サービス基盤整備 SDL2: サービスデリバリ報告
   SLN2: 契約ライフサイクルマ                                          TRO1: トランジションアウト
                           (技術)             SDL3: サービスレベル
   ネジメント           TRN3: サービス基盤整備    マネジメント
                           (非技術)           SDL4: ビジネスプロセス
                         TRN4: ナレッジ移転        マネジメント
                         TRN5: サービスデリバリ計画
                         TRN6: 試行
   戦術有効化プロセス:
   TEN1: マネジメントレビュー          TEN5: ビジネス継続マネジメント
                                        TEN6:監査マネジメント
   TEN2:ファイナンシャルマネジメント(財務管理)
                                        TEN7:リスクマネジメント
   TEN3: チェンジマネジメント(変更管理)
   TEN4: ナレッジマネジメント          TEN8:継続的改善
   運用有効化プロセス:
   OEN1:業務処理品質マネジメント       OEN5:インフラストラクチャ及び技術マネジメント
   OEN2:情報セキュリティマネジメント   OEN6:労働環境マネジメント
   OEN3:コンプライアンスマネジメント   OEN7:課題マネジメント
   OEN4: 人材マネジメント
                   図3−ITES-BPOライフサイクルプロセスカテゴリ及びプロセス
  図3に記載しているITES-BPOプロセス及びカテゴリは,特定のサービスプロバイダに基づくものでは
なく,また,実行が強制されるものでもない。
  プロセス参照モデルの目的は,利害の一致するコミュニティの主な目的を包括的にサポートできる一連
のプロセスを定義することである。プロセス参照モデルは,一つ以上のプロセスアセスメントモデルの基
礎を提供することが可能である。プロセスアセスメントモデルは,プロセス参照モデルで提供されている
同じプロセス記述を使用する。プロセス能力アセスメント及び組織成熟度の決定を可能にするプロセスア
セスメントモデル,測定フレームワーク,並びに組織成熟度モデルの関係を,図4に示す。

――――― [JIS Y 30105-1 pdf 7] ―――――

           6
Y 30105-1 : 2021 (ISO/IEC 30105-1 : 2016)
                           図4−ISO/IEC 30105の各パート間の相互関係

5 プロセス参照モデル

5.1 戦略有効化プロセス

  このカテゴリには次の二つのプロセスがある。
a)   EN1 戦略立案及び方向付け
b)   EN2 イノベーションマネジメント
SEN1 戦略立案及び方向付け
    名前                                   戦略立案及び方向付け
               このプロセスは,サービスプロバイダのためのビジネス目標及び戦略の確立を網羅する。これは,
             外部環境を分析し,戦略目標を完成させることを含む。マーケットの定義,サービス内容の設計,戦
    内容
             略的資産の構築,及びサービスプロバイダのビジネス目標に沿ったサービスデリバリのための組織の
             準備を含む。
               SEN1プロセスの目的は,これらのビジネス目標を達成するために,ビジネス目標,戦略,及び組
    目的
             織ロードマップを定義し,共有することである。
               このプロセスが適切に実施されると次のようになる。
             a) ビジネス目標,方向及び戦略が定義され,組織及び関連する利害関係者に共有される。
    成果    b) ビジネス目標,方向及び戦略が,サービスプロバイダが提供するサービスに対して定義される。
             c) 実施計画が,ビジネス目標,方向及び戦略を達成するために定義される。
             d) 戦略的ロードマップが,サービスプロバイダの資源制約の範囲内で作成される。

――――― [JIS Y 30105-1 pdf 8] ―――――

                                                                                             7
                                                           Y 30105-1 : 2021 (ISO/IEC 30105-1 : 2016)
SEN2 イノベーションマネジメント
    名前                                 イノベーションマネジメント
               このプロセスは,顧客及びサービスプロバイダの利益のために,改善及び強化されたサービスを提
    内容    供する新規又は異なる方法を網羅する。イノベーションは,同じことをより良く行うというよりも,
             次元の違うパフォーマンスを実現する組織活動を指すという意味において,改善とは異なる。
               SEN2プロセスの目的は,イノベーションを導入することによって,業務プロセスに大きな変化及
    目的
             び大きな利益をもたらすプログラムを計画し,実施することである。
               このプロセスが適切に実施されると次のようになる。
             a) イノベーションフレームワークが組織に作られる。
             b) 測定フレームワークが整備される。
             c) 展開戦略は,組織及びプロセスレベルで定義される。
             d) 大幅な変更(イノベーション)が実行され,進捗状況が監視され,予想される結果と照らし合わ
    成果
                せてレビューされる。
             e) 顧客の組織が適切に関与する。
             f) 進捗状況が利害関係者に伝達される。
             g) イノベーションマネジメントの方針及び施策に関する変更,課題及び改善に及ぼす影響が,分析
                され,報告される。

5.2 リレーションシップマネジメントプロセス

  このカテゴリには二つのプロセスがある。
a)   LS1 顧客リレーションシップマネジメント
b)   LS2 サプライヤマネジメント
RLS1 顧客リレーションシップマネジメント
     名前                            顧客リレーションシップマネジメント
               このプロセスは,顧客関係のマネジメントを網羅し,合意された顧客要件の定義·理解·管理,顧
             客満足度の測定,顧客からの苦情及び/又はエスカレーションの管理,並びに顧客との良好な関係の
     内容
             全体的なマネジメントを含む。
                 注記 ISO/IEC TR 20000-4と類似しているが,ITES-BPOの要件に沿って見直した。
               RLS1プロセスの目的は,顧客満足度を改善するために,顧客要件及び顧客期待のマネジメントを
     目的
             含み,顧客関係を識別し管理することである。
               このプロセスが適切に実施されると次のようになる。
             a) 全ての顧客,利用者及び利害関係者が特定され,定義される。
             b) 顧客要件及び期待事項が特定され,レビューされ,合意される。
     成果   c) 顧客満足度が測定され,分析され,関連する利害関係者に伝達される。
             d) 顧客のエスカレーション及び苦情が記録·追跡·解決される。
             e) 更新,エスカレーション,苦情,及びアクションが利害関係者に伝達される。
             f) 顧客満足度を改善するためのアクションが特定され,記録され,クローズするまで追跡される。

――――― [JIS Y 30105-1 pdf 9] ―――――

           8
Y 30105-1 : 2021 (ISO/IEC 30105-1 : 2016)
RLS2 サプライヤマネジメント
     名前                                  サプライヤマネジメント
               このプロセスは,サービスプロバイダとサプライヤとの間の連携を網羅する。相互のコミットメン
             トが顧客要件に沿ったものであることを確実にする。これによって,サービスプロバイダは,契約上
     内容
             の義務及びコミットメントを満たすようにサプライヤを管理することを可能とする。
                 注記 ISO/IEC TR 20000-4と類似しているが,ITES-BPOの要件に沿って見直した。
               RLS2プロセスの目的は,要件に従って必要なサービスを提供するサプライヤを選択し,管理する
     目的
             ことである。
               このプロセスが適切に実施されると次のようになる。
             a) サプライヤが,特定の製品又はサービスのために選択される。
             b) サービスプロバイダとサプライヤとの関係が管理される。
             c) 提供されるサービスが,それぞれのサプライヤと交渉される。
             d) サプライヤ間での役割及び関係が決定される。
     成果   e) セキュリティ及び個人情報保護関連法規を含む,サービス要件を満たすためのサプライヤの義務
                が,監視及び管理される。
             f) 合意された基準に対するサプライヤのパフォーマンスが監視及び管理される。
             g) 是正措置及び予防処置が特定され,パフォーマンスの逸脱が解消するまで追跡される。
             h) サービスレベル要件が,コミットされた顧客ニーズ全体に沿っているか,そうでない場合には積
                極的に管理される。

5.3 ソリューションプロセス

  このカテゴリには次の二つのプロセスがある。
a)   LN1 ソリューション構築
b)   LN2 契約ライフサイクルマネジメント
SLN1 ソリューション構築
     名前                                    ソリューション構築
     内容      このプロセスは,顧客要件を満たすためのソリューション構築を対象とする。
                 SLN1プロセスの目的は,既知の制約に対応した顧客要件を満たすソリューションを構築するこ
     目的
               とである。
                 このプロセスが適切に実施されると次のようになる。
               a) 顧客要件及び既知の制約が定義される。
               b) アウトソーシングされるビジネスプロセスの移行及びデリバリのためのプロジェクト計画が
                  作成される。
     成果
               c) 合意された現在及び将来のビジネスニーズを満たすサービスの移行及びデリバリのためのソ
                  リューションが識別される。
               d) 顧客にとっての成功の基準が明確に定義される。
               e) ソリューションが顧客によって正式に受け入れられる。

――――― [JIS Y 30105-1 pdf 10] ―――――

                                                                                             9
                                                           Y 30105-1 : 2021 (ISO/IEC 30105-1 : 2016)
SLN2 契約ライフサイクルマネジメント
     名前                               契約ライフサイクルマネジメント
                 このプロセスは,顧客とサービスプロバイダとの契約要件の交渉,再交渉,合意及び継続的マネ
     内容
               ジメントを網羅する。
                 SLN2プロセスの目的は,契約当事者が義務を履行するために相互に合意した条件を含む契約を
     目的
               作成し,合意し,管理することである。
                 このプロセスが適切に実施されると次のようになる。
               a) 契約当事者間で,目的及び目標が整合する。
               b) 契約当事者間で,義務が合意される。
               c) 契約当事者間でリスクが明確にされ,合意される。
               d) 相互に満足のいく適正調査(Due Diligence)が実施される。
     成果     e) サービスレベル及び顧客満足目標が合意される。
               f) 契約が,契約当事者間で受け入れられ,署名される。
               g) 契約の変更が,評価,記録,追跡及び実行される。
               h) 有効期限及び更新が,評価,記録,追跡及び実行される。
               i) 指標が測定され,全ての契約対象との整合性が評価され,逸脱に対処するために是正措置が講
                  じられる。

5.4 トランジションイン(導入)プロセス

  このカテゴリには次の六つのプロセスがある。
a)   RN1 人員体制整備
b)   RN2 サービス基盤整備(技術)
c)   RN3 サービス基盤整備(非技術)
d)   RN4 ナレッジ移転
e)   RN5 サービスデリバリ計画
f)   RN6 試行

――――― [JIS Y 30105-1 pdf 11] ―――――

           10
Y 30105-1 : 2021 (ISO/IEC 30105-1 : 2016)
TRN1 人員体制整備
     名前                                       人員体制整備
                 このプロセスは,サービスデリバリの要件を満たすのに十分な経験をもつ人材及び組織としての
               実現能力の提供を網羅する。契約されたサービスデリバリ要件を満たすために適切な人員数で,ス
     内容     キル,経験及び能力を備えた人材の特定,調達,選択,採用,トレーニング及び継続的な人材開発
               が含まれる。調達には,採用,又は既存の従業員からの異動を含めてもよい。この異動が組織間で
               行われる場合,関連法規に従う。
                 TRN1プロセスの目的は,特定されたサービスデリバリの要件及び移行期間を満たすために必要
     目的
               なスキル及び経験をもつ人員体制を整えることである。
                 このプロセスが適切に実施されると次のようになる。
               a) 必要な人材レベル及びスキルセットが,合意されたソリューションに基づいて決定される。
               b) 要件を満たす人材が特定され,採用される。
               c) 顧客との契約において定められた人材に関する要件が検証される。
               d) 人員体制が移行期間内に整備される。
     成果     e) 異動する人材のスキルセットが検証される。
               f) スキルセットが,サービスデリバリの要件を満たすように強化される。
               g) 継続的かつ専門的な人材開発要件が特定,評価され,記録、追跡,充足される。
               h) 従業員の異動が,関連する法的要件に従って管理される。
               i) デリバリ体制の構造,役割·責任及びコンピテンシが定義され,伝達される。
               j) 人員体制整備活動が,受入基準に従って顧客によって受け入れられる。
TRN2 サービス基盤整備(技術)
     名前                                 サービス基盤整備(技術)
                 このプロセスは,契約にのっとった顧客へのサービスデリバリのための要件に沿ったインフラス
               トラクチャ(技術)の計画,設計,検証,テスト及び実施を網羅する。インフラストラクチャ(技
     内容     術)の要件には,接続性,サービスデリバリアプリケーションへのアクセス,サービスデリバリの
               ためのハードウェア及びソフトウェアの提供,並びに顧客の組織が要求する情報の技術関連管理策
               を含む。
                 TRN2プロセスの目的は,サービスデリバリの要件を満たすようにインフラストラクチャ(技術)
     目的
               を整えることである。
                 このプロセスが適切に実施されると次のようになる。
               a) インフラストラクチャ(技術)の要件が,必要に応じて,サービスデリバリの要求事項及び導
                  入計画に沿って,特定,計画,検証,テスト及び実施される。
               b) インフラストラクチャ(技術)の要件が,セキュリティ及びコンプライアンス上の要件に従っ
     成果        て実施及び構成される。また,役割設定及び権限に基づき許可された人へのアクセスが制限さ
                  れる。
               c) インフラストラクチャ(技術)に関するパフォーマンスが定義,測定,レビュー,改善及び報
                  告される。
               d) インフラストラクチャ(技術)が,受入基準に従って顧客によって合意される。

――――― [JIS Y 30105-1 pdf 12] ―――――

                                                                                            11
                                                           Y 30105-1 : 2021 (ISO/IEC 30105-1 : 2016)
TRN3 サービス基盤整備(非技術)
     名前                                サービス基盤整備(非技術)
                 このプロセスは,契約義務に沿ったサービスデリバリのためのインフラストラクチャ(非技術)
               の要件の計画,設計,検証,テスト及び実施を網羅する。インフラストラクチャ(非技術)の要件
               には,事務所,じゅう(什)器,交通手段,食堂,安全衛生,及び顧客サービスデリバリに関する
     内容
               要求事項を満たす企業の社会的責任要求事項が含まれるが,この限りではない。これらには,標準
               労働時間に含まれない移動,食堂の利用,医療,その他の支援サービスの利用などの特別な勤務形
               態に関する要求事項も含まれる。
                 TRN3プロセスの目的は,サービスデリバリの要件を満たすようにインフラストラクチャ(非技
     目的
               術)を整えることである。
                 このプロセスが適切に実施されると次のようになる。
               a) インフラストラクチャ(非技術)の要件が,サービスデリバリの要件及び移行計画に沿ったも
                  のとして特定される。
               b) インフラストラクチャ(非技術)が,サービスデリバリの要件に従って計画され,選択され,
     成果        実施される。
               c) インフラストラクチャ(非技術)が,サービスデリバリの要件に従ってテストされ,検証され
                  る。
               d) 特別な勤務形態に伴う非技術的な設備が手配される。
               e) インフラストラクチャ(非技術)が,受入基準に従って顧客によって合意される。
TRN4 ナレッジ移転
     名前                                       ナレッジ移転
                 このプロセスは,サービスデリバリの要件を満たすために,顧客の業務プロセス,運用モデル及
     内容     びデータに関する,アセスメント,文書化,及びサービスデリバリ組織へのナレッジの移転を網羅
               する。
                 TRN4プロセスの目的は,顧客の組織又は現行のサービスプロバイダと新しいサービスプロバイ
     目的
               ダとの間で,ビジネスプロセス,運用及び情報が移転されることを確実にすることである。
                 このプロセスが適切に実施されると次のようになる。
               a) 必要なナレッジの適用範囲が特定される。
               b) ナレッジ移転計画が定義される。
     成果
               c) 必要なナレッジ資産が作成又は収集される。
               d) 要員がサービスをデリバリするために必要なナレッジを得る。
               e) ナレッジ移転完了が,受入基準に従って顧客及びサービスプロバイダによって合意される。

――――― [JIS Y 30105-1 pdf 13] ―――――

           12
Y 30105-1 : 2021 (ISO/IEC 30105-1 : 2016)
TRN5 サービスデリバリ計画
     名前                                   サービスデリバリ計画
                 このプロセスは,サービスデリバリを管理するために使用されるサービスデリバリのフレームワ
               ークの作成を網羅する。これは,継続的なプロセスであり,プロセス,人,インフラストラクチャ
               (技術),インフラストラクチャ(非技術)など,ソリューションの全ての主要な要素に関わる。
     内容     また,これは,最初の計画から,ソリューションの設計,及びサービスの移行継続的なサービスデ
               リバリまでのソリューションのライフサイクルを通じて発生するが,このプロセスでは,最初の計
               画段階に焦点を当てる。
                   注記 ISO/IEC TR 20000-4と類似しているが,ITES-BPOの要件に沿って見直した。
                 TRN5プロセスの目的は,サービスデリバリのための運用及びガバナンス計画を確立することで
     目的
               ある。
                 このプロセスが適切に実施されると次のようになる。
               a) 人材マネジメントが計画され,確立される。
               b) ビジネスプロセスマネジメントが計画され,確立される。
               c) インフラストラクチャ(技術)が計画され,確立される。
               d) インフラストラクチャ(非技術)が計画され,確立される。
     成果     e) 財務,運用,リスク,ビジネス継続性,セキュリティ,コンプライアンス及び改善計画が確立
                  される。
               f) 測定基準及び測定システムが確立される。
               g) 監視,レビュー,共同意思決定,及び問題解決を提供するために,コミュニケーション及びガ
                  バナンスの仕組みが確立される。
               h) サービスデリバリ計画が,受入基準に従い,顧客によって合意される。
TRN6 試行
     名前                                          試行
                 このプロセスは,サービスプロバイダによるサービスデリバリのパフォーマンス及び実現能力の
     内容
               テスト及び検証を網羅する。
                 TRN6プロセスの目的は,本格的なサービスデリバリを行う前に,安全な環境でソリューション
     目的
               設計を検証することである。
                 このプロセスが適切に実施されると次のようになる。
               a) 試行計画及び試行成功の基準が定義される。
               b) 人材マネジメント及びナレッジ移転がテストされる。
               c) ビジネスプロセスマネジメントがテストされる。
               d) インフラストラクチャ(技術)がテストされる。
               e) インフラストラクチャ(非技術)がテストされる。
               f) 財務,運用,リスク,セキュリティ,コンプライアンス,変更,問題及び改善計画がテストさ
     成果
                  れる。
               g) ビジネス継続計画がテストされる。
               h) 運用がテストされる。
               i) 試行されたサービスレベルのパフォーマンス及び量が検証される。
               j) 顧客のフィードバックが記録され,是正措置完了まで追跡される。
               k) 試行の完了及び新規又は変更されたサービス展開が,受入基準に従って,サービスプロバイダ
                  によって合意される。

5.5 サービスデリバリプロセス

  このカテゴリには次の四つのプロセスがある。
a)   DL1 サービスデリバリ
b)   DL2 サービスデリバリ報告

――――― [JIS Y 30105-1 pdf 14] ―――――

                                                                                            13
                                                           Y 30105-1 : 2021 (ISO/IEC 30105-1 : 2016)
c)   DL3 サービスレベルマネジメント
d)   DL4 ビジネスプロセスマネジメント
SDL1 サービスデリバリ
     名前                                     サービスデリバリ
                このプロセスは,期待されるサービスデリバリ結果の管理及び達成を網羅する。
     内容
                  注記 ISO/IEC TR 20000-4と類似しているが,ITES-BPOの要件に沿って見直した。
                 SDL1プロセスの目的は,期待されるパフォーマンスレベルを達成するために,進行中のサービ
     目的
               スデリバリを管理し,運用し,コントロールすることである。
                 このプロセスが適切に実施されると次のようになる。
               a) サービスデリバリに関する役割及び責任が維持され,割り当てられる。
               b) 日常の運用が管理される。
               c) サービスデリバリが,運用のパフォーマンス目標に対して監視される。
     成果
               d) ガバナンスのフレームワークが実施される。
               e) 関連する利害関係者に日常運用のパフォーマンスが伝達される。
               f) サービスデリバリ計画が,サービス変更及び顧客のフィードバックに合わせてレビューされ,
                  維持される。
SDL2 サービスデリバリ報告
     名前                                   サービスデリバリ報告
                 このプロセスは,サービスプロバイダがサービスパフォーマンス報告を可能にするための定量的
     内容     及び定性的情報の提供を網羅する。
                   注記 ISO/IEC TR 20000-4と類似しているが,ITES-BPOの要件に沿って見直した。
                 SDL2プロセスの目的は,効果的なコミュニケーション及び意思決定を支援するために,タイム
     目的
               リで正確なサービスの報告を作成することである。
                 このプロセスが適切に実施されると次のようになる。
               a) サービスデリバリ報告の必要性が特定される。
               b) サービスデリバリ報告が,サービスの報告の要件に従って作成される。
     成果     c) サービスデリバリ報告が,関連する利害関係者に伝達される。
               d) 改善措置が特定され,報告される。
               e) サービスデリバリ報告が,サービス変更及び顧客のフィードバックに合わせてレビューされ,
                  維持される。

――――― [JIS Y 30105-1 pdf 15] ―――――

次のページ PDF 16

JIS Y 30105-1:2021の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO/IEC 30105-1:2016(IDT)

JIS Y 30105-1:2021の国際規格 ICS 分類一覧

JIS Y 30105-1:2021の関連規格と引用規格一覧

用語・試験,製品規格,その他(塗料・塗膜/一般)

価格 16,830円(税込)本体価格:15,300円

発売年月日:2020-01-31

JIS HB 30 塗料 2020

Amazon詳細ページへ

※最新の情報は詳細ページでご確認ください。

JIS ハンドブックから規格の検索、規格番号や名称が調べて探すことができます。
JIS ハンドブック 一覧 規格 種類別