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Z 2342 : 2022
表1−試験装置の仕様
項目 プリアンプ 信号処理装置 解析·記録·表示装置
(コンピュータ)
利得(ゲイン) (dB)
周波数特性 (Hz)
フィルタ 遮断周波数 (Hz)
減衰傾度 (dB/oct)
入力換算ノイズ (dB)
AEしきい値 (dB)
処理速度 (ヒット/s)
各種パラメータ分解能
4.2.4 圧力の連続記録
圧力の連続記録を行う手段を確立し,加圧経過とAE発生状況との関係が把握できるようにする。
4.3 試験装置の感度確認
4.3.1 一般
試験装置の感度確認は,擬似AE源によって行う。AEしきい値及びAE源位置標定精度は,既知のAE
源の特性を基にあらかじめ協議した値を満足するものにする。
4.3.2 擬似AE源
擬似AE源は,その周波数帯域が少なくとも100 kHz400 kHzの範囲を含み,再現性があるものを用い
る。シャープペンシル芯圧折などの機械的な方法,又はパルス発信装置による電気的な方法のいずれを用
いてもよい。
4.3.3 AEセンサの取付状態
試験体に取り付けられた各AEセンサにおいて,最大感度差は±3 dBとすることが望ましい。
4.3.4 試験装置の許容感度差
同一の擬似AE源を入力したとき,試験装置の各測定チャンネルにおけるパラメータ測定量のばらつき
は,±3 dBとすることが望ましい。
4.4 試験体のAE伝搬特性
4.4.1 一般
AEセンサの配置間隔などを決定するために,擬似AE源を用いて,圧力容器などの表面におけるAE波
減衰特性の調査を行う。この調査は,耐圧試験時と同様の内容物が充満した状態で行う。
4.4.2 音速
試験体の代表的な部位の0°,45°及び90°の3方向において,溶接線がない場合及びある場合の音速
(m/s)を測定する。
――――― [JIS Z 2342 pdf 6] ―――――
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4.4.3 減衰特性
試験体の代表的な部位の軸方向の基準に対し,0°,45°及び90°の3方向において,溶接線がない場
合及びある場合の減衰特性をセンサと擬似AE源との間の距離(m)における最大振幅値の変化量デシベ
ル(dB)を測定し,単位長さ当たりの量(dB/m)を求める。なお,振幅値(dB)は,リファレンス電圧(Vref)
を1 μVとした場合のセンサ出力(V)の相対値であり,次式で求まる。
振幅値(dB)=20 log10(V/Vref)
4.5 AEセンサの配置
AEセンサは,試験対象領域からのAE波を,少なくともAE源の位置標定計算に最低限必要な数(2次
元の場合は3個以上)のセンサで検出できるようにする。
4.6 連絡手段
試験装置の設置場所と加圧装置の設置場所との間は,連絡が取れるようにする。
5 試験の手順
5.1 AEセンサの動作確認
AEセンサの音響結合状態及び接続の確認は,AEセンサの取付け及び試験装置の組立てに引き続いて行
い,更に試験の終了直後にも行う。
5.2 バックグラウンドノイズの強度測定
試験に使用する全てのチャンネルについて,バックグラウンドノイズの強度(ピーク電圧値)を測定し,
記録する。強力なノイズ源があるときには,遮断措置を講じなければならない。
5.3 AEしきい値の調整
試験に使用する全てのチャンネルのAEしきい値は,バックグラウンドノイズで作動しないように調整
する。この場合,圧力容器の内部には,耐圧試験時と同様の内容物が充満した状態で試験を行う。
5.4 圧力容器の加圧法
圧力容器の加圧方法は,次による。なお,圧力容器の加圧法は,適用する耐圧試験規格に適合するが,
AE活動度が安定しない場合には,30分以上圧力を保持する。
a) 予圧 予圧は,最大試験圧力の20 %以下とし,加圧に伴うノイズの影響を確認し,ノイズレベルがし
きい値の1/2以上の場合は,ノイズ低減の処置を取るようにすることが望ましい。
b) 加圧速度 加圧に用いる流体,安全装置などは,規定されたものを使用する。加圧速度は,最小のノ
イズ条件でAE試験が行えるような速度とする。
c) 加圧手段 加圧のステップは,一般的には最大試験圧力の50 %100 %の間で数回行う(ステップ数
は,評価方法によって決定する。)。各ステップにおける圧力保持時間は10分間とし,最終保持時間は
少なくとも30分とする。このため加圧装置は,指定された圧力値で圧力を保持する機能をもつものに
する。
d) 加圧の停止 危険状態継続警報又は危険状態開始警報を観測した場合は,加圧スケジュールになくて
も,圧力を保持,又は低下させて,速やかに耐圧試験の責任者に通告して,加圧を継続するか,又は
――――― [JIS Z 2342 pdf 7] ―――――
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中止するかのいずれかを,決定してもらわなければならない。加圧を中止した場合は,AEが異常に発
生した箇所を,他の試験法で調査する。
なお,危険状態を示す指標及び基準は,表A.3などを参考にあらかじめ定める。
5.5 AE計測
AE計測は,4.2.3に規定した少なくとも6種類のパラメータを計測するため,加圧の少なくとも30秒前
から開始し,圧力上昇の全て及び圧力保持,試験終了まで行う。
5.6 圧力計測
圧力値は,連続計測するとともに,個々のAE信号の記録との対応がとれるように記録する。
6 試験結果の記録
AE試験の経過及び結果は,次の項目について記録する。なお,i) の試験結果の評価は,必要に応じて附
属書Aを参考に行う。
a) 試験対象
b) 試験日時
c) 試験実施場所
d) 試験装置の感度確認方法及びその結果
e) AEセンサの配置及び取付方法
f) バックグラウンドノイズの影響
g) 加圧過程(加圧方法,加圧速度,圧力保持時間,保持圧力など)
h) AEの発生状況(AEイベント数と時間又は圧力との関係,AE源標定位置など)
i) 試験結果の評価の手続及びその結果
j) 試験技術者の氏名及び経験年数
k) 耐圧試験責任者の氏名
l) 記録作成日時及び作成者の氏名
m) 試験流体の種類及び試験温度
n) 圧力容器などの事前調査情報
o) 試験装置の仕様(表1参照)
――――― [JIS Z 2342 pdf 8] ―――――
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附属書A
(参考)
評価方法
A.1 試験結果の評価方法
AE源の損傷レベル評価は,位置標定法によって次の2種類の評価方法で行う。いずれの位置標定方法
を選択するかは,使用者が決定してもよい。
A.2 到達時間差を用いる場合
A.2.1 到達時間差位置標定
各AEセンサにおけるAE波の到達時間差を用いて,AE源の位置標定を行う。
A.2.2 AE源エネルギー値の計算
まず,AE源の位置標定から検出したAEセンサまでの距離をAE伝搬距離として求める。次に,このAE
センサにおいて検出されたAEエネルギー値を,4.4.3で測定した減衰率によって補正することでAE源エ
ネルギー値を求める。
A.2.3 AE源のクラスター位置標定によるグループ分け
到達時間差で位置標定されたAEイベントは,クラスター位置標定によっていずれかのクラスターに属
するグループに分けられる。一つのクラスターの範囲は,最大AEセンサ間隔の5 %10 %の長さRを用
いる。AEイベントAが位置座標X1,Y1に推定された場合,X1,Y1を中心とした半径RAのクラスターAが
設定される。新たに位置標定されたAEイベントBの位置座標X2,Y2が半径RAの円内にあれば,AEイベ
ントBはクラスターAに属し,その円外であれば新たにクラスターBが位置座標X2,Y2を中心に設定され
る。
A.2.4 AE総合評価
A.2.4.1 一般
AE総合評価は,各クラスターの累積AEイベント数(ΣN)及び累積AE源エネルギー値(ΣE),並びに
負荷に対するAE源エネルギー値の差(ΔΣE)によって,型及びレベルが評価される。評価された型及び
レベルの組み合わせによって各クラスターごとに評価が行われる。評価のフローチャートを図A.1に示す。
A.2.4.2 クラスターの型評価
クラスターの累積AE源エネルギー値と検出された圧力との相関によって,次のIIVのいずれかの型
に評価する。型を評価するための方法の例を図A.2に示す。
a) I型 : 全過程散発型 : AEは全過程にわたって散発しており,集中発生がない。
b) II型 : 低圧又は中圧過程集中発生型 : AEは低圧力又は中圧力で発生し,高圧力では発生が停止又は急
減する。
c) III型 : 高圧過程急増型 : AEは高圧力で急増する。
――――― [JIS Z 2342 pdf 9] ―――――
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d) IV型 : 全過程頻発型 : AEは全過程で頻発している。
A.2.4.3 クラスターのレベル評価
クラスターの累積AEイベント数と累積AE源エネルギー値とのレベル判定図表上において,次のレベ
ル14に評価される。そのAE活動度のレベル評価例を表A.1に示す。レベル判定図表における判定レベ
ルは,更に判定基準に用いる累積AEイベント数(NR)及び累積AE源エネルギー値(ER)は,そのクラ
スターの対応する位置特性(例えば,溶接線,マンホール,ノズル,溶接支持部,母材部など)によって
異なるため,事前の試験片による破壊試験及びAE試験適用実績に基づいて,AE試験対象物の構造,材質
ごとに決定する。
a) レベル1 : 微小欠陥,ノイズなどに対応する。
b) レベル2 : 安定化した欠陥,又は安定化傾向にある小欠陥に対応する。
c) レベル3 : 拡大傾向にある欠陥に対応する。
d) レベル4 : 加圧中に拡大を続けている欠陥に対応する。
A.2.4.4 クラスターのAE総合評価
各クラスターのAE総合評価のランク(α)は,表A.2に示すように,型 (m)及びレベル (n)の組み
合わせによってランクAからDで表示する。
A.2.4.5 出力メッセージ
負荷試験中は,AEイベントが検出されるごとにそのクラスターのAE総合評価を行ってランクの変化
状況に応じて5段階の出力表示を行うことが望ましい。出力メッセージ例を表A.3に示す。
A.3 ゾーン標定を用いる場合
A.3.1 ゾーン標定
ゾーン標定は,AE源に最も近いセンサが最も多くのAEを検知する特性を利用し,損傷エリアを標定す
る方法であり,各AEセンサの検出感度領域(ゾーン)を単位とする標定を行う。
A.3.2 エネルギー値
AEイベントのAEエネルギー値は,AEセンサ検出点の値を用いる。
A.3.3 AE総合評価
A.3.3.1 評価方法
AE総合評価は,各ゾーンの累積AEイベント数(ΣN)及び累積AEエネルギー値(ΣE),並びに負荷に
対するAEエネルギー値の差(ΔΣE)によって,型及びレベルを評価する。評価された型とレベルとの組
み合わせによって各ゾーンごとに評価を行う。
A.3.3.2 ゾーンの型評価
ゾーンの累積AEエネルギー値と検出された圧力との相関によって,次のIIVのいずれかの型に評価
する。型評価を行うための評価方法の例を図A.2に示す。
――――― [JIS Z 2342 pdf 10] ―――――
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JIS Z 2342:2022の国際規格 ICS 分類一覧
- 23 : 一般的に利用される流体システム及びその構成要素 > 23.020 : 流体貯蔵装備 > 23.020.30 : 圧力容器,ガスボンベ