JIS Z 2343-1:2017 非破壊試験―浸透探傷試験―第1部:一般通則:浸透探傷試験方法及び浸透指示模様の分類 | ページ 2

                                                                                              3
Z 2343-1 : 2017
また,熱源,火花及び火炎から離れた場所に設置しなければならない。
探傷剤及び装置は,注意して取り扱わなければならない。また,常に探傷剤製造業者によって提供され
た使用説明書に従わなければならない。
紫外線照射灯(以下,ブラックライトという。)を用いる場合は,紫外線が試験員の眼に直接入らないよ
うに注意しなければならない。紫外線透過フィルタはブラックライトに組み込まれている又は単独であっ
ても,常に良好な状態に維持しなければならない。
ブラックライトについては,健康上及び安全上に関しての法的規制を受ける。

5 一般事項

5.1 一般

  一般事項を次に示す。
a) 試験方法の選定試験を実施するに当たっては,あらかじめ試験体に予測されるきずの種類,大きさ,
試験体の用途,表面粗さ,寸法,数量,探傷剤の性質などを考慮して,表1の分類のうちから適用す
る探傷剤を選定し同時に箇条8の要領を基にして,操作の細目を定めておくものとする。
b) 試験は熟練者で適切な教育を受け,かつ,資格をもつ技術者が実施しなければならない。可能であれ
ば,雇用者又は雇用者の委任者が指名した有能な技術者,又は試験を担当する検査会社の監督の下で
実施しなければならない。適切な資格をもつことを示すために,技術者はJIS Z 2305又はJIS G 0431
と同等の資格システムで認証又は資格付けされた技術者が望ましい。技術者の作業許可は,手順書に
のっとり雇用者によって発行しなければならない。別段の合意がない限り,試験は雇用者が認めた有
能で資格をもち監督のできる技術者(レベル3又は同等の者)が認可しなければならない。
c) 探傷剤を組み合わせて試験を行う場合は,製造業者が推奨する組合せで使用する。それ以外の組合せ
で試験を行う場合は,その組合せが適用可能であることを確認してから使用しなければならない。
d) 特に受渡当事者間で合意されていない場合は,一般に染色浸透探傷試験の後に蛍光浸透探傷試験を適
用してはならない。

5.2 方法概要

  浸透探傷試験に先立って,試験面は清浄かつ乾燥していなければならない。次に浸透液を試験体に適用
し,表面に開口したきずに浸透させる。浸透時間経過後,余剰の浸透液を表面から除去し現像剤を適用す
る。現像剤はきずに浸透し残留した浸透液を吸収し,可視的に明瞭に強調されたきずによる浸透指示模様
を示す。
他の非破壊試験が必要な場合で,受渡当事者間に合意がなければ,開口きずを汚染させないために,最
初に浸透探傷試験を行わなければならない。もし,浸透探傷試験が他の非破壊試験の後に行う場合は,試
験表面は浸透液適用前に汚染物を取り除くための処理を十分に行わなければならない。

5.3 試験順序

  一般的に,試験は,次の順序で行う。
a) 準備及び前処理(8.2参照)
b) 浸透液の適用(8.4参照)
c) 余剰浸透液の除去(8.5参照)
d) 現像剤の適用(8.6参照)
e) 観察(8.7参照)
f) 記録(8.7.4参照)

――――― [JIS Z 2343-1 pdf 6] ―――――

4
Z 2343-1 : 2017
g) 後処理(8.8.1参照)
主要工程の手順は,附属書Aによる。

5.4 装置

  試験を実施するための装置は,試験体の数量,寸法及び形状によって決まる。
装置に関する要求事項については,JIS Z 2343-4による。

5.5 有効性

  試験の有効性は,次による。
a) 探傷剤及び試験装置の種類
b) 表面仕上げ及び表面条件
c) 試験体及び予想されるきずの種類
d) 試験体表面の温度
e) 浸透時間及び現像時間
f) 観察条件
適切な試験条件で実施されていることを確認するため,プロセス管理試験を行わなければならない。プ
ロセス管理試験は,附属書Bによる。

6 探傷剤の組合せ,感度及び分類

6.1 探傷剤の組合せ

  探傷剤の組合せを表1に示す。組合せは浸透液,余剰浸透液除去剤(方法Aは除く。)及び現像剤で構
成する。溶剤除去性浸透探傷試験において形式試験がJIS Z 2343-2に基づく場合は,浸透液及び除去剤は,
同一製造業者の製品でなければならない。認定された探傷剤の組合せだけを使用しなければならない。

6.2 探傷剤の分類

  探傷剤の分類は,表1による。
表1−探傷剤
浸透液 余剰浸透液除去剤 現像剤
タイプ 呼称 方法 呼称 フォーム 呼称
I 蛍光浸透液 A 水 a 乾式
II 染色浸透液 B 後乳化 b 水溶性湿式
油ベース乳化剤
III 二元性浸透液 C 有機溶剤(除去剤)a) c 水懸濁性湿式
(蛍光浸透液及 − クラス1 ハロゲン化
び染色浸透液の − クラス2 非ハロゲン化
両者を含有) − クラス3 特殊用途用
D 後乳化 d 有機溶剤ベース(タイプI用速
水ベース乳化剤 乾式)
E 水及び有機溶剤 e 有機溶剤ベース(タイプII及
びタイプIII用速乾式)
f 特殊用途用
特別な用途については,引火性,硫黄,ハロゲン,ナトリウム含有量及び他の汚染物に関する特別要求事項を満
たす探傷剤を使用する必要がある(JIS Z 2343-2を参照)。
注a) 方法Cのクラスは,方法を分類したものではない。

――――― [JIS Z 2343-1 pdf 7] ―――――

                                                                                              5
Z 2343-1 : 2017

6.3 感度

  探傷剤の組合せによる感度レベルは,JIS Z 2343-3に規定する対比試験片を用いて決定し,また,承認
された探傷剤の組合せの試験で行った試験で感度レベルを評価する。

6.4 探傷剤の組合せの呼称

  試験に使用する推奨された探傷剤の組合せは,浸透液のタイプ,余剰浸透液除去剤による方法及び現像
剤のフォーム並びにJIS Z 2343-3に規定するタイプ1対比試験片を用いて実施した試験で得られる感度レ
ベルを示す数字から構成される呼称が与えられる。
例えば,この規格並びにJIS Z 2343-2を適用した蛍光浸透液(I),余剰浸透液除去剤としての水(A),
乾式現像剤(a)及びシステム感度レベル2で構成する推奨された探傷剤の組合せと試験方法の呼称は,次
による。
探傷剤組合せ : JIS Z 2343-2,IAaレベル2

7 探傷剤と試験体との適合性

7.1 一般事項

  探傷剤は,試験体及び試験体が計画されている使用目的に適合したものでなければならない。

7.2 探傷剤の適合性

  探傷剤は,お互いに適合できるものでなければならない。
探傷剤が減少した場合の追加は,ロットは異なってもよいが,同じ探傷剤で同じ製造業者でなければな
らない。

7.3 試験体への探傷剤の適合性

  探傷剤及び試験体の適合性は,次による。
a) ほとんどの場合,探傷剤と試験体との適合性は,JIS Z 2343-2に規定する腐食試験の結果によって使
用前に確認できる。
b) 探傷剤は,幾つかの非金属の化学的又は物理的性質に悪影響を及ぼすことがあるため,このような材
料から製造された部品又は組立品を試験する場合は,事前に適合性を確かめておかなければならない。
c) 探傷剤が燃料,潤滑油,流体などに混入する可能性のある場合は,それが有害な影響を及ぼさないこ
とを確かめておく。
d) 過酸化物ロケット燃料,爆発物保持物(これらは爆発性推進薬,起爆材料,花火材料などをもつ全て
の品目を含む。),酸素装置又は原子力機器への適用に関しては,探傷剤の適合性は特別の配慮を必要
とする。

8 試験手順

8.1 試験手順書

  全ての試験は承認された試験手順書に基づいて行わなければならない。試験手順は該当する製品の作業
手順に規定又は含まれていてもよい。

8.2 準備及び前処理

8.2.1  一般事項
試験体がスケール,さび,油脂,グリス,塗料などで汚染されている場合は,機械的方法若しくは化学
的方法又はこれらの方法を組み合わせて,除去しなければならない。
試験面に残存物がなく,浸透液がどのようなきずにも浸透できるものであることを前処理によって確か

――――― [JIS Z 2343-1 pdf 8] ―――――

6
Z 2343-1 : 2017
めておかなければならない。前処理を行う範囲は,試験面が隣接する領域から汚染物による影響を受けな
い十分な広さとしなければならない。
8.2.2 機械的前処理
スケール,スラグ,さびなどは,ブラシ,磨き,研磨,ブラスト,高水圧ブラストなどのような適切な
方法を用いて除去しなければならない。これらの方法は表面から汚染物を除去できるが,通常,きずの内
部に入っている汚染物まで除去できない。全ての方法,特にショットブラストの注意として,塑性変形又
は研磨材料の詰まりによってきず開口部が覆い隠されないことを確かめなければならない。必要な場合に
は,きずを開口させるために引き続きエッチング処理を実施し,その後で適切なすすぎ及び乾燥を行わな
ければならない。
8.2.3 化学的前処理
グリス,油脂,塗料又はエッチング剤のような残存物を除去するために,適切な化学的洗浄剤を用いて
化学的前処理を実施しなければならない。
化学的前処理剤の残さは,浸透液と反応し検出感度を著しく低下させることがある。特に酸及びクロム
酸塩は,蛍光浸透液の蛍光輝度と染色浸透液の色調を著しく低下させることがある。このことから,使用
した化学的洗浄剤は,水すすぎを含む適切な洗浄方法を用いて試験面から除去しなければならない。
8.2.4 乾燥
前処理の最終段階として,水又は有機溶剤がきず内に残存しないように試験体を完全に乾燥しなければ
ならない。

8.3 温度

  探傷剤,試験面及び周囲の温度は8.2.4の乾燥を除いて,10 ℃50 ℃でなければならない。急激な温度
変化は結露の原因となる可能性があり,試験の妨げとなるので避けなければならない。
10 ℃未満又は50 ℃を超える温度での試験は,JIS Z 2343-5又はJIS Z 2343-6に基づいて実施しなけれ
ばならない。

8.4 浸透液の適用

8.4.1  適用方法
浸透液は,試験体にスプレ法,はけぬり法,注ぎかけ法,一部分の浸せき法又は全浸せき法によって適
用できる。
浸透時間中は,試験面が完全にぬれていることを保証するために注意を払わなければならない。
8.4.2 浸透時間
適切な浸透時間は,浸透液の性質,適用温度,試験体及び検出すべききずの種類によって左右される。
浸透時間は,5分60分とし,要求感度レベルに対して製造業者の推奨浸透時間より短くしてはならな
い。浸透時間は試験手順書に記録されなければならない。

8.5 余剰浸透液の除去

8.5.1  一般事項
除去剤の適用では,きず内部に浸透液が残っているようにしなければならない。
8.5.2 水
余剰浸透液は,水スプレによる洗浄,水中への浸せき又は湿した布による拭き取りによって除去しなけ
ればならない。スプレなどによる機械的作用の影響が最小となるように注意を払わなければならない。
8.5.3 有機溶剤
一般的に,最初に清潔な糸くずの出ない布(又は紙)を用いて余剰浸透液を除去しなければならない。

――――― [JIS Z 2343-1 pdf 9] ―――――

                                                                                              7
Z 2343-1 : 2017
次に除去剤で少し湿らせた清潔な糸くずの出ない布(又は紙)によって除去処理を実施しなければならな
い。
これ以外の除去方法の場合は,受渡当事者間で承認がなされていなければならない。特に,除去剤を試
験面に直接吹き付ける場合は,注意する。
8.5.4 乳化剤
8.5.4.1 水ベース(水希釈性)乳化剤
試験面から後乳化性浸透液の除去を可能とするためには,乳化剤の適用によって浸透液に水洗性をもた
せなければならない。乳化剤の適用に先立ち,水によって試験面から大部分の余剰浸透液を除去する。こ
のことは,続いて適用される水ベース乳化剤が均一に作用することになる。
浸せき法又は泡立て装置を用いて乳化剤を適用しなければならない。使用者は,探傷剤製造業者の使用
説明書に従った予備試験を実施し,乳化剤の濃度及び乳化時間を決めなければならない。決められた乳化
時間を超えて乳化処理をしてはならない。乳化時間が経過した後,8.5.2の規定に基づき最終洗浄を実施し
なければならない。
8.5.4.2 油ベース乳化剤
試験面から後乳化性浸透液の除去を可能とするためには,乳化剤の適用によって浸透液に水洗性をもた
せなければならない。適用方法は浸せき法又は注ぎかけ法による。使用者は,探傷剤製造業者の使用説明
書に従った予備試験を実施し乳化時間を決めなければならない。
この乳化時間は,次の洗浄工程において試験面から余剰浸透液を十分除去できることを可能にできる時
間としなければならない。決められた乳化時間を超えて乳化処理をしてはならない。乳化時間が経過した
後直ちに8.5.2の規定に基づき洗浄を実施しなければならない。
8.5.5 水及び有機溶剤
余剰の水洗性浸透液は,最初,水で除去しなければならない(8.5.2参照)。次に糸くずの出ない清潔な
布又は紙で拭き取る。このときに,糸くずの出ない清潔な布又は紙に有機溶剤を軽く湿らせて用いること
ができる。
8.5.6 余剰浸透液の除去確認
余剰浸透液除去処理中は,試験面に残留している浸透液の程度を確認しなければならない。蛍光浸透液
については,A領域紫外線照射の下で実施しなければならない。試験面における最小A領域紫外線の放射
照度は,1 W/m2(100 μW/cm2)未満であってはならない。試験面における照度は100 lxを超えてはならな
い。
染色浸透液に対しては,試験面での白色光の照度は350 lx以上でなければならない。
適切な資格所有者が承認した場合を除いて通常,過剰なバックグラウンドになった場合は前処理から再
度処理しなければならない。
8.5.7 乾燥
余分な水を速やかに乾燥させるため,試験体から水滴及び水たまりを除去しなければならない。
湿式現像剤を用いる場合を除いて,余剰浸透液を除去した後,次の方法の一つを用いて可能な限り速や
かに試験面を乾燥させなければならない。
a) 清潔で乾いた糸くずの出ない布又は紙で拭く。
b) 温水中に浸せき後室温で乾燥
c) 高温での乾燥
d) 強制的空気循環

――――― [JIS Z 2343-1 pdf 10] ―――――

次のページ PDF 11

JIS Z 2342:2003の国際規格 ICS 分類一覧

JIS Z 2343-1:2017の関連規格と引用規格一覧