JIS Z 3070:1998 鋼溶接部の超音波自動探傷方法 | ページ 3

10
Z 3070 : 1998
c) 表示させるエコー高さ又は領域の下限
d) 表示区分(探触子別及びスキップ別)
e) 必要に応じて溶接中心線位置
6. 超音波自動探傷器に必要な機能及び性能
6.1 一般に必要な機能及び性能 超音波自動探傷器に固有の機能であるエコー収録ゲート,距離振幅の
補正,カップリングチェック及びデータ収録に必要な機能及び性能を除く,基本的な機能及び性能は次に
よる。
6.1.1 機能
a) 超音波自動探傷器は,探傷目的及び探傷方法に応じて,一探触子法又は二探触子法のいずれかで使用
できるものとする。
b) 超音波自動探傷器のゲイン調整器は,1ステップ1dB以下で,合計の調整量は,50dB以上とする。
c) 表示器は,屋外の作業においても各種調整に支障のないよう鮮明なものとする。
6.1.2 性能
a) 増幅直線性は,JIS Z 2352の4.1(増幅直線性)で測定し,±3%の範囲内とする。
b) 時間軸の直線性は,JIS Z 2352の4.2(時間軸直線性)で測定し,±1%の範囲内とする。
c) 感度余裕値は,JIS Z 2352の4.3(垂直探傷の感度余裕値)で測定し,40dB以上とする。
d) 電源電圧変動に対する安定度は,JIS Z 3060の4.1.2(探傷器に必要な性能)の(5)による。
e) 周囲温度に対する安定度は,JIS Z 3060の4.1.2の(6)による。
6.2 エコー収録ゲート
6.2.1 エコー収録ゲートに必要な機能
a) エコー収録ゲートの起点及び範囲を,時間軸上の任意の点に調整できる機能をもつものとする。
b) エコー収録ゲートのしきい値を,エコー高さ軸上の任意の点に調整できる機能をもつものとする。
6.2.2 エコー収録ゲートに必要な性能
a) 時間軸及びエコー高さ軸の性能 エコー収録ゲートの起点及び範囲の設定値の変動は,JIS Z 3060に
基づいて調整する測定範囲に応じて,表1による。エコー収録ゲートのしきい値の変動は,表2によ
る。エコー収録ゲートに必要な性能の測定方法は,附属書(規定)による。
表1 エコー収録ゲートの時間軸の性能 表2 エコー収録ゲートのエコー高さ軸の性能
単位mm 増幅器の種類 エコー収録ゲートの変動
測定範囲 エコー収録ゲートの変動 線型増幅器 % ±1
50 ±0.2 対数増幅器 dB ±0.5
100 ±0.5 備考 線型増幅器では,標準穴のエコー高さを
125 ±0.5 100%に調整した場合とする。
200 ±1
250 ±1
500 ±2
6.2.3 収録する事項に必要な性能
a) 時間軸及びエコー高さ軸の性能 時間軸上のビーム路程収録の精度は,表3によって収録する。エコ
ー高さ軸上のエコー高さ収録の精度は,表4によって収録する。収録する事項に必要な性能の測定方
法は,附属書(規定)による。

――――― [JIS Z 3070 pdf 11] ―――――

                                                                                             11
Z 3070 : 1998
表3 時間軸の性能 表4 エコー高さ軸の性能
単位mm 増幅器の種類 エコー高さ収録の精度
測定範囲 ビーム路程収録の精度 線型増幅器 % ±3
50 ±0.2 対数増幅器 dB ±1
100 ±0.5 備考 線型増幅器では,標準穴のエコー高さを
125 ±0.5 100%に調整した場合とする。
200 ±1
250 ±1
500 ±2
6.3 距離振幅の補正
6.3.1 距離振幅補償方式
a) 距離振幅補償方式に必要な機能 超音波自動探傷器にDAC回路を内蔵し,DACの起点,調整点及び
傾斜を自動又は手動で調整できる機能をもつものとする。
b) 距離振幅補償方式に必要な性能
1) AC回路は,30dB以上補償できる性能をもつものとする。
2) ACの起点から左の増幅特性は,DAC回路を使用していないときの状態と同等とする。
3) ACは,少なくともエコー収録ゲート範囲において有効で,エコー収録ゲート内及びそれを超える
スキップ点間ごとに設定されるものとする。
4) 距離振幅補償後の各スキップ点における感度差は,表4に示す値以下とする。
6.3.2 距離振幅補正方式
a) 距離振幅補正方式に必要な機能
1) エコー高さ区分線をエコー収録ゲート範囲を超える範囲においてあらかじめ作成し,スキップ点間
ごとにビーム路程と補正量の補正用1次式を作成できる機能をもつものとする。
2) 収録事項を用いて,収録後のエコー高さに対してあらかじめ用意した補正式によって,距離振幅補
正を自動的に行える機能をもつものとする。
b) 距離振幅補正方式に必要な性能
1) 収録データに対する距離振幅補正は,30dB以上補正できる性能をもつものとする。
2) エコー収録範囲で有効である。
3) 距離振幅補正後の各スキップ点における感度差は,表4に示す値以下とする。
6.3.3 距離振幅併用方式
a) 距離振幅併用方式に必要な機能 超音波自動探傷器に6.3.1 a)に規定する機能をもち,かつ,DAC回
路を使用している状態で6.3.2 a)に規定する機能をもつものとする。
b) 距離振幅併用方式に必要な性能 6.3.1 b)1),2),3)及び6.3.2 b)に示す事項について,規定する性能を
もつものとする。
6.4 カップリングチェックに必要な性能
a) チェックゲートは,エコー収録ゲートと同一の性能をもつものとする。ただし,フルスケールの設定
はエコー収録ゲートと同一でよい。
b) カップリング監視信号を収録する。
6.5 データ収録 超音波自動探傷器は,次のデータを収録する。
a) 探傷前
1) カップリング基準レベル

――――― [JIS Z 3070 pdf 12] ―――――

12
Z 3070 : 1998
2) 距離振幅補正方式又は距離振幅併用方式を採用した場合には,距離振幅特性
b) 探傷中
1) 溶接線平行方向距離
2) 探触子・溶接部距離
3) 収録対象エコーのビーム路程及びエコー高さ
4) カップリング監視信号
7. 走査装置に必要な機能及び性能
7.1 走査装置に必要な機能 走査装置は,自動又は手動で次の事項を調整する。
a) 走査間隔
b) 直角走査長
c) 平行走査長
7.2 走査装置に必要な性能
a) 走査速度は,所定のデータ収録点においてデータ収録を行える速度以下とする。
b) データ収録点のずれは,所定の平行ピッチ及び直角ピッチに対して±1mmの範囲内とする。
c) 直角走査長に対する試験実績の位置ずれの最大値は,所定の直角走査長の0+5%の範囲内とする。
d) 平行走査長に対する試験実績の位置ずれの累積量は,所定の平行走査長の0+5%の範囲内とする。
8. 画像表示装置に必要な機能及び性能
8.1 画像表示装置に必要な機能
a) 溶接線平行方向は,所定の平行走査長以上を表示する。
b) 溶接線直角方向は,カップリングチェック画像において探触子の直角走査長以上を,Bスコープ画像
及びCスコープ画像において探傷する溶接部を表示する。
c) 板厚方向は,Bスコープ画像において母材の板厚以上を表示する。
なお,一つの画面で所定の機能を満たさない場合には,複数の画像に分割して表示してもよい。
8.2 画像表示装置に必要な性能
a) 表示するエコー高さ又は領域の下限は,任意の高さに変えられるものとする。
b) 探傷方向及びスキップ別は,識別又は確認できるものとする。
c) 各座標軸は,1mm以下の精度で反射源の位置を評価し,表示できるものとする。
d) 反射源は,画像上において明りょうに確認できるものとする。
e) 表示されるすべての反射源は,収録したエコーのエコー高さ又は領域別に,2種以上の濃淡又は色合
いで確認できるものとする。
9. 超音波自動探傷試験の準備
9.1 エコー収録ゲート内エコーの収録方式の選定 エコー収録ゲート内エコーの収録方式は,溶接部か
らの妨害エコーの出方によって,選定する。
9.2 距離振幅の補正方式の選定 距離振幅の補正方式は,超音波自動探傷装置の付随機能及びエコー収
録ゲート内エコーの収録方式によって,選定する。
9.3 カップリングチェック方式の選定 カップリングチェック方式は,超音波自動探傷装置の付随機能
及びエコー収録ゲート内エコーの収録方式によって,選定する。

――――― [JIS Z 3070 pdf 13] ―――――

                                                                                             13
Z 3070 : 1998
9.4 データ収録点間隔の選定 平行ピッチ及び直角ピッチは,評価の対象とする最小のきず長さに応じ
て表5に示す値以下とする。ただし一次探傷では,いずれかのピッチが1mm未満となる場合は探傷のピ
ッチとする。
表5 平行ピッチ及び直角ピッチ
単位mm
探傷方法 評価の対象とする 最大 最大
最小のきず長さ 平行ピッチ 直角ピッチ
一次探傷 t以上 t/2 D/2
t/2以上 t/4 D/2
t/2未満 t/6 D/2
探傷 − 1 1
備考 tは,開先を取った側の母材の厚さ。ただし,突き合わ
せ溶接で母材の厚さが異なる場合は,薄い方の板厚と
する。
Dは,使用する斜角探触子の振動子の高さとする。
9.5 試験片の選定 試験片は,探傷目的,試験体の板厚及び音響異方性の有無に従って選定する。
a) 標準試験片 標準試験片は,JIS Z 2345に規定するA1形標準試験片及びA2形系標準試験片,又は
A3形系標準試験片とする。
b) 対比試験片 対比試験片は,JIS Z 3060の4.3.2(対比試験片)による。
c) 自動用対比試験片 自動用対比試験片は,10.1,10.2,10.3,10.5及び10.6に示す事項について,測定
及び調整を行った結果が,標準試験片又は対比試験片と同一であることが確認されている場合には用
いることができる。
9.6 探触子の選定 探傷に用いる探触子は,探傷目的に従って選定する。
9.7 検出レベルの選定 検出レベルは,探傷目的に従って選定する。
9.8 探傷の時期 溶接部に溶接後熱処理などの指定のある場合の探傷の時期は,最終熱処理後とする。
9.9 探傷面の手入れ 探傷面は,スパッタ,浮いたスケール,超音波の伝達を妨げるような著しいさび,
塗料などが存在しないものとする。もし,これらが存在する場合には除去する。
9.10 走査装置接地面の手入れ 走査装置接地面に,走査を妨げるようなスパッタ,ジグ跡などが存在す
る場合は除去する。
9.11 母材の探傷 超音波が通過する部分の母材は,必要に応じてあらかじめ垂直探傷を行って,探傷の
妨害となるきずがないことを確認する。その方法は,JIS Z 3060の5.9(母材の探傷)による。
9.12 音響異方性の検定 公称屈折角70°又は65°の探触子を使用して探傷する場合で,溶接部の母材に
おける音響異方性の有無が明らかでない場合には,探傷面となる母材の音響異方性の推定を行う。音響異
方性があると推定された場合は,公称屈折角60°の探触子を用いて屈折角度差の測定又は横波音速比の測
定を行う。ここで,音響異方性があると判定された場合,公称屈折角65°又は60°の探触子を使用する。
その方法は,JIS Z 3060の5.10(音響異方性の検定)による。
10. 超音波自動探傷装置の調整及び点検
10.1 入射点の測定 入射点の測定は,A1形標準試験片又はA3形系標準試験片若しくは自動用対比試験
片を用いて,1mm単位で行う。

――――― [JIS Z 3070 pdf 14] ―――――

14
Z 3070 : 1998
10.2 測定範囲の調整 測定範囲は,使用するビーム路程以上で,必要最小限とする。調整は,A1形標準
試験片又はA3形系標準試験片若しくは自動用対比試験片を用いて,±1%の精度で行う。ただし,試験体
が音響異方性をもつ場合には,0.5スキップに相当するビーム路程を加えた値以上で,かつ,必要最小限と
する。
10.3 屈折角の測定 屈折角は,選定した試験片を用いて測定する。
a) TB屈折角の測定 STB屈折角の測定は,A1形標準試験片又はA3形系標準試験片を用いて,0.5°
単位で行う。
b) 自動用対比試験片による屈折角の測定 自動用対比試験片を用いて,0.5゜単位で行う。
c) 探傷屈折角の測定 試験体が音響異方性をもち,公称屈折角60゜又は65゜の探触子を使用する場合の
探傷屈折角の測定は,試験体又は試験体と同一鋼板から採取された平板状試験片を用いて,V透過法
によって行う。
10.4 エコー収録ゲートの調整
a) エコー収録ゲートの起点の調整 エコー収録ゲートの起点は,使用する探触子の不感帯を考慮し,探
傷目的に応じて調整する。
b) エコー収録ゲートの範囲の調整 エコー収録ゲートの範囲は,溶接部の探傷する範囲に応じて調整す
る。
10.5 距離振幅の補正の調整 エコー収録ゲート範囲に対して,エコーの距離振幅の補正のための調整を
行う。
10.5.1 距離振幅補償方式の調整 (DAC)
a) ACの起点は,DAC回路を使用しない状態で,使用するA2形系標準試験片又は対比試験片若しくは
自動用試験片の標準穴を直射法で探傷し,最大エコー高さが得られる点のビーム路程とする。その最
大エコー高さを任意の高さに調整する。
b) ACの最終の調整点は,使用する試験片の標準穴を,エコー収録ゲート範囲を超える最小のビーム路
程に対応するスキップ点で探傷し,最大エコー高さが得られるビーム路程とする。
c) スキップ点ごとに使用する試験片の標準穴のエコー高さが,それぞれ表4に示す精度にあることを確
認する。
d) 使用する探触子を用いて,A1形標準試験片又はA3形系標準試験片若しくは自動用対比試験片によっ
て,定められた測定範囲に時間軸が調整されていることを確認する。
10.5.2 距離振幅補正方式の調整
a) エコー高さ区分線の作成 使用するA2形系標準試験片又は対比試験片若しくは自動用対比試験片の
標準穴を用いて,少なくともエコー収録ゲートの範囲を超えるスキップ点のビーム路程及びエコー高
さを測定し,エコー高さ区分線(H線)を作成して収録する。
b) 距離振幅補正式の作成 図7に示す方式によって,補正式を作成する。
c) 距離振幅補正の確認 使用する試験片の標準穴を用いて,直射を含む2個以上のスキップ点を探傷し,
そのエコー高さが,表4に示す精度にあることを確認する。
なお,距離振幅補正は,しきい値を超えたエコーに対し,各ビーム路程ごとに,データ収録後又は
画像表示前に行う。
10.5.3 距離振幅併用方式の調整
a) 距離振幅補償方式の調整 10.5.1 a),b),d)に規定する調整を行う。
b) 距離振幅補正方式の調整 a)の状態で10.5.2に規定する調整を行う。

――――― [JIS Z 3070 pdf 15] ―――――

次のページ PDF 16

JIS Z 3070:1998の国際規格 ICS 分類一覧

JIS Z 3070:1998の関連規格と引用規格一覧