JIS Z 3700:2022 溶接後熱処理方法 | ページ 2

           4
Z 3700 : 2022
(有効加熱幅)の加熱速度及び冷却速度は,次による。
なお,加熱及び冷却中は,炉内加熱による被溶接後熱処理部又は局部加熱による溶接後熱処理の均熱幅
(有効加熱幅)のあらゆる方向における5 mの範囲において150 ℃以上の温度差があってはならない。
a) 加熱の場合 Rl≦220×25/t 最大220 ℃/hで,55 ℃/hより遅くしなくてもよい。
b) 冷却の場合 R2≦280×25/t 最大280 ℃/hで,55 ℃/hより遅くしなくてもよい。
ここで, R1 : 加熱速度(℃/h)
R2 : 冷却速度(℃/h)
t : 厚さ(mm)(6.1による。)

9 溶接後熱処理方法

9.1 炉内加熱による溶接後熱処理方法

9.1.1 加熱装置
加熱装置の種類及び形式は,箇条7,箇条8及び9.1.2に規定する条件に適合するものとする。
9.1.2 溶接後熱処理の手順及び条件
炉内加熱による溶接後熱処理の手順及び条件は,次による。
a) 被溶接後熱処理部を加熱炉に入れる。その時の炉内温度は,425 ℃未満とする。
b) 通常,被溶接後熱処理部全体を一度に炉に入れることとするが,一度に炉に入れることができない場
合は,二度以上に分けて溶接後熱処理を行ってもよい。ただし,この場合,加熱の重なる部分は,1.5
m以上とする。炉外に出る部分は,温度勾配を緩やかにし,材質に有害な影響を与えないようにしな
ければならない。
c) 被溶接後熱処理部の温度が425 ℃以上においては,箇条8に規定する加熱速度及び冷却速度で,被溶
接後熱処理部の加熱及び冷却を行う。
なお,被溶接後熱処理部は,溶接後熱処理によって過度の酸化が生じないよう注意しなければなら
ない。
d) 溶接後熱処理における保持温度及び保持時間は,箇条7による。
e) 被溶接後熱処理部を炉から取り出す。その時の被溶接後熱処理部の温度は,425 ℃未満とする。
9.1.3 温度の測定
加熱炉による溶接後熱処理における被溶接後熱処理部温度は,通常,被溶接後熱処理部を対象として熱
電対によって自動的に測定する。被溶接後熱処理部の温度分布を確認するために,その大きさに従って,
適切な数の熱電対を取り付け,その間隔は,全ての方向で5 m未満でなければならない。ただし,炉内温
度で被溶接後熱処理部の各部の温度を推定できる場合には,炉内温度で代用してもよい。

9.2 局部加熱による溶接後熱処理方法

9.2.1 加熱装置
加熱装置の種類及び形式は,箇条7,箇条8及び9.2.2に規定する条件に適合するものとする。

――――― [JIS Z 3700 pdf 6] ―――――

                                                                                             5
Z 3700 : 2022
9.2.2 溶接後熱処理の手順及び条件
局部加熱による溶接後熱処理の手順及び条件は,次による。
a) 溶接後熱処理に際しては,加熱する部分及び加熱しない部分の温度勾配を緩やかにし,材質に有害な
影響を与えないようにする。温度勾配を緩やかにするために,加熱範囲の外側を適切に保温し,必要
に応じて追加の加熱を行う。
b) 加熱範囲は,均熱幅(有効加熱幅)を満足できる大きさとしなければならない。
c) 均熱幅(有効加熱幅)は,溶接金属の最大幅の両側にそれぞれ溶接後熱処理における厚さ(6.2参照)
に規定する2倍以上を加えた範囲とする(図1参照)。
d) 管台溶接部の均熱幅(有効加熱幅)は,溶接金属の最大幅の両側に溶接後熱処理における厚さ(6.2参
照)又は50 mmの小さい方を加えた寸法以上の範囲とする。配管分岐管溶接部の均熱幅(有効加熱幅)
は,溶接金属の最大幅の両側にそれぞれ溶接後熱処理における厚さ(6.2参照)の2倍以上を加えた範
囲とする。通常,均熱幅(有効加熱幅)はこれら溶接部の周辺だけでなく,容器の胴又は配管本管を
全周にわたり加熱する範囲に含む(図2参照)。ただし,管台溶接部及びその周囲の均熱幅(有効加熱
幅)[図2の均熱幅(有効加熱幅)A及びBに相当]に含まれる範囲を保持温度まで均一に加熱し,か
つ,規定どおりの保持温度及び保持時間で熱処理することができる場合に限り,9.2.2 a)に示す加熱条
件で管台溶接部から離れた位置の均熱幅(有効加熱幅)[図2の均熱幅(有効加熱幅)Cに相当]を小
さくするか,又は当該部の保持温度を下げてもよい。
e) 均熱幅(有効加熱幅)の温度が425 ℃以上においては,箇条8に規定する加熱速度及び冷却速度で,
被溶接後熱処理部の加熱及び冷却を行う。
f) 溶接後熱処理において均熱幅(有効加熱幅)に対する保持温度及び保持時間は,箇条7による。ただ
し,温度保持中,又は加熱及び冷却中は,均熱幅(有効加熱幅)全体にわたって一様な温度になるよ
うにし,かつ,加熱範囲全体にわたってできる限り温度こう配が少ないようにしなければならない。
なお,被溶接後熱処理部は,溶接後熱処理によって過度の酸化が生じないよう注意しなければなら
ない。

――――― [JIS Z 3700 pdf 7] ―――――

           6
Z 3700 : 2022
記号説明
1 : 母材
2 : 溶接熱影響部(HAZ)
3 : 溶接金属
A : 均熱幅(有効加熱幅)
H : 加熱範囲
L : 距離
O : 溶接部の中央
W : 溶接金属の一方の止端から他方の止端までの最大幅
t : 溶接後熱処理における厚さ(6.2参照)
Bu : 溶接後熱処理における厚さ(6.2参照)の2倍の寸法(2t)以上の範囲
T : 温度
T1 : 均熱幅(有効加熱幅)の最高温度
T2 : 均熱幅(有効加熱幅)の最低温度(最低保持温度以上の温度)
T3 : T2からの低下割合を考慮した加熱範囲内の最低温度(T2の保持に必要な最低の温度)
図1−局部加熱による溶接後熱処理の均熱幅(有効加熱幅)

――――― [JIS Z 3700 pdf 8] ―――――

                                                                                             7
Z 3700 : 2022
記号説明
1 : 胴又は配管本管
2 : 管台又は配管分岐管
3 : 胴と管台を接続する溶接金属又は配管本管と配管分岐管を接続する溶接金属
A : 管台又は配管分岐管に接続する胴又は配管本管の均熱幅(有効加熱幅)
B : 胴又は配管本管に接続する管台又は配管分岐管の均熱幅(有効加熱幅)
C : 管台又は配管分岐管から離れた位置の胴又は配管本管の均熱幅(有効加熱幅)
H : 加熱範囲
Bu : 管台溶接部の場合,溶接後熱処理における厚さ(6.2参照)又は50 mmの小さい方の寸法以上の範囲。
配管分岐管溶接部の場合,溶接後熱処理における厚さ(6.2参照)の2倍の寸法以上の範囲。これら溶接部の
周辺だけでなく,容器の胴又は配管本管を全周にわたり加熱する範囲に含むa)。
Wu : 溶接部の最大幅(管台軸又は分岐管軸方向)
W : 溶接部の最大幅(管穴に対する半径方向)
注a) 管台溶接部及びその周囲の均熱幅(有効加熱幅)(A及びBに相当)に含まれる範囲を保持温度まで均一に
加熱し,かつ,規定どおりの保持温度及び保持時間で熱処理することができる場合に限り,9.2.2 a)に示す
加熱条件で管台溶接部から離れた位置の均熱幅(有効加熱幅)(Cに相当)を小さくするか,又は当該部の
保持温度を下げてもよい[9.2.2 d)参照]。
図2−局部溶接後熱処理における管台又は配管分岐管溶接部の均熱幅(有効加熱幅)
9.2.3 温度の測定
局部加熱による溶接後熱処理における被溶接後熱処理部温度の測定は,溶接部の中央及び均熱幅(有効
加熱幅)の両側の端部又はそれより離れた位置に熱電対を付け,温度を測定し,均熱幅(有効加熱幅)の
大きさが,規定に適合していることを確認しなければならない。この際,その大きさに従って,適切な数
の熱電対を取り付け,その間隔は,全ての方向で5 m未満でなければならない。外径が大きく,かつ,厚

――――― [JIS Z 3700 pdf 9] ―――――

           8
Z 3700 : 2022
い部材の局部加熱を行う場合は,加熱部からの熱伝導の影響が大きくなり,均熱幅(有効加熱幅)内の温
度差及び厚さ方向の温度勾配が大きくなる傾向にある。そのため,均熱幅(有効加熱幅)に含まれる範囲
の体積全体が規定の温度範囲に保持されていることを確認する目的で,熱電対による測定点を増やすなど
の措置を講じる。

10 記録

  溶接後熱処理を行った場合には,次の事項を記録しなければならない。
a) 事前に設定した熱処理の仕様(炉内加熱又は局部加熱)
b) 加熱装置の種類及び形式
c) 温度の計測方法(被溶接後熱処理部の温度又は炉内温度)
1) 被溶接後熱処理部の温度の場合は,熱電対の取付位置
2) 炉内温度の場合は,炉内温度と被溶接後熱処理部の温度との関係を示す記録
d) 被溶接後熱処理部を加熱炉に入れるときの炉内温度
e) 保持温度及び保持時間
f) 加熱速度及び冷却速度
g) 被溶接後熱処理部を加熱炉から取り出すときの被溶接後熱処理部の温度
h) その他必要な事項

JIS Z 3700:2022の国際規格 ICS 分類一覧

JIS Z 3700:2022の関連規格と引用規格一覧